ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『パッション』(ブライアン・デ・パルマ監督版)

2013-08-30 17:29:26 | 新作映画

(原題:Passion)



----今日の映画『パッション』
ブライアン・デ・パルマ監督の新作。
確かこの監督、えいのお気に入りのひとりニャんだよね。
「さすが、長年連れ添っているだけのことはあるね。
てっきり、
『あれっ。ゴダールメル・ギブソン?』なんて
ボケてくるかと思った」

----(笑)初めはそうしようかと…。
ところで、このデ・パルマって、
ずいぶん久しぶりじゃニャい?
「うん。
『リダクテッド 真実の価値』以来だから、
日本に来るのは6年ぶりかな。
実を言うと、観るまではおそるおそる。
というのも、ぼくが好きだったデ・パルマは
このところ、すっかり影を潜めていたから…」

----デ・パルマって、
『アンタッチャブル』が人気あるよね。
その後、『ミッション:インポッシブル』も手がけたし、
ニャんだか、巨匠ッてイメージ…。
「それそれ。
実はぼくはこの二作でがっかりしてしまったクチ。
ほんとうのファン、
たとえば三留まゆみさんあたりだと、
それらも含めてデ・パルマ命なんだろうけど、
ぼくはやはり、初期。
ヒッチコックの後継者』と呼ばれた頃の
めくるめく映像マジックが忘れられない」

----映像マジック?
「うん。
いまでこそCGでなんでもできるようになったけど、
それってかえって映画をつまらなくさせている。
このブライアン・デ・パルマという監督は、
撮影と編集のテクニックによって
観る者を陶酔へといざなっていくんだ。
たとえばそれは『悪魔のシスター』『ファントム・オブ・パラダイス』での
スクリーン分割であったり、
『愛のメモリー』『フューリー』『ボディ・ダブル』での
スローモーションであったり。
しかも、そこに三角移動回転カメラという併せ技を持ってきたりする。
そして、それらは
物語が急展開するというデ・パルマのサイン。
もう、これらが始まると
『来たぞ来たぞ』とゾクゾクしてしまう。
日本では大林宣彦、アメリカではこのデ・パルマが
いわゆる“映像の魔術師”。
ところが『アンタッチャブル』では、その映像ギミックを封印。
もちろん『戦艦ポチョムキン』オデッサの階段を意識したシーンや、
アル・カポネを真俯瞰で捉えたシーン、あるいは旅客機のセットなど、
映像に凝っているところがないワケでもない。
でも、これだけの風格のある大作においては
それらは、
ファンのためにちょっと入れてみました…にしか見えない」

----そうか。この監督の場合、
“山椒は小粒でも…”の方がいいってワケだニャ。
「うん。ぼくにとってはね。
この映画は、久しぶりに
彼らしいサスペンス・スリラー
しかもサイコ・ミステリーの要素まで入ってきている。
物語は簡単に言うと、
次のようになる。
舞台はドイツ、ベルリン。
広告会社に勤めるイザベル(ノオミ・ラバス)は、
アシスタントのダニ(カロリーネ・ヘルフルト)の協力を得て、
スマートフォンのプロモーション・ビデオを完成。
それをちらっと見た上司のクリスティーン(レイチェル・マクアダムス)は、
自分の代わりにイザベルをロンドンでのプレゼンテーションに出張させる。
このプレゼンテーションは大成功に終わるものの、
ベルリンに戻ると、
クリスティーンがその手柄をすべて我がものに。
彼女の眼の前で自分の本社復帰の約束まで社長と取り付ける。
『えっ、それが何か?』的な態度に出るクリスティーンは、
その後もイザベルを操り人形のように軽く扱う。
彼女の冷酷な本性を改めて知ったイザベルは、
スマートフォンのオリジナル・ビデオを動画サイトで公開。
ビデオは世界中で大反響を呼び、
イザベルはクリスティーンを出し抜いてニューヨーク栄転のチャンスを勝ち取る。
これを黙って見ているようなクリスティーンではない。
イザベルの愛人ダーク(ポール・アンダーソン)を意のままに操り
精神的ダメージを与え、
さらには、
イザベルがひとり泣き叫ぶ姿を記録した監視カメラの映像を
社内の懇親パーティの席で上映。
耐え難い屈辱にまみれ薬に依存するようになるイザベル。
そんな中、会社中を震撼させる事件が起こる。
クリスティーンが何者かに刃物で傷つけられ、
無残な死を遂げてしまうのだ…。
はい、話はここまで」

----うわあ。これはオモシロそうだ。
「でしょ。
オリジナルは
フランスのアラン・コルノー監督の遺作となった
『ラブ・クライム 偽りの愛に溺れて』なんだけどね。
とはいえ、
とてもこれがリメイクには見えない。
双子、シャワー、マスク、鬘、殺人、悪夢、覗き、ベッド、ナイフ…。
デ・パルマの過去の名作のエッセンスがこれでもかとばかりに詰まっている。
音楽が『キャリー』『殺しのドレス』『ミッドナイトクロス』などの
サスペンス・スリラーで組んだピノ・ドナッジオというのもファンには嬉しいところ」

