アブソリュート・エゴ・レビュー

書籍、映画、音楽、その他もろもろの極私的レビュー。未見の人の参考になればいいなあ。

特捜最前線 BEST SELECTION BOX Vol.1 (その1)

2008-05-31 14:28:07 | テレビ番組
『特捜最前線 BEST SELECTION BOX Vol.1』 ☆☆☆☆  最近、『特捜最前線』にはまっている。名作の誉れ高い刑事ドラマらしいが、私はリアルタイムどころか再放送でもまったく観たことがなく、どんな番組か全然知らなかった。大体刑事ドラマといえば『太陽にほえろ!』ぐらいしか観ておらず、『西部警察』も『大都会』も『あぶない刑事』も知らないのである。で、しばらく前に『特捜最前線』のDVD . . . 本文を読む

忘れられたスター

2008-05-29 20:21:14 | 刑事コロンボ
『忘れられたスター』   ☆☆☆☆  刑事コロンボ第32作目、そして第五シーズンのファースト・エピソードである。『ハッサン・サラーの反逆』のところでも書いたように、この第五シーズンではすべてのエピソードが「いつもと違うコロンボ」というコンセプトで制作された。この『忘れられたスター』の「いつもと違う」部分はもちろん、コロンボがついに最後まで犯人を逮捕しない、ということである。コロンボが犯人を逮捕で . . . 本文を読む

ベアト・アンジェリコの翼あるもの

2008-05-27 19:58:26 | 
『ベアト・アンジェリコの翼あるもの』 アントニオ・タブッキ   ☆☆☆☆☆  偏愛するタブッキの短編集を再読。最初に読んだ時はわけわからない作品が多いなという印象を受けたが、久々に読み返してみて私の中で評価が上がった。断片性を特徴とするタブッキの作品の中でも、特に断片性の強いものが多く収録されている。  表題作『ベアト・アンジェリコの翼あるもの』は、訳者があとがきで書いている通り、タブッキの数 . . . 本文を読む

12人の優しい日本人

2008-05-25 12:04:44 | 映画
『12人の優しい日本人』 中原俊監督   ☆☆☆★  『十二人の怒れる男』を観たらこれを観たくなり、再見。三谷幸喜脚本。設定は『十二人の怒れる男』とまったく同じ密室劇で、一見シンプルで明らかな事件の様相が議論によって二転三転していくというプロットも同じ。違いはこちらがコメディということと、全員無罪から出発してだんだん有罪派が増え、最後にまた無罪に戻って終わるという、オリジナルよりひねった構成にな . . . 本文を読む

十二人の怒れる男

2008-05-23 23:16:12 | 映画
『十二人の怒れる男』 シドニー・ルメット監督   ☆☆☆☆☆  DVDで再見。数限りなく観ているが何度観ても面白い。大傑作である。一種の変則的な法廷もので、陪審員が別室に入って出てくるまでを描いた密室劇。部屋の中で12人が議論しているだけ。なのにこれが滅法面白い。推理ドラマの面白さと、濃密な芝居による人間ドラマの面白さをたっぷり堪能できる。  最初はほぼ全員が「有罪に決まってるよね、チャッチャ . . . 本文を読む

カメラ

2008-05-21 19:43:16 | 
『カメラ』 ジャン=フィリップ トゥーサン   ☆☆☆☆  『ストレンジャー・ザン・パラダイス』を観たあとミニマリスム的な小説を読みたくなり、本棚で目に入った本書を再読。はっきり言って、内容はまったく覚えていなかった。ちなみに私はトゥーサンをフランス人作家だと思っていたが、実際はフランス在住のベルギー人だった。  訳者あとがきによれば、ロブ・グリエがこの本を現代の偉大な書物の一つに数えているら . . . 本文を読む

幻の光

2008-05-19 19:40:50 | 映画
『幻の光』 是枝裕和監督   ☆☆☆☆☆  是枝監督の劇場映画第一作。ヴェネチアで金のオゼッラ賞を取っている。アメリカ版DVDで再見したが、傑作だ。  まず、とにかく圧倒的な映像美。映し出されるのは日本的な風物ばかりだが、映像のニュアンスはヨーロッパ映画、特にビクトル・エリセを思わせる。実際是枝監督自身が、江角マキコと浅野忠信が工場のガラス窓越しに見つめあう場面はビクトル・エリセの『エル・スー . . . 本文を読む

第三の終章

2008-05-17 13:52:53 | 刑事コロンボ
『第三の終章』   ☆☆☆★  シリーズ第22作目。シリーズ第1作『構想の死角』の犯人役ジャック・キャシディ再登場である。しかも殺すのはまた作家。「もっとシリアスな作品を書きたい」と自分から離れていくのを保険をかけて殺す。『構想の死角』そのまんまだ。最後の詰めのシーン、コロンボのいる部屋に入っていく犯人を警官が見送る、という演出も同じで、似ているのではなく明らかにわざと似せてある。これもコロンボ . . . 本文を読む

ナイフ投げ師

2008-05-15 19:07:30 | 
『ナイフ投げ師』 スティーヴン・ミルハウザー   ☆☆☆☆☆  ミルハウザーの新刊をようやく入手。一時は諦めかけた。Amazonで発売のとたんに在庫切れになってしまうのは、あれは一体どういうことだろうか?   まあとにかく、入手できて良かった。12篇の短篇が収録されている。私の大好きな前作『三つの小さな王国』は濃厚な中篇集だったが、本書はまたバラエティ豊かで違った意味で濃厚なミルハウザーが味わ . . . 本文を読む

満ち汐のロマンス

2008-05-13 17:23:02 | 音楽
『満ち汐のロマンス』 EGO-WRAPPIN'   ☆☆☆☆☆  その後EGO-WRAPPIN'にはまっている。この人たちはマジで良いぞ。『色彩のブルース』を聴いた時はジャズっぽさと昭和歌謡の融合って感じで、「わりといけるな」ぐらいに思ってたら、たまたまこのCDをブックオフで見かけて買って、本格的にやられた。その後次々と買いあさり、今ではほとんどのCDを持っている。  『色彩のブルース』のレビ . . . 本文を読む