『電送人間』 福田純監督 ☆☆☆
東宝の『変身人間シリーズ』三部作の第二作目、『電送人間』をDVDで鑑賞。これで三部作を全部観たことになる。他の二つと違い、これだけ監督が本多猪四郎じゃない。福田純という監督は後年『ゴジラ対メカゴジラ』などを撮った人だが、他には加山雄三の『若大将シリーズ』などが代表作らしい。なかなかすごい取り合わせだ、関連が良く分からない。
さて、電送人間だが、これは人 . . . 本文を読む
『長い日曜日』 セバスチアン・ジャプリゾ ☆☆☆
第一次大戦の話だ。映画の原作らしい。面白そうだと思って買ってきたが、それほど趣味じゃなかった。いい話である。それを認めるにやぶさかではない。最後まで読むとわりと感動する。しかし、途中があんまり面白くなかった。
冒頭で、処刑にひかれていく五人の兵士の模様が描かれる。全員、自分でわざと負傷して兵役を逃れようとした罪だ。五人のプロフィールが詳 . . . 本文を読む
『美女と液体人間』 本多猪四郎監督 ☆☆☆★
『ガス人間第一号』のあのなんとも言えないムードが結構良かったので、こうなったら東宝の『変身人間シリーズ』三部作を全部観てみようと考え、『美女と液体人間』と『電送人間』のDVDを入手した。我ながら物好きである。
ということで、まずは『美女と液体人間』。これが三部作の一作目らしい。なんといっても、『美女と』がきいている。ナイスなB級感炸裂である . . . 本文を読む
『元気なぼくらの元気なおもちゃ』 ウィル・セルフ ☆☆☆★
イギリスの作家、ウィル・セルフの短篇集。この作家は柴田元幸のアンソロジー『夜の姉妹団』に『北ロンドン死者の書』という短篇が収録されていて私はこれが大好きなので、かなり期待しつつ入手した。
『北ロンドン死者の書』の印象から、スマートで軽やかでシュルレアリスティックな小説を書く人というイメージがあったが、本書を読んでイメージが変わ . . . 本文を読む
『The Brood』 David Cronenberg監督 ☆☆☆★
クローネンバーグ監督の初期作品『The Brood』をDVDで鑑賞。邦題は『ザ・ブルード/怒りのメタファー』と分かりやすい副題がついている。なかなか評価が高いようなので観たいと前から思っていたが、ようやく観ることができた。
これをクローネンバーグの最高傑作という人もいるようだが、私はそこまでとは思わない。初期だった . . . 本文を読む
『依頼人』 ジョン・グリシャム ☆☆☆☆
もともと自分も弁護士で、リーガル・サスペンスが得意という噂のジョン・グリシャムを初めて読んでみた。まー何つーの? ごく普通の娯楽小説なんだけど、確かに面白かった。優秀なページターナーだった。
主人公は十一歳の少年。自殺する直前の弁護士に捕まり、無理やりマフィアの秘密を聞かされる。弁護士は拳銃で自分の頭を撃ち抜く。というわけでFBIや検事は少年か . . . 本文を読む
『ミュンヘン』 スティーブン・スピルバーグ監督 ☆☆☆☆★
日系レンタルビデオで鑑賞。かなり重いと聞いていたので心して見始めたが、それほど陰鬱な映画ではなかった。もちろんテーマは重い。重厚な人間ドラマである。荘厳な悲劇を描き出した叙事詩的映画と言っていい。しかし映画としてのリリシズムがちゃんとあり、観終わった後にある種の甘美さを残すという、名画の要件を満たしているように思う。ジョン・ウィリ . . . 本文を読む
『Speak For Yourself』 Imogen Heap ☆☆☆☆
イモージェン・ヒープと読むらしい。バンドかと思ったら人の名前だった。変わった名前だ。音はエレクトロニカ系のポップだが、かなり屈折していて浮世離れしたようなところがある。声や歌い方はアラニス・モリセットに似ているが、多重録音による一人コーラスはまるでコクトー・ツインズやエンヤのようでヒラヒラと美しい。音響系のサウンド . . . 本文を読む
『最後の瞬間のすごく大きな変化』 グレイス・ペイリー ☆☆☆☆☆
アメリカの女流作家の短篇集を読了。訳者の村上春樹があとがきで絶賛している。「現存している中で、もっとも留保のない敬意を受けているアメリカ人作家の一人であると言って、間違いないと思う」「なぜ僕が訳すかという点については、『何はともあれ自分の手で訳さずにはいられなかったから』と答えるしかない」「グレイス・ペイリーの物語と文体には . . . 本文を読む
『鉄人28号』 冨樫森監督 ☆☆
レンタルビデオで鑑賞。うーん、面白くない。
レトロな感覚を狙ったのはまあいい。人間ドラマでも美術でも昭和っぽい匂いをぷんぷんさせているが、『鉄人28号』という名前からしてそういう路線になってしまうのは分かる。しかし、あののっぺりしたCGは何じゃろかい? プラモデルかと思った。ロボットが街中をドンドン地響き立てて歩いているのに重量感のかけらもない。ブラッ . . . 本文を読む