『黒い画集 - あるサラリーマンの証言』 堀川弘通監督 ☆☆☆★
松本清張もののDVDを購入。以前は入手できなかったタイトルが最近生誕100周年記念ということで続々DVD化されている。ありがたいことだ。
この作品の原作は短篇で、私も読んだことがある。あるサラリーマンが愛人宅のそばで知人とばったり会い、その知人が後日殺人容疑で告発されるが不倫を公にしたくないために「会ってない」と嘘をつく . . . 本文を読む
『ジーザス・サン』 デニス・ジョンソン ☆☆☆☆★
村上春樹編集の『バースデイ』に収録されていた短篇『ダンダン』を書いた作家、デニス・ジョンソンの短編集である。訳は柴田元幸。『ダンダン』のあの思い切りの良さと八方破れな感じが強烈だったので買ってみた。こういう場合他の作品をまとめて読んでみると印象が違う、ということもあるが、この人の場合はまったく一緒だった。まさにあの『ダンダン』の世界である . . . 本文を読む
『お熱いのがお好き』 ビリー・ワイルダー監督 ☆☆☆
安売りしていた英語版DVDを買って来て鑑賞。実はマリリン・モンロー出演作品を見るのはこれが初めてである。出演は他にジャック・レモンとトニー・カーティス、監督はビリー・ワイルダー。傑作と聞いて期待していたのだが、残念ながらイマイチだった。期待し過ぎたかな。
女装ものである。ジャック・レモンとトニー・カーティスがギャングに追われ、女だけ . . . 本文を読む
『死の方程式』 ☆★
刑事コロンボ八つ目のエピソード。うーん、久しぶりに観てみたが、全然見るべきものがない。旧シリーズ中ワースト1、2を争う作品だと思う。いいところがあるとしたらまあ、初期コロンボっぽい洒落た音楽と雰囲気ぐらいだ。とにかく脚本が雑で、コロンボの推理がほとんどない。なんでも短時間で急遽でっちあげられたエピソードで、脚本を練る時間が充分なかったらしい。いけませんなあ。『刑事コロンボ . . . 本文を読む
『最終目的地』 ピーター・キャメロン ☆☆☆☆
新潮クレスト・ブックスの一冊、『最終目的地』を読了。ピーター・キャメロンという作家さんの小説を読んだのは初めてだ。アメリカのニュージャージー州生まれ(私が住んでいるところである)で、少年時代をイギリスで過ごしたらしい。この『最終目的地』というタイトルもなかなかつかみどころがなくて、悪くない。扉をめくると、まず目に入るのはウィリアム・ジャーハー . . . 本文を読む
『彼岸花』 小津安二郎監督 ☆☆☆☆☆
これも『Eclipse Series 3 LATE OZU』に収録されている一本で、『秋日和』と同じく佐分利信のえらさを腹の底から堪能できる映画である。当然ながら傑作だ。
主演は佐分利信だが、他人の嫁入り話ということで終始余裕を見せていた『秋日和』と違い、今回は自分の娘の嫁入り話なので怒ったり動揺したり、当事者としての感情の揺れが激しい。田中絹代 . . . 本文を読む
『世紀の発見』 磯崎憲一郎 ☆☆☆★
『終の住処』がわりと面白かった磯崎憲一郎の小説をもう一冊入手。短編集かと思ったらそうではなくて、長い『世紀の発見』と短い『絵画』の二篇が収録されている。『終の住処』と同じ構成だ。
『世紀の発見』は主人公「彼」の幼少の頃の思い出や両親のこと、それから成長してナイジェリアに派遣され、帰国して子供ができるなどという人生のあれこれが語られる。平凡な人生につ . . . 本文を読む
『天城越え』 三村晴彦監督 ☆☆☆
またまた松本清張原作映画を観たくなって、DVDを入手した。田中裕子主演というのも惹かれた理由の一つ。ただし監督は野村芳太郎ではない。観終わった感想としては、少年期のやましい記憶とエロティシズムがテーマになっているという点では私の好きな『影の車』に通じるものがあって、甘い音楽もなかなかいい感じなのだが、全体の出来としては『影の車』や『疑惑』からはかなり落ち . . . 本文を読む
『クレモニエール事件』 アンリ・トロワイヤ ☆☆☆☆☆
『サトラップの息子』がとても良かったので、再びトロワイヤ本を入手。もう一冊『石、紙、鋏』というのもあるが、これはAmazonで取り寄せに時間がかかるようなので見送った。米国在住の私としては、なるべくまとめて発送してもらわないと発送料がかさんでしまうのである。
さて、本書も期待にたがわぬ面白さだった。才走ったとか荒唐無稽とかいうので . . . 本文を読む
『必殺渡し人』 ☆☆☆
DVDボックスを購入して鑑賞。これまで一度も観たことがないシリーズである。放映の順番でいうと『必殺仕事人Ⅲ』と『必殺仕事人Ⅳ』の間だそうで、要するに秀、勇次を加えた主水シリーズが茶の間にブレークして人気絶頂だった頃その影に隠れるようにしてひっそり作られた、というわけでもないだろうが、まあ目立たなかったシリーズということになる。
必殺の実行部隊は惣太(中村雅俊)、 . . . 本文を読む