アブソリュート・エゴ・レビュー

書籍、映画、音楽、その他もろもろの極私的レビュー。未見の人の参考になればいいなあ。

高丘親王航海記

2007-07-30 03:03:10 | 
『高丘親王航海記』 渋澤龍彦   ☆☆☆☆☆  澁澤龍彦の遺作を再読。澁澤の小説を久しぶりに読んだがやはりいいなあ。この人の幻想小説は訳せば世界に通用する、というか世界を驚かせるクオリティがあると思うのだがどうだろう。  『唐草物語』『眠り姫』『うつろ舟』とずっと短編だった澁澤小説がこの『高丘親王航海記』でついに連作長編となる。次の作品として『玉蟲物語』なる魅惑的な表題が準備されていたらしいが . . . 本文を読む

迷宮課事件簿 1

2007-07-28 09:12:58 | 
『迷宮課事件簿 1 』 ロイ・ヴィカーズ   ☆☆☆☆  昔から持っている文庫本で再読。画像は再発売されたものだが、私が持っているのはこれより古いので表紙が違う。これより地味な、グレーの表紙だ。この画像の表紙は代表作の『ゴムのラッパ』だな。なかなか可愛らしい。  「迷宮課」シリーズは倒叙ものである。コロンボとか古畑任三郎式に、最初から犯人が分かっているミステリだ。倒叙ものにも色々あるが、この「 . . . 本文を読む

魅惑劇

2007-07-25 00:18:45 | 音楽
『魅惑劇』 ノヴェラ   ☆☆☆★  確か昔アナログ盤で持っていたような気がするノヴェラの『魅惑劇』をCDで購入。これは懐かしい。  ジャパニーズ・プログレ、略してジャパグレとも呼ばれる音楽ジャンルが存在することを、世の善男善女の皆様はご存知だろうか。決してヒットチャートをにぎわしたりヘイヘイヘイに出演したりすることはなく、レコードが出たと思ったら廃盤になるの繰り返しだが、不思議とジャンル自体 . . . 本文を読む

良い骨たち+簡単な殺人

2007-07-22 18:22:10 | 
『良い骨たち+簡単な殺人』 マーガレット・アトウッド   ☆☆☆☆  マーガレット・アトウッドの短編集を読了。なかなか良かった。短い断片の寄せ集めで、散文詩的な感覚的なテキストも多く含まれている。本人の序文によればこれはキャンディー・ボックスで、アソートメント=各種詰め合わせということらしい。ミシェル・トゥルニエ『海辺のフィアンセたち』、ボルヘス『創造者』、リチャード・ブローティガン『芝生の復讐 . . . 本文を読む

シャイニング

2007-07-20 23:57:34 | 映画
『シャイニング』 スタンリー・キューブリック監督   ☆☆☆☆  ご存知『シャイニング』。DVDにて再見。スティーヴン・キング原作、名匠キューブリックが監督したホラー映画である本作のコワ美しさを堪能したいと思い、大画面TVを購入した記念にDVDを買った。ところが表示された画面を見て愕然。なんと、ワイドスクリーンじゃない。片面スタンダード、片面ワイドスクリーンのディスクなのかと思ってチェックしてみ . . . 本文を読む

小鳥たちが見たもの

2007-07-18 22:46:00 | 
『小鳥たちが見たもの』 ソーニャ・ハートネット   ☆☆☆  昨日読了。なかなか面白かったが、それほど強烈な読後感はなかった。  冒頭は面白い。いきなり子供三人が誘拐される事件が描写される。これがプロローグ部分で、本編が始まる、つまり主人公である少年エイドリアンが登場すると、今度は海から怪獣が引き上げられたというニュースが語られる。面白いじゃないか。これ、どういう風に展開するんだろう。  し . . . 本文を読む

時をかける少女

2007-07-17 19:41:51 | アニメ
『時をかける少女』 細田守監督   ☆☆☆☆★  ネットで非常に評判が良いので日本のDVDを購入して鑑賞。いやー、これはいいっすね。胸の奥に甘酸っぱいものがこみ上げてきます。もう一度十代に戻りたいです。ただ私の場合高校は男子校で全然色気なかったんで、大学時代がいいです。大学デビューですみません。  まず、なんといっても映像がきれい。私は普段あまりアニメは見ないが、最近はもうこんなことになっちゃ . . . 本文を読む

豆つぶほどの小さないぬ

2007-07-15 10:17:29 | 
『豆つぶほどの小さないぬ』 佐藤さとる   ☆☆☆★  コロボックル・シリーズ第二弾、『豆つぶほどの小さないぬ』を読了。  一作目の『だれも知らない小さな国』が、人間である「せいたかさん」の視点で描かれていたのに対し、この二作目は堂々とコロボックル視点の物語になっている。主人公はせいたかさんとコロボックル小国の世話役(つまり代表者)との連絡係、クリノヒコ。「風の子」というニックネームの彼はコロ . . . 本文を読む

Breakfast in America

2007-07-13 20:58:32 | 音楽
『Breakfast in America』 Supertramp   ☆☆☆☆  スーパートランプの6作目にして、一番売れたアルバム。この後ライヴ盤を経て一枚だけスタジオ・アルバムを出して中心人物のロジャーが脱退し、その後バンドは低迷することになるので、このアルバムこそが彼らの絶頂期だったと言っていいだろう。その内容はといえば、『Crime of the Century』の頃と同じバンドとは思 . . . 本文を読む

武士の一分

2007-07-11 21:00:53 | 映画
『武士の一分』 山田洋次監督   ☆☆☆☆  キムタク主演『武士の一分』をレンタルDVDで鑑賞。あまり期待していなかったせいかかなり良かった。  毒見役の侍が毒に当たって失明する。親戚に言われ、妻が今後の生活のことでえらい人に相談にいく。今後も禄をもらえることになる。妻の行動がおかしくなる。尾行させる。男と会っているのが判明する。問い詰める。えらい人にてごめにされ、その後脅迫されていたのが判明 . . . 本文を読む