『マッチ工場の少女』 アキ・カウリスマキ監督 ☆☆☆☆
もはや辛抱たまらず、カウリスマキ・ブルーレイボックスの第一巻も買ってしまった。DVDでほとんど持っているからと思って我慢していたが、やはりブルーレイで観たいとの誘惑に勝てない。おまけに、私が持っているレターサイズの日本版DVDは画面の周りに黒い枠が出るやつで、画面が小さくてフラストレーションがたまる。やはり大画面で観たい。
という . . . 本文を読む
イエスUSAツアー・アルバムシリーズ「ドラマ&海洋地形学の物語」 イエス ☆☆☆☆
8月10日、家の近所のコンサートホールにイエスが来たので観てきた。車で10分の場所なので本当にありがたい。
さて、イエスといってもラインアップはスティーヴ・ハウ、ジェフ・ダウンズ、ジョン・デイヴィソン、ビリー・シャーウッド、ジェイ・シェレンの五人である。ジェイ・シェレンというのは体調が悪いらしいアラン・ . . . 本文を読む
『沈黙』 遠藤周作 ☆☆☆☆
傑作と言われる、遠藤周作の『沈黙』を読んでみた。ご存知のように遠藤周作はクリスチャンで、この小説もキリスト教がテーマになっている。タイトルの「沈黙」とは、神の沈黙を意味する。神の沈黙とは何か。いくら信者が祈っても救いを求めても神は姿を見せることもメッセージを送ることもなく、ただ沈黙を続けるということである。
そんなの当たり前じゃないか、という人がいるかも知 . . . 本文を読む
『薔薇の名前』 ジャン・ジャック・アノー監督 ☆☆☆☆
所有していたDVDを英語版ブルーレイに買い替えて再見した。きめ細かく再現された中世の陰鬱な映像美をブルーレイで満喫したいと思ったからで、最初はちょっと画面が暗いかなと思ったが、結果的にはまあまあ満足できた。
中世の重苦しい宗教的ムードと図書館・書物フェチとミステリが融合した面白さは原作と同じである。ストーリーは原作から多少エンタメ . . . 本文を読む
『魔法の夜』 スティーヴン・ミルハウザー ☆☆☆
ミルハウザーの新刊を読了。短篇集でもなく、かといって長篇でもなく、さらっと読める中篇である。タイトル通り、アメリカのある町の魔法のような夜を幻想的に描き出したもので、人形が動き出したり、青年がマネキンに恋をしたり、作家が年上の女性と親密な会話を交わしたり、少女が家出をしたりする。ファンならばいかにもミルハウザーらしい意匠の数々だなと納得でき . . . 本文を読む
『まぼろし』 フランソワ・オゾン監督 ☆☆☆☆☆
『45 years』に続いてシャーロット・ランブリングの映画をもうひとつ。これも甲乙つけがたい傑作だ。フランソワ・オゾン監督は以前『スイミング・プール』を観てまあまあだと思ったが、この『まぼろし』の方が良かった。調べてみると『まぼろし』の方が古い作品である。いずれも謎めいた映画というところが似ている。
本作のシャーロット・ランブリングは . . . 本文を読む
『ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣』 本多猪四郎監督 ☆☆
日本版DVDで鑑賞。1970年の特撮映画である。本多猪四郎監督で音楽も伊福部さんだが、ゴジラは出てこない。マイナー怪獣の集いである。ゲゾラ・ガニメ・カメーバはその後の昭和ゴジラや平成ゴジラでもほぼ再利用されたことがなく、唯一カメーバが『ファイナル・ウォーズ』にちらっと出てきた程度だ。が、ゴジラやモスラという既成のメジャ . . . 本文を読む
『七つの会議』 池井戸潤 ☆☆☆☆★
再読。会社の不正、隠蔽といういつもの池井戸潤のパターンであり、読み応え読後感ともにいつも通りなわけだが、『空飛ぶタイヤ』や『下町ロケット』のようなストレートな長編と比べると構成に凝っているのが特徴だ。八話からなる連作短篇形式で、同じ会社の同じ問題が題材になっているものの、それぞれのエピソードで主役となる人物が交代し、異なる視点から事件が描かれる仕組みに . . . 本文を読む
『カラマリ・ユニオン』 アキ・カウリスマキ監督 ☆☆☆☆
カウリスマキ・ブルーレイ・ボックスで『カラマリ・ユニオン』を初鑑賞。カウリスマキ監督二作目のフィルムである。それほど評価が高くないようだし、初期の習作だろうと思って観るのを後回しにしていたが、これが実に侮れない面白さだった。カウリスマキが好き勝手にやっている感じがビンビンに伝わってくる。全篇モノクロのスタイリッシュ映像で、ゴダールの . . . 本文を読む
『白熱』 ラオール・ウォルシュ監督 ☆☆☆☆☆
『死の谷』が面白かったウォルシュ監督の『白熱』を、英語版DVDで鑑賞。モノクロ映画である。原題は何だろうと思ったら「White Heat」で、「白熱」そのまんまだった。『死の谷』と違って西部劇ではなく、ギャング一味の悪行を描くノワールもの、もしくはピカレスクものである。主演はジェームズ・キャグニー。
有名なので名前だけは昔から知っていたジ . . . 本文を読む