アブソリュート・エゴ・レビュー

書籍、映画、音楽、その他もろもろの極私的レビュー。未見の人の参考になればいいなあ。

In Motion

2006-06-29 21:19:02 | 音楽
『In Motion』 Copeland   ☆☆☆☆☆  評判が良さそうなのでヴァージン・メガストアで買ってきた。こういうのを「エモ」というらしいが、その手のロックをあまり聴かないので良く分からない。エモはエモーションの略で、エモーショナルなヴォーカルやギターが特徴のロック、ってことらしい。もともとロックやポップスはほとんどエモーションがテーマなのに、ことさらにエモーショナルなどといわれると、 . . . 本文を読む

超男性

2006-06-27 21:16:44 | 
『超男性』 アルフレッド・ジャリ   ☆☆☆☆☆  白水Uブックス、澁澤龍彦訳である。昔買ってもう何度読み返したか分からないが、何度読んでも面白く、シュルレアリスムの良さを堪能できる。  ジャリは私の中ではボリス・ヴィアンと非常に近いところにいる作家で、ほぼ同時代の作家みたいなイメージがあったし、そもそもジャリはシュルレアリスムど真ん中ストライクの作家だと思っていたのだが、年代をチェックすると . . . 本文を読む

Somewhere in Time

2006-06-25 16:45:52 | 映画
『Somewhere in Time』 Jeannot Szwarc監督   ☆☆☆★  スーパーマンことクリストファー・リーヴ主演のロマンティック・ファンタジー映画。邦題は『ある日どこかで』。時を越えて結ばれようとする男女の物語である。  正直、この映画に点数をつけるのは難しい。決して傑作とは言いがたい。はっきり言ってメロドラマである。脚本、演出ともにあまり垢抜けない。物語上重要なポイントで . . . 本文を読む

これから話す物語

2006-06-24 12:59:44 | 
『これから話す物語』 セース・ノーテボーム   ☆☆☆☆☆  もう何度も読んでいる本だが、また読みたくなって再読。内容がいいのはもちろんだが長さも手ごろなので、絶好の再読本である。  まず、発想と小説的仕掛けの見事さにしびれる。主人公ミュセルトが目を覚ますと、昨日までアムステルダムにいたはずなのにリスボンのホテルに寝ている。果たして自分は生きているのか、死んでいるのか。ここから始まるミステリア . . . 本文を読む

Give Up

2006-06-23 11:35:01 | 音楽
『Give Up』 The Postal Service   ☆☆☆  ネットのあちこちで結構評価が高いようのでしばらく前に買ったCD。中には大傑作といってる人もいる。そんなにいいのかと期待して買ったが、私的には大したことはなかった。淡白なエレクトロ・ポップで、エレクトロニカではない。わざとだろうが、妙にレトロでキッチュなリズムトラックの上に、小奇麗で薄いエレクトロニクスがかぶさっている。ヴォー . . . 本文を読む

壬生義士伝

2006-06-22 21:45:25 | 
『壬生義士伝(上・下)』 浅田次郎   ☆☆☆☆★  友人から借りて読了。面白かった。映画は観たことあったが、やっぱり本の方が面白い。  映画では、主に佐藤浩市演じる斉藤一の語りで吉村貫一郎が描かれていたが、原作では色んな人のインタビュー形式になっていて、より多面的だ。インタビューの時点ではもう明治になっていて、時代劇というより現代的なムードなので、そういう人達が新撰組の思い出を語るというスタ . . . 本文を読む

Kind of Blue

2006-06-21 22:41:05 | 音楽
『Kind of Blue』 Miles Davis   ☆☆☆☆☆  マイルスのアルバムを全部聴いたわけじゃないが、とりあえず私が聴いた中で最高傑作はどれかと言われれば多分これを上げると思う。セールス的にも大成功したアルバムだが、それも納得の素晴らしい作品である。ジャズマニアの中には「大したアルバムじゃない、最高の演奏じゃない」なんてひねくれ者もいるようだが、無視することにする。いわゆるポピュ . . . 本文を読む

Mission Impossible

2006-06-20 22:26:19 | 映画
『Mission Impossible』 Brian De Palma監督   ☆☆☆☆★  最初のMission Impossibleである。先日映画館でIIIを観たが、友人がIが一番面白いというのでDVDを借りてきて観た。なるほど、確かにIIよりIIIより面白かった。というより、ほとんど別のジャンルの映画だった。  IIはとにかく体力勝負のアクション映画だったので、Iも同じような映画だろう . . . 本文を読む

センチメンタルな殺し屋

2006-06-18 09:47:54 | 
『センチメンタルな殺し屋』 ルイス・セプルベダ   ☆☆☆☆  チリの作家、ルイス・セプルベダの中篇集。『センチメンタルな殺し屋』『ヤカレー』の二篇が収録されている。  傑作『ラブ・ストーリーを読む老人』がラテンアメリカ文学らしく密林を舞台にしたものだったのに対し、本書の二篇では都会が舞台になっていて、ハードボイルド調である。だいぶ雰囲気が違う。ブラジルから自然の復讐者がイタリアにやってくる『 . . . 本文を読む

夢幻会社

2006-06-17 14:31:39 | 
『夢幻会社』 J.G.バラード   ☆☆☆  訳者ははあとがきで本書をべた褒めし、「本書ほど底知れぬ奥深さを秘めた作品はめったにありません」「バラードの最高傑作であり、20世紀文学の中でも最良のひとつであることはまちがいありません」とまで書いている。増田まもるという人だが、残念ながら私はそれほど良いとは思わなかった。しかし、かなり好みが分かれる本であるという気はする。  基本的に、非常にシュー . . . 本文を読む