アブソリュート・エゴ・レビュー

書籍、映画、音楽、その他もろもろの極私的レビュー。未見の人の参考になればいいなあ。

必殺仕置人

2005-06-30 08:32:47 | 必殺シリーズ
『必殺仕置人』   ☆☆☆☆★  『必殺シリーズ』が好きである。  他の時代劇はあんまり見ない。『水戸黄門』やら『暴れん坊将軍』やらは観る気がしないのに、なぜか『必殺』だけは偏愛している。多くの必殺ファンと同じように、私も『必殺仕事人』から観始めたクチだが、初期の必殺はもっとすごいぞと風の噂に聞き、なんとか観たいとずっと念願し続けていた。しかしアメリカ在住の身では時代劇チャンネルなどというものの . . . 本文を読む

フランス幻想小説傑作集

2005-06-29 11:17:28 | 
『フランス幻想小説傑作集』 窪田般弥・滝田文彦 編   ☆☆☆☆☆  昨日読了。フランス人作家のアンソロジーとしては他に『フランス短篇傑作選』、『怪奇小説傑作集4』(澁澤龍彦・青柳瑞穂訳)を持っているが、どれもはずれがない。内容的にはなんとなく似たような感じではあるが、良いものは良い。本書も本当にレベルが高い。  今『独逸怪奇小説集成』というのもボチボチ読んでいて、これも幻想的な短篇アンソロジー . . . 本文を読む

クリスタルキング ベスト

2005-06-28 08:10:54 | 音楽
『クリスタルキング ベスト』 クリスタルキング   ☆☆  先日マンハッタンの旭屋書店に立ち寄った時、懐かしくなってつい買ってしまったクリキンのベストである。『大都会』と『蜃気楼』を聴きたくなって買った。他の曲はほとんど知らない。かなり懐かしかった。完全に懐メロを聴くおやじと化している。  しかし、言っちゃ悪いが何とも言えないB級感漂うバンドである。当然だがアレンジが当時の歌謡曲だ。全体通して . . . 本文を読む

マタイ受難曲

2005-06-27 10:36:54 | 音楽
『バッハ:マタイ受難曲』 ルドルフ・マウエルスベルガー ☆☆☆★  私はクラシックマニアではない。なので薀蓄は語れない。  バッハは好きで何枚か持っている。クラシックの作曲家では一番好きと言ってもいい。次点は今のところモーツァルトである。  昔、知り合いのクラシック好きで『マタイ受難曲』をほとんど神格化している人がいた。すべての音楽の最高峰であり、自分にとってこれ以上の音楽はこれから先も決 . . . 本文を読む

至福のとき

2005-06-26 13:12:06 | 
『至福のとき』 莫言   ☆☆☆  初めて読んだ。中国のマルケスと呼ばれている人らしい。  期待が大きかったせいか、チョイスが悪かったせいか、少々期待はずれだった。ポテンシャルは分かる。この人の長編に傑作があると言われれば理解できる。しかしこの中短篇集では本領発揮できていないのではないだろうか。  基本的に骨太の、奇想を繰り広げるタイプの作家のようだ。マルケスと共通点があるのは分かる。中国文学 . . . 本文を読む

PINK

2005-06-25 11:38:17 | 音楽
『PINK』 PINK   ☆☆☆☆  PINKのCDはほとんど廃盤になっているようだ。私は彼らの一枚目と二枚目を持っているが、たまに聴き返すととても良い。ほんと買ってて良かった。後期のCDを持っていないのは残念だが、この初期の二枚がやはり一番おいしいところだろう。しかし、時々Keep Your Viewがむしょうに聴きたくなるんだよな。『サイコ・デリシャス』に入っているんだけど。  どんな音 . . . 本文を読む

LOOPHOLE

2005-06-24 09:25:20 | 音楽
『LOOPHOLE』 Sketch Show   ☆☆☆☆☆  細野晴臣、高橋幸宏のプロジェクトSketch Showのアルバム。曲によっては坂本龍一もゲスト参加しており、メンツ的にYMOの再現となっている。しかしながら音は当然YMOとは全然違う。このメンツが昔と同じ音を出すわけがない。『BGM』の現代版のようだという人もいて、気持ちは分からないでもないが、やはりこれは別物だ。曲の骨格やメロディ . . . 本文を読む

沙羅双樹

2005-06-23 07:08:38 | 映画
『沙羅双樹』 河瀬直美監督   ☆☆☆☆  しゃらそうじゅ、と読む。『萌の朱雀』河瀬直美監督の現時点での最新作(2003年)、そして唯一DVD化されている作品。『萌の朱雀』がとにかく好きで、ビデオも持っている。何とかして他の作品も観たいとずーっと思っていたのでAmazonで見つけて即購入した。  期待通りというか、『萌の朱雀』と非常によく似た感触の映画だった。あえて言うなら、山奥の寒村を舞台にし . . . 本文を読む

楢山節考

2005-06-22 09:50:07 | 
『楢山節考』 深沢七郎   ☆☆☆☆☆  本日読了。いやあ、すごい小説だった。  この人は文章はなんというか、ちょっともっさりした、無骨な感じのする文章だ。妙に「…である」が多い。素朴な感じだけれども、底に虚無感が漂っているような凄みのある素朴さだ。  『月のアペニン山』でまず驚いた。夫婦の話だから、人情ものかなと思って読み進めていると、いきなりホラーになる。夜寝ていて電気をつけると、壁や天井 . . . 本文を読む