『日本怪奇小説傑作集2』 紀田順一郎、東雅夫 編 ☆☆☆☆
『日本怪奇小説傑作集1』がとてもよかったので2巻目を入手、読了した。
少し時代が下がって、戦中戦後あたりの作品を集めてある。作家陣は城昌幸、横溝正史、橘外男、幸田露伴、久生十蘭、中島敦、三島由紀夫、山本周五郎などなど。やはり豪華メンバーで作品も充実しているが、個人的には第一巻よりやや落ちる感じがした。
解説に書いてあるが、 . . . 本文を読む
『ゴジラ対ヘドラ』 坂野義光監督 ☆★
先日『ゴジラ』を再見して面白かったので他のを観たくなり、「アングラ・サイケ色のあるカルト作品」という評判の『ゴジラ対ヘドラ』をレンタルしてしてきた。子供の頃に観たことがあるはずだが、ほとんど記憶に残っていない。
結果、ほぼ時間の無駄だった。もうこの頃のゴジラは完全に子供向けだ。まあこの『対ヘドラ』は公害批判というメッセージがやたら強く出ていて、そ . . . 本文を読む
『権現の踊り子』 町田康 ☆☆☆☆
町田康の新作を購入、一日で読了。いつもの不条理でやるせない町田ワールドが展開する。
この人はもう、この文章でさえあれば何を書いても町田康になるという強烈な文体を獲得しているので、ある意味どの小説も印象が似てしまう。まああえて言うと昔より混沌の度合いが減って、多少すっきりしつつあるような気がしないでもない。しかし本書でも『ふくみ笑い』なんかはもうグチャ . . . 本文を読む
『ATLAS』 PSY・S ☆☆☆☆
PSY・Sでサイズと読む。1980年代から90年代にかけて活動していた日本のバンド、というかキーボーディスト/コンポーザー/アレンジャーと女性ヴォーカリスト二人のユニットである。あんまりのめりこんで聴いたアーティストでもないが、このCDはずっと所有していて時々引っ張り出して聴く。
これが最初に聴いたサイズのCDだったが、ほー、こりゃなかなかディープ . . . 本文を読む
『断崖』 アルフレッド・ヒッチコック監督 ☆☆☆☆
所有している日本版DVDで再見。ヒッチコックにしてはわりと地味なストーリーだが手堅い作品である。原題は『Suspicion』、つまり「疑惑」。そのものズバリの題名だ。
富豪のお堅い箱入り娘がろくでもない男にひっかかって結婚したはいいが、地道な暮らしを嫌う嘘つきの夫に不安を募らせ、しまいには保険金目当てに自分を殺そうとしているのではとい . . . 本文を読む
『私の頭の中の消しゴム』 イ・ジェハン監督 ☆☆☆★
DVDをレンタルして鑑賞。なかなか泣ける映画だった。正確には本当に泣ける一歩手前、ぐらいだった。
この手の物語の原型というと『アルジャーノンに花束を』ということになりそうだが、この映画はアルジャーノン現象と「難病もの」を融合させたラブストーリー、と言えるかも知れない。記憶をなくして痴呆化していく=心が死んでいく、というのは肉体的な病 . . . 本文を読む
『レベッカ(上・下)』 ダフネ・デュ・モーリア ☆☆☆☆☆
ヒッチコックの映画化で有名なデュ・モーリアの『レベッカ』。最初に読んだのは中学か高校の頃だったと思うが、それ以来なぜか病みつきになり何度も読み返している。読んでしばらくするとまた読みたくなってくるのだ。
最初に読んだ時はまったく予備知識なしに読み始め、冒頭を読んでこれは恋愛心理小説だなと思った。劣等感のカタマリのようなヒロイン . . . 本文を読む
『ゴジラ』 本多猪四郎監督 ☆☆☆☆★
オリジナルの1954年版ゴジラである。昔買ったDVDを再見。やはり傑作だ。その後のゴジラ映画とは一味も二味も違う。
この映画の中のゴジラはただのでかくて凶暴な動物ではない。もう火を見るより明らかに、戦争、そして水爆のメタファーなのだ。水爆が不条理にも生命体となって日本に上陸し、すべてを破壊して回るという悪夢、それを私達はこの映画の中に観るのである . . . 本文を読む
『VOCALIST』 徳永英明 ☆☆☆☆
ネット上でなかなか評判が良さそうなので買ってみた。この人の中性的かつハスキーな声はもともと結構好きだった。これは要するにカバー集で、日本の女性シンガーの曲ばかりを徳永が歌う趣向になっている。アレンジはほぼ全部アコースティックで、ピアノやアコースティックギター、それからストリングスなどが入っていてしっとり落ち着いている。「癒し系」な感じだが、サビなん . . . 本文を読む
『怪奇小説傑作集4』 澁澤龍彦、青柳瑞穂訳 ☆☆☆☆
創元社の怪奇小説傑作集4巻目、フランス篇である。編者が澁澤龍彦なので以前からこれだけ持っていたが、イギリス篇の『怪奇小説傑作集1』を読んだので再読してみた。イギリス篇とは大分異なり、怪談というより幻想譚という方がふさわしい短篇が多い。
非常に豪華なラインナップで、サド、ノディエ、メリメ、ネルヴァル、モーパッサン、シュオッブ、アポリネ . . . 本文を読む