『デッド・ゾーン』 スティーヴン・キング ☆☆☆☆☆
再読。キングはこの『デッド・ゾーン』を自分自身のベスト作品としているが、私も同意見。今のところこれがキング作品でもっとも繊細で、感動的で、美しい作品だと思う。
クローネンバーグが映画化しているので観たことある人も多いだろう。交通事故で4年半の昏睡に陥った青年が昏睡から目覚めると、予知能力(または透視能力)が身についていた、という話で . . . 本文を読む
『神々の戦い』 ラッシュ ☆☆☆☆☆
ラッシュ6枚目のスタジオ・アルバム、『神々の戦い』。邦題はいかにも時代がかったプログレという感じだが、オリジナルのタイトルは「Hemisphere」で、つまり脳の半球と、二つに割れた天球のダブル・ミーニングになっている。天界を二分してのアポロンとデュオニソスの神話的な戦いを脳の右半球と左半球の争い、つまり感情と理性の脳内葛藤のメタファーとして描いた、知 . . . 本文を読む
『ファウンデーションと地球(上・下)』 アイザック・アシモフ ☆☆☆☆
『ファウンデーションの彼方へ』に続き『ファウンデーションと地球』を再読。
ファウンデーション・シリーズにはこの後に発表された作品があるが、未来史ものとして見た場合これがいちばん最後に位置する物語となっている。これをもってロボット・シリーズとファウンデーション・シリーズがつながり、これまで解答を与えられなかったいくつ . . . 本文を読む
『告白』 中島哲也監督 ☆☆
日本に行く飛行機の中で観た。原作は既読で、世評ほどいいとは思えなかったのは以前書いた通り。だから映画を観る気もなかったが、なんだかいやに評判がいいみたいなのでつい観てしまった。何か原作と変えてあるのだろうかと思ったら同じだった。あえて言えば、映像になった分だけショッカー色が強まっている。部分的にはミステリというよりホラーに近い。
しかしネットで検索してみる . . . 本文を読む
『ファウンデーションの彼方へ(上・下)』 アイザック・アシモフ ☆☆☆☆
ロボット・シリーズ2作を読んだらファウンデーションも読まないとおさまらなくなり、再読してしまった。これはファウンデーション・シリーズの4作目である。
ファウンデーション・シリーズ最初の三部作はまず1950年代に一旦完成している。『ファウンデーション』『ファウンデーション対帝国』『第二ファウンデーション』がそれで、 . . . 本文を読む
『太陽と戦慄』 キング・クリムゾン ☆☆☆☆☆
キング・クリムゾン、5枚目のスタジオ・アルバム。『アイランド』の次、ウェットン期の最初の一枚、そしておそらくはウェットン期三枚の中でもっともマジカルな一枚である。フリップ以外のメンバーは全員一新されている。もうクリムゾンは終わったと誰もが思っていた中、満を持して登場した鉄壁のラインナップは次の通り。
ロバート・フリップ: ギター、メロトロ . . . 本文を読む
『マイトレイ/軽蔑』 ミルチャ・エリアーデ/アルベルト・モラヴィア ☆☆☆☆☆
池澤夏樹の世界文学全集『マイトレイ/軽蔑』を購入した。Amazonの内容紹介を見れば分かる通り『マイトレイ』はタブーを越えた恋愛をみずみずしく描く悦楽の神話、『軽蔑』は壊れ行く夫婦の愛を描いた灰色のスケッチ。愛の豊穣と愛の不毛。非常に対照的な二つの愛の物語である。で、私のお目当てはモラヴィアの『軽蔑』だった。愛 . . . 本文を読む
『狂骨の夢』 京極夏彦 ☆☆☆
京極堂シリーズ第三作目。再読。いつものテイストに変わりはないが、全体的にやや印象が薄めかも知れない。
今回の舞台は厨子あたり。ややこしい話なのはいつも通りで、メインとなるのは朱美という女だが、この女は記憶の一部が欠けており、かつ自分の記憶の中に他人の記憶が混在しているというわけのわからない女である。また、彼女はかつて自分の夫を殺して首を切断した容疑をかけ . . . 本文を読む
『激突!』 スティーヴン・スピルバーグ監督 ☆☆☆☆
DVDで再見。スピルバーグ監督のデビュー作である。これ以前の作品としては、確か刑事コロンボ『構想の死角』ぐらいしかなかったはずだ。
もともとテレビ用に作られただけあって映画としては安っぽく、B級感溢れる画面だが、ストーリーのインパクトは絶大である。とりあえずこういう映画を観たということだけは忘れられなくなる。ポイントはとにかくシンプ . . . 本文を読む
『インディアナ、インディアナ』 レアード・ハント ☆☆☆★
シンガポール生まれのアメリカ作家、レアード・ハントの『インディアナ、インディアナ』を読了。訳は柴田元幸。以前からなんとなく気になっていた本だったが、ようやく読むことができた。柴田元幸が惚れこみ、ポール・オースターが「ずば抜けた才能」と絶賛した、というのが売り文句。ちなみにAmazon.co.jpの紹介ページでは柴田元幸氏の肉声によ . . . 本文を読む