ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『2007 無人島に2週間。フォーンと行くならこの14本』

2007-12-30 16:00:07 | 映画
----さて2007年の総ざらい。
今年は、どのアプローチでいくのかニャ。
確か、去年は
『2006 無人島に行くならこの10本』
だったよね。

「うん。今年はここで喋らなかった以外にも観ているから、
例年にもなく母数が大きすぎて、
なかなか絞りきれなくて…。
いくつか候補を出しただけでも、
あっという間に軽く40本は超えてしまった。
そこで少し細かくブレイクしてみたんだ。
でも難しくて今年は『2007 無人島に2週間。フォーンと行くならこの14本』
ちょっと滞在を長くしちゃったけどいいかな」


----まあ、いいけどその間、退屈させないでね。

「うん。じゃあ、まずはサクッとタイトルだけ。


●1日目●2007年裏ベスト-------------------------------------『ボビー』
●2日目●さすが巨匠!ウムを言わせぬ160分-------------『ディパーテッド』
●3日目●やってくれました2007年の新鋭-----------------『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』
●4日目●笑って笑ってオバカ映画-------------------------- 『俺たちフィギュアスケーター』
●5日目●唖然、呆然、鬼才の“毒”演----------------------『絶対の愛』
●6日目●自国の歴史を見つめる------------------------------『善き人のためのソナタ』
●7日目●映画と青春、青春と映画-------------------------- 『グミ・チョコレート・パイン』
●8日目●喪失と救済------------------------------------------- 『再会の街で』
●9日目●幸せなら歌歌おう------------------------------------『ラブソングができるまで』
●10日目●エロスの誘惑----------------------------------------『リトル・チルドレン』
●11日目●年齢なんて知らないよ---------------------------- 『やわらかい手』
●12日目●名画座に行ったつもりで------------------------- 『ボビーZ』
●13日目●いつかはやると思ってた------------------------- 『サッド ヴァケイション』
●14日目●2007年表ベスト-----------------------------------『河童のクゥと夏休み』



なあんて選んでみたけど、
やはり悩んじゃうなあ。
たとえばここにあげた以外でも

「●2日目●さすが巨匠!ウムを言わせぬ160分」
長時間飽きさせないということでは『ゾディアック』『バベル』
『ブラッド・ダイヤモンド』も入れたくなっちゃう。
「●4日目●笑って笑ってオバカ映画」は差別表現に一石を投じた『リンガー!替え玉★選手権』
それに『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』も過激だったね。
「●5日目●唖然、呆然、鬼才の“毒”演」は日本だと『エクステ』『松ヶ根乱射事件』
「●6日目●自国の歴史を見つめる」は同じくドイツ映画の 『4分間のピアニスト』
の他に『約束の旅路』『あなたになら言える秘密のこと』『サラエボの花』も忘れがたい。
イギリスの『クィーン』やオランダの『ブラックブック』もこの範疇かな。
『それでもボクはやってない』は歴史というよりも現在の裁判制度を見つめた中で、
日本が抱えるさまざまな問題を浮き上がらせてくる。
「●9日目●幸せなら歌歌おう」は『ドリームガールズ』もあったっけ。
「●10日目●エロスの誘惑」は見方によっては『あるスキャンダルの覚え書き』
それに『ラストキング・オブ・スコットランド』も、そうとも言える。
「●11日目●年齢なんて知らないよ」は“男性版”として
『世界最速のインディアン』も入れたいところ。
少年が主人公の映画ではハードボイルドなその生きざまに敬意を表して 『この道は母へとつづく』
「●13日目●いつかはやると思ってた」は 『クワイエットルームにようこそ』の松尾スズキもかな」


----あれれ、お得意の青春映画は…?

「もう、これはいっぱいありすぎて…。
これだけで別のベスト10ができちゃう。

『グミ・チョコレート・パイン』のほかに
『あしたの私のつくり方』
『恋する日曜日 私。恋した』
『キャプテン』
『バッテリー』
『天然コケッコー』
『ディセンバー・ボーイズ』


---分かった分かった、もういいよ(笑)

フォーンの一言「しかし、映画ってほんといろいろあるニャあ」
身を乗り出す

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『胡同の理髪師』

2007-12-29 22:39:04 | 新作映画
(原題:剃頭匠 The Old Barber)


----胡同って中国にあるんだよね。
「うん。読みはフートン。
古い家屋が建ち並ぶ北京の一角にね。
この映画はそこで暮らす
93歳になる老理髪師チン爺さんの毎日を描いたもの。
彼は12歳から見習いとして働き始め、
このチン爺さん、
かつては、当時北京を占領していた日本軍の官僚や
京劇大師など、多くの著名人の理髪を手がけたこともあるらしい」

----93歳の役を演じるなんて、俳優を探すのが大変そうだニャあ。
「それがなんと、この映画は実話に基づいていて、
主人公のチン爺さんを、当のチンさん自身(チン・クイ)が演じているんだ」

----そ、それはスゴいニャあ。
「でしょ。
この映画はチン爺さんの日常をとおして
オリンピックを間近に控えた北京、
その失われゆくものを見つめ、
開発ということの持つ意味、しいては人生そのものを
声高にではなく問いかけてはいるんだけど、
ぼくにとってはそういうテーマ的な部分よりも、
申しわけないけど、
自分が自分を演じるということ、
そちらの方が興味深かった」

----う~ん。そうだよね。
俳優って、自分の嫌な部分が出てしまうから
自分とはまったく違う方が演じやすいというものね。
「まあ、彼はアマチュア俳優なわけだけど……。
それと、もう一つ不思議なのが、
この映画、どこまで脚色されているのかということ。
このチン爺さんというのは、
いまや北京の著名人らしく名声を慕って“観光客”もやってくるらしい。
そんな彼のエピソード、そして
『佐賀のがばいばあちゃん』ばりに次から次に飛び出す語録の
どこまでがフィクションで
どこからが彼自身のものなのか?
もし、そのほとんどがフィクションだったとしたら、
素のチン・クイはどこまでその創作を許したのか?
そういうことを考え出したら、
ちょっと、眠れなくなって…」