----でも撮影は初めての人だよね?
ホセ・ルイス・アルカイネ
アルモドバルの原色の世界をサポートしてきた彼だけど、
ここでも、ユニークな試みを見せてくれる。
前半は華やかな広告社会にふさわしく色彩豊か。
ところが後半ではざらついた青味の強いモノトーンの映像に。
しかもそこに太いボーダーの影が覆いかぶさる。
と、その映像を観ているだけでも
時間を忘れさせてくれるのに、
“果たして真犯人は誰か?”
というミステリーまで付いてくる。
もう、終ってしまうのがもったいないって感じだったね。
映画監督というモノ、
いろんなジャンル、いろんな表現にチャレンジしたいのは分かるけど、
こと、デ・パルマに関しては
このサスペンス・スリラーに徹してほしいと
いまさらながらに思ったね」



     (byえいwithフォーン)


フォーンの一言「この真相はフォーンには読めないのニャ」複雑だニャ


※名作・傑作ではなくても好きな映画というものはある度

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『許されざる者』(李相日監督版)

2013-08-25 22:33:58 | 新作映画


----『許されざる者』って、
クリント・イーストウッドが監督としてオスカーを受賞した
最初の作品だよね。
それを日本で李相日監督がリメイクなんて、
最初聞いたとき、ニャんか違和感が残ったニャあ。
「おっ。違和感ときたか…。
フォーンも転生前に比べて使う言葉が変わってきたな(笑)。
でも、それはぼくも同じ。
西部劇を日本の“時代もの”にリメイクなんて、
なんだか無理を感じて。
その逆は『荒野の7人』をはじめ、
いくつかはあるんだけど…」

----そういえば、
クリント・イーストウッドが映画スターへの第一歩を踏み出したのも
黒澤明の『用心棒』をリメイクした『荒野の用心棒』から。
「そう。
そんな歴史もあってだろうね。
一見、無謀とも思えるこのリメイクのオファーに
イーストウッドは簡単にOKを出したみたい。
さて、オリジナルがあるだけに
この映画のストーリーを云々言うことは、
あまり意味を持たない。
ましてや、すでに評価が定まっている作品。
そういう意味では、
一本の映画として、どこまで見ごたえがあるか…
そういうことになる。
まあ、人によっては比較をやりたくもなるんだろうけど…」

----そこニャんだよね。
西部劇というのは、もとより大陸から渡った西洋人が
“銃”と馬で切り開いていった史実の上に成り立っているワケじゃニャい。
日本のような狭い土地では難しいのではと…。
「いやいや、そこなんだけどね。
なんと、この日本版『許されざる者』は、
その舞台を1880年、明治初期の蝦夷地に持ってきているんだ」

----蝦夷地?
「うん。
長い江戸幕府の時代が終り、明治時代が始まる。
鎖国を解いた政府は一方で北海道を開拓していく。
ところがそこは元よりアイヌ民族が暮らしていた土地。
彼らからすると、日本=ヤマトは侵略者に映る」

----あっ、それってネイティブ・アメリカン。
「そう。
ここに、西部劇と同じ舞台ができあがる。
そうなると、
あとは、日本ならではの歴史を背景に持つ人物を配置していけばいい。
ということで
まずは主人公の釜田十兵衛(渡辺謙)から。
いまは人里離れた土地で子どもたちとひっそりと暮らす十兵衛だが、
かつては徳川幕府の命を受けて志士たちを惨殺。
幕末の京都で人斬りとして名を轟かせた刺客であった。
だが、五稜郭を舞台にした箱館戦争終結を境に新政府の追手をかわして失踪。
長らく剣を捨てていたが…」

----ところがそこに
誰かが“賞金首”の話を持ってくるってわけだね。
「そういうこと。
彼に、剣の封印を解かせたのは、
昔の仲間・馬場金吾(柄本明)。
実は、ぼくは今回のリメイクでは
彼の演技がいちばん印象に残っている。
馬にもたれかかりその口を開くだけで、
彼の“いま”を一瞬にして浮かび上がらせる。
そして、もうひとりそこに加わるのが
アイヌ出身の沢田五郎(柳楽優弥)。
最初、ぼくはこれがあの『誰も知らない』の少年とはとても信じられなかった。
よく、ここまで過去のイメージを払しょくできたなと…」

