アブソリュート・エゴ・レビュー

書籍、映画、音楽、その他もろもろの極私的レビュー。未見の人の参考になればいいなあ。

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恐怖の館―世にも不思議な物語

2012-01-30 22:19:41 | 
『恐怖の館―世にも不思議な物語』 レオノーラ・キャリントン   ☆☆★  レオノーラ・キャリントンはシュルレアリスムの画家だが、小説も書いている。これはその短編を集めた作品集。  最初に彼女の小説を読んだのは澁澤龍彦編『怪奇小説傑作集4』収録の『最初の舞踏会』だった。これはブルトンの『黒いユーモア集』にも収録されていて、残酷さとおとぎ話的シュールさがミックスされた傑作である。それで他の短編も読 . . . 本文を読む
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愛その他の悪霊について(映画)

2012-01-28 20:52:20 | 映画
『愛その他の悪霊について』 イルダ・イダルゴ監督   ☆☆☆★  マルケスの『愛その他の悪霊について』が映画化されていることを知り、日本語版のDVDを入手した。  ストーリーはほぼ原作に忠実ながら、雰囲気は違う。一言で言うと、お耽美系である。美しい。繊細なガラス細工のようなフィルムになっている。トーンは一貫して静謐であり、しっとりであり、原作の持つロマンティックな側面が強調されている。その一方 . . . 本文を読む
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坊っちゃん

2012-01-26 23:55:51 | 
『坊っちゃん』 夏目漱石   ☆☆☆☆  夏目漱石はあまりちゃんと読んだことがないが、『坊っちゃん』だけは子供の頃に読んだ。最近は知らないが、昔の子供はみんな『坊っちゃん』を読んだものである(<本当か?)。『車輪の下』と『坊っちゃん』と『蜘蛛の糸』は子供の必読書だった。で、『坊っちゃん』をおとなになって読み返したのは今回が初めてである。  もちろん夏目漱石は押しも押されぬ大文豪だが、『坊っちゃ . . . 本文を読む
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帰ってきたウルトラマン Vol.10

2012-01-24 21:37:31 | テレビ番組
『帰ってきたウルトラマン Vol.10』   ☆☆☆☆  前にもちょっと書いたが私は『帰ってきたウルトラマン』のDVDを何枚か所有していて、これもその一枚。収録されているのは以下の4話である。 第37話「ウルトラマン 夕陽に死す」 第38話「ウルトラの星 光る時」 第39話「20世紀の雪男」 第40話「まぼろしの雪女」  知っている人は知っているだろうし、知らない人も各話タイトルを見れば想像 . . . 本文を読む
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海炭市叙景

2012-01-22 13:00:23 | 映画
『海炭市叙景』 熊切和嘉監督   ☆☆☆☆☆  日本版DVDを購入して鑑賞。これは良い。心に刺さってくる映画だ。この監督さんは知らなかったけど要チェックだな。  夭折した作家の連作短編の映画化ということだけれども、原作は読んだことがない。まあ、暗い話ばかりだ。造船所をリストラされた兄妹。一人暮らしの老婆と猫。プラネタリウム技師の家庭不和。事業がうまくいかず不倫するガス会社社長とその妻の児童虐待 . . . 本文を読む
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犯罪

2012-01-20 23:32:45 | 
『犯罪』 フェルディナント・フォン・シーラッハ   ☆☆☆☆★  ドイツの作家さんである。というか、本業は弁護士さんで、その人が実話をベースに書いた連作犯罪小説集である。面白い。しかも面白いだけじゃなく文学的香気もある。普通は弁護士が書いた実話小説というとドキュメンタリー・タッチで、専門的な知識をこれでもかと盛り込んであるイメージだが、これは全然そうじゃない。ストーリーテリングは簡潔で、ディテー . . . 本文を読む
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天国の日々

2012-01-18 22:57:17 | 映画
『天国の日々』 テレンス・マリック監督   ☆☆☆☆★  日本版DVDで鑑賞。いやー、美しい。美し過ぎる映像だ。これは高性能レンズと高品質フィルムで捉えたクリアな美しさというよりは、絵画的な美しさである。つまり、ドラマと情緒ともののあわれをひたひたと、溢れんばかりに湛えている美しさ。それによって私たちはアンドリュー・ワイエスの、あるいはフェルメールの絵画の世界に誘われる。何でもこの映像を撮るため . . . 本文を読む
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大いなる離婚

2012-01-16 12:14:38 | 
『大いなる離婚』 ヴァレリー・マーティン   ☆☆☆☆  『燃える天使』収録の短編がわりと好みだったので、数少ない邦訳長編である本書を購入してみた。文庫だし。  なかなか変わった話である。あとがきに幻想的とあったが、実は幻想味はそれほど強くない。一応動物の変身譚のモチーフが織り込まれていて、その部分だけは幻想的といえば幻想的だが、錯覚や精神異常とも解釈できるように書いてある。他は緻密な書き込み . . . 本文を読む
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ペーパー・ムーン

2012-01-13 20:18:07 | 映画
『ペーパー・ムーン』 ピーター・ボグダノヴィッチ監督   ☆☆☆☆☆  日本版DVDで鑑賞。子供の頃からタイトルだけは知っていて、ハヤカワ文庫で出ている原作小説(もしくはノベライゼーションかも)を読んだこともあるが、映画を観るのは初めて。確か「松紳」で、松本が一番好きな映画だと言っていたように記憶している。  DVDジャケットは色鮮やかだが映画はモノクロである。しかし、このモノクロ映像が良い。 . . . 本文を読む
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紙の民

2012-01-11 20:27:34 | 
『紙の民』 サルバドール・プラセンシア   ☆☆☆  うーむ。柴田元幸絶賛のマジック・リアリズム小説ということで躊躇なく買い求めたが、結果は微妙だった。作者はまだ若く、これがデビュー作。にもかかわらず、すでに世界的に重要な現代作家と目されているという。マルケスの『百年の孤独』を繰り返し読んだというこのサルバドール・プラセンシア氏、ヴォネガットにも傾倒し、ロック・ミュージックにも造詣が深いらしい。 . . . 本文を読む
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