『容疑者Xの献身』 東野圭吾 ☆☆☆☆
一気読み読了。『さまよう刃』に続く東野圭吾である。例によってシンプルで明快な設定にたちまち引き込まれる。東野圭吾を読むといつも思うことだが、この人の小説の設定はいつも明快で、ごちゃごちゃ入り組んでいない。すばやく読者を物語の核心へ案内する。だから読者は最初に設定を飲み込んだ後は、安心して物語に集中することができる。
本書でも導入部は非常にテンポ良 . . . 本文を読む
『スター・ウォーズ ジェダイの帰還』 リチャード・マーカンド監督 ☆☆☆
旧三部作の完結篇にして、全六部作の完結篇でもあるという想定外の重責を担わされることになった『ジェダイの帰還』。マーカンド監督はさぞやお喜びであろう。昔は『ジェダイの復讐』だったが、知らないうちに『ジェダイの帰還』になっている。
スター・ウォーズ・ファンの間では、旧三部作中もっとも出来が悪いとされているらしい。まあ . . . 本文を読む
『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』 アービン・カーシュナー監督 ☆☆☆
帝国の逆襲。『新たなる希望』で農夫上がりの若輩パイロットにいいようにやられてしまった帝国軍、名誉挽回とばかりに大奮戦である。まあ、ここで帝国の強さを見せとかないと三作目が盛り上がらないというシリーズものの都合がミエミエなのだが、一作目とはまた違った展開の新鮮さでなかなか悪くない。中途半端な終わり方にもかかわらず、旧三部作 . . . 本文を読む
『スター・ウォーズ 新たなる希望』 ジョージ・ルーカス監督 ☆☆☆★
先日『エピソード3』のDVDを買った後、つい衝動的に旧三部作のボックスセットを購入してしまった。レンタルですませてもいい感じだったのだが、ま、いいか。
これがいちばん最初の『スター・ウォーズ』。う~ん、なつかしい。シリーズ中唯一、単発作品として通用する作りになっていて、非常に全体のバランスが良い。分かりやすい神話的な . . . 本文を読む
『不幸な子供』 エドワード・ゴーリー ☆☆☆☆
シャーロットという可愛らしい女の子が次々と悲惨な目にあい、最後は死んでしまう。それだけの話である。それだけ、というのが凄い。
途中まではイギリスの児童文学やディケンズにありがちな、裕福で幸福だった子供が不幸の連鎖に巻き込まれていく物語のパターンを踏襲している。死んだはずのお父さんが生きて帰ってきて、シャーロットを探し始めるあたり、いかにも . . . 本文を読む
『天使のナイフ』 薬丸 岳 ☆☆☆★
『さまよう刃』に続いて、やはり少年法をテーマにした本書を読了。本書で江戸川乱歩賞を受賞してデビューした新人作家さんの作品だ。同じテーマでも全体の印象はかなり違う。
『さまよう刃』は、少年法によって罰されなかった犯人に被害者の父親が復讐するという直球勝負のストーリーだったが、本書はもっと入り組んだ話になっていて、物語の真実の姿は最後に謎解きされるまで . . . 本文を読む
『さらば、わが愛/覇王別姫』 チェン・カイコー監督 ☆☆☆☆
日本版DVDを購入して鑑賞。観る前は知らなかったが、三時間の大長編映画だった。内容的にも、まさに大河ドラマというにふさわしい物語で、かなり見ごたえがあった。
レスリー・チャンという人気俳優が女装している映画というぐらいの知識しかなかったが、要するにこれは中国の京劇の世界を舞台に、役者(男)二人と女一人の愛憎渦巻く三角関係をど . . . 本文を読む
『長いお別れ』 レイモンド・チャンドラー ☆☆☆☆★
高校生か大学生の頃に読んでそれきりだったので再読。当時は本格ミステリ・ファンだったのであまり印象に残らなかったが、今読むとメチャメチャ沁みる。本格ものには真似のできない芳醇さである。やはりチャンドラーは良い。
フィリップ・マーロウの名前を知らない人はあまりいないと思うが、例の「タフでなければ生きていけない、優しくなければ生きている価 . . . 本文を読む
『ユージニア』 恩田陸 ☆☆☆
友人から借りて読了。確かに物語は面白かったが、この人の少女漫画的な耽美趣味みたいなものが私はどうも苦手で、それがマイナスポイントになってしまう。前に『三月は深き紅の淵を』を読んだ時もかなりひいた。この作品はかなり評価が高いようで、直木賞候補にもなったらしい。だからこれは私の個人的な偏向なのだろう。
なかなか面白いし、うまいとは思う。異なる人々のインタビュ . . . 本文を読む
『半落ち』 横山秀夫 ☆☆☆☆
文庫が出ていたので買った。映画を観ていたのでどんな話かは知っていたが、あらためて読んでも充分面白かった。というより、やっぱり本の方が映画より面白い。
アルツハイマーの妻を殺した実直な警察官が自首してくるが、犯行後の二日間の行動だけは供述を拒む。いかなる説得もはねつける。だから「完落ち」じゃなくて「半落ち」。おまけに、どうやらあと一年たって五十歳になったら . . . 本文を読む