アブソリュート・エゴ・レビュー

書籍、映画、音楽、その他もろもろの極私的レビュー。未見の人の参考になればいいなあ。

カメラ・トーク

2008-04-29 21:26:34 | 音楽
『カメラ・トーク』 フリッパーズ・ギター   ☆☆☆☆  ピチカート・ファイヴと並ぶ渋谷系のカリスマ、フリッパーズ・ギターのセカンド・アルバム。ベスト盤やライブを除けばオリジナル・アルバムは三枚しか残していないので、ちょうど真ん中のアルバムということになる。フリッパーズのアルバムは三枚ともそれぞれにカラーが違っていて、ファーストの『three cheers for our side ~海へ行くつ . . . 本文を読む

狐火の家

2008-04-28 10:33:26 | 
『狐火の家』 貴志祐介   ☆☆☆  『硝子のハンマー』のコンビが登場するミステリ短編集。貴志祐介ファンの間では評判がよくないらしい『硝子のハンマー』が私は大好きなので、この短編集にも期待していたが、ちょっと期待外れだった。  防犯コンサルタントの榎本径が主役という関係上、収録されている四篇はすべて「密室もの」である。現場からどうやって出たか、そして入ったかが主要な謎となる。榎本径と青砥弁護士 . . . 本文を読む

哀しみのベラドンナ

2008-04-26 13:00:30 | アニメ
『哀しみのベラドンナ』 山本暎一監督   ☆  私は手塚治虫のアニメ『クレオパトラ』が大好きで、昔はポニーキャニオンのビデオを持っていたが、虫プロ・アニメラマDVDボックスなんてものが出たので喜びいさんで買った。『クレオパトラ』の他に『千夜一夜物語』『哀しみのベラドンナ』が入っている。さて、『クレオパトラ』を美しい映像でたっぷり楽しみ、『千夜一夜物語』は期待外れ、『哀しみのベラドンナ』は観る気が . . . 本文を読む

DISTANCE

2008-04-24 20:04:04 | 映画
『DISTANCE』 是枝裕和監督   ☆☆☆☆★  DVDで再見。是枝監督の映画は『花よりもなほ』以外全部観ているが、どれもこれも素晴らしい。確かな感性と方法論を持った監督さんである。『幻の光』『ワンダフルライフ』は幻想的な作風だったが、本作は社会派的な題材を取り上げている。オウム真理教のサリン事件だ。最初聞いた時はどんな映画になるのかと思ったが、実際に映画を観てみると是枝監督らしい、静謐で美 . . . 本文を読む

ダンシング・ヴァニティ

2008-04-22 20:26:40 | 
『ダンシング・ヴァニティ』 筒井康隆   ☆☆☆☆☆  筒井康隆の新作を読了。前作の『巨船ベラス・レトラス』がさすがと思わせる超虚構的な仕掛けを打ちつつもわりと読みやすい娯楽小説的な内容だったのに比べ、本書はかなりチャレンジングだ。筒井康隆の実験精神が炸裂している。本の装丁を見て気楽な娯楽小説かと思ったら全然違っていた。これは『夢の木坂分岐点』や『虚人たち』のような、作者が娯楽性を度外視して本領 . . . 本文を読む

うなぎ

2008-04-20 12:51:16 | 映画
『うなぎ』 今村昌平監督   ☆☆☆☆  写真は日本のDVDだが、米国版のDVD『The Eel』で再見。古いDVDなのでワイドスクリーンで見ると映像が一回り小さくなり、まわりに黒いスペースが出てしまう。ちょっと悲しい。  最初観たのはこの映画がカンヌでパルムドールをとった直後だったと思うが、今村昌平の映画は初めてだったのでこのアクの強さは衝撃的だった。Amazonの紹介文によるとこれでも従来 . . . 本文を読む

ハッサン・サラーの反逆

2008-04-18 20:22:18 | 刑事コロンボ
『ハッサン・サラーの反逆』   ☆☆☆  刑事コロンボ第33番目のエピソード。シーズンで言うと第5シーズンということになるが、宝島社の『刑事コロンボ完全捜査記録』によれば、第5シーズンの6作はすべてというコンセプトで制作されたらしい。なかなか興味深い。ちなみに6つのエピソードを順にあげると、『忘れられたスター』『ハッサン・サラーの反逆』『仮面の男』『闘牛士の栄光』『魔術師の幻想』『さらば提督』。 . . . 本文を読む

ワインの匂い

2008-04-16 19:40:21 | 音楽
『ワインの匂い』 オフコース   ☆☆☆☆★  オフコース三枚目のスタジオアルバム。ライヴ『秋ゆく街で』を入れると四枚目ということになるが、二人オフコース時代の最高傑作の誉れ高い名盤だ。ジャケットに小田和正、鈴木康博の二人が写っているが、若い! 特に小田和正は細身、長髪、色白で、その声と同じようにどことなく中性的な雰囲気を漂わせている。  それまでの二枚、『僕の贈りもの』と『この道をゆけば』は . . . 本文を読む

流星の絆

2008-04-14 19:18:36 | 
『流星の絆』 東野圭吾   ☆☆☆  東野圭吾の最新刊を入手、週末に一気読み。レビューのたびに書いているような気がするが、東野圭吾本は一気読みに限る。というか一気読み以外できない。  読んでいるうちはいつも通り楽しめるが、読み終えてしまえばそれほど印象に残らない気がする。傑作とは言いがたい。『夜明けの街で』『使命と魂のリミット』も読んだが、それらもやっぱり似たような印象だった。話の筋ももうほと . . . 本文を読む

東海道四谷怪談

2008-04-12 17:55:15 | 映画
『東海道四谷怪談』 中川信夫監督   ☆☆☆☆  DVDで鑑賞。知ってる人は知っている、怪談映画の傑作である。1959年の作品。  私は高橋克彦の『幻想映画館完全版』という本を持っていて、これは高橋克彦が色んな幻想・SF・ファンタジー系映画のレビューをしている本だが、この中で『東海道四谷怪談』を絶賛している。と言ってもこの映画そのものは取り上げられていないので、同じ監督の『地獄』のレビューで触 . . . 本文を読む