『スナッチ』 ガイ・リッチー監督 ☆☆☆☆
英語版DVDを購入して鑑賞。最初はナレーションや映像のギミックが多くてうるさい感じがしたが、話が飲み込めてくるとテンポの良さと軽快なコメディ・タッチで面白く見ることができた。登場人物が多く、しかもそれを冒頭でいちいち紹介したりするのでややこしい映画のような気がするが、要するにこぶし大のダイヤモンドをめぐってギャングどもが繰り広げる三つ巴、四つ巴の . . . 本文を読む
『フェミニズム殺人事件』 筒井康隆 ☆☆★
本棚を整理していて処分しようかどうしようか迷って再読。ミステリだが、『ロートレック荘事件』のような筒井康隆らしい超絶ミステリではなく、普通のミステリに近い。最初読んだ時は、なぜ筒井康隆がこんなものを書いたのか首を傾げてしまった。ただし「近い」と書いたように、やはりいわゆる普通のミステリとはちょっと違った感触がある。サロン的雰囲気漂う避暑地のホテル . . . 本文を読む
『Shoot 'Em Up』 Michael Davis監督 ☆★
スタイリッシュなアクションものを観たいなと思ってDVDを買って来たのだが、失敗だった。好きな人がいたら申し訳ない。が、はっきり言ってこんなアホ映画久し振りに観た。『ダイ・ハード』シリーズがなんとも知的な映画に思えてくる。
最初から最後までひたすらドンパチである。それ以外何もない。クライヴ・オーウェンがニヒルな顔してひた . . . 本文を読む
『キングコング対ゴジラ』 本多猪四郎監督 ☆☆☆★
日本版DVDで鑑賞。ゴジラ三作目、シリーズ初のカラー作品である。一作目『ゴジラ』の荘厳さはかけらもない脳天気な娯楽映画になっているが、これはこれで面白い。「ゴジラとキングコングを戦わせたらおもしれーだろうな!」という制作側のワクワク感が画面いっぱいに溢れている。
南海の孤島からキングコングを連れてくるパシフィック製薬トリオ、高島忠夫と . . . 本文を読む
『閉鎖病棟』 帚木蓬生 ☆☆☆★
ニュージャージーの日系書店で、新刊コーナーに積まれているのを見かけて買ってきた。この作家さんの名前はなんと読むのだろうと思ったら「ははきぎほうせい」だそうだ。なんと難しい名前だろうか。名刺を出しても誰も読めないに違いない。
精神科病棟の患者さん達が主人公の、しみじみした話である。ところどころじわっと涙腺を刺激される。Amazonの紹介文を読むとまるで殺 . . . 本文を読む
『Rambo』 Sylvester Stallone監督 ☆☆☆★
ランボー最新作をDVDで鑑賞。わりといい評判を聞いていたので観たのだが、正直傑作とは言いがたい。しかしインパクトだけは異様なほどにある。
とにかく残酷描写がすごい。戦闘シーンは『プライベート・ライアン』をおおげさにしたような臨場感と容赦ないリアリズムで、腕がもげたり首が取れたり人体がバラバラになったりする。それどころか . . . 本文を読む
『原子心母』 ピンク・フロイド ☆☆☆☆☆
ピンク・フロイドといえば『狂気』、というのが世間の常識だろうが、個人的に一番愛聴しているのはこれである。これが一番傑作と言いたいわけではないが、いつ聴いてもしっくり来るし、聞き飽きるということがない。つまりなんというか、間違いがない。
年代的には『狂気』より前で、『狂気』以降の完璧なサウンド・プロダクションではなく、まだどことなく実験作的な . . . 本文を読む
『少年十字軍』 マルセル・シュウォッブ ☆☆☆☆☆
再読。短編集である。シュウォッブはポーやリラダン系統の絢爛たる幻想の紡ぎ手で大好きな作家の一人だが、これも絶版本だ。収録作品は以下の通り。
「黄金仮面の王」
「大地炎上」
「ペスト」
「眠れる都市」
「〇八一号列車」
「リリス」
「阿片の扉」
「卵物語」
「少年十字軍」
シュウォッブの幻想譚の特徴としては、まず天変地異というか大規模 . . . 本文を読む
『飢餓海峡』 内田吐夢監督 ☆☆☆★
DVDで再見。邦画の歴史に残る不朽の名作、らしいのだが個人的には「わりといいんじゃない」レベルの佳作である。最初観た時良さが分からず、おかしいなと思って間をおいて再見したがやはりそこまでの傑作とは思えなかった。しかし世評はものすごく高い。『砂の器』もそうだったが、この手の映画はどうも苦手だ。
3時間に及ぶ大作である。大体三部構成になっていて、まずは . . . 本文を読む
『燠火』 アンドレ・ピエール・ド マンディアルグ ☆☆☆☆☆
『澁澤龍彦翻訳全集<12>』収録の『大理石』を再読してマンディアルグを読みたくなり再読(ちなみに写真と違って私が持っているのは白水uブックスである)。『黒い美術館』『狼の太陽』に続く第三短編集で、収録作は以下の通り。
「燠火」
「ロドギューヌ」
「石の女」
「曇った鏡」
「裸婦と棺桶」
「ダイヤモンド」
「幼児性」 . . . 本文を読む