『この世界の片隅に』 片渕須直監督 ☆☆☆☆☆
昨年日本で公開され、絶賛されたという噂のアニメ『この世界の片隅に』を、ようやくレンタルDVDで鑑賞することができた。なるほど、これは傑作である。第二次世界大戦の前から終戦後まで、呉市で暮らすある市井の家族の暮らしぶりを描く。ポイントは、これは戦争映画ではなく、戦争を背景としたホームドラマだということである。主人公は戦場で戦う男たちではなく、家 . . . 本文を読む
『かぐや姫の物語』 高畑勲 ☆☆☆☆
日本版ブルーレイで鑑賞。さすがに丁寧に作られた、魂のこもったアニメーションという印象だ。ただし、宮崎駿作品のように尖った感性で突っ走るというより、監督の美意識と、大勢の観客に受けられるための配慮と、文部省推薦的な健全さがバランスよく配置されたウェルメイドな作品だと感じた。別に悪い意味ではなく、万人受けするアニメーションとして制作され、正しく目標が達成さ . . . 本文を読む
『イリュージョニスト』 シルヴァン・ショメ監督 ☆☆☆☆☆
傑作『ベルヴィル・ランデブー』のシルヴァン・ショメ監督の新作アニメーション。ジャック・タチが遺した脚本がベースになっているそうだが、私はタチ監督の映画を観たことがないので、それについてはなんともコメントできない。本作の主人公である老いたイリュージョニストは、仕草や立ち振る舞いなどタチ監督が作中で演じるキャラクターを意識しているらし . . . 本文を読む
『不思議の国のアリス』 クライド・ジェロニミ/ハミルトン・ラスク/ウィルフレッド・ジャクソン監督 ☆☆☆☆☆
ディズニーの傑作アニメ『不思議の国のアリス』をブルーレイで再見した。
前にも書いたが、私はディズニーのアニメではこの『不思議の国のアリス』が一番好きで、次が『美女と野獣』である。ディズニーアニメは基本的に子供向けなので、傑作と言われるものでも大人が鑑賞するには物足りなさを感じる . . . 本文を読む
『紅の豚』 宮崎駿監督 ☆☆☆☆★
宮崎駿監督の『紅の豚』の日本版ブルーレイを購入して再見。『天空の城ラピュタ』をブルーレイに買い換えたところかなり画質が向上していて非常に良かったので、味をしめて『紅の豚』も入手した。
個人的には結構気に入っているこの『紅の豚』、物語ははっきりいって小粒である。主人公のマルコは人間なのになぜか豚に変身したパイロットで、ファシズムが蔓延するイタリアとイタ . . . 本文を読む
『風立ちぬ』 宮崎駿監督 ☆☆☆☆☆
宮崎駿監督の最終長編アニメとなった『風立ちぬ』を日本語DVDで鑑賞。宮崎駿のアニメとなればアメリカでも映画館で上映するわけで、私も一応鑑賞済みだったが、英語吹き替えではないオリジナル・バージョンを観たのは今回初めてだ。
いやー、堪能した。素晴らしい。宮崎駿渾身の力作であり、文句なく大傑作である。とりあえず映像があまりにも素晴らしい。信じがたい風、空 . . . 本文を読む
『美女と野獣』 ゲイリー・トゥルースデイル/カーク・ワイズ監督 ☆☆☆☆
ディズニーの『美女と野獣』をDVDで再見。これは日本でもアメリカでもかなりヒットして話題になり、普段はディズニー映画を映画館に観に行ったりしない私も行った記憶がある。そして予想以上に面白かった。私はディズニー映画で一番好きなのは昔も今も『不思議の国のアリス』なのだけれども、それに次いで好きなのは多分この『美女と野獣』 . . . 本文を読む
『009 RE:CYBORG』 神山健治監督 ☆☆
子供の頃マンガで『サイボーグ009』を読み倒した私としては、やっぱりこれを観ないわけにはいかなかった。キャラデザを一新してTV版『攻殻』をやった監督さんが手がけたという『009 RE:CYBORG』、押井風になっているという噂に不安を感じながらもそれなりのワクワク感を持って観賞した。ちなみにTVアニメの009はYouTubeとかレンタルで . . . 本文を読む
『おおかみこどもの雨と雪』 細田守監督 ☆☆
『時をかける少女』の細田監督のアニメをブルーレイで観た。評判が良さそうだったので購入したのだけれども、正直なところ期待はずれだった。しかし大勢の人々がこのアニメで感動したようだし、特に子供を持つ親の立場の人がこれを観ると感動するだろうということは私にも分かる。そういう方々の気持ちにあまり水をかけたくはないので、今回は簡単に、心覚え程度に書いてお . . . 本文を読む
(前回からの続き)
そしてどうしてもこれに触れないわけにはいかない、初期数話における峰不二子の妖艶さ。もう鼻血もんである。子供の頃、第一話で不二子がスコーピオンに捕まり、台の上に縛りつけられて胸元をはだけさせられる場面で大興奮したのは私だけではあるまい。そしてもちろん、主人公を手ひどく裏切る酷薄なヒロイン、ファム・ファタル的ヒロインというのは当時のアニメとしては斬新だったに違いないし、またそう . . . 本文を読む