----それは大げさだニャ(笑)。
「さすがにバレたか。
あっ、この映画にも黒猫さんが登場。
フォーンとは違って凛々しいから、
それも注目だね」

----ヒドいニャあ。

         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「古い街並、なぜ壊すのかニャあ」小首ニャ

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『ペネロピ』

2007-12-27 18:26:07 | 新作映画
(原題:PENELOPE)

-----この人、クリスティーナ・リッチだよね。
なんで顔隠しているの?
これって寒いところのお話?
「いやいや。顔というよりも正しくは“鼻”、そして“耳”かな。
実は、彼女は豚の鼻と耳を持っているんだ」

-----豚?それはまた突飛な話だニャあ。
どうしてそんなことになったの?
「彼女の先祖のひとりが
使用人のクララに手を出して妊娠させて、
でも結局は捨てて名家の娘と結婚。
哀しみのあまりクララが崖から身を投げたその夜、
クララの母親が魔女となって屋敷に姿を現す。
そして一家に復讐をするため彼女がかけた呪いで
ペネロピ(クリスティーナ・リッチ)はこういう顔になった-----
と、こういうわけだ」

------あちゃあっ。豚(トン)だ迷惑だニャあ。
でも、なぜペネロピに?
それまではだれにも
その呪いはかからなかったの?
「うん。
その呪いは“次に生まれる娘”にかかるようになっていたんだね。
ところが、この家に生まれたのはずっと男の子ばかり。
実は一回、女の子も生まれたんだけど、
彼女は豚の鼻と耳じゃなかったことから
その母親の不倫がバレてしまうというおまけ付き」

------それは、また凝った話だニャあ(笑)。
「さて、ペネロピはこの鼻と耳のおかげで、
生まれてすぐ亡くなったことにされ、
屋敷の奥で隠れて暮らざるをえなくなった。
しかしペネロピが18歳の誕生日を迎えてからは、
呪いを解くには“真実の愛”が必要ではないかと、
そう考えた母親のおかげで
ペネロピは何人もの花婿候補とお見合いを続けさせられる。
でも、ペネロピの顔を見たとたんに
相手の男はみんな恐怖に叫んで、
逃げ出してしまう。
いつもはすぐに捕まえて口止めの契約を結ばせるんだけど、
ある日、ついにエドワードという男を取り逃がしてしまう。
そこに昔から“豚の顔”のスクープを追っていた記者レモンが現れ、
名家生まれで今は落ちぶれたギャンブラーに成り下がったマックスを使って
証拠写真を撮ろうとするんだ」

----ニャんだか、ややこしい話だね。
さっきからストーリーばかり喋っている…。
「う~ん。そうでもないよ。
後は想像つくと思うけど、
物語は、このマックスとペネロピの恋の話に。
そしてついにペネロピ、外へ!という展開だ」

----ニャるほど。
マックスはジェームズ・マカヴォイだっけ?
「そう、『ナルニア国物語 第1章・ライオンと魔女』 のフォーン。タムナスさん。
あと、途中からなんとリース・ウィザースプーンが出てくる。
この映画、実は彼女が製作に関わっているんだ」

----へぇ~っ。リース・ウィザースプーンと
クリスティーナ・リッチって不思議な組み合わせ。
「うん。クリスティーナ・リッチって子役出身だけど
『バッファロー′66』や『モンスター』 『ブラック・スネーク・モーン』など、
アクの強い映画が多くなっていたからね。
こんな純粋に楽しめる作品は珍しい」

----でも普通の恋愛映画じゃなくて
“豚”さんをやるところが彼女らしくない?
「うん。こんな不細工メイクしても
やはり美人であることは隠せない」

----クリスティーナ・リッチ、
それが分かっていて、オファーを受けたのかもニャあ。



         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「人は見かけじゃないのニャ」もう寝る


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『L change the World』

2007-12-24 15:01:50 | 新作映画
-----この映画は『デスノート 前編』
『デスノート the Last name』のスピンオフだよね。
「そう。この2本で大ブレイクした松山ケンイチのL。
その最期の23日間を描いた作品なんだ。
続編映画でLがデスノートに自分の名前を書いたことは覚えているよね」

-----うん。じゃあ、この映画には
その2本の映画に出た人たちは出てこないの?
「いや。そんなことはないよ。
ワタリ(藤村俊二)はもちろんのこと、
南空ナオミ(瀬戸朝香)やFBI捜査官レイ(細川茂樹)、
それに弥海砂(戸田恵梨香)、
さらには驚いたことにリューク(中村獅童)まで出てくる。
あっ、夜神月(藤原竜也)も少しだけね」

------ふうん。でも、今回は
彼らがみんないなくなってからのお話だよね?
「そう。お話は完全オリジナル。
なんと『アウトブレイク』を思わせるウィルスがからんでくる」

------ウィルス?
「うん。エボラウィルスの凶悪さと
インフルエンザの感染性を併せ持った
史上最悪のウィルスを使ったバイオテロ。
その抗ウィルス剤争奪をめぐるお話だね」

----そういえばいま、注目の福田麻由子も出ているんだよね。
「うん。彼女は売れっ子だね。
『犬と私の10の約束』を観た後だけに、
その演技の幅には驚いたね。
監督が中田秀夫だからってこともあるだろうけど、
父(鶴見辰吾)の死を怨む目つきなんて
まるでホラー映画みたい。
そうそう、ホラーと言えば
その鶴見辰吾の死の演技もスゴい。
もうゾンビ顔負け。
本人いわく『貞子に勝るインパクト……』」

----ニャるほど。
そうか、中田秀夫って『ザ・リング2』でハリウッド進出した監督だよね。
何か変化は見られた?
「この日、監督本人の舞台挨拶があって、
撮影にハリウッドシステムを取り入れたらしい。
それまでは絵コンテを描いて、
カットを割って撮っていくと言う“ストイック”な方法。
でも、ハリウッドではいろんな角度から撮って、
後でそれを繋ぎ合わせる。
この映画では冒頭のタイロケ、
そしてクライマックスの空港で
それが使われているので、観てほしいということだった」

