ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

「2015 無人島に10日間。フォーンと観るならこの映画」(大晦日の気分)

2015-12-31 21:46:03 | 新作映画
----ついに大晦日。
こんなに顔を見せてくれなかった年もなかったニャ。
一年のまとめもやらないままなのかと…。
「まったくだね。
実は今年は、
外国映画も日本映画も引き込まれる作品がとても多かったんだ。
で、あちらを喋ればこちらは喋らなくていいのかと…。
そんなわけで10本を選ぶのがほんとうに難しくって…」

----でもTwitterとか見ていると、
みんなよくベストテンを選んで一年を振り返っているよね。

「そうだね。
よく絞れるなって、もう感心するしかない。
ぼくなんか、あっという間に30~40本にはなっちゃうからね」

---