『夜はやさし』 スコット・フィッツジェラルド ☆☆☆☆★
日系の書店に行ったら分厚い新刊が置いてあったのでつい購入。最近は村上春樹のおかげでフィッツジェラルドも大分盛り上がってきたようだ。
訳は村上春樹じゃないが解説を書いている。それによると、フィッツジェラルド・ファンには「質の高さは『グレート・ギャツビー』だが、個人的に心惹かれるのは『夜はやさし』かも知れない」という人が多く、村上春 . . . 本文を読む
『BOAS FESTAS』 小野リサ ☆☆☆☆☆
そして達郎に続いてもう一枚のお気に入りクリスマス・アルバム、小野リサの『BOAS FESTAS』。
ボサノヴァである。クリスマスにボサノヴァは似合わないという人もいるかも知れないが、これが結構オツなもので、そこに小野リサの美しいウィスパー・ヴォイスが乗るとなればもうぐうの音も出ない。嘘だと思ったらこのアルバムを聴いて欲しい。大体において . . . 本文を読む
『Season's Greetings』 山下達郎 ☆☆☆☆☆
メリークリスマス。
というわけで、クリスマス・アルバムを紹介したいと思う。私のお気に入りのクリスマス・アルバムは二枚あって、一枚は山下達郎の『Season's Greetings』、もう一枚は小野リサの『Boas Festas』である。二枚とも日本人アーティストの作品だが、この二枚の優美さ、深遠さに比肩できるクリスマス・ア . . . 本文を読む
『座頭市物語』 三隅研次監督 ☆☆☆☆☆
座頭市シリーズ第一作を米国版DVDで鑑賞。座頭市映画は数あれどやっぱりこれが最高傑作である。モノクロ映画だが、チャンバラ映画でありながらストイックで凛然たる気品に溢れた映像が実に美しい。夜のシーンも多いが、光と影のコントラストが見事でうっとりしてしまう。昔の日本家屋のたたずまいも良い。しかし私が購入したこのDVD、ワイドスクリーンではあるが画面の上 . . . 本文を読む
『Avalon』 Roxy Music ☆☆☆☆☆
ロキシー・ミュージック最後のアルバム。ブライアン・フェリーのダンディズムとヨーロッパ的美意識が極限に達したような桃源郷サウンドが詰まっており、ロック史上名盤の一枚に数えられている。
坂本龍一が渡辺香津美のアルバムをプロデュースした時、ジャズ的な方法論を打ち破り「少ない音数の中にある豊穣さ」を示唆するためにロキシーの曲をやらせた(そして . . . 本文を読む
『ナイトヴィジョン - スニーカー』 スティーヴン・キング他 ☆☆
本棚の奥に眠っていたのを発掘して読了。どういう経緯で入手したのか思い出せないが、自分で買った記憶はないので人からもらったのだろう。モダン・ホラーのアンソロジーである。
しかし、はっきり言って面白くない。このシリーズ米国では好評で7冊も出ているそうだが、信じがたい。収録されているのはスティーヴン・キング三篇、ダン・シモン . . . 本文を読む
『Scarlet Street』 Fritz Lang監督 ☆☆☆☆☆
再見。フリッツ・ラング1945年の作品、モノクロ、とても面白い。
クリスはひたすらまじめな銀行の出納係。勤続25年、女にもてたためしはなく、女房には尻に敷かれ、唯一の楽しみは休みに絵を描くこと。そんなクリスがふとしたことから小悪魔めいた若い女キティと知り合い、惹かれてしまう。キティにはろくでなしのジョニーという男が . . . 本文を読む
『Earthbound』 King Crimson ☆☆☆☆
キング・クリムゾン中期のライブ盤。カセット録音ということで非常に音質が悪く、長いことCD化もされていなかった。最近リマスターされて発売され、音質も多少は改善されたようだがもともと海賊盤みたいなものなので、クリムゾン初心者にはお薦めできない。ラインナップは『アイランズ』期クリムゾンで、ヴォーカルとベースがボズ、ドラムがイアン・ウォ . . . 本文を読む
『樹影譚』 丸谷才一 ☆☆☆☆☆
丸谷才一の短編集を読了。薄っぺらい本だが、読書の愉悦を堪能できる贅沢な書物である。収録されているのは『鈍感な青年』『樹影譚』『夢を買ひます』の三篇で、表題作である『樹影譚』がもっとも長く、もっとも出来がいい。しかしどれもが丸谷才一の悠々自在、かつ巧緻をきわめた達人芸の産物であるには違いなく、すれっからしの読書人を唸らせるに足りるものばかりだと思う。
こ . . . 本文を読む
『LIFE』 小沢健二 ☆☆☆☆☆
これもまたJ-POP史において欠かせない名盤である。J-POPと言っても小沢健二はソウル・ミュージックをはじめとする色んな洋楽を咀嚼し、完全に自分のものにしているので、決まったコード進行とはやりのサウンドで似たような曲を量産するいわゆるJ-POPの線の細さとは無縁だ。このアルバムを聴いても、それぞれの曲の背後に広がる豊穣なルーツ音楽の匂いがぷんぷんにおっ . . . 本文を読む