----へぇ~っ。タイまでロケに行ったんだ。
「うん。タイのある村でウィルスが発生。
感染者の血液だけを採取して村全部が焼きつくされる------。
と、話はこういう思いもかけないところから始まってゆく。
一方、空港のシーンでも
撮影用にジャンボジェット機2台を借り切るなど、
きわめて大掛かりなロケが展開。
ここでは『ダイ・ハード2』ばりのアクションが繰り広げられる」

----アクション?
Lのイメージじゃないニャあ。
「うん。ワタリもいないし、
Lはひとりで、しかも外に出て子供をかくまいながら、
事件を解決せざるをえなくなる。
前2作でもう、すっかりLを自分のものとしている松山ケンイチとしては、
『Lはこういうことは言わない、やらないだろう』と、
自分なりに理解してきたLらしさを残しながら演じたみたいだ。
たとえば、『Lは電車に乗るのか?
もっと機能的な移動をするのではないか?』
『Lは子供とはふれあわない』------というように。
そこで中田監督の
『デスノート』とはまた違ったLが現れてくるはずだという思いと
合致しないことも多々あったみたい。
ときには夜を徹して
納得いくまで話し合ったらしいよ」

----そうか。それじゃあ調整は大変だっただろうね。
「なにせ松山ケンイチは、最初にこの台本を見たとき、
その反応が悪かったと言うからね。
ぼくもこれはこれで一つの世界観だとは思うけど、
あくまでも中田秀夫作品。
くれぐれも『デスノート』を期待しないように」

----でも、それがスピンオフというものだよね。


         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「噂だと、ニアも出てくるらしいニャ」ぱっちり


※いろんな意味で騒がれそうだ度

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『ジェシー・ジェームズの暗殺』

2007-12-21 13:51:25 | 新作映画
(原題:The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford)

-----ジェシー・ジェームズって西部劇でよく聞く名前だよね。
この人って暗殺されたんだ…。
「うん。西部劇があたらなくなって久しいし、
彼の名前自体、もう日本ではあまり知る人が少ないよね。
でも、いわゆる“義賊”としてアメリカでは今でも人気があるんだ。
まあ、鼠小僧みたいな感じかな」

-----ネズミ?ゴクッ。
「いや。この鼠は人間だけどね(笑)。
南北戦争で南軍ゲリラとして戦い敗れた、フランクとジェシーのジェームズ兄弟。
以後、仲間を率いて銀行強盗や列車強盗を繰り返す彼らは
新聞によって義賊として祭り上げられ、
さらには『ジェームズ兄弟物語』という三文小説まで出版されるなど、
生きながらにして伝説となる。
この映画は、そんな彼らに憧れるロバート・フォードが
ふたりに自分を売り込むところからスタートする。
そんなロバートに、兄のフランクは最初からうさんくささを感じるんだけど、
弟のジェシーは最後の列車強盗の後、
仲間が分散する中で、
このロバートだけは自分の側に残るようにと命じる。
それはいわゆる世話係にすぎないんだけど、
ロバートは自分が見込まれたと天狗になってしまうんだね」

------ふうん。でも結局、そのロバートに暗殺されちゃうんでしょ?
「そう。原題(The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford)にも
ロバートによってジェシーが殺されたことが
はっきり記されているから、
この映画はいわゆる“誰に殺されたか?”といったミステリーではなく、
なぜ彼に殺されるに至ったかがその肝となる」

------でもCowardって決めつけられて可愛そう。
どうして殺したのか聞いていい?
「うん。ある程度はね。
暗殺の理由よりもふたりの心理的葛藤が中心の映画だし…。
実は
ジェシーに、それまでに一味が盗んだ以上の額の莫大な賞金がかかるんだ。
当然のように仲間内には裏切りの動きが出てくる。
それを知ったジェシーは、そんな裏切り者を捜し回しては殺してゆく。
また一方では、女をめぐる諍いも起こり、
そのいざこざの中でロバートはジェシーの身内のひとりを殺してしまうんだね」

----うわあ。それはハラハラだね。
いつかバレて殺されるんじゃニャいかと…。
「そう。この映画の見どころはまさにそこ。
ジェシーを演じるブラッド・ピットの演技だね。
凄まじいカリスマ性を持った男ジェシー。
だけど、その感情はどこで爆発するか分からない。
彼が笑いながら喋っているのは冗談なのか、本気なのか?
笑っていいのか、それとも真顔で応じなくてはならないのか?
おそらくその疑念でロバートたちは毎日生きた心地がしなかったと思う。
ロバートにはやはり一緒に行動した兄がいるんだけど、
その兄弟の会話さえも自分がいるところでしろと、ジェシーは言う。
まるで蛇に睨まれた蛙。
というか、捕まえた鳥をいたぶる猫…」

----それは言いすぎじゃニャい。
その睨まれた方、ロバートを演じるケイシー・アフレックは?
彼ってベン・アフレックの弟だよね。
「うん。
少しその演技が『サイダーハウス・ルール』のトビー・マグワイアを思わせたね。
一見、ボ~ッとして見えて何を考えているか皆目分からない。
ところが、このロバートがジェシーを殺してからがスゴい。
なんと、その<暗殺>を寸劇にして
兄と一緒に興行を打つんだ。
そこから、ロバートがどんな人生を歩むか…。
わずか20分足らずだけど、
これはスクリーンから目が離せないよ」



         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「渋そうな映画だニャ」


※撮影も美しい度

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『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』

2007-12-18 23:22:27 | 新作映画
(原題:Sweeney Todd THE DEMON BARBER OF FLEET STREET)

-----この映画って、ミュージカルなんでしょ。
ティム・バートンにしては少し珍しくニャい?
「そうだね。
でも、その内容からしてバートン向き。
確かに“歌”はあるものの、
そのベースはサイレント期のユニヴァーサル・ホラーって感じ。
そこにハマー・プロのドラキュラものよろしく
血塗られた映画に仕上げている」

