『最後から二番目の真実』 フィリップ・K・ディック ☆☆☆★
エリアーデ全集第三巻を読んでディックに似ているなあと思い、必然的にディックが読みたくなってサンリオ文庫を引っ張り出して再読した。前回読んだのはもう随分と昔のことである。記憶していた印象より短い小説だったので驚いた。前読んだ時はディック特有の錯綜したプロットに幻惑されて長く感じたに違いない。
ちなみにサンリオ文庫のディックは他 . . . 本文を読む
『野望の果て』 ☆☆☆☆
今回は議員候補者が犯人。自分を狙った犯人に間違えられたように偽装して、優秀だが横暴な選挙参謀を殺害する。犯人役はジャッキー・クーパー。『スーパーマン』で編集長役をやっていた人だ。
傑作エピソードの一つである。しかもコロンボ・シリーズの王道を行く傑作である。何が王道かというと、まず推理が細かい。犯行現場の灯りについてチマチマ分析し、論破されたと思ったらさらに弾道と結 . . . 本文を読む
『The Köln Concert』 Keith Jarrett ☆☆☆☆☆
『ザ・ケルン・コンサート』と読む。ジャズ・ファンの間ではあまりにも有名な、キース・ジャレットのピアノソロ・コンサートのライヴ録音である。
キース・ジャレットのピアノというのは、ブルースをベースにした黒人ジャズ独特の生々しさがあまりなく、むしろクラシックやアンビエントのような透明感が特徴で、そういう意 . . . 本文を読む
『亡国のイージス』 阪本順治監督 ☆☆☆★
日本のレンタルビデオ屋さんで借りてきて鑑賞。日本の皆さんはとっくに観ていて「今ごろ何言ってんの?」的な映画なんだろうが、海外に住んでいるとこんなもんである。さて、原作の重厚さは失われてしまってダイハード的アクション映画になっていたが、まあまあじゃないだろうか。『ローレライ』より良かったと思う。あの気持ち悪いCGの空と海がなかっただけでも。
重 . . . 本文を読む
『ヴェネツィア―水の迷宮の夢』 ヨシフ・ブロツキー ☆☆☆☆☆
随分前に買って斜め読みしていた本をじっくり再読。これは美しい本である。といっても、普通の小説のようなプロットはない。詩人が書いた、ヴェネツィアに関する夢想と瞑想の数々があるだけだ。散文詩的な小説である。
実際に作者は何度もヴェネツィアを訪れているそうだし、あとがきで訳者は「一種の日記文学といえる」と書いているが、まあそれは . . . 本文を読む
『Memoirs of a Geisha』 Rob Marshall監督 ☆☆☆★
日本では『SAYURI』で公開されているらしいが、米国では『Memoirs of a Geisha』。芸者の回想記、である。何と分かりやすいタイトルだろうか。
評判が悪かったのでほとんど期待しないで行ったら、思ったより良かった。日本の描写に違和感があると聞いていたがそれもあまり感じなかった。時代は昭和初 . . . 本文を読む
『Vilhelm Hammershoi 1864-1916: Danish Painter of Solitude and Light』 Vilhelm Hammershoi ☆☆☆☆☆
随分前にマンハッタンの画集屋さんで買った画集。ヴィルヘルム・ハメルショイと読むらしい。ずっとハマーショイかハマーショワだと思っていた。タイトルにもあるようにデンマークの画家である。
画集をパラパラとめ . . . 本文を読む
『古畑任三郎ファイナル第3夜 - ラスト・ダンス』 三谷幸喜脚本 ☆☆☆☆
古畑ファイナルのファイナル、『ラスト・ダンス』。これで本当に古畑は終わりなのだろうか。だとしたら寂しい限りである。
最終話のゲストは松嶋奈々子、双子の姉妹の二役であり、かつ被害者と加害者の二役である。ここから下ネタばれあり。
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
姉がもみじで妹がかえ . . . 本文を読む
『古畑任三郎ファイナル第2夜 - フェアな殺人者』 三谷幸喜脚本 ☆☆☆★
今回のファイナル全三話中、もっとも「企画物」色が強い二話目である。なんせあのイチロー選手が犯人役なのだから。と、多少の警戒感をもって観始めたのだが、イチローの演技がサマになっているので安心した。というか、役者の中にまじって演技をしてても全然違和感がない。それに当たり前だがすごくスターのオーラを放っていて、『古畑任三 . . . 本文を読む
『古畑任三郎ファイナル第1夜 - 今、甦る死』 三谷幸喜脚本 ☆☆☆☆★
古畑任三郎は大好きな番組なので、正月にまたスペシャルをやると聞いてとても楽しみだった。とはいえ米国在住の身、放映時に観ることはできない。日本のレンタルビデオ屋に入荷するのを待って、ようやく観ることができた。
今回のゲストは石坂浩二と藤原竜也。ゲスト二人というのはどういう役割分担になっているのかと興味津々だった。な . . . 本文を読む