『ガス人間第一号』 本多猪四郎監督 ☆☆☆☆
『マタンゴ』に続いて、これも本多猪四郎&円谷英二のゴールデン・コンビの手による作品。これは『マタンゴ』のようなトラウマ系のホラーじゃなくて、特撮ものでありつつ実はかなり悲劇的なロマンス映画である。
『ガス人間第一号』なんていかにもチープなタイトルにもかかわらず、日本舞踊のシーンなんかも多く、意外と格調高い映像を見せてくれる。役者陣も豪華だ。 . . . 本文を読む
『シュルツ全小説』 ブルーノ・シュルツ ☆☆☆☆☆
前に『コスモス 他』で読んで驚嘆したブルーノ・シュルツ、単独名義の、しかも「全小説」とあれば買わないわけにはいかない。こういうものはすぐに絶版になるものと相場は決まっている。『コスモス 他』に収録されていた『クレプシドラ・サナトリウム』は13編のうち6編が欠けていたので、これでようやく全部読むことができる。
上下ニ段組だった『コスモス . . . 本文を読む
『マタンゴ』 本多猪四郎監督 ☆☆☆☆
子供の頃ゴジラやガメラが大好きだった私は、ある日テレビの番組欄に『マタンゴ』の表記を見つけ、「マタンゴってどんな怪獣なんだろう」と期待に胸膨らませて放映を待ち、その時間になるとワクワクしながらチャンネルを合わせた。放映時間がかなり遅めだったが、円谷英二の名前もあったし、特に疑いを持つことはなかった。悲劇の始まりである。始まってしばらくたった頃、あまり . . . 本文を読む
『バレンタイン』 柴田元幸 ☆☆☆☆
ちょっと変わった現代アメリカ文学、特に短篇の翻訳者及びアンソロジスト、という印象のある柴田元幸氏の初の短篇小説集。やっぱり彼が翻訳を手がけた小説に似ていて、短く、スピーディーで、変な短篇ばかりだ。ちょっと意外だったのは昭和へのノスタルジー、というか著者自身の子供時代へのノスタルジーが濃厚だったことだ。もっと無国籍な感じの小説かと思っていた。
ぱっ . . . 本文を読む
『PRESENT II』 Prism ☆☆☆☆★
で、こっちがもう一枚の『PRESENT II』。『PRESENT I』の続きである。当然、演奏の素晴らしさは『PRESENT I』にひけを取らない。
渡辺健作曲の『Memories Of You』で始まる。この『PRESENT』、IとIIにそれぞれ一曲ずつ渡辺健の曲が入っているのである。さて『Memories Of You』、原曲は渡辺 . . . 本文を読む
『PRESENT I』 Prism ☆☆☆☆☆
日本のフュージョンバンド、プリズムのCDを購入。過去のレパートリーから名曲の数々をセレクトして現在のメンバーで再録したセルフ・カヴァー集である。当然ながら、ベスト盤としても聴ける。『PRESENT I』と『PRESENT II』が出ていて、別売になっているが両方でワンセットだ。私も当然、両方買った。
いやあ、いい。期待した以上にいい。プリ . . . 本文を読む
『合い言葉は勇気』 三谷幸喜 ☆☆☆★
三谷幸喜のテレビドラマが好きだ。『古畑任三郎』が好きだし、『王様のレストラン』が好きだし、視聴率が悪かったらしい『総理と呼ばないで』も好きだった。特に好きなのは『振り返れば奴がいる』で、あのドラマでの織田裕二のワルかっこよさは最高だった。さて、一部のファンによれば三谷ドラマの最高傑作は『合い言葉は勇気』らしい(やはり視聴率は悪かったらしいが)。私は観 . . . 本文を読む
(昨日の続き)
ところでスコッチの命名はゴリさんだが、エピソード中スコッチにまつわる話は出てこない。最後のシーンでゴリさんがキレて「あのスコッチやろう~」といきなり叫ぶだけである。酒はスコッチしか飲まないとかそういう伏線があるかと思っていたので拍子抜けした。
第二話の『殿下とスコッチ』も見ごたえ満点だ。殿下とスコッチはどっちもダンディな色男ということで、ちょっとキャラがかぶっているところが . . . 本文を読む
『太陽にほえろ! スコッチ&ボン編1(DVD-BOX「スコッチ登場」)』
マカロニ、ジーパン編に続き、今度はスコッチ編である。実は私は沖雅也ファンであるにもかかわらず、これまでスコッチ出演時の『太陽にほえろ!』をほとんど見たことがなかった。ちゃんと観るのは今回初めてである。
さて、このスコッチ刑事、これまでの新人刑事達とはまったく違うキャラクター設定がなされている。マカロニ、ジーパン、テキ . . . 本文を読む
『蒼穹の昴(1~4)』 浅田次郎 ☆☆☆☆
『鉄道員(ぽっぽや)』ではがっかりしたが、この人の本領は長編にあるのでは、と思い、やはり傑作といわれる本書を買ってきた。これはかなり面白かった。清朝の中国の話で、歴史小説としても読めるが、予言者の婆さんや乾隆帝の幽霊なんかも出てきて伝奇小説的な味わいもある。ちょっと荒唐無稽な大河ロマン、って感じである。悪くない。
主人公は李春雲(春児)。この . . . 本文を読む