-----やはりスプラッター・シーンは多いんだ。
「それはもう、やりすぎじゃないかと思うほど。
まあ、内容が内容だから仕方ないけどね。
ここで、この物語をおさらいしておこう。
舞台は19世紀のロンドン。
フリート街で理髪店を営むベンジャミン・パーカー(ジョニー・デップ)。
彼はその美しい妻に目を付けた悪徳判事ターピン(アラン・リックマン)によって
監獄送りとなってしまう。
15年後に脱獄を果たした彼は
“スウィーニー・トッド”と名前を変えてフリート街へと戻ってくる。
そこで彼が大家のミセス・ラペット(ヘレナ・ボナム=カーター)から聞かされたのは、
妻が毒をあおり、娘がターピンの養女となっているという、おぞましい事実。
この世を呪うスウィーニー・トッドは商売道具のカミソリで
次々と客の喉をかっ切っていく。
しかもその死体は、ミセス・ラペットが作るミートパイの肉となるのだった…」

------そ、それはスゴいニャ。
原作は150年も前なんでしょ。
最初からそんなお話ニャの?
「最初の頃は、“復讐”の部分はなかったみたい。
確か、ぼくが以前に観たジョン・シュレシンジャー監督版(1997)にも
その話はなかったと記憶している」

------やはり“復讐”が加わることで
“愛”の要素は、かなり強くなるよね?
「そうだね。血塗られし狂気の愛。
畳み掛けるように殺人が行なわれるクライマックスなんて、
少し『ロミオとジュリエット』の墓場のシーンを思い出した。
ある偶発により、取り返しのつかない悲劇が起こってしまう」

----ニャるほど。『ロミジュリ』かあ…。
そういえば
予告ではジョニー・デップ、歌っていたけど
あれは吹き替えニャの?
「いやいや。
ちゃんと、自分で歌っているよ。
彼自身はかつてバンドを組んでいたものの、
ヴォーカルだったわけではなし。
ここまで喉を聞かせたのは初めてだから、
ファンも楽しみにしていいんじゃないかな」

----あの『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』
サシャ・バロン・コーエンも出ているんだよね。
「うん。
彼はインチキ理髪師を軽妙に演じている。
これも見どころの一つだね」

----ティム・バートン&ジョニー・デップ。
その組み合わせだけでも観たくなるのに、
さらに豪華なおまけがついているってワケだね。
「そういうこと。
しかもいつもに比べてノリやすい」

----ん?どういう意味?
「最近のティム・バートン映画って
最初はオモシロいんだけど
いつも後半失速している感があった。
でもそれって、彼独自の語り口で
あえてクライマックスをおかないようにしているのかもしれないんだけど…。
ところがこれはオリジナルがミュージカル。
大きく改変するわけにはいかない。
そのため後半、盛り上がっていくという通常の作劇術に乗っ取っているんだけど、
これがピタっとハマってるんだ」

----ティム・バートンって
長い間、CGを使わないことでも知られていたよね。
「うん。手作りの味わいね。
今回は、グリーンバックを極力避けて
きちんとしたセットを作っている。
その美術監督がフェリーニ映画で知られるダンテ・フェレッティ。
懐かしのマットペインティングなども使ってるみたい。
冒頭のロンドンの風景から引き込まれること間違いなし。
全体をとおしてモノクロに近く褪色させ、
そこに鮮血の赤だけが際立つ……。
特にラストの映像なんて、動く一枚の画みたい」

----“動く画”?
「う~ん。これは観てもらうしかないだろうね。
ティム・バートンは
このラストカットが一番撮りたかったのでは……なんて、
そんな気がする見事なショットだったね。」


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フォーンの一言「ミセス・ラペットの向かいのパイ屋もひどいらしいニャ」もう寝る


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沖縄の海にサンゴを植えよう!

2007-12-17 22:20:28 | Weblog



-----これニャによ?
「うん。これは「30人ヒトサンゴ企画」というもの。
環境破壊による減少が世界的にも問題となっているサンゴ礁を、
みんなで楽しみながら、保全していこうという企画。
いわゆる一種のブログパーツだね」

-----でも、意味よく分からないニャあ。
「ここは
沖縄の海中をWeb上に再現しているんだ。
その画像上に、自分が設定したキャラクター人形が登場。
そこに自分のブログパーツからだれかが参加するごとに、
新たなヒトサンゴが増えていくしくみなっているんだ」

-----それで、どうニャるの。
「ヒトサンゴが30人に達すると、
いよいよ本物のサンゴ礁を沖縄の海に植えることが実現するんだって」

-----そうか、えいは昔、久米島とかよく行っていたっけ。
沖縄の海が好きだったものね。
「うん。
あのエメラルドグリーンは、ほんと忘れられない。
来年2008年は、国際サンゴ礁年。
これなら参加してもいいかもと…。
ただ、この企画のエントリーやブログパーツを探すのが
けっこう面倒だったけどね」


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『コントロール』

2007-12-16 17:14:28 | 新作映画
(原題:Control)

-----この映画のこと、あまり知らなかったけど、
イギリスでの評価は高いんだって?
「うん。2007年英国インディペンデント映画賞で
作品賞・監督賞・新人監督賞・新人俳優賞・助演男優賞の最多5部門で受賞しているんだ。
1980年5月18日、全米ツアー出発の朝、
23年という短い人生に自ら終止符を打ったイアン・カーティスが駆け抜けた
短くも波乱の生涯をモノクロの清冽な映像で切り取っている」

-----そのイアン・カーティスというのが、
まず分からないニャあ。
「ニュー・オーダーの前身として伝説のバンド、ジョイ・ディヴィジョン。
そのヴォーカリストらしい」

------らしい----ということは、えいもよく知らないんだニャ。
「うん。最近の音楽事情には疎くって。
ただ、それでも映画でイアン・カーティスが影響を受けるアーティストたちは
ほとんど分かったね。
だってジム・モリソンにデヴィッド・ボウイにセックス・ピストルズ…。
なんとなくその傾向が分かるよね。
このジョイ・ディヴィジョンというのは、
その名をナチスドイツ時代の将校用慰安所から取っているし、
どうやら彼はポスト・パンク時代のヒーローだったみたいだね」

------監督はだれニャの?
「U2、デヴィッド・ボウイ、ビョークらを撮り続けた
ロック・フォトグラファー、アントン・コービン。
彼自身、イアン・カーティスとは2回ほど仕事で会ったことがあるらしく、
周りから相当に期待されていたようだね」