----ふうん。
じゃあ、佐藤浩市の役は?
「彼が演じるのは大石一蔵、いわゆる悪役。
恐怖で町を支配する町長兼警察署長。
その前に、もうひとりの悪役として
國村隼演じる北大路正春が出てくるんだけど、
彼を完膚なきまでに叩きのめしちゃう。
この北大路というのも、
賞金に連れられてやってきた男。
さて、オモシロいのはこのふたりに、
幕末から明治初期の男の生き方それぞれが出ていること。
大石も北大路も共に、かつての討伐隊の一員。
ところがこの地で実権力を掴んだ大石に対して
北大路の方は、政府の中枢にいる者をやっかみ、
この蝦夷地で名をあげようとして当地にやってきたという設定。
出自は同じながらも
いかにその後、自分がその時代で生きる術を見つけていったか?
その違いがいまのふたりの差となっている。
これは、現代にも通じる、
いや、ある意味、どんな時代でも変わらぬ真理かなと…」

----それは、
時代を先読みする能力、、
そしてそこに活路を見出す能力を持っているか否か?
と、そういうことだニャ。
「うん。
さらにつけ加えれば
過去の栄光を振りきれるか否かもね。
ぼくはこの視点がとても興味深かった。
僕らが生きるいまも時代は混沌としている。
でも、その中で自分の生き方を曲げぬのか、
それとも、上手く立ち回るのか?
本来ならば
悪役と主人公の間で振り分けられるはずの差異を
悪役の中同士で描いて見せるんだ」

----う~ん。オモシロい話だけど
結局、
物語ばかり喋っているような…。
確かツイッターではデヴィッド・リーンうんぬんと…。
デヴィッド・リーン
彼の映画は、
悠々たる、
いや荒々しい大自然を映像に焼きつけ、
その中での人間の営みというものが
いかに小さいかを見せつけてくれる。
ちょっと大胆な言い方をすれば“神の視点”。
だから鳥瞰撮影も多い。
この映画も
その大自然をワイドスクリーンいっぱいに捉え、
人間をまるで豆粒のように写す。
その好例が、
主人公たちが最初の賞金首を殺めるシーン。
普通ならばカメラはよりで、
彼らの心理的葛藤を見せるはず。
だが、ここでは思いっきりカメラを引く。
まさに<運命>。
それを強く感じさせてくれるんだ。
このシーンだけでも
ぼくはこの映画を観た価値があったと思ったね」



                    (byえいwithフォーン)


フォーンの一言「そしてオープンセットもいいのニャ」身を乗り出す

※CGでは絶対に味わえない度

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『トランス』

2013-08-20 23:11:08 | 新作映画
(原題:Prometheus)


----ダニー・ボイルって、
去年のロンドン・オリンピックで
開会式総監督を務めた人だよね。
北京オリンピックがチャン・イーモウだったし、
映画人のフィールドも広がってきたニャあ。
「そうだね。
それだけ現代のイベントは
<映像>のウェイトが大きくなってきているってことだろうね。
アカデミー賞8部門を受賞した『スラムドッグ$ミリオネア』では、
ドラマとしての骨組みも堂々としていた。
次の『127時間』では一転、
峡谷で身動きが取れなくなったひとりの男にスポットを当てたお話。
その振り幅の大きさが彼の映画の魅力とも言えるかもしれない」

----ニャるほど。
だったら、この『トランス』にも期待がかかっちゃうニャあ。
「うん。
宣伝側もそのファン心理は先刻承知。
だから、コピーの方も
『トレインスポッティング』の<衝撃>、
『スラムドッグ$ミリオネア』の<感動>を引き合いに出しながら、
『今度は、記憶を探して頭の中へ。』

----それはまた興味引かれるニャあ。
「でもここからがさらに上手い。
『取り戻したはずの記憶には、
大切な“その先”があった…』

そして、観てみると
これが実際にその通りの展開なんだ」

----そろそろお話を聞かせてよ。
「う~ん。この映画は
その“お話”がちょっと難しい。
まあ、でもやってみるか。
白昼のオークション会場から、
ゴヤの『魔女たちの飛翔』が盗まれてしまう。
40億円の名画を奪ったのは
フランク(ヴァンサン・カッセル)をリーダーとするギャングの一味」

----このハイテクの時代に、
そんなに、簡単に盗めるものニャの?
「フォーンがそう思うのも無理ないよね。
そこでこの映画でも本筋に入る前に、
まずは<名画強盗>の今昔を簡単に解説。
そしてその流れの中に
今回の強奪を位置づける。
実はフランクには内部の協力者がいた。
それがアート競売人のサイモン(ジェームズ・マカヴォイ)なんだ」

----ええっ。
マカヴォイって主人公だよね。
「うん。
ところがここで彼は計画外の行動に出て、
フランクに暴行され
それが原因で絵画の隠し場所の記憶をなくしてしまう。
フランクは催眠療法士を雇って絵画のありかを聞き出すことを思いつくが…」

