『リーシーの物語(上・下)』 スティーヴン・キング ☆★
いやーびっくりした。何だこのひとつも面白くない小説は。キング最愛の自作ということで前からずっと読みたいと思い続け、分厚い上下二巻のハードカバーを買おうかと何度か思ったが我慢し、ようやく文庫が出たのでさっそく買って読んでみたのだが、唖然とするほどのつまらなさだ。ハードカバーを買わなくて本当に良かった。しかしこれが最愛の自作とはなあ。
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『鍵』 市川崑監督 ☆☆☆☆
市川崑監督の『鍵』を初見。原作は谷崎潤一郎だが、私は未読である。どうやら肝心の「鍵」の意味が原作から変えてあるらしく、それが原作ファンには不評のようだ。が、それを知らないで観た私にとっては、充分に面白かった。
かなり変わった映画で、アクが強いので人を選ぶだろう。冒頭、いきなり仲代達也がカメラ目線で「これは老いについての映画です」と語りかける。そのまま彼が中 . . . 本文を読む
『ナオミとカナコ』 奥田英朗 ☆☆☆★
しばらく読んでいなかった奥田英朗だが、アマゾンの紹介文が面白そうだったので購入。週末でイッキ読みした。悪くないと思う。深みには欠けるが、ページターナーぶりは充分だ。
ジャンルでいうと倒叙推理ということになる。殺人事件が起きる過程を犯人の視点で描く。ある事情で殺人を決意し、計画し、実行し、その後捜査の進捗に一喜一憂する。基本的な構成はまったくオーソ . . . 本文を読む
『Discovered Again』 Dave Grusin ☆☆☆☆☆
iTuneストアでデイヴ・グルーシンで検索したら出てきたので買ったアルバム。なんだか企画ものっぽいタイトルにあまり期待していなかったが、これが実に良い。名作『One of a Kind』『Mountain Dance』にまったくひけをとらない出来だ。参加メンバーはロン・カーター、リー・リトナー、ラリー・バンカー、ハー . . . 本文を読む
『アムステルダム』 イアン・マキューアン ☆☆☆☆★
再読。私が最初に読んだマキューアンの小説がこれだった。ブッカー賞受賞作品である。非常に奇妙な感触の小説で、私はこれに似た小説をちょっと他に思いつかない。一読、マキューアンという作家に大注目するに至ったし、またこんな小説を選ぶブッカー賞もなかなかやるなと思ったものだが、どうやらこの小説は(特に日本では)評価が割れているらしい。「愛」がテー . . . 本文を読む
『Live At the Orpheum』 King Crimson ☆☆☆☆★
いやーびっくりした。キング・クリムゾンのニュー・ラインナップがいつの間にか始動していた。しかもこれが度肝抜く編成で、なんと、7人のメンバー中ドラムが3人。ドラムが3人である。なんで3人もドラムが必要なのかという疑問はさておき、こんな編成のロックバンドは空前絶後だろう。ドラム以外はベースと、サックス&フルートと . . . 本文を読む
『告訴せず』 松本清張 ☆☆☆★
久しぶりに松本清張を読みたくなって購入。タイトルがいい。青島幸男主演で映画化もされていて前から観てみたいと思っているのだが、DVDが絶版で入手できない。
選挙資金の裏金を盗んで逃げる男の話ということだったが、実際読んでみてびっくり。ストーリーの四分の三は、主人公がいかに小豆相場で儲けるかという小説である。小豆相場の買い方やら動き方やらが詳述され、主人公 . . . 本文を読む
『男はつらいよ 寅次郎恋愛塾』 山田洋次監督 ☆☆
通して観るのは初めての『寅次郎恋愛塾』。評判があまり良くないのでこれまで手を出さなかったのだが、やはりダメだった。『男はつらいよ』シリーズにもこんなハズレがあるんだなあ、というのが正直な感想。
マドンナ・樋口可南子と平田満はいい。と思う。ショートカットの樋口可南子は清潔感に溢れて瑞々しいし、若い頃の平田満にはナイーブな魅力がある。彼は . . . 本文を読む
(前回からの続き)
その後調査となり、弁護士チームと検事チームが交互に証人と会って話を聞くという流れが続く。Amazonのカスタマーレビューなどを見るとこの第二部がだれるという声が多いようだが、確かに第一部「事件」と比べるとリーダビリティは落ちるかも知れない。しかし個人的には読むのが億劫になるようなことはまったくなく、これはこれで愉しめた。新たな事件展開のスリルがなくなるかわりに、事実関係の整 . . . 本文を読む
『ソロモンの偽証(1~6)』 宮部みゆき ☆☆☆☆☆
マンハッタンの紀伊国屋で文庫が平積みになっているのを見て購入。中学生が裁判をやる話と聞いていたので、そのリスキーな設定に「もしかしたらハズレかも」と思いつつ買ったが、杞憂に終わった。『楽園』『名もなき毒』あたりからあまり読んでないのでえらそうなことは言えないが、『模倣犯』に代わる新たな代表作と言っていいんじゃないか。
とにかく、文庫 . . . 本文を読む