『硝子のハンマー』 貴志祐介 ☆☆☆☆
再読。やっぱり面白い。
この本、Amazonのレビューなんかを見るとどうも賛否両論のようだ。特に他の本を読んで貴志祐介のファンになった人が、この本については批判しているというケースが多い。私はこの本をとっても評価しているので、ここで擁護しておきたい。この本は傑作である。以下で理由を説明する。ネタばれなしなので、未読の方も安心して読んでいただきたい。 . . . 本文を読む
『郵便局と蛇』 A. E. コッパード ☆☆☆★
国書刊行会『魔法の本棚』シリーズの一冊である。なかなかマニアックな支持を集める作家らしい、このコッパードという人は。なので、一体どんな小説なんだろうと期待して読み始めた。読了してみて、感想をまとめるのが非常に難しい。
巻頭の『銀色のサーカス』は有名な短篇らしいが、ちょっと見には典型的な「奇妙な話」系の短篇に思える。プロットはスリルがあり . . . 本文を読む
『セロニアス・ヒムセルフ』 セロニアス・モンク ☆☆☆☆★
これは基本的にモンクのソロピアノ集で、『Monk's Mood』のみベースとサックスが入っている。ちなみにサックスはジョン・コルトレーンである。
モンクを実際に聴く前は、『'Round Midnight』の作曲者としてしか知らなかったので、ああいうしっとりした曲が得意なコンポーザー/ピアニストなのかと思っていた。だから初めてモ . . . 本文を読む
『悪魔のような女』 アンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督 ☆☆☆☆
日本版DVDで鑑賞。この監督の『恐怖の報酬』が面白かったのでこれも買った。同じ女優さんが出てる。
ミステリ、サスペンス、それからちょっとだけホラーの要素がミックスされたフランス映画である。モノクロの画面が美しい。『恐怖の報酬』もモノクロが美しい映画だったな。
手堅く作られたエンターテインメントという印象。最近のハリウ . . . 本文を読む
『海の上の少女』 シュペルヴィエル ☆☆☆☆★
白水社『フランス幻想小説傑作集』に収録されていた『沖の娘』があまりに良かったので、この『海の上の少女 - シュペルヴィエル短篇選』を購入した。『海の上の少女』と『ヴァイオリンの声をした少女』だけ既読で、他はまったく読んだことはなかった。
全体を読み通して感じるのは、この人の書く短篇は非常に詩に近いということである。既読の二篇を読んだ時もそ . . . 本文を読む
『Relaxin' with the Miles Davis Quintet』 Miles Davis Quintet ☆☆☆☆☆
帝王マイルス・デイビス50年代の作品。有名なマラソン・セッションで生み出された四部作(『Cookin'』『Relaxin'』『Working'』『Steamin'』)の中の一つである。まだ駆け出しだったコルトレーンが参加している。
マイルスといえば『K . . . 本文を読む
『レディ・ジョーカー』 平山秀幸監督 ☆☆
レンタルビデオで、『ゴジラFINAL WARS』と同日に鑑賞。めちゃめちゃシリアスな力の入った映画なのだが、かわいそうなことにおちゃらけの『ゴジラFINAL WARS』と同じ星二つになってしまった。
以下、ネタばれあり。
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私は原作を読んでいる。ものすごく読み応えのある、重厚な作 . . . 本文を読む
『ゴジラFINAL WARS』 北村龍平監督 ☆☆
レンタルビデオで鑑賞。北村龍平は『あずみ』を観た時に、「二度とこの人の映画は観ないようにしよう」と思ったのだったが、ゴジラ最終作ということでは観ないわけにはいかない。しかしそういうわけで、まったく期待していなかった。
結果はまあ、星二個である。しかし、なんせまったく期待していなかったので思ったより意外と楽しめた。とにかく、怪獣がワンサ . . . 本文を読む
新必殺仕置人(子之巻)
第四話~第九話 ☆☆☆☆
新仕置人子之巻もあったという間にDisk3まで観終わってしまった。あと一枚しかない。これを観終わったらまた10月まで待つのである。はあ。
さて、三話観た時点で違和感があると書いたが、だんだんキャラクターや設定になじんできて面白くなってきた。それに四話ぐらいまで観て気づいたのだが、新仕置人では仕置が終わってから後が長い。他のシリーズでは . . . 本文を読む
『おとうさんがいっぱい』 三田村信行 ☆☆☆☆★
先週読了。恐るべき短篇集であった。Amazonでは小学校中・高学年向けとあるが、これが子供向けとはとても信じられない。が、その年頃の子供には早い、と言うつもりはない。子供というのは大人が考えるより頭がいいものだ。感受性が強い時期にこのようなすばらしい芸術作品に接することができるのは幸せだと思う。ひょっとしたらトラウマになるかも知れないけれど . . . 本文を読む