『夜明けのロボット』 アイザック・アシモフ ☆☆☆☆
久びさに再読。アシモフの小説世界の中核をなす作品群としてはファウンデーション・シリーズとロボット・シリーズの二つがあるが、本書はロボットものの一つであり、地球人イライジャ・ベイリとヒューマンフォーム・ロボットのダニール・オリヴォーのコンビが活躍するシリーズの三作目である。最初から言うと『鋼鉄都市』『はだかの太陽』そして『夜明けのロボット . . . 本文を読む
『黒い美術館』 アンドレ・ピエール・ド マンディアルグ ☆☆☆☆☆
マンディアルグの短篇集を再読。これは第一短篇集だが日本語の訳本としては『狼の太陽』『熾火』に続く第三弾のようで、訳者の生田耕作が後記で「しめくくりの意味も兼ねて……他の諸集から折り紙つきの名作を二篇拾い集め、『マンディアルグ傑作集』とでも名づくべき一冊を編んでみた」と書いている。追加された二篇というのは『サビーヌ』と『満潮 . . . 本文を読む
『ディキシー・チキン』 リトル・フィート ☆☆☆☆☆
昔からプログレ好きだった私はウェスト・コースト・ロックというものにずっと興味がなく、なんとなく聴き始めたのはわりと最近のことだ。もちろんカーペンターズやイーグルスは知っていたが「軽いね」「ポップだね」と完全になめていた。やがて転がり落ちるようにスティーリー・ダンにはまるが、これはウェスト・コースト・ロックとしては例外だと思っていた。そん . . . 本文を読む
『エリアーデ幻想小説全集 第1巻』 ミルチャ・エリアーデ ☆☆☆☆★
久しぶりにエリアーデを再読。ところでこの本をアマゾンで検索したらすでに「お取り扱いできません」になっている。やっぱりこの手の本は絶版になるのが早い。買っておいてよかった。これは第1巻なので初期の幻想小説が年代順に収められている。収録作品は以下の通り。
令嬢クリスティナ
蛇
ホーニヒベルガー博士の秘密
セランポー . . . 本文を読む
『簪』 清水宏監督 ☆☆☆☆☆
故あって4日間、まったくネット接続ができない環境にいた。やはりこれはつらい。とりあえず復活できたのでホッとした。
さて、清水宏、という監督の名前は最近まで知らなかったが、あの小津や溝口が天才と呼んだ映画監督らしい。例の草なぎ剛が主演した『山のあなた 徳市の恋』という映画のオリジナル『按摩と女』を撮った人である。最近この人の作品が続々とDVD化されているみ . . . 本文を読む
『IT(上・下)』 スティーヴン・キング ☆☆★
再読。この『IT』はスティーヴン・キングの代表作とも言われる作品で、最高傑作という人も多いようだ。日本で翻訳が出版された時は「豊穣としかいいようのない物語」なんて感じで絶賛する書評をよく見かけたものだ。当時キングにはまり、『デッドゾーン』や『ファイアスターター』、『シャイニング』、『クージョ』など読みまくっていた私は、期待に胸ふくらませてぶ . . . 本文を読む
『ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃』 金子修介監督 ☆☆☆☆
所有しているDVDで再見。これは平成ガメラ・シリーズで怪獣映画に活を入れた金子監督が、ついにご本尊ゴジラを手がけた記念すべき作品であり、平成ゴジラの息もたえだえの貧弱さ(とハリウッド製ゴジラのショボさ)にうんざりしていたゴジラ・ファンを狂喜乱舞させたものである。
確かに良く出来ている。平成ガメラ・シリーズの長所はこの . . . 本文を読む
『黒い犬』 イアン・マキューアン ☆☆☆
マキューアンの古い作品を再読。確認したところ『愛の続き』より前、『時間の中の子供』より後の作品だったが、てっきり『時間の中の子供』より前だとばかり思っていた。内容的にもテクニック的にも今ひとつ生彩を欠くように思えるからだ。
小説は大きく四部に分かれているが、第四部までは正直言ってあまり面白くない。小説の設定としては語り手の「私」が義理の父と母の . . . 本文を読む
『ターミネーター』 ジェームズ・キャメロン監督 ☆☆☆☆
ご存知、『ターミネーター』。久しぶりに観たくなってDVDを買ってきた。やっぱり面白い。SFアクションものとしては最高峰だろう。
まず、設定がシンプルなのがいい。不死身のサイボーグがひたすら、どこまでも、何がなんでも追って来て殺そうとする。それだけ。このサイボーグ、基本的に雑な性格で、人が大勢いようが警官がいようが気にしないでどん . . . 本文を読む
『リカルド・レイスの死の年』 ジョゼ・サラマーゴ ☆☆☆★
昔斜め読みした『リカルド・レイスの死の年』を、今度はじっくりと再読。リカルド・レイスというのはポルトガルの詩人フェルナンド・ペソアの異名の一つで、この小説はタイトル通りそのリカルド・レイスが主人公である。舞台はリスボンで、フェルナンド・ペソア本人も出てくる。という設定はなんとなくアントニオ・タブッキを思わせるが、私が本書を興味を惹 . . . 本文を読む