----ふうん。でもその人、映画監督はあまりやってないんでしょ。
どんな感じだった?
「最初、映画がモノクロと聞いたときは、
知らないアーティストの話だし、少しキツいかなと思っていたんだけど
これは杞憂だったね。
イアンが自分自身を抑制できなくなっていく課程が、
観ている人にもその苦しさ、痛みが分かるように実に丁寧に描かれている。
ハリウッドでこれまでいくつも作られた
ロック・スター映画とは一線を画するね」

----その“丁寧に”…というのを、もう少し。
「たとえばこの映画では
同時制のエピソードを並列して描こうとはしない。
それは驚くほど徹底している」

----えっ?意味が分からないニャあ。
「つまりカットバックがほとんど用いられていないんだ。
もちろんフラッシュバックもね。
これは、その時、その時のイアンの生きている<時間>に
キャメラが密着しているということだと思う。
そのため観る方も、極度の緊張感を強いられて
頭の中に余白を作ることができなくなる。
これは、イアン・カーティスという
凝縮した生を描くには最適な手法だったと思う。
その“抑制”が崩れるのは彼が自殺してから。
死んだ彼を見つける妻、それを知らされたメンバー、そして愛人。
この“哀しみのカットバック”の効果のためにも、
この手法は効果的だったね」

----ふうん。べたボメだニャ。
でも内容についてはどうニャの?
「う~ん。亡くなった一人のアーティストの生涯を
その妻の書いた本に基づいて描いているわけだし、
それでイアン・カーティスの人生がどうのこうのというのもおかしい。
ただ、彼が死に至るまでの心理的な流れは、
観る者を納得させること間違いない。
主演の新人サム・ライリーも含めて
とても力のある作品だと思うよ」


         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ぼくの知らない人、いろいろいるニャ」ぱっちり


※背景となる70年代もよく再現されていた度

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『ウォーター・ホース』

2007-12-15 15:10:13 | 新作映画
(原題:The Water Horse)

-----“水道のホース”?そんなの映画になるの?
「いやいや。
これはあの有名なネス湖の怪物の写真をモチーフにした映画。
顔が馬そっくりに作ってある。」

-----あ~。あの写真なら知っているよ。
湖から恐竜が長い首を出しているヤツでしょ。
「うん。この映画では、
あの写真自体は偽物だけど、
その“生きもの”は確かに存在した------と、
そういう仮説で作られている。
原作は『ベイブ』でも知られるディック・キング・スミス。
そして監督が『炎のメモリアル』のジェイ・ラッセルだ。
物語は、この伝説の“生きもの”の卵を発見した少年アンガスを軸に語られる。
ときは第二次世界大戦中。
アンガスの父親は実は戦死しているんだけど、
母親はそれを彼に告げないでいる。
父の帰りを待つこのアンガスは、
ある日、湖で拾った卵を孵化させ、
クルーソーと名付けて秘密裏に育て始める。
このあたりは『ドラえもん・のび太の恐竜』とそっくり。
大人の目から隠しているところは『E.T.』かな。
ちょっとありふれた展開に、正直欠伸が出たんだけど、
大きくなりすぎて湖に帰してからが俄然、オモシロくなる」

------どういう風に展開するの?
「アンガスたちの家族は、その家の主ではないんだね。
ところが、主の友人の許可を得たということで
ハミルトン(デヴィッド・モリッシー)率いる軍がそこに駐在。
ドイツ軍の潜水艦が侵入してくる可能性もあると、
湖を見張っている。
そしてもう一人、この家の手伝いに謎めいた男ルイス(ベン・チャップリン)が現れる。
非常時でありながら、なぜか軍務に就いていない彼だが、
実は彼は名誉の負傷ですでに退役しているという設定。
このハミルトンとルイスの対比によって反戦のメッセージが、
そしてクルーソーとの友情、彼を守ることによって
父親の不在を乗り越えていく少年の成長が描かれているところが
この映画の大きな特徴だね。
もちろん、アンガスを乗せて水中を駆るクルーソーの勇姿は最大の見モノ」

------見せ場はたっぷりというワケだニャ?
「うん。楽しく湖で遊ぶ時間、そしてクライマックスの生きるための脱出----。
しかし、この水の特撮はもう驚くしかないね。
こういう大掛かりな部分だけでなく、
まだクルーソーが生まれて間もない頃、
水の中でピチャピチャ。
それが周囲を濡らしたり、アンガスの体にかかったり。
実際はクルーソー、ウォーター・ホースはCGのはずなのに、
この水を介した人間との細かい共演はもう魔術としか思えない」

----ということは、かなりの高得点?
「うん。シナリオもよく練れているし、
クルーソーと犬のコミカルなチェイス、
そしてダイナミックなアクション、
さらにはサスペンスに反戦メッセージ、友情と少年の成長。
これは自信を持っておススメできる作品だね」


         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「これはよさそうだニャ」ぱっちり


※少し『フリー・ウィリー』を思い出した度

※こちらもよかったら…『映画 ドラえもん・のび太の恐竜2006』

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『うた魂♪』

2007-12-13 00:18:27 | 新作映画
※映画の核に触れる部分もあります。鑑賞をすでに決められている方は、
その後で読んでいただくことをおススメします。



「いやあ、こういうことがあるから映画はオモシロいんだね。
というか、ほんと驚き。
こう言っては田中誠監督に失礼だけど、
彼がこんなにも泣かせる映画を撮ってくれるとは
観る前は思ってもいなかった…」

-----田中誠監督って『タナカヒロシのすべて』だっけ?
「うん。あれはあまりにも肌に合わなくてブログ・スルー。
でも『おばちゃんチップス』で、あれ意外といいじゃんって…。
そしてこの映画で確実に飛躍したね」

