『Live At The NEC』 Anderson Bruford Wakeman & Howe ☆☆☆☆
アンダーソン・ブラッフォード・ウェイクマン・アンド・ハウ、略してABWHのライヴ音源。要するにクリス・スクワイア抜きのイエスである。事情を知らない人のために補足すると、アルバム『Big Generator』発表後ヴォーカルのジョン・アンダーソンはイエスを脱退、ソロアルバムの制作に取 . . . 本文を読む
『月の部屋で会いましょう』 レイ・ヴクサヴィッチ ☆☆☆★
奇想SF系の短編集を読了。作者のレイ・ヴクサヴィッチはロシアっぽい名前にもかかわらずアメリカ人。作品からは一応SFの匂いはするけれども、むしろエイミー・ベンダーやジュディ・バドニッツなどのアンリアリズム系の作家だと思った方が良い。
一つ一つの作品は非常に短く、全部で33篇も収録されている。傾向は大きく分けて二つあり、ひとつは奇 . . . 本文を読む
『若者のすべて』 ルキノ・ヴィスコンティ監督 ☆☆☆☆
日本版のブルーレイを入手して鑑賞。1960年のモノクロ作品。
ヴィスコンティの映画は『ベニスに死す』程度しか観たことがなく、いかにも貴族的で耽美的、退廃的な映画を撮る監督だと思っていたが、この『若者のすべて』はまだ初期のネオリアリスモ的要素を残していて、そういう「いかにもヴィスコンティ」な映画とはちょっと印象が異なる作品だった。田 . . . 本文を読む
『甘美なる作戦』 イアン・マキューアン ☆☆☆☆★
マキューアンの新作を読了。あいかわらず知的な仕掛けと罠でいっぱいの、巧緻きわまりない小説を書く作家だ。
今回は一種のスパイもの。帯にもそう書いてあったので、まずはマキューアンらしからぬエンタメ風の小説を思い浮かべ、次に『愛の続き』でも表面的にはサスペンス調のプロットだったことを思い出し、一見エンタメ風のプロットでマキューアンならではの . . . 本文を読む
『回転』 ジャック・クレイトン監督 ☆☆☆
クライテリオン版ブルーレイで鑑賞。1961年のモノクロ映画だが、くっきりと美麗にリストアされた映像はとてもそんな時代の映画とは思えない。このモノクロ映像の格調の高さと肌理の細かさ、そして19世紀イギリスの田園風景や屋敷内の素晴らしい美術のおかげで、本作は、少なくとも映像面に関してはケチのつけようのないゴシック映画になっている。
原作はヘンリー . . . 本文を読む
『あるときの物語(上・下)』 ルース・オゼキ ☆☆☆★
ネットの書評などで好評であることを知り、Amazonで取り寄せた。上下二巻で、結構分厚い。311や911が題材になっていて、日本の女子高生が書いた手記と、10年後にそれを入手したカナダ人女性の叙述が交錯する物語と聞いて、語りの枠組みに凝った『薔薇の名前』タイプの小説を想像したが、その予想は半分当たり、半分外れだった。
実のところ、 . . . 本文を読む
『Live At The Rainbow '74』 Queen ☆☆☆☆
クイーンの74年のライヴ映像が今頃出てきた。こんな早い時期のオフィシャル・ライヴ映像は初めてで、そもそもヒゲがないフレディが歌っているステージは初めてである。ファンにとってはたまらない映像だろう。大ファンというほどでもない私も、やはりこれは入手せねばと思ってブルーレイを購入した。
いやー、みんな若い。全員長髪であ . . . 本文を読む
『マスカレード・イブ』 東野圭吾 ☆☆☆☆
『マスカレード・ホテル』の続編が出たということでさっそく取り寄せ、週末に一気読み読了。続編というか正確には前日譚で、長編でなく短編集である。例によってテレビドラマみたいな内容だが、やはり、週末イッキ読み本としての性能は高い。
本書に収録されているのは「それぞれの仮面」「ルーキー登場」「仮面と覆面」「マスカレード・イブ」の四篇。このシリーズは新 . . . 本文を読む
『恋人たちの食卓』 アン・リー監督 ☆☆☆★
『いつか晴れた日に』の素晴らしさに感嘆し、アン・リー監督の他の映画を観なくてはと思って日本版ブルーレイを入手。英語のタイトルは「Eat Drink Man Woman」で、はるか昔の公開当時、友達が面白いと言っていたような気がするが私は観ていなかった。
しかしまあ、面白いより何より、とにかく旨そうだ。腹が減るったらない。冒頭からいきなり名シ . . . 本文を読む
『老いぼれグリンゴ』 フエンテス ☆☆☆☆
フエンテスの『老いぼれグリンゴ』を再読。どうでもいいことだが、作家のフルネームを表記する時と姓だけ表記する時があるのはなぜだろう。誰もが知ってる大作家なら姓だけでいい、ということなのか。トルストイとかゲーテとか。誰がそれを決めるのだろう。昔からなんとなく気になっている。本書の表紙にも「フエンテス」としか書かれていない。
実在するアメリカの作家 . . . 本文を読む