『Passion』 Peter Gabriel ☆☆☆☆☆
パッション、というと最近はメル・ギブソンの映画が有名だが、これはピーター・ガブリエルのサントラのこと。映画は邦題が『最後の誘惑』、ウィリアム・デフォー主演のキリスト映画である。映画もなかなか評判が良いようだが、私はまだ観たことがない。いつか観てみたい。
さて、サントラの方は私の大昔からの愛聴盤にして大傑作である。サントラだと思 . . . 本文を読む
『メドゥーサの血―幻想短篇小説集』 ホセ・エミリオ・パチェーコ ☆☆☆★
前に買って、中途半端なところで読むのを止めていた本だが、最初から読み直した。メキシコの詩人、小説家パチェーコの短篇集。
この人は中篇『砂漠の戦い』の作者と同じ人だった。『ラテンアメリカ五人集』の中に入っていて、わりと印象的な小説である。友人の母親に恋をする少年の切ない物語。
本書は幻想短篇集ということで、『砂漠 . . . 本文を読む
『一年間』 コリン・ブランストーン ☆☆☆☆★
ゾンビーズのヴォーカルだったコリン・ブランストーンの初ソロ作。71年発表。ゾンビーズが売れなかったため、バンドを抜けたコリンは保険の外交員をやっていたらしい。それが『Time of the Season』のヒットでまた音楽業界に戻ってくることができたわけだ。日本語盤ライナーノーツはピチカート・ファイヴの小西康陽が書いていて、このアルバムに対す . . . 本文を読む
(昨日からの続き)
ところで、この物語の「悪役」である浅倉大佐は「国家の切腹を断行する」と言って東京に原爆を落とそうとする。映画『ローレライ』でもこの設定はそのままだったが、意味が分からないということでかなり不評だったようだ。
原作では浅倉の思想と、それに至る経緯が詳細に書かれているので映画よりましだが、それでも分かりやすいとは言えない。この小説は他の部分は冒険ものとして分かりやすい王道 . . . 本文を読む
昨日の続き。ネタばれあり。
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そして、終盤はもう怒涛のように盛り上がる。名場面のオンパレードである。次々と奇策を繰り出し、絶対絶命の状況から活路を切り開いていく伊507を舞台に、命をかけた人間達の濃密なドラマが繰り広げられる。
そして伊507は敵空母の真横に浮上し、原爆を搭載して飛び立ったB-29を主砲で撃墜する。唖然として見下ろ . . . 本文を読む
『終戦のローレライ』 福井晴敏 ☆☆☆☆☆
映画『ローレライ』を観てまた原作を読みたくなり、再読。やっぱり傑作だった。しかも最初読んだ時は大長編であるが故のゆったりした序盤の展開(征人と清永が広島で自由時間を過ごすあたり)にちょっと退屈さを感じたりもしたが、今回は再読であるが故にそんなこともなく、その後展開するドラマを知りながら物語の流れに身をゆだねる快感に浸ることができた。
この小説 . . . 本文を読む
『The Bourne Identity』 Doug Liman監督 ☆☆☆☆
『The Bourne Supremacy』に続き、『The Bourne Identity』のDVDを購入。購入順序としては逆になってしまった。まあ両方とも公開時に映画館で観ているのだが。
それにしてもWidescreen版を手に入れるのに苦労した。米国ではテレビサイズのいわゆるStandard版の方が断 . . . 本文を読む
『Featuring Miles Davis - The Best Of The Dial Years』 Charlie Parker ☆☆☆☆☆
チャーリー・パーカーの音楽が持つ輝きには独特のものがある。それはまさに輝きというべきものであって、迫力とか、深さとか、崇高さとか、渋さとか、凄ささとかいうより、「輝き」という言葉が一番ピッタリくる気がする。
チャーリー・パーカーはどれを聴いて . . . 本文を読む
『髪結いの亭主』 パトリス・ルコント監督 ☆☆☆☆☆
私を熱烈なルコント・ファンにしてしまった作品である。その後ルコントの映画を観まくったが、これを越える作品には出会えなかった。
この作品も、ルコントの他の作品と同じように現代のおとぎ話的なテイストがある。どこか人を食った、現実ばなれしたところがある。おまけにユーモラスで、エロティックで、ロマンティックで、ファンタジックで、エキゾチック . . . 本文を読む
『ひこうき雲』 荒井由実 ☆☆☆☆
私はユーミンはあんまりちゃんと聴いたことがない。日本にいた時はどこへ行っても(特にリゾート地)耳にしたし、そうやって聴いた限りではそれ以上聴き込みたいという気が起きなかったからである。しかし昔ラジオから『あの日に帰りたい』が流れてきた時のインパクトは覚えている。そして、その時の印象と私があちこちで聴くユーミンの曲の印象とは長い間一致しなかった。
ちょ . . . 本文を読む