『ホテル・カリフォルニア』 イーグルス ☆☆☆☆☆
ご存知、イーグルスの代表作。タイトル・チューンの「ホテル・カリフォルニア」を聴いたことがない人はまずいないだろう。別にイーグルスのファンでもないしウェスト・コースト・ロックに詳しいわけでもない私だが、この曲だけは子供の頃から知っている。哀愁漂う12弦ギターのイントロ、ドン・ヘンリーのハスキー・ヴォイス、「Welcome to the ho . . . 本文を読む
『愛人』 マルグリット・デュラス ☆☆☆☆☆
デュラスの代表作、『愛人』を読了。読み終えてから思った。しまった、これを最初に読むべきだった。
実は大学生の頃ある人にこの本を薦められ、借りたのだが、自伝的な恋愛ものという先入観で今ひとつ気が進まず、結局読まないまま返してしまったのだった。その後デュラスは『モデラート・カンタービレ』をはじめ何作か読んだが、これだけは読んでいなかった。私はど . . . 本文を読む
『ずっとあなたを愛してる』 フィリップ・クローデル監督 ☆☆☆☆
これは『リンさんの小さな子』のフィリップ・クローデルの初監督作というので、ずっと観たいと思っていた映画である。DVDが出ていたのを知って英語版を購入した。英語版のタイトルは『I've Loved You So Long』。映画の宣伝によれば、隠された真実が最後に明らかになるというミステリ的な構成になっているらしい。『リンさん . . . 本文を読む
『その時は殺され…』 ロドリゴ・レイローサ ☆☆☆☆
グアテマラの作家、ロドリゴ・レイローサの中篇を読了。コンパクトにまとまった小ぶりの作品なのであっという間に読める。
なかなか不思議な小説である。個性的で面白いが、どこか微妙に物足りない気もする。小説の雰囲気はノワール風であり、グアテマラの政治的現実を告発する社会派風でもある。幻想小説ではないが、徹底したリアリズムというよりどこか夢 . . . 本文を読む
『Shutter Island』 Martin Scorsese監督 ☆☆☆
しばらく前に、ニュージャージーの映画館で『シャッター・アイランド』を観てきた。暇つぶし目的だったためほぼ予備知識はゼロ、スコセッシ監督の映画だということすら知らなかった。エンド・クレジットでマーチン・スコセッシの名前が出てきて「へえ、これスコセッシ監督の映画だったのか」とびっくりしたぐらいだ。スコセッシとデカプリオ . . . 本文を読む
『不運な女』 リチャード・ブローティガン ☆☆☆☆☆
以前さっと斜め読みしただけだった『不運な女』を再読。いつもにもまして淡々としたとりとめのない作品で、初読時はあまり印象に残っていなかったが、今回じっくり読んで見事な小説だと認識を改めた。これはブローティガンの死後に発見された原稿で、評価は割れているらしい。それは良く分かる。酒にたとえれば端麗きわまりない、ほとんど真水に近いような味わいの . . . 本文を読む
『Law Abiding Citizen』 F. Gary Gray監督 ☆☆☆
レンタルDVDで鑑賞。Law Abiding Citizen。聞き慣れない言葉だが、法律を守る市民、という意味らしい。ストーリーは一種の復讐譚で、妻と娘を殺された男がスパイとしての特殊技能を駆使して犯人と、犯人を釈放した司法関係者一同に復讐する。というとありがちな感じだが、わりと変化球的な趣向を凝らしてある。 . . . 本文を読む
『マラマッド短篇集』 バーナード・マラマッド ☆☆☆☆
1月に日本の実家に帰った時に柴田元幸訳の『喋る馬』を買おうとして、「そういえばマラマッドの短篇集は実家の本棚にあったな」と思い出し、買うのを止め、アメリカに持ち帰って来たのがこれ。相当古い。確か私が中学生の頃に買った本だ。当時はそれほど強い印象はなかったが、読み返してみるといくつかの短篇は今でも覚えていた。
叙述は全部三人称で、ど . . . 本文を読む
『イングロリアス・バスターズ』 クエンティン・タランティーノ監督 ☆☆☆★
タランティーノ監督の最新作をようやくDVDレンタルで鑑賞。戦争中の話である。舞台はナチス占領下のフランス。とはいえ、これは全然戦争映画ではない。タランティーノ映画以外何物でもない、というシロモノだ。この一見して明らかな独特のスタイルはやっぱりすごいと思う。
何がそんなに独特かというと、まず映画をストーリーで見せ . . . 本文を読む
『金剛石のレンズ』 フィッツ=ジェイムズ・オブライエン ☆☆☆★
アイルランド生まれながら19世紀半ばのアメリカで活躍した作家、フィッツ=ジェイムズ・オブライエンの短篇集を読了。普通の小説も書いたらしいが、この短篇集は幻想小説ばかりを集めてある。訳者は大瀧啓裕氏で、ディックの『ヴァリス』なんかを訳している人だが、ちょっと彼のあとがきから引用してみよう。
「その名作を一作でも丹念に読めば、 . . . 本文を読む