------タイトルやセーラー服のビジュアルからすると、
『スウィングガールズ』の路線のような気もするけど…。
落ちこぼれたちが一念発起して…というサクセスストーリーみたいな。
「いや、その設定からしてまったく違う。
ヒロイン、萩野かすみ(夏帆)が属している七浜高校合唱部は
合唱コンクールで地区代表となるほどの実力校。
そんな中、自分の歌声とルックスに異常なまでの自信を持つかすみは
生徒会長・牧村からモデルを頼まれて有頂天に。
だが、上がってきた写真は、目を見開き、口を大きく開けた、
インパクトたっぷりの顔ばかり。
しかも『産卵中のシャケみたいな顔でユーモラスじゃん』と言われた上に、
その写真を生徒会新聞に載せられ、
ついには自信喪失から
合唱部顧問の産休代員・瀬沼裕子先生(薬師丸ひろ子)に退部を申し出てしまう。
それでも『ラストステージは必要』と言われ、臨んだ合唱祭。
いきいきと歌う合唱部員の中、
下を向いてばかりで声を出すのもままならないかすみ。
心配する部長や副部長を振り切る彼女の前に突如現れたのは…」

----突如現れたのは?
「番長・権藤洋(ゴリ)率いる、湯の川学院高校のヤンキー合唱部。
映画はここから急展開でオモシロくなっていく。
実は、正直言ってここまでは
『独りよがりのおふざけ路線か?』とあまりノレてなかったんだけど、
彼ら、ヤンキー合唱部の選曲でぶっ飛んだね」

----ニャに、その曲?
「う~ん。これ以後、完全ネタバレ注だな。
オモシロい映画は少しでも多くの人に観てほしい。
だから、そのオモシロさをいつも映画案内人気取りで話しているわけだけど、
でも、どこまで話していいのか、
これがいつも迷うところ。
この映画なんて、ほんとうは何も知らないで観た方がいいんだけど…。

※改めてネタバレ注

思い切って言うとそれは尾崎豊の『15の夜』。
実はこの脚本は栗原裕光という人が書いているんだけど、
映画化にあたって彼は『ヤンキー合唱部の尾崎豊』は譲れなかったらしい。
最初のシナリオではその曲は『卒業』だったらしいけど、
こっちの方がドラマチックだよね。
さらに、ここにこの番長が合唱をやるきっかけになったできごと、
そして裕子先生の過去が絡んでくるんだ」

----へぇ~っ。原作ものが多い昨今、それは少し珍しいニャあ。
「うん。でも音楽の力は偉大だね。
それだけで観る者の心を揺り動かしてしまう。
この映画、もちろんテーマはちゃんとあって、
それは番長の言葉に端的に表されているんだけど、
やはりいちばん印象に残るのは歌にまつわるシーンだものね。

※またまたネタバレ注

たとえば薬師丸ひろ子。
彼女があの玉のような声でやはり尾崎豊の『Oh my little girl』を歌うなんて
ファンには、もう涙もの。
クライマックスのコンクールではゴスペラーズが提供した『青い鳥』。
でも、本当の驚きはそのもっと後にあって
『ちょっとした奇跡』として紹介される
アンコールのある曲。これがもう超感動的。
これは言わないでおこう。チラシとかには書いてあるけどね」

----もしかして、えいがさっき聴いていたあの曲?
「そう。すぐCD買ってきちゃった」

         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「フォーンも歌いたいニャ」ぼくも観たい


※ラストは嗚咽が漏れそうだった度

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猫ニュー

『銀色のシーズン』

2007-12-11 23:47:21 | 新作映画
-----ゲレンデを舞台にした青春映画か…。
原田知世を思い出しちゃうニャあ。
「そりゃまた古い(笑)。
この映画の主人公はどちらかというと男、
人気の瑛太だね。他には玉山鉄二、そして青木崇高が
雪山のバカ3人組《雪猿》を演じる」

-----ぶっ(笑)。『海猿』じゃなくて『雪猿』。
「うん。監督も同じ羽住英一郎。
ということで映画は完全なエンタメに仕上がっている。
この瑛太が演じるのは、かつてモーグルの日本エースだった男・城山銀。
5年前に地元の大会で街の人々の期待に応えようと
難易度の高いジャンプに挑戦して失敗した彼は、
いまでは、小鳩祐治(玉山鉄二)や神沼次郎(青木崇高)と
“雪山の何でも屋”としてやりたい放題。
賭けスキーや当たり屋までやって、
周りの人々に迷惑をかけている。
そんなある日、この町で企画した雪上結婚式の花嫁第一号として
若い女性・綾瀬七海(田中麗奈)がやってくる。
まったくスキーができない彼女は、
クライマックスのセレモニーに欠かせないスキーのコーチを、
こともあろうに城山銀に頼んでしまう…」

------あらら、もう見えたね。
これはその銀と七海の恋が芽生える…。
「そりゃ、そうだよね。
でも、彼女は3日後に結婚。
この障害をどう乗り越えるか?
ここは脚本が上手く処理してみせたね。
とは言えそれ以外は、まあおおよそ想像がつく展開ではあるんだけどね。
それでも見せ場を次々と用意して、
飽きさせない作りにはなっている。
アクロバティックなスキーパフォーマンス、
ジャンプ台からのパラグライダー飛行、
道路を激走するスノーモービル…。
スキーで道路上空を飛んだり
旅館の屋根を滑ったりというのもあったな。
最初のうちはちょっとビックリしたね。
『おぬしヤルな!』って感じ。
ハリウッド映画を見慣れている人から観たら、
ブウブウかもしれないけど、
ここまでやれれば青春アクション映画としては及第点じゃないかな」


         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「フォーンは黒いから雪は似合うのニャ」ぱっちり


※雪の教会がきれいだ度

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猫ニュー

『トゥヤーの結婚』

2007-12-10 07:23:52 | 新作映画
(英題:Tuya′s Marriage)

----トゥヤーって、人の名前だよね。
こういうときは決まって女性だと思うんだけど…。
「うん。これはまれに見るタフなヒロイン。
映画史に名を残すこと間違いないね」

----どういう女性ニャの?
「トゥヤーの夫バータルは、
かつては相撲大会でも向うところ敵なしの強い男。
しかしダイナマイト事故で下半身が麻痺。
トゥヤーは、夫に代わって放牧をし、
10km以上離れたところまでラクダで水を汲みに行く。
家の前には井戸がないんだね。
ところがそのトゥヤーも腰をやられ、
夫の姉は彼女に離婚を勧める。
トゥヤーは生活のため離婚を受け入れるけど、
再婚の条件を一つだけ出す。
それは新しい夫がバータルと一緒に住み、
彼を養ってくれること」