----その催眠療法士がロザリオ・ドーソンってわけだニャ。
「そう。
さて話はここまで。
というのも、ここから物語は
とんでもない方向に転がっていくんだ。
ストーリーを軸に映画を観る人は、
もう、それだけで満足だろうね」

----ニャるほど。
でも、えいはそんな観方はしないんだったよね。
「いや、
ストーリーは映画の骨格をなすものだから
もちろん大事。
この映画のオモシロいところは、
これまでの<記憶喪失>映画と違って
<回復>してそれで終りではないというところ。
サイモンが記憶を取り戻したとき、
さあ、そこで何が起こるか?」

----裏切っているワケだから
最悪、殺されちゃうかも…。
「だよね。
そうなると、
サイモンとして記憶を取り戻さない方がいい。
少なくとも記憶が喪失している間は彼には命の保証があるわけだから…」

----そうか。
記憶が甦っても
甦っていない演技をすればいいことになる
だから“その先”というわけだニャ。
「いやいや。
実は、これはまだまだ物語の序の口。
ここに先ほどの催眠療法士エリザベスが絡んでくる。
サイモンの様子が変だと感じた彼女は、
彼のバックにフランクがいることを知るや、
なんと大胆にも直接彼と接触。
そしてこの治療の裏に40億円の名画があることを知った彼女は、
自分も成功報酬として、
その分け前を要求し始めるんだ」

----ふうむ。
「さて、ここに記憶喪失したサイモンの戦い、
そしてその瞬間を待つ周りの戦いという、
これまで見たことがない構図が生まれてくるんだ。
ところが…」

----ええっ、まだあるの?
「うん。
ここにサイモン自身も知らなかった
記憶とは別の<真相>、
さらにはエリザベスをめぐる恋愛模様までが生まれてくるんだ…。
でもこれ以上話すと
核心に触れてしまうので
残念ながら今日はここまで」



                    (byえいwithフォーン)


フォーンの一言「お話ばかりで映像の話が出てこなかったニャ」小首ニャ

※記憶を描いているんだから、それは言わずもがなだ度

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『エリジウム』

2013-08-16 23:04:14 | 新作映画

(原題:Elysium)


----これって、確かツイッターで
『エリンジウム』って間違えて呟いてしまった映画だよね。
「いやいや、お恥ずかしい。
エリンジウムは花の名前(笑)。
この『エリジウム』
22世紀を舞台にしたデストピアSF。
『第9地区』のニール・ブロムカンプがメガホンを取った超話題作なんだ」

----あの映画は
人間とエイリアンの関わりを
ドキュメンタリー・タッチで描いていたんだったよね。
これもやはり同じ手法ニャの?
「いや、それはかなり違うね。
主人公マックスに、
彼の作品への出演を熱望していたというマット・デイモン。
そして二度のオスカーに輝く名優ジョディ・フォスターが悪役として出演。
この二大スターが揃えば、
それだけで<画>は華やかになる。
ドキュメンタリーどころかSFエンタテイメントになっていたね」

----先ほどデストピアって言っていたけど、
それで“華やか”ってどこか矛盾してニャい?
暗い世界を想像しちゃうけど…。
「確かにね。
ここ数年、未来をデストピアとして描いた作品は多いけど、
これは舞台を宇宙にまで広げ、
ある思い切った手法を使っている。
それがスペースコロニー“エリジウム”。
地球は大気汚染と人口増加によって著しく悪化。
そんな故郷を捨て、
一握りの超富裕層は地球から400キロの上空に浮かぶ
楽園エリンジウムへと移り住んでいるんだ。
一方、地球に残されたほとんどの人類は貧困と犯罪、汚染と病にさらされ、
ロボット支配の下、
空に浮かぶエリジウムを見上げながら、日々を生き延びている。
さて、映画は、
地球の工場で苛酷な労働に従事しているマックスが照射線を浴び、
余命5日を宣告されたところから大きく動き始める。
彼を救えるのはエリジウムにだけ置かれた
どんな病をも直すことができる医療ポッド」

----ちょっと『WALL・E /ウォーリー』を思い出さニャいでもないニャあ。
ぶつぶつ。
まあ、いいや。
こっちに戻ると、
そこでマックスはエリジウムへ向う…
というわけだニャ。
でも、そんなに簡単に乗りこめるの?
「そこが
この映画の“脚本”のうまさ。
不可能なはずのそのエリジウム行きを
“物語的に”可能たらしめるため、
彼の行く手にさまざまな障壁をもうける。
そこで重要な役割を果たすのが闇商人スパイダー」

----えっ、どういうこと?
「彼はマックスに
富裕層の人間から脳内データをダウンロードしてくることを命じるんだ。
そのミッションを遂行するべく
マックスは自らの身体をエクソスーツ(パワードスーツ)と結合させる。
これがビジュアル的にも効いてくるんだ。
『ロボコップ』
いやむしろ『鉄男』といったところかな。
ところがマックスが狙ったデータが、
銀行口座などの情報といったレベルのものではなく、
実はもっと大きな
エリジウムを支配するものだということが分かってくる」

