『RED』 ロベルト・シュヴェンケ監督 ☆☆☆
うーん。ブルース・ウィリスのアクションものは結構好きだし、評判も良いみたいなので期待してDVDを購入したのだが、微妙。クール、またはハードなアクションものではなく、どっちかというとオチャラケが入った奇想天外、お祭り騒ぎ系のアクションである。
最初はとてもアクションものとは思えない雰囲気で始まる。広い家に一人で住むブルース・ウィリスが小切手 . . . 本文を読む
『Silver Pony』 カサンドラ・ウィルソン ☆☆☆☆☆
最近ジャズ系で気に入っているアーティスト、カサンドラ・ウィルソンをご紹介したい。といっても新人さんではなく、1990年頃から活躍してグラミー賞も獲っているベテランである。私が知らなかっただけ。ミシシッピ州出身の女性ジャズ・ヴォーカリストで、ブルージーな低音の歌唱を特徴とし、ジャズに限らずポップソングのカバーなどもやっている。
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『冬の夢』 スコット・フィッツジェラルド ☆☆☆★
村上春樹訳のフィッツジェラルド短編集を再読。函入りである。和田誠のイラストをあしらった装丁が大層チャーミングだ。収録作品は以下の通り。
「冬の夢」
「メイデー」
「罪の赦し」
「リッツくらい大きなダイアモンド」
「ベイビー・パーティー」
村上春樹はこれを「若き日の名作集」として編んだとあとがきに書いている(そのうち「晩年の名作集」も . . . 本文を読む
(前回からの続き)
キャスト以外にも色々と改善の工夫がなされているが、それらが改悪にならずにきちんと的を得た効果を上げているのは、やはり原作者の山崎豊子が相談役として関与していたせいかも知れない。前述したように花森ケイ子のキャラ設定が大幅に変えられているのもそうだし、他にも、たとえば里見医師の助手として働く医局員が新たに追加されている。この医局員は里見に心酔しているので、彼が聞き手になることで . . . 本文を読む
『白い巨塔~浪速大学医学部教授選篇』 ☆☆☆☆☆
『白い巨塔』全5巻を再読し、映画も再見したらどうしてもまた田宮二郎版のテレビドラマを観たくなり、とうとうDVDをワンセット入手した。アマゾンではもはや品切れとなり、DVDボックスが中古で数万円の値段がついているようだが、うまいこと安く入手できたのである。以前観た時は田宮二郎をはじめとするキャストの素晴らしさが今ひとつ良く分かっていなかったの . . . 本文を読む
『海辺のフィアンセたち』 ミシェル・トゥルニエ ☆☆☆☆☆
再読。帯には「小説の魔術師が贈る エロティックでユーモラスな 61の物語」とある。61とはずいぶん多いな、と思いながらこれを短編集と思って手にとった読者は、なんだ、これはエッセーじゃないか、と言うかも知れない。これを「物語」と書いた出版社の担当者はかなり迷ったんじゃないかと思う。物語といえば普通ストーリーのことで、この本に収められ . . . 本文を読む
『Spirits Having Flown』 Bee Gees ☆☆☆☆
ビージーズの曲を最初に耳にしたのは、多分映画『小さな恋のメロディ』のサウンドトラックだったと思う。そしてご多分に漏れず、「メロディ・フェア」「イン・ザ・モーニング」「若葉のころ」といった瑞々しい曲の数々にやられた。優しくきれいなメロディとハーモニー、アコースティックで繊細なアレンジ、そして印象的なバリー・ギブの歌声に . . . 本文を読む
『マスカレード・ホテル』 東野圭吾 ☆☆☆★
マンハッタンの紀伊国屋で平積みになっているのを見かけ、休日の一気読み用に買ってきた東野圭吾の新作。予定通り、翌日一気読み読了した。何でも今年は作家生活25周年記念ということで、第一弾が加賀恭一郎シリーズ新作(『麒麟の翼』)、第二弾がガリレオシリーズ新作(『真夏の方程式』)、そして第三弾が新ヒーロー登場の新作、という三段構えの企画をやっているらし . . . 本文を読む
『JUNKTION』 オフコース ☆☆☆☆
オフコース5枚目のスタジオ・アルバム。アコースティック時代最後の頃のアルバムで、この後オフコースは急速にエレクトリック化が進んでいく。
しかしこのアルバムはオフコースのアルバムの中でもかなり特色がある一枚で、異色作といっていいんじゃないか。まず何と言っても、鈴木康博色が前面に出ていること。他のアルバムはどれも小田和正色が勝っているが、これだけ . . . 本文を読む
エレベーター・ガール
その頃、ぼくが働くオフィスは臨海副都心に立つビルの高層階にあった。ビルはまだ新しく、主要な部分のほとんどがガラスでできていた。遠くから眺めるとそれは薄青い蜃気楼みたいに美しかったし、同時に幻想的と言っていいくらい現実ばなれして見えたのだけれど、近づいて間近に見上げるとそうした審美的な陶酔はたちまち消え去り、不安と恐怖感がそれにとって変わった。ぼくは高 . . . 本文を読む