アブソリュート・エゴ・レビュー

書籍、映画、音楽、その他もろもろの極私的レビュー。未見の人の参考になればいいなあ。

ミッション : インポッシブル/フォールアウト

2018-07-31 21:40:31 | 映画
『ミッション : インポッシブル/フォールアウト』 クリストファー・マッカリー監督   ☆☆☆☆☆  この週末に映画館で観てまいりました、「ミッション・インポッシブル」最新作。前作の『ローグ・ネイション』は自分の中でかなり高評価だったし、予告編を見ると面白そうだったのでそれなりにワクワクしながら行ったのだが、なんと、予想をはるかに上回る出来。すっげえ面白かった。興奮度でいえばこれまでで一番じゃな . . . 本文を読む

日本文学100年の名作第10巻 2004-2013 バタフライ和文タイプ事務所

2018-07-28 18:47:00 | 
『日本文学100年の名作第10巻 2004-2013 バタフライ和文タイプ事務所』 池内紀/松田哲夫/川本三郎・編集   ☆☆☆☆☆  『公然の秘密』『薄情くじら』に続いてシリーズ最終巻、もっとも直近の傑作集である『バタフライ和文タイプ事務所』を読了。収録作は小川洋子「バタフライ和文タイプ事務所」、桐野夏生「アンボス・ムンドス」、吉田修一「風来温泉」、伊集院静「朝顔」、恩田陸「かたつむり注意報」 . . . 本文を読む

オン・ザ・ミルキー・ロード

2018-07-25 22:32:09 | 映画
『オン・ザ・ミルキー・ロード』 エミール・クストリッツァ監督   ☆☆☆☆  『アンダーグラウンド』のエミール・クストリッツァ監督の最新作を日本版ブルーレイで鑑賞。戦争中の国でミルク配達をするコスタが他人の花嫁を奪って逃げる話だが、主人公のコスタを演じるのはなんとクストリッツァ監督自身。名前のない花嫁はモニカ・ベルッチである。いきなりどかんどかんと爆撃される戦争中の村の描写で始まり、爆発の間を縫 . . . 本文を読む

あるノルウェーの大工の日記

2018-07-22 20:44:16 | 
『あるノルウェーの大工の日記』 オーレ・トシュテンセン   ☆☆☆★  タイトルそのまんまの、ノルウェーの大工さんの日記である。小説ではなく、本当に大工さんが書いている。一体どういうわけで大工さんの日記がこんな形で出版されたのかにも興味をそそられるが、その説明はどこにもなかった。  大工さんといっても色々あるが、この人は個人で働いているフリーランスの大工さんである。個人といっても業界内のつなが . . . 本文を読む

ワンダフルライフ(その2)

2018-07-19 21:54:58 | 映画
(前回からの続き)  ところでこの映画には是枝監督が意図的に放り込んだ問題提起がいくつかあり、一つは自分の記憶を捏造する女性、一つはビデオを見て「大切な記憶」を探す渡辺氏、そしてもう一つは記憶を選ばないことを選択する伊勢谷君である。伊勢谷君は一つだけ記憶を選ぶなんてしたくないといって選択を拒むフリーターだが、これは映画自らの設定に対する内なる批判となっている。ところがネットにはこれをそのままこの . . . 本文を読む

ワンダフルライフ(その1)

2018-07-17 22:05:33 | 映画
『ワンダフルライフ』 是枝裕和監督   ☆☆☆☆☆  最近パルムドール効果で是枝監督の初期タイトルが軒並みブルーレイ化されたので、待ってましたとばかりに『幻の光』『ワンダフルライフ』『DISTANCE』の3タイトルを買い込んだ。『幻の光』なんてあれほどの傑作なのに、四辺に黒い帯が出て発色も良くない英語版DVDしかなく、フラストレーションがたまっていたのである。ブルーレイ化された『幻の光』は、期待 . . . 本文を読む

墓地を見おろす家

2018-07-14 09:32:26 | 
『墓地を見おろす家』 小池真理子   ☆☆☆  小池真理子初期のホラー小説を読了。私はグロい系のスプラッタ小説は駄目だが、初期のスティーヴン・キングみたいなモダンホラーは大好きで、時々無性に読みたくなる。しかしキングは今や昔の輝きを失い、日本の大御所・貴志祐介も最近は違う方向だ。高品質なホラー小説というのはなかなか難しい。そういうわけで、小池真理子の初期作品に手を伸ばしてみた。表紙のイラストが初 . . . 本文を読む

Steps Ahead

2018-07-11 23:30:17 | 音楽
『Steps Ahead』 Steps Ahead   ☆☆☆☆☆  今日は久しぶりに、私が好きなジャズ/フュージョンのCDを一枚紹介しようと思う。ステップス・アヘッドである。ステップスと言えば(ちなみに初期のバンド名はステップスだったが、商標問題か何かで本作からステップス・アヘッドに変わっている)六本木ピットインのライヴ盤が有名で、ヴィブラフォン奏者のマイク・マクニエリがリーダー、メンバーには . . . 本文を読む

日本文学100年の名作第8巻1984-1993 薄情くじら

2018-07-08 09:50:30 | 
『日本文学100年の名作第8巻1984-1993 薄情くじら』 池内紀/松田哲夫/川本三郎・編集   ☆☆☆☆☆  『公然の秘密』に続き、こちらは第8巻、80年代から90年代にかけての名作集である。収録作品は、深沢七郎「極楽まくらおとし図」、佐藤泰志「美しい夏」、高井有一「半日の放浪」、田辺聖子「薄情くじら」、隆慶一郎「慶安御前試合」、宮本輝「力道山の弟」、尾辻克彦「出口」、開高健「掌のなかの海 . . . 本文を読む

アウトレイジ最終章

2018-07-05 22:22:03 | 映画
『アウトレイジ最終章』 北野武監督   ☆☆☆  日本版ブルーレイで鑑賞。うーん、結局こうなってしまったか。前作『アウトレイジ・ビヨンド』はかなり楽しめたので今回も期待したが、残念ながら期待値には届かなかった。予告編で「花菱vs韓国フィクサー」とあったので、おおついに花菱組とチャン会長の激突か、一大抗争勃発キター!と思ったのだが、観てみると全然違った。確かに大友(ビートたけし)はチャン会長に庇護 . . . 本文を読む