----うわあ。
それは一気に話が大きくニャるニャあ。
「でしょ。
かくして、映画はエリジウムと地球の関係そのものへと
テーマ的にも、そしてそれに伴って映像的にもスペクタクルな広がりを見せてゆく。
さて、このエリジウムのビジュアルがまたオモシロい。
外目には『2001年宇宙の旅』に出てきた宇宙ステーションのようなリング状。
ところが近づいていくと、
なんとその中には公園もあればビルも立ち並んでいる。
『サイレント・ランニング』で出てきた宇宙空間のグリーンが
ゆっくりと回転しているその光景は眩暈がしそうなくらいに美しかった。
片や地球のスラムはメキシコシティにて撮影。
こちらは実景を写すことで、観る者に、
いますぐにでもこの事態が起こってもおかしくなはい…
と、そういう気にさせるんだね。
このあたりが、
同じ格差社会を描いている
ジム・スタージェス、キルスティン・ダンスト共演の
『アップサイドダウン 重力の恋人』との違いかな。
こちらもビジュアルとしてオモシロい工夫がなされてるんだけどここでは割愛」

----確かあっちはファンタジー色が強いんだよね。
「そう。
双子惑星というか、二重引力の世界
上には富裕層、下には貧困層が暮らしているんだ。
なんて、もうフォーン。
乗せられて、ちょっと喋ってしまったじゃないか…。
一方、こちらの『エリジウム』はもっとリアル。
地球上でのカーチェイスシーンなんか、
『マッドマックス2』を思い出した。
いま思えば、この『マッドマックス』シリーズは映画でデストピアを描いた先駆け的な作品。
リメイクが予定されているようだけど、
ぼくはニール・ブロムカンプに撮ってほしかったな」


                    (byえいwithフォーン)

※冷酷無比な刺客クルーガーを演じたシャ-ルト・コプリー
彼はこの映画で人気が沸騰すること間違いなし!


フォーンの一言「日本のカルチャーの影響も大きいらしいのニャ」ぱっちり

※日本刀や手裏剣まで出てくる度

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『おしん』(濱田ここね版)

2013-08-15 12:47:34 | 新作映画



-----今日はフォーンの初盆。
せっかく戻ってきだだから、
フォーンが喋るっす。
その映画は『おしん』
フォーン、正直、初めはこんな古めがしい話、
よう、観だぐねぇと思っだども、観でよがったっす。
つれえごとなんかなんでもねえ。
おれ、一人でも、
どだなこどがあっても負げねえがら
」。
フォーン、少し泣いたっす。
意地悪にしていたお嬢さまがやさしぐしてぐれたどごろで…。
そいで、少し分かったっす。
ここに描かれていること。
もしかしたら、そのいぐづかは、
8月15日がなかったら、
いまも続いていたかもしれねぇ。
小作人らは一生懸命に働ぐだども、
地主に納めて
自分たちは大根めしもろくに食えないのだす。
えいが言うには“一億総中流”の頃なら
過ぎ去った時代ですんだかもしれないんども、
日本は、この時代に逆戻りしようとしているのではねえがと…。
それが格差社会ってごどらしいっす。
おしんが山で出会った
脱走兵と憲兵の話に時間を割いてあるのも
戦前の日本を描こうとしてのことじゃないかって…。
フォーンには、ほだなこど、よぐわがんね。
でも、おしんを演じた、濱田ここねちゃんは可愛かったっす。
今日は、フォーンのたどたどしい山形弁に付き合ってくれて
ありがどごぜえます!
この気持ち。うそでねぇ!



(byフォーン)

フォーンの一言「『おしん、女ってのはな、
自分のために働いでいるんではねぇんだぞ。
みんな親や亭主や子どものために働いでいるんだぁ。
つゆほども自分のこど考えねぇでなぁ

泉ピン子がよがったっす。」

身を乗り出す

稲垣吾郎の冷たい父親役も見モノだ度

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『ガッチャマン』

2013-08-10 13:14:59 | 新作映画

ネタバレ(?)注:※映画の核に触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。


----また、今日は変なの持ってきたニャあ。
もしかして暑いから?
「もう。それ、言いすぎ。
ほら、昨日から『パシフィック・リム』 が公開されているじゃない。
ツイッターでの盛り上がりも大変なことに。
もしかしたらぼくの勘違いかもしれないけど、
この『パシフィック・リム』について
『ガッチャマン』の佐藤東弥監督がどこかで絶賛していたような…。
実は、構造的にこの2作、
けっこう似たところがあるんだ」

