『砂の器(上・下)』 松本清張 ☆☆☆★
『松本清張傑作短篇コレクション』を読んで大変面白かったので、傑作と名高いこの『砂の器』を読んでみた。映画は観たことあるが、それほど感銘を受けなかったのでこれまで原作を読もうと思わなかったのである。
さて、読んでみると映画とはかなり違う。映画の記憶はもう薄れているが、こんなにバタバタ人は死ななかったような気がする。しかも、自然死に見えるが実は殺人 . . . 本文を読む
『祇園囃子』 溝口健二監督 ☆☆☆☆
日本版のDVDを購入して鑑賞。廉価版が出ていて大変ありがたい。それにしても以前『近松物語』を観たくてフランスのDVDを通信販売で購入したが、やっぱり今じゃバラ売りされてる。分かっちゃいるがくやしい。
芸者の話である。若尾文子が出ている。役柄は16歳で、本人もまだ10代だろう。最初出てきた時はこれがあの若尾文子かとびっくりした。初々しくて、後のあの妖 . . . 本文を読む
『Take the Long Way Home - Live in Montreal』 Roger Hodgson ☆☆☆★
ロジャー・ホジソンがモントリオールでやったライヴの映像。ロジャー・ホジソンって誰? という人は多いと思うが元スーパートランプのヴォーカル兼ソングライターである。スーパートランプにはヴォーカルが二人いるがボーイ・ソプラノの方である。例の『ブレックファスト・イン・アメリ . . . 本文を読む
『疑惑』 野村芳太郎監督 ☆☆☆☆
『松本清張傑作短篇コレクション』が面白かったので、清張原作の映画が観たくなり、この『疑惑』を入手。むかーしテレビで部分的に観たことあるような気がする。面白い。
ストーリーは、金持ちの男が死に、ホステス上がりの女房が殺人容疑で逮捕される。この女房、詐欺や傷害の前科がたくさんあり、しかも旦那に何億円という保険金をかけていたというもうイキナリ怪しい女なので . . . 本文を読む
『遠い女―ラテンアメリカ短篇集』 フリオ・コルタサル他 ☆☆☆☆
ラテン・アメリカの幻想的な短篇を集めたアンソロジー。この手のラテンアメリカ系のアンソロジーは何冊か持っているがどれもはずれがなく、レベルが高い短篇が揃っている。この『遠い女』も例外ではない。特色としては散文詩的な、スピード感のある短篇が多いことだろうか。私はこういうのが好きなのでよく引っ張り出してパラパラめくっている。
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(昨日の続き)
そして三船敏郎演じる菊千代が登場する。この菊千代は他の6人とはまったく違うキャラクターで、百姓でもない、野武士でもない、正確には侍でもない、しかしそのどれもの要素を持ち合わせているような、この物語の中で唯一無二の存在である。彼は登場したその瞬間から常に、侍というものに対するアンチテーゼであり続ける。この映画が侍という存在の素晴らしさを描きつつ、決して能天気な侍賛美映画になってい . . . 本文を読む
『七人の侍』 黒澤明監督 ☆☆☆☆☆
新しくリストアされた映像のCriterionの『用心棒/椿三十郎』ツインパックが非常によかったので、今度は『七人の侍』を買ってきた。これもリストアされた画像の美しさをアマゾンのレビューで褒めている人がいるが、確かにすごくきれいになってる。さすがに古いせいか『用心棒/椿三十郎』よりやや落ちるが、まあビデオと比べれば雲泥の差だ。昔ビデオで観た時は輪郭は滲ん . . . 本文を読む
『松本清張傑作短篇コレクション(上・中・下)』 宮部みゆき編集 ☆☆☆☆
松本清張のミステリはあまり真剣に読んだことがなかったが、宮部みゆき編集のアンソロジーが出たのでとりあえず上巻だけ買って読んでみた。そしたら面白かったので中、下はまとめて買い、読み終わる頃にははまっていた。
松本清張にあまり興味がなかったのは中学生の頃に有名な『点と線』を読み、大して印象に残らなかったからだ。『点と . . . 本文を読む
『アラビアの夜の種族(1)(2)(3)』 古川日出男 ☆☆☆
休暇を利用して三日間で読了。文庫で三冊あるがそれぞれは大して厚くないので、それほど大長編という感じはしなかった。なんでもPLAYBOY紙「この10年で最も面白いミステリーベスト100」の日本第1位に輝いた作品らしい。うーむ。まあ面白いっちゃ面白いけどなあ。わりと普通だったなあ。
要するに『千夜一夜物語』的な、神秘的で驚異的で . . . 本文を読む
『The Spanish Prisoner』 David Mamet監督 ☆☆☆☆
スパニッシュ・プリズナー。謎めいていてカッコいいタイトルだ。昔たまたまケーブルテレビで観て妙に印象に残り、DVDを購入した。久しぶりに再見したが、結構面白い。話も面白いが、ストーリーより雰囲気で見せる映画だと思う。
いわゆるコン・ゲームもの。主人公の実直な青年が騙される話である。ジョーはある会社の開発担 . . . 本文を読む