『狂気』 ピンク・フロイド ☆☆☆☆☆
やはりピンク・フロイドの代表作といえばこれしかない、『狂気』。ダークサイド・オブ・ザ・ムーン。いわずと知れた、ロック史上に燦然と輝く名作である。
このアルバムはロングセラーのギネス記録を持っていて、おそらく、かつてもっとも売れたロック・アルバムなんだろう。私も10代の頃から、別にピンク・フロイドのファンでもなかったにもかかわらずこのアルバムだけは . . . 本文を読む
『道化師の蝶』 円城塔 ☆☆☆☆
芥川賞受賞作品を読了。
難解という評判だったので、読むのに骨が折れるややこしい仕掛けの実験小説かと思ったらそうでもない。とりたててプロットに依存しない、語りの対象が一見ランダムにあっちに行ったりこっちに来たりするという、柔らかい構造の小説だった。言葉、物語、読むという行為、などをモチーフにイメージを膨らませ、連環させていくテキストの連なりである。従って . . . 本文を読む
『細雪』 市川崑監督 ☆☆☆★
市川崑監督の代表作ともいわれる名画を初見。いわゆる文芸大作である。もちろん原作は谷崎潤一郎、あの源氏物語の優美な世界を現代に蘇らせたとも言われる名作、「細雪」である。などと偉そうに言う私は未読。
大体においてこういう文芸大作といわれるものに私はあまり興味がなく、この映画も完全にスルーしていたのだが、これこそあらゆる映画の中でもっとも美しい映画です、などと . . . 本文を読む
『ルイユから遠くはなれて』 レーモン・クノー ☆☆☆★
レーモン・クノーという作家はフランスのシュルレアリスムということで、ヴィアンやジャリの近いところにいるイメージがあるのだが、これまであまり読んだことがない。短編集『あなたまかせのお話』ぐらいだ。その時の印象はとにかく自由で軽やかだなというもので、既成概念にとらわれないテキストは風通しがよくて心地よかったものの、それ以上刺さってくるもの . . . 本文を読む
『蒼い序曲』 スーパートランプ ☆☆☆☆
スーパートランプの5枚目である。あの大ヒット作『Breakfast In America』の前作であり、プログレッシヴ・ロックの傑作『Crime Of The Century』の次の次ということになる。
とはいえ、雰囲気は他のどのアルバムとも違う。このムードを一言で言い表わすならば、寂寥感、だろうか。少なくとも私にとって、このアルバムの佇まいは . . . 本文を読む
『「もののけ姫」はこうして生まれた。』 ☆☆☆☆
これはもちろん映画ではなくてノンフィクションなのだが、面倒なので「映画」カテゴリーに入れてしまうことにする。タイトル通り、宮崎駿監督とジブリの人々がいかに『もののけ姫』を創り、世に出したかというドキュメンタリーだ。本編だけで6時間。長い。非常に詳細である。前々から宮崎駿という人の創作手法や方法論、またアニメ作品をめぐる哲学には興味があったが . . . 本文を読む
『カーテン』 アガサ・クリスティー ☆☆☆
クリスティーの『カーテン』を読了。これは確か大昔に英語のペーパーバックで読んだことがある。ミステリ・ファンで知らない人はいないだろうが、これはエルキュール・ポアロ最後の事件である。
ただ最後の事件というだけではなく、本書ではポアロの死が描かれている。しかもただ死ぬだけではなく、本書に登場するポアロはもう瀕死の病人であり、かつ無残な老醜をさらし . . . 本文を読む
『麻雀放浪記』 和田誠監督 ☆☆☆☆☆
日本版DVDを入手して鑑賞。初見である。傑作であるとは昔から聞いて知っていた。が、私は麻雀をやらない。ルールもさっぱり分からない。ツモだのドラだの奇妙な用語はまったく理解不能だ。だから観るのを躊躇していたのだが、ずっと気になっていたので思い切ってDVDの購入に至った。そしたらもう、大正解。メッチャ面白いやん。もし私と同じ理由でこの映画を敬遠している人が . . . 本文を読む
『Zの悲劇』 エラリイ・クイーン ☆☆☆
ご存知「悲劇」四部作の三作目、『Zの悲劇』を再読。
『Xの悲劇』『Yの悲劇』がいずれもミステリ史上に燦然と輝く傑作であるのに対し、続く『Zの悲劇』『レーン最後の事件』は今ひとつ評価がぱっとしない。実際、読み応えという点ではかなり劣る。「X」「Y」がすご過ぎるということももちろんあるが、その他見劣りしてしまう要因としては次のようなことがあると思う . . . 本文を読む
『UITIMATE』 PINK ☆☆☆☆☆
これは珍しいものが出た、とさっそくAmazonで購入。買えるうちに買っとかないと、すぐに廃盤になってしまうに違いない。PINKの新たなベスト盤である。
PINKって誰? という人も最近のロック・ファンには多いだろう。このベスト盤の価値が分かる人は意外と少ないはずだ。こういうのをこっそり買って舌鼓を打ち、悦に入るというのはなかなか快感である。日 . . . 本文を読む