----どういうところ?
「それはね。
すでに事態が現在進行形であるところ。
舞台は21世紀初頭。
謎の侵略者によって、たったの17日間で地球の半分が壊滅的な被害を受ける。
と、ここまではまったく描かれない。
彼らと戦うのは
800万人に1人という“石”という特殊な結晶体の力を引き出せる適合者たち。
“ガッチャマン”として任務に就く以前の主人公たち、
健、ジョー、ジュン
幼い頃の彼らも描かれるには描かれるんだけど、
それも物語の伏線としてのため。
このシナリオの作りはなかなか上手いと思ったね」

----その彼らが成長した姿を
松坂桃李、綾野剛、剛力彩芽が演じるってワケだニャ。
「いやいや、それが違うんだな。
剛力彩芽扮するナオミはその時点では
まだチームに参加していない。
ここは言ってもいいのかな。
でも、そこがこの映画の推進力になる部分だし、
え~い。話しちゃおう。
健とジョーの間に
三角関係のような形で介在するのが初音映莉子演じるナオミ。
ある任務でナオミは命を落としてしまう。
しかも健をかばって…。
そしてそのことが彼らの間にトラウマとして残り、
チーム内の人間関係もぎくしゃくしていくんだ」

----ニャるほど。
「ぼくが
基本的にはバトルアクションであるはずのこの映画に
思いの他、入り込めたのは、
物語の底に、
メンバー間の複雑な思い、
そして暗黒面の力が対置されているところ。
いわゆるアクションのためのアクションとはなっていない。
だから、メンバー一人ひとりの次の行動が読めないんだ
いわば『スター・ウォーズ』シリーズの作りだね」

----そうか。
最近、昭和のアニメ・ヒーローが
次々と実写されているから
そんな感じかと…。
「ぼくも観る前はそう思っていたんだけど、
『ヤッターマン』『怪物くん』『妖怪人間ベム』あたりとは、
かなりテイストが違うね。
映像としても回転体装甲車キャタローラーのように
『パシフィック・リム』を思わせるクリーチャーもあったしね。
(そうでもないか…)
色味もダークで、
平成ゴジラのようなからっとしたモノじゃない
円谷英二が特撮監督としてかかわっていた頃の
暗くじめじめしたに感じ。
ボンデージ・ルックによる初音映莉子の
サド的な責めなど、
子どもにはきつすぎるシーンもあるし…。
ただ、『パシフィック・リム』の直後の公開は
この映画にとっては損だな。
この手の特撮バトル映画は、今後、
『パシフィック・リム』がメルクマールになるだろうしね」



                    (byえいwithフォーン)


フォーンの一言「これはどうやら続編もありそうだニャ」ぱっちり

※そりゃあ、そう。これは『スター・ウォーズ』でいえば『4』だ度

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『悪いやつら』

2013-08-07 23:54:47 | 新作映画
(英語題:Nameless Gangstar:Rules of the Time)

----最近、観る映画、観る映画、
全部あたりって感じだね。
「いやあ。
実は日本で公開される映画があまりに多すぎて、
かなりセレクトして観ているからね。
それでも、まだフォーンに話していないの、
こんなにもたまっちゃった。
さて、どれから行こうかな…」

----夜も遅いから、
分かりやすいのがいいニャ。
そうだ、あの韓国映画。
ほら、チェ・ミンシクハ・ジョンウが出ているの…。
「えっ、『悪いやつら』のこと?
これ、かなり変な映画だよ。
思っていたのとはかなり違う」

----そういえば『仁義なき戦い』にたとえていなかった?
「うん。
それはね。
“悪いやつ”の意味が
“犯罪を犯す”はもちろんだけど、
“卑屈で狡猾”、
つまり人間として最低最悪…の意味をも持っているからなんだ」

----??
「じゃあ、簡単に物語を…。
主人公は、
密輸や賄賂を重ねる悪徳税関職員のチェ・イクヒョン(チェ・ミンシク)。
ある日、検察から査察が入り、
汚職の責任をひとり負うことになるだが、
彼はそのまますんなりと仕事を辞めるようなタマではない。
夜間の巡察中に発見した覚せい剤でひと儲けしようと、
釜山の裏社会を牛耳るボス、
チェ・ヒョンペ(ハ・ジョンウ)に接近。
偶然にもそのヒョンペが同じ家系の一員であることを知ったイクヒョンは、
“大伯父”として彼と手を組むことになる…
と、こういう流れだね」

----ニャるほど。
その“家計”を盾にヒョンペを操るってワケだニャ。
「そう。
もとより公務員のイクヒョンには
税関職員時代に培ったコネがある。
その交際術とヒョンペの拳があれば鬼に金棒。
あっという間に釜山を掌握。
ところが、1990年にノ・テウ大統領が
組織犯罪を一掃する“犯罪との戦争”を宣言。
イクヒョンは自身の生き残りのため、
裏切りを何度も重ねながら、
それでもその場その場を巧みに切り抜けていく…。
まあ、男の風上にも置けないヤツだね」

