アブソリュート・エゴ・レビュー

書籍、映画、音楽、その他もろもろの極私的レビュー。未見の人の参考になればいいなあ。

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苦い蜜月

2016-11-28 22:56:57 | 
『苦い蜜月』 アルベルト・モラヴィア   ☆☆☆  先月日本に一時帰国した時にモラヴィアの初期短篇集を古本で入手した。モラヴィアは後期になるともっと幅が広くて傾向が見定めがたい短篇を書くようになるが、初期は明確な個性と傾向を持った、はっきりとモラヴィア印の短篇を書いている。それはもちろん『無関心な人々』や『倦怠』に共通する灰色の、荒涼とした、冷たくて乾いた不毛な世界である。個人的にはモラヴィアの . . . 本文を読む
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ゴジラの逆襲

2016-11-25 20:41:07 | 映画
『ゴジラの逆襲』 小田基義監督   ☆☆★  日本版DVDを購入して鑑賞。初鑑賞である。初期のゴジラシリーズでこれだけ観ていなかった。オリジナルの『ゴジラ』とこの『ゴジラの逆襲』だけがモノクロである。観ていなかったのはもちろん評判が悪いせいだ。こういうのは時間がたつと評価基準が変わって見直されたりすることもあるものだが、これはまあ、今回観ても大して出来ではないなという感じだ。ただし、初期ゴジラの . . . 本文を読む
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明智小五郎事件簿 2 「一寸法師」「何者」

2016-11-22 21:23:25 | 
『明智小五郎事件簿 2 「一寸法師」「何者」』 江戸川乱歩   ☆☆☆☆  明智小五郎の探偵譚を年代順に並べる、という趣向のシリーズ第二巻。初期の明智ものは好きだし、「何者」を読んだことがなかったので購入した。  「一寸法師」は子供の頃に読んだと思うがもはやさっぱり覚えていなかった。タイトル通り、こびとが登場する怪奇譚である。当然ながら現代では映像化不能だ。江戸川乱歩にはこういう作品が多いが、 . . . 本文を読む
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或る殺人

2016-11-19 08:34:33 | 映画
『或る殺人』 オットー・プレミンジャー監督   ☆☆☆☆  iTunesのレンタルで鑑賞。1959年公開、モノクロの法廷劇である。ジェームズ・スチュアート主演。約150分と、当時の映画にしてはかなり長い。  法廷劇なので、もちろん目玉は裁判シーン。扱われる事件は軍人が犯した殺人である。まだ若いこの軍人は妻をレイプされた直後、相手の男が働いているバーに乗り込んで男を射殺する。従って、誰が犯人かに . . . 本文を読む
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ねむり姫

2016-11-16 23:08:41 | 
『ねむり姫』 澁澤龍彦   ☆☆☆☆☆  久しぶりに再読。私が初めて読んだ澁澤龍彦の本がこれだったので感慨深い。エッセーと創作が入り混じったような柔らかくて自在な文章に驚いたものだが、今読んでもやはり新鮮である。最初の短篇集『唐草物語』と比べるとひとつひとつの短篇の物語性が増し、語りもブッキッシュなエッセーに近かったものから物語の語り部的なものへと変化している。より肩の力が抜け、遊び心が増し、作 . . . 本文を読む
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シン・ゴジラ

2016-11-13 22:35:11 | 映画
『シン・ゴジラ』 庵野秀明監督   ☆☆☆☆★  評判になっていた『シン・ゴジラ』を東京滞在中に観た。面白かったが、しかしこれは相当な変化球だな。  とりあえず過去のゴジラは全部なかったことにし、ゴジラという巨大生物出現を未曾有の災害ととらえ、その災害に日本政府がどのように対応するかを極力詳細にリアルに描写した映画である。この場合の「災害」には311をはじめ過去日本が被ったあらゆる自然災害が含 . . . 本文を読む
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最後の晩餐

2016-11-11 21:07:12 | 
『最後の晩餐』 開高健   ☆☆☆☆  開高健の本を読んだのは初めてである。この人は釣りをしたり美食をしたりアマゾンの奥地に旅行したり、ブッキッシュという言葉の対極にある体験型冒険家型の作家というイメージを勝手に持っているが、これもやはり食に関するエッセーである。とはいっても、何がおいしかったとかこんな味だったとかいうありきたりのグルメ紀行文でも薀蓄披露でもなく、「食」というものの根源をゴリゴリ . . . 本文を読む
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秋津温泉

2016-11-07 21:32:13 | 映画
『秋津温泉』 吉田喜重監督   ☆☆☆☆  日本版DVDを購入して鑑賞。しょーもないメロドラマかも知れない、と不安を抱きつつ観たらかなり良かった。好きな雰囲気である。メロドラマには違いないが、昔の良質な日本映画ならではの美しさがある。芸術品というより、職人の工芸品といった趣きだ。話のパターンは成瀬監督の『浮雲』と同じで、ダメ男を好きになりズルズル関係を続けてしまう女の哀しい人生を描く。主演は岡田 . . . 本文を読む
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イザベルに -ある曼荼羅-

2016-11-04 23:56:28 | 
『イザベルに -ある曼荼羅-』 アントニオ・タブッキ   ☆☆☆☆☆  アントニオ・タブッキの没後に出版された『イザベルに』を再読。一度読み、しばらく時間をおいてもう一度読んだ。タブッキはいつもそうだけれども、一回目に読んだ時より二回目の方が味わい深く感じる。当然のことながら、これが最後のタブッキ作品と思えばまた感慨はひとしおだ。ただし日本人の読者として言うならば、まだ翻訳されていない作品がある . . . 本文を読む
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Seven Days of Falling

2016-11-01 00:32:22 | 音楽
『Seven Days of Falling』 Esbjörn Svensson Trio   ☆☆☆☆☆  「エスビョルン・スヴェンソン・トリオ」と読む。略してE.S.T.と表記されることも多い。と思っていたら、WikipediaにはE.S.T.が正式バンド名と書いてある。まあいいだろう。スウェーデンのジャズトリオで、構成はピアノ、ベース、ドラムである。1993年に結成されて活動していたが、2 . . . 本文を読む
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