『The Stepford Wives (1975)』 Bryan Forbes監督 ☆☆☆
ニコル・キッドマン主演の『ステップフォード・ワイフ』のオリジナル。こちらはキッドマン版と違って正統派サスペンスだと聞いて興味をひかれ、観てみた。原作がアイラ・レヴィンということで『ローズマリーの赤ちゃん』的世界を期待したのである。あの、ちょっと昔の格調高い、哀愁漂う恐怖映画の雰囲気がたまらなく好き . . . 本文を読む
『ジャンキー』 ウィリアム・バロウズ ☆☆☆☆★
バロウズの処女作。カットアップやフォールドインといった前衛的な手法はまだ使われていない、オーソドックスなスタイルの小説である。内容もほとんど自伝らしい。そういう意味ではバロウズらしいエグさは控えめだが、確実にバロウズの傑作のひとつである。自伝的といってもバロウズ独特のいびつな世界観はすでに感じられ、明らかに現実が異化されている。はっきりいっ . . . 本文を読む
『Mission: Impossible III』 J.J.Abrams監督 ☆☆☆☆
休日を利用して『ミッション・インポシブル3』を観てきた。例によってニュージャージーの映画館である。10:10AMから観たので観客はたった6人。静かで最高だった。
『MI-2』は観たが最初のは観ていない。友人の話では最初のが一番面白かったそうだ。『MI-2』はとにかく銃撃戦が派手で、スローモーションに . . . 本文を読む
『壊れかた指南』 筒井康隆 ☆☆☆☆☆
待ちに待った筒井康隆の新作短篇集。以前雑誌で『空中喫煙者』を読んで快感に打ち震えて以来、ずっと待ち焦がれていた。
いやーしかし、この人の小説はもはや天衣無縫、自由自在、融通無碍であって、フォーマットというものをまったく感じさせない。もちろん、何でも書ける人なので、あえてフォーマットを利用した『銀齢の果て』のようなエンターテインメント、『私のグラン . . . 本文を読む
『陰の季節』 横山秀夫 ☆☆☆☆
またしても横山秀夫である。『第三の時効』のおかげでこの作者の本を次から次へと読み漁ることになってしまった。
この本がデビュー作らしい。四篇入っていて、どれもD県警が舞台になっているが、例によってそれぞれ主役は違っている。ただし、最初の『陰の季節』の主役である人事担当の二渡警視がどの短篇にも顔を出し、D県警シリーズ全体の主人公として位置づけられている。こ . . . 本文を読む
『ダ・ヴィンチ・コード』 ロン・ハワード監督 ☆☆★
ニュージャージーの映画館で土曜日に観てきた。封切りされたばっかりで混んでるんじゃないかと心配したが、さすが田舎の映画館、いつもより混んでいたものの余裕で真ん中の席に座れた。
原作は未読。多分細かい部分は分からないだろうなあと思っていたら、思った通り会話部分はかなりの部分が理解不能だった。それでレビューを書くなと言われそうだが、映画全 . . . 本文を読む
『The Mirror Conspiracy』 Thievery Corporation ☆☆☆☆
Thievery Corporationは何枚か持っているが、アルバム通して聴くとしたら一番好きなのはこの『The Mirror Conspiracy』ということになる。ラウンジ系ではレモンジェリーやロイクソップと並んで気に入っている。
とは言えレモンジェリー、ロイクソップの音とはまった . . . 本文を読む
『動機』 横山秀夫 ☆☆☆☆
『第三の時効』があまりにも良かったので、今度は『動機』を買って来た。これも短篇集で、それぞれ主人公が違う。『第三の時効』は犯罪を捜査する刑事達の話だったが、この短篇集は警察の管理部門の人間、前科者、女新聞記者、裁判官、がそれぞれの主役になっている。
表題作の『動機』は推理作家協会賞を取った作で、警察内部の事件を捜査する管理部門の人間が主人公。警察手帳三十冊 . . . 本文を読む
『The River』 Jean Renoir監督 ☆☆☆★
名画と名高いルノワール監督の『河』である。英語版のDVDを買って来て鑑賞。名画であることは分かったが、個人的にはそれほど趣味じゃなかった。
家族と一緒にインドに住む三人の娘の物語。ハリエットはイギリス人家族の長女、ヴァレリーはアメリカ人、メラニーはアメリカ人とインド人の混血。三人は無邪気に仲良く暮らしていたが、アメリカ人のジ . . . 本文を読む
『町長選挙』 奥田英朗 ☆☆
伊良部医師シリーズ第三弾だが、残念ながら前二作と比べるとレベルダウンは否めない。暇つぶしにはいいが、それ以上のものはない。
今回の特色は、四篇中三篇の患者のモデルが容易に想像がつくことである。というか、もう最初からバレバレで、名前もあからさまにもじりにしてある。球団のオーナーが田辺満夫、通称ナベマン、IT長者が安保貴明、通称アンポンマン、40代なのに若い、 . . . 本文を読む