----あっち行ったりこっち行ったりか…。
途中でこんがらがりそう。
「うん。
あまり有名じゃない俳優も数多く出ているしね。
実を言うと、ぼくもちょっと混乱。
イクヒョンの真意がどこにあるのか分からなくなって…。
でも、次第に、
あっ、これは
“その場逃れの積み重ね”だなって(笑)。
つまり、そのときどっちに付いていようと
もう、どうでもよくなってくる。
やっていることがすべて
彼の“生き残りのための方便”、
映画はそれを描いているんだってね

----だから『仁義なき戦い』が出てきたわけか…。
「うん。
あの映画は菅原文太演じる広能昌三が主人公ではあるけど、
部下たちを口先だけでいいように使う薄汚いクズ、
山守義雄(金子信雄)組長のドラマとして見てもオモシロい。
ぼくは、あのシリーズを始めてみたとき、
山守親分を主人公にした映画を作ればオモシロいのでは?と、
そう思ったけど、
それを韓国映画がチェ・ミンシクでやっちゃった…」

----欲望丸出しの人間喜劇ってヤツだニャ。
「そうだね。
ここでは誇張されてはいるけど、
案外、会社の中でも
これに似たような生き残りのための抗争ってのは
行なわれているんだろうな。
でも会社だと、、
即クビになっちゃうから、みんな知らないふりをしている」

----そりゃまた厄介だニャ。



                    (byえいwithフォーン)


フォーンの一言「変な男の話。かえって眠れなくなったニャ」ぱっちり

※ラストもなかなかだ度

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『そして父になる』

2013-08-05 22:30:37 | 新作映画

----この映画って、
カンヌ国際映画祭審査員受賞の話題作だよね。
監督は是枝裕和だっけ?
『誰も知らない』『奇跡』など、
子どもの演出には定評があるけど、
こんども父と子の話?
「さすがフォーン。
よく知っているね。
長年、パートナーを務めてきただけのことはある。
この映画もまた、
その“子ども”にズバリ焦点を当てた映画なんだ」

----キャッチコピーは“6年間育てた息子は他人の子だった――
これってどういうこと?
お父さんがお母さんが別の男の人の子を生んでいたのを
知らなかったってこと?
「(汗)。フォーン、スゴイこと言うね。
これは、そういう生々しいものじゃない。
いや、こっちの方もこれはこれで衝撃ではあるんだけどね。
6年前に、赤ちゃんが病院で取り違えられていた…
と、こういうことなんだ」

----えっ、これって
いまの話だよね。
そんなことってあるのかニャ?
「うん。
なぜ、そうなったかは、
実は途中で明かされる。
そして映画自体も、
そのことによって弾みをつけていくんだ。
ただ、ぼくはこの是枝裕和っていう監督、
劇場デビュー作の『幻の光』の頃から苦手でね…。
テレビマンユニオンに参加していたということからも分かるように、
映画の<作り>がぼく好みのケレンとは対極。
一時期はやった言葉で言えば<抑制>されているんだ。
>もアップやロングを効果的に使うのではなく、
節度>を持ったミドルショット。
誤解を恐れずに言えば、
あまりそこに美学を感じない」

----おおっ、それは問題発言だニャ。
「ところが、
この映画を観ていて
少し考えが変わったね。
この登場人物とカメラの距離は、
映像によって煽ることなく
そこで起きていることを真正面から<見つめる>、
そういう意味があるんだと…。
ということで少し人物構成を説明すると、
主人公は都心の高級マンションに暮らす野々宮良多(福山雅治)。
彼はその生活、地位のすべてを自分の能力と努力で勝ち取ったと自負。
物語は彼と妻のみどり(尾野真千子)が
ひとり息子の慶多(二宮慶多)の“お受験”で
親として面接に臨むシーンから始まる。
まさに、エリートならではの世界。
しかし、ある“事件”がこの完璧な人生を変える」

----それが、慶多が自分の子ではなかったということだニャ。
ということは、その子はよそで暮らしている。
「そういうことだね。
病院側の仲介で彼らが会ったのは
群馬で小さな電気屋を営む斎木雄大(リリー・フランキー)と妻のゆかり(真木よう子)。
あまりにも自分たちと違う身なりとガサツな態度に眉をひそめる良多。
というのも、この斎木という男、
何かというと慰謝料だの金の話にしてしまうんだ」

----う~ん。
「さて、物語はここまでにとどめておこう。
この福山雅治が演じる主人公・良多は常に上から目線。
おそらく観客の多くは彼を見て
“いけすかないヤツ”という気持ちを抱くと思う。
この映画では、
その良太の性格を表す一つひとつが
言葉、エピソードとして、
ほんとうによく練られているんだ。
一例をあげれば、慶多が他人の子だと知った後に、
良多がつぶやく次のセリフ
やっぱりそういうことか』。
つまり、彼はふだんから
自分の息子にしては慶多がどこかもどかしい
そんな気持ちを抱いていたというわけなんだ」