----スゴいニャあ。それじゃあ、なかなか相手が見つからないでしょ。
「そうなんだね。美人で働き者のトゥヤーの元には、
次々と求婚者が現れるけど、
なかなかこれを飲む人はいない。
このトゥヤーを演じたユー・ナンは、ほんとうに魅力的。
はっきりいってダサめのジャケットを着ているんだけど、
その前ボタンをビシッと締めて馬上の人になると、
これが凛々しいのなんのって。
ウォシャウスキー兄弟なんかは、彼女を『アジア最高の女優』と賞賛。
彼らの最新作『スピード・レーサー』にも出演しているらしい」

----へぇ~っ。それは楽しみだね。
「もちろん、この映画を監督したワン・チュアンアンの力量に負うところも多いと思うけどね。
赤や緑や水色といった鮮やかな原色のスカーフが
くすんで荒れた大地と対比。
一種、摩訶不思議な映像を生み出しているんだ。
脚本はこのワン・チュアンアンと『活きる』の名脚本家ルー・ウェイ。
こっちのコンビネーションもよく、
『家族は誰も死なせない』とか
『女を抱きたかったら、その気にさせることね』といった
カッコいいセリフが続出」

----さっき荒れた大地って言った?
モンゴルって、緑の草原に覆われていると思ったけど…。
「いや、これが温暖化でどんどん減っている。
しかも保護のため当局が柵で囲ったりして国有化。
彼らは牧畜ができなくなっているんだ。
こんことは先ほど公開された『白い馬の季節』ではそれがテーマとなっているくらいだよ」

----ここにも温暖化か………。


(byえいwithフォーン)

フォーンの一言「これを心して観なくてはだニャあ」ぱっちり


※魅力的なヒロインだ度
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『奈緒子』

2007-12-08 22:53:03 | 新作映画
----うわあ、懐かしいタイトル。
確か連載コミックだったよね。
「うん。ぼくもあの頃は毎週「ビッグスピリッツ」読んでいたから…。
この漫画も全部読破したつもりでいたけど、
どうやら原作では『奈緒子 新たなる疾風』とタイトルを変更して、
さらに話は続いていたようだね」

----そうか。フォーンも
壱岐雄介が金メダルを取ったところまでしか知らないニャあ。
でも、この物語ってタイトルロールの奈緒子よりも
確か、雄介のお話になっていなかった?
「そうなんだよね。
彼が子供の頃、
溺れかかった篠宮奈緒子を助けようとした父親が死んだことから、
彼女に対して敵意を抱く雄介。
映画では、天才ランナーの彼が高校一年の時に
全国高校駅伝でアンカーを務めたときのエピソードをクライマックスにしている。
原作にあったような奈緒子への激しい拒否反応は
この映画では比較的抑えられていたね。
大山権太のもとで漁師の修行を兼ねたアルバイトをするシーンもないし、
どちらかというと、
駅伝でタスキを繋ぐことの意味を追った話になっている」

----その壱岐雄介はだれがやっているの?
「いま上り調子の三浦春馬。
彼は『恋空』ではオーバーアクトが鼻についたけど、
この映画では、まるでコミックから飛び出してきたみたいにピッタリだったね。
少しあごを突き出したように走るフォームが、ホント漫画そっくり」

----でも『恋空』はお話がお話だから仕方ないんじゃニャい?
「うん。それはそうだ(笑)。
そういえば彼は『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』にも出ていたっけ。
でも、これはすでに事故死している役で出番も少なかった。
いずれにしろ、この映画は
『キャッチ ア ウェーブ』に始まる俳優・三浦春馬のこれまでの代表作となるだろうね」

-----で、奈緒子は?
「これはキャスティングが難しいだろうなと思っていたら
なんと上野樹里。
なるほどって感じ。
最近、コミカルな役が多かっただけに少し新鮮だったね。
映画自体は、練習やレースなどの走るシーンが多く
そこに頼りすぎていて
ドラマとしては少々弱い気がしたけど、
その丁寧な作りは受けるんじゃないかな。
実際に評判はけっこういいようで、ぼくなんか
地べたに座布団で観なくてはいけなかったくらい
試写室は超満員だったよ」



         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「フォーンは太り気味。こんなに走ったら息切れしそうだニャ」もう寝る


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※2時間は少しキツい度

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※ちょっとCM。けっこう凝ってるかも。
(画像のどこでもクリックしたら動画が観られます)

<キスミント

『結婚しようよ』

2007-12-07 23:58:05 | 新作映画
----『結婚しようよ』って吉田拓郎の歌だよね。
このビジュアルとはイメージが合わないけど、
どんな映画になってたのかニャ?
「いやあ。なんというか珍作だったね。
ていうか、いろんなこと考えちゃった」

----ん?どういうこと。
「少し長くなるけど、いいかな。
吉田拓郎の歌は、ぼくも彼が初めて出てきた頃、
そうLP「青春の詩」や「ともだち」は聞いていたけど、
途中からは遠ざかっていたんだ。
その分かれ目は第3回中津川フォークジャンボリー。
あのとき、ふたりの男がそれまでの岡林信康にとってかわって人気を博した。
ひとりがこの吉田拓郎で、もうひとりが加川良」

-----だれ、その人?
「やはり知らないか。
映画界では大杉漣が彼の大ファン。
ちなみに彼の“漣”という名前は
高田渡の息子でミュージシャンとして活躍中の高田漣から取っているんだ。
加川良の歌には、
この高田漣の赤ちゃんの頃の声が入った曲もある。
『子守唄をうたえない親父達のために』というんだけどね」

-----話がそれすぎ。
「ごめんごめん。
さて『結婚しようよ』の爆発的ヒットに乗って
その人気をメジャーなものとした吉田拓郎に対して、
加川良は地道に日本中のライブハウスを回る活動を続けていく。
後年、高田渡はこの加川良がスターダムに登らなかったことが、
以後の日本の音楽をつまらなくしたと嘆いているんだ」

