『The Brave One』 Neil Jordan監督 ☆☆☆
DVDを買ってきて鑑賞。あまり予備知識はなく、ジョディ・フォスターが婚約者を殺されて復讐鬼となる、という話を聞いて派手なドンパチがあるガン・アクションものを期待したのだが、実際はかなりシリアスで重い映画だった。舞台はニューヨーク。ジョディ・フォスターと刑事役のテレンス・ハワードがいい演技をしている。微妙な感情の襞や、二 . . . 本文を読む
『Jaco Pastorius』 Jaco Pastorius ☆☆☆☆☆
フレットレス・ベースの神、ジャコ・パストリアス問答無用のファースト・ソロ・アルバムである。もう何も言うことはない。あらゆるベーシスト必聴の名盤である。ところが私は若かりし頃これを聴いて、「なんか地味だな」と思って拍子抜けした記憶がある。そしてその後長いこと聴き返すこともなかった。ああ若かったよ、若かった。
馬鹿 . . . 本文を読む
『けものみち』 松本清張 ☆☆★
松本清張ピカレスクもの第三弾、『けものみち』を読了。これで『わるいやつら』『黒革の手帖』『けものみち』と来たわけだが、おおまかな話の流れは似ているもののそれぞれ違う雰囲気で読ませるのはさすが巨匠である。焼き直しになっていない。
さて、『けものみち』だが、ストレートに話が展開した『わるいやつら』『黒革の手帖』と違ってなかなか先が読めない。主人公の民子は確 . . . 本文を読む
『Focus』 井坂聡監督 ☆☆
レンタルDVDで鑑賞。浅野忠信の演技がすごいと聞いて観たのだが、あんまり面白くなかった。ちょっとカルト系である。
浅野忠信の演技は確かになかなかいい。ただこの映画の後半で彼が披露するようなキレる演技=狂気的な演技は、インパクトはあるけれども実はさほどの演技力は要求されないような気もする。それよりも前半から中盤にかけての素人っぽいナチュラルな演技の方がす . . . 本文を読む
『The Stranger』 Billy Joel ☆☆☆☆☆
ご存知ビリー・ジョエルの出世作『ストレンジャー』。30周年記念盤が出たということで買ってみた。『ストレンジャー』発表直前のライブ音源が付いている。
アルバムは文句なく良い。『ムーヴィン・アウト』『ストレンジャー』『素顔のままで』『イタリアン・レストランで』『ウィーン』『シーズ・オールウェイズ・ア・ウーマン』など名曲のつるべ . . . 本文を読む
『黒革の手帖(上・下)』 松本清張 ☆☆☆★
またしても松本清張。私はどうやら清張の本格ミステリよりピカレスクものが好きだと分かったので、とりあえずその手のものを制覇してみることにする。
これは米倉涼子主演でテレビドラマ化されているがそっちは観たことがない。銀行員をやっていた女が金を横領して銀行を辞め、銀座にバーを開く。そしてその後も男達の弱みにつけこんで金をせしめ、のし上がっていく。 . . . 本文を読む
『The Mist』 Frank Darabont監督 ☆☆☆☆
ホラー映画である。原作、スティーヴン・キング。監督、フランク・ダラボン。このダラボン監督は『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』を撮った人で、キング映画化御用達監督ともいわれている。よっぽど好きなんだろう。本作でも冒頭で主人公デイヴィッドが描いている映画ポスターがキングの『暗黒の塔』シリーズだったり、キング・マニアっぷ . . . 本文を読む
『不死の人』 ホルヘ・ルイス・ボルヘス ☆☆☆☆☆
ボルヘスといえば『伝奇集』が有名だが、この『不死の人』もそれに劣らず素晴らしい。『不死の人』で始まり『アレフ』に終わるという、強力な二傑作にサンドイッチされた体裁の短編集である。全体の印象としては『伝奇集』よりも物語性が強い。どの短篇にも何かしらのストーリーがある。
篠田一士が『二十世紀の十大小説』の中でボルヘスの『伝奇集』を取り上げ . . . 本文を読む
『帰ってきたウルトラマン VOL.1』 ☆☆☆
私は実は『帰ってきたウルトラマン』のDVD vol.1とvol.9を所有している。Vol.9は、知ってる人はピンとくるだろうが名作『怪獣使いと少年』が収録されているディスクである。
というわけで久し振りにvol.1を観てみたが、やはり独特のカラーがあるシリーズである。最初の『ウルトラマン』は『ウルトラQ』から継承した怪奇性があり、次の『ウルト . . . 本文を読む
『鬼畜』 松本清張 ☆☆☆☆
またまた松本清張。これは短編集だ。映画化作品集と銘打たれていて、要するに映画化された短篇ばかりを集めたもの。収録作品は以下の通り。
「潜在光景」
「顔」
「鬼畜」
「寒流」
「共犯者」
『寒流』と『共犯者』は既読だった。『潜在光景』は前にレビューを書いた『影の車』の原作。『影の車』はいい映画だったので原作がどんなものか興味津々だったが、かなりあっさりした . . . 本文を読む