----ヒドいニャあ。
それは慶多も息苦しかっただろうニャあ。
「うん。
さて物語は、そこから
息子たちを互いの家に一泊させる形へと流れていく。
さあ、そのときお互いの子供は一変した環境の中で、
それをどのように受け止めるか…?」

----ニャんだか、それを聞いていると、
福山雅治が主人公には思えなくなってきたニャあ。
「うん。
実際に、演技として印象に残るのは
リリー・フランキーであったり真木よう子であったりする。
ところが最後に前面に出てくるのは
やはり福山雅治、
彼演じる良多が『そして父になる』こと。
これはまさにタイトルそのものの映画だったね」



                    (byえいwithフォーン)


フォーンの一言「大切なのは血か、それとも一緒に過ごした時間かを問うてもいるのニャ」複雑だニャ


※なかなか難しい問題だ度

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『夏の終り』

2013-08-01 22:12:30 | 新作映画


----えっ、これって
この前観たばかりだよね。
フォーンも横でこっそり観ていたけど、
そんなに気に入っているようには見えなかったけど…?
「うん。
でもね、あの冒頭から
おおっ、と思ったのは確か。
灰色っぽくくすんだあの質感は
どう見てもフィルムのもの…」

----う~ん。どうかニャあ。
いまはデジタル処理で、
たとえば「銀残し」とかもやれるらしいよ。
「さすがフォーン。
よく知っているね。
もしかしたらそうなのかも…。
ただ、それに加えて
次の<画>が出てきたときには
思わずニンマリ」

----あっ、作家の慎吾(小林薫)が
猫に餌をやっているところ?
「そう。
角から勢いよく飛び出してくる。
猫の演出がいかに難しいかは
あのフランソワ・トリュフォー
『アメリカの夜』の中で
『柔らかい肌』のそのシーンを再現する形で見せてくれた通り」

----外にいる猫にミルクを挙げようとしても
なかなかうまくいかず、
猫はいつも通りすぎちゃうってヤツだニャ。
「うん。
実はこのことが喋りたかったから
今回、この映画を紹介しているようなもの。
おそらく監督の熊切和喜
撮影中、この映画のことが頭にあったのは間違いない」

----そういえば、熊切監督、
猫好きだものね。
この映画の猫さんたちの里親になったというほどだし…。
て、なかなか本筋に入らないニャあ。
「ゴメンゴメン。
この映画、
プロットは単純。
年上の作家・慎吾と暮す女・知子(満島ひかり)と、
彼女に執着する年下の男・涼太(綾野剛)、
さらには映画には姿を見せない慎吾の妻、
この4人の愛の模様を見つめたもの。
ところが映画は、
それぞれを時間軸に添って描くことはせず、
いくつもの<時>を断片的に描き、
それを映画という枠の中に、パッと散りばめる。
いわば、バラバラにされたジグソーパズル

そのため、瀬戸内寂聴の原作を読んでいない限り、
果たして、今目にしているその<画>がどの<時>の物語かは、
即座には分からない」

----ほんと不親切な映画だったよね。
「う~ん。
でも、おそらくそれが監督の狙い、
観ているうちに、ぼくはそんな気がしてきたんだ。
物語、つまり登場人物それぞれの歴史の断片を
あちらこちバラバラにら観ることで、
観客は、ストーリーを
自分の中でたぐり寄せなくてはならなくなる。
映画への積極的参加、そのこと自体を楽しめ』と、
そう、監督は言っているんじゃないかと…」

----ニャんだか、いい方に解釈しすぎ。
「だって、
熊切和喜って人、
普通に語ろうとしたら
それをできるだけの力量を十分に持っている監督だもの。
でもそれをあえて避けた…。
そしてその分、衣装やメイク、セットにおける時代考証、
そのディテールにはスゴクこだわってる。
ぼくは満島ひかりが、
まるで50~60年代の東宝、松竹の女優のように見えてならなかったもの。
なかでも高峰秀子ね」

----そういえば映画には
『カルメン故郷に帰る』
看板も写っていたニャあ。
「そう、
あれは、ヤッタネって感じ。
そういえば湊のシーンで、
主人公たちだけ動いて
周りがストップモーション、静止画像になる…
あの処理もオモシロかったね。
一見、オーソドックスに見えながらも実験的。
最近では『熱波』
を観たときの感慨に近かったね」



                    (byえいwithフォーン)


フォーンの一言「フォーンにはよく分からない世界なのニャ」小首ニャ


※ぼくもなぜ今この原作かは、正直分からない度

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