----でも、吉田拓郎の功績が大きかったのは間違いないでしょ?
「それは確かにそう。
それまでの日本の音楽は分業制。
加山雄三、荒木一郎といったいくつかの例外を除いては
自分で作詞・作曲ということはありえなかったからね。
歌そのものを歌手がコントロールできるようになったのは
彼の成功に負うところが多い。
あっ、でも吉田拓郎の詩にも岡本おさみや松本隆といった
他のプロの手によるものが多いけどね。
さて、前置きが長くなったけど、
吉田拓郎の作詞した歌には“青春”“人生”といった直截的な言葉が多い。
そのあまりにも大上段的な構えに
ボクは徐々に嫌気がさしてきたわけだ」

----確かに、前置きが長いなあ。
そろそろ映画の話をしてよ。
なぜ“珍作”ニャの?
「まあ、待ってよ。
そのような“青春”“人生”を歌ってきた拓郎も、もう60歳。
そして彼の歌を聴いていた人たちは50歳を越えている。
そんなかつてのファンが吉田拓郎を今聞くとしたら、どういうことだろう?」

----やはり、昔を懐かしむとか、
俺の青春はまだ終わっちゃいないとか…そういうことかニャあ。
「そう、思うよね。
ところがここに描かれているのは
かつて自らもギターを持ってフォーク歌手を目指しながら
その夢を封印して、
代わりに家族を守ることにかけてきた男・香取卓(三宅裕司)。
そんな彼は、あるルールを家族に課している。
それはどんなときにも夕食は家族そろってすること。
その見慣れぬ家族団欒の光景を目の当たりにした青年・充(金井勇太)は
最初はビックリするものの、
それを『父親の権威主義』と彼に言ってしまう。
さて、映画はこの充と長女・詩織(藤澤恵麻)の恋、
そして次女・歌織(AYAKO)のバンドデビューなどを絡め、
次第に取り残されていく卓の姿を描く」

----ありゃりゃ。どこかで聞いたような…。
「うん。嫁ぐ娘と取り残される父親。
それまで60年代の東宝ファミリー映画の雰囲気を持っていたこの映画は、
ここにきて松竹の至宝・小津安二郎の世界を借用してゆく。
もちろん、まんまそのままではなく、
松方弘樹演じるさらに上の世代の男の言葉を借りれば
『乗り越えるべき父親としての壁を作れなかった世代』として
卓は描かれているわけだけどね」

----でも、さっき父親の権威主義って…。
「うん。卓からすると、
充のその言葉は自分の世代の生き方とはまったく相反する言葉。
だから、充にそれを言われた卓は反射的に彼を殴ってしまう。
しかし、充はその言葉をいい意味で使っているんだ。
だって父親に殴られたことなど久しくないわけだから…。
しかしどうもこの映画の内容が拓郎が歌う、
一見、カッコいいツッパった世界とは似合わない。
でもね、後で考えると
拓郎がブームを巻き起こしたのは『結婚しようよ』。
それは結果的に小坂明子の『あなた』の返歌ともいうべきマイホーム志向の歌。
いまでもホーボーのように地方をギター抱えて歌っている
加川良を始めとするURC出身の歌手たちとはやはり生き方が違う」

----ニャるほど。
だけど現実の中で生きるということは、
やはり吉田拓郎の歌の中のようなことだったのじゃニャいのかなあ。
仕事をして、家族を守って。
それが現実だよね。
だから、えいはいつまでもダメなんだよ。
ふらふら、ふらふらして。
「………mmmmmmmm」



(byえいwithフォーン)

フォーンの一言「それにしても長い話だニャあ」ご不満


※ほんと変わった映画だ度
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※もしもお時間があれば…
20年ぶりの加川良


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『THEM ゼム』

2007-12-06 10:41:07 | 新作映画
※お詫びとお願い※
「思わず映画のキモに関わる会話をしてしまいました。
申しわけございませんが鑑賞ご予定の方は、
ご覧になるまで(亜蘭真 主美士)さんと(えい)のコメントの
やりとり(最初の4つ)はお読みにならないようにお願いいたします」


(原題:ils)

----これまたホラーだニャ。
監督が「ラストは誰にも明かさないで欲しい」とくれば
いろいろ想像しちゃうよね。
「うん。ぼくも例によって
どんでん返し系を中心に、
その“衝撃”とやらをいくつか想像したけど、
いずれもはずれだったね。
元々実話を基にしているらしいから、
それを調べればすぐに分かるけど
衝撃を味わいたいという人のために
そのヒントとなる事件については口をつぐむことにしようかな。
ただ、この映画を観て分かったのは
自分が 『モーテル』を好きで『ホステル』はダメな理由」

----それって、どういうこと?
「この映画は、よくある見知らぬ土地で味わう恐怖。
最近では『クライモリ』 などもそうだったし、
このパターンって、『テキサス・チェーンソー』や
『ハイテンション』
『蝋人形の館』のような残酷ホラーから
『失踪』『ブレーキダウン』のような辺境ホラーまで
よく使われているよね。
この『THEM ゼム』はルーマニアのブカレスト郊外でフランス人夫婦が味わう恐怖。
田舎で静かに暮らす彼らの平安は“ヤツら”の襲撃で侵され、
屋敷の中は次第に絶叫と悲鳴が渦巻いていく。
この閉鎖された空間を異国から田舎に置き換えると
『モーテル』の恐怖になる」

-----でも、その両者は違うってワケだね。
「うん。この『THEM ゼム』では、
最後の最後まで襲撃者の姿が見えない。
この手法では、観客を狙われた主人公たちと同じ立場に置く効果がある。
自分も同じように襲われている気になるんだね。
代表的な例が『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』。
ところが『モーテル』では、観客は常に第三者の立場。
襲撃側の姿、あるいは彼らがどこにいるかも観ることができる」

----普通に考えたら、前者の方が恐そうだけど…?
「それはそうなんだけど、
でもそれだと極端に言えばお化け屋敷でもよくなってしまうよね。
映画は、やはりスクリーンの向こうのお話を観るモノ。
ぼくはそう思うんだ。
襲撃側の状況を最初は客観的に観ながら、
次第に襲撃される側の気持ちになっていく----
そういう作りの方が自分は好きなんだろうね。
古いのかもしれないけど…」


         (byえいwithフォーン)


フォーンの一言「フォーンは数字の計算弱いニャ」もう寝る


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