『Astral Weeks』 Van Morrison ☆☆☆☆☆
誰もが認める名盤である。ソウル系のシンガーはあまり聴かないので、ヴァン・モリソンもこれ一枚しかもっていない。粘っこい声はいかにもアメリカみたいな気がするが、実はこの人はアイルランド人なのだった。そう思って聴くと、確かにこの繊細さはアメリカではない。
ヴァン・モリソンの音楽はブルース、トラッド、ジャズなどをミックスしたも . . . 本文を読む
『呪われた町(上・下)』 スティーヴン・キング ☆☆☆☆
『グリーン・マイル』に続いてもう一つキングを再読。やはりこの人は読み出すと妙に病みつきになる魅力があるな。
本書は『キャリー』に続く二作目の長編である。『キャリー』が後のキングのイメージとちょっと違う実験的な作風だったのに対し、この『呪われた町』はもう堂々のキング節全開、キング以外の何物でもない作品になっている。キング小説の標準 . . . 本文を読む
『魍魎の匣』 原田眞人監督 ☆☆★
DVDで鑑賞。原作はずっと前に読んだが、例によって尾ひれがつきまくったややこしい話で、細かい部分は全然覚えていない。ハコの中に手足のない少女が入っている猟奇的なイメージと、ハコ型の研究所が出てきたのを覚えているくらいだ。しかしあの長い話をそのまま映画化できるはずもなく、かなり省略されていると思われる。私の記憶では、原作には少女が密室状態の研究所から消失す . . . 本文を読む
『唐草物語』 澁澤龍彦 ☆☆☆☆☆
再読。もう何回読んでいるか分からない。写真は文庫のだが、私が持っているのは函に入った単行本である。函には幾何学的な唐草模様があしらってあり、本を取り出すと赤茶色の渋いハードカバーで重厚な感じだ。やはり澁澤龍彦の本はこういう方が似合う。この固い表紙に挟まれた『唐草物語』をぱらぱらめくっていると読書がひときわ愉しく思えてくる。
澁澤龍彦の短篇集はどれも素 . . . 本文を読む
『グリーン・マイル』 スティーヴン・キング ☆☆☆★
『セル』があまりにもつまらなかったので昔のスティーヴン・キングを読みたくなり、『グリーンマイル』を再読した。『シャイニング』や『デッドゾーン』はすでに何度も読み返しているが、これはまだ一度読んだきりだったし。
本書は変わった形式になっていて、150ページぐらいの薄い文庫本6冊に分かれている。一月に一冊ずつ、6ヶ月かけて出版されたらし . . . 本文を読む
『マルサの女』 伊丹十三監督 ☆☆☆☆☆
アメリカ版DVDを買ってきて再見。何度も観た映画だが、久し振りに観るとやっぱり面白い。伊丹十三監督の映画の中ではこれと『たんぽぽ』が双璧だと思う。『たんぽぽ』は監督の食へのこだわりと茶目っ気が全開になった映画だったが、こちらはウェルメイドな娯楽映画としてこれ以上ないほどの完成度だ。題材のユニークさ、盛り込まれた情報量、娯楽映画としてのサービス精神、 . . . 本文を読む
『Forever Love: 36 Greatest Hits 1980-2001』 Air Supply ☆☆☆★
昔なつかしいエア・サプライのベストを買ってみた。大抵のベスト盤は初期の曲しか入ってないが、これは後期まで網羅されていて、その後の様子も良く分かるようになっている。
エア・サプライといえば大甘バラードを量産するポップス職人、というイメージがあって馬鹿にする人も多く、まあ確 . . . 本文を読む
『セル(上・下)』 スティーヴン・キング ☆☆
『小説作法』を読んで久し振りにキングの小説を読みたくなり、手持ちのどれを読み返そうか迷っているところにちょうどこれが文庫で出ているのを見かけ、携帯電話という小道具にも興味をひかれて買ってみた。上下二巻で、長さも手ごろな感じだったし。が、やはり駄目だった。前に『ドリームキャッチャー』を読んで失望した時と同じだ。はっきり言ってつまらない。一応最後 . . . 本文を読む
『ダマセーノ・モンテイロの失われた首』 アントニオ・タブッキ ☆☆☆☆☆
『ベアト・アンジェリコの翼あるもの』に続いてタブッキを再読、またしても評価上がる。この『ダマセーノ・モンテイロの失われた首』は以前に『供述によるとペレイラは……』のレビューの中で、最後に人にすすめるタブッキ本としていたが、考え直したくなってきた。タブッキの本はこうやって、読み返すたびに新たな発見があるので油断できない . . . 本文を読む
『もののけ姫』 宮崎駿監督 ☆☆☆☆★
英語版DVDを購入して鑑賞。プリンセス・モノノケである。久し振りに見たらとても面白かった。
例によって宮崎駿の暴力的なイマジネーションが嵐のように吹き荒れる。冒頭のたたり神の登場からして凄まじい。なんなんだあのグチャグチャのどろどろは。この映画は『カリオストロの城』以来初めて見た宮崎駿映画だったが、『カリオストロの城』ですっかり宮崎駿への興味を失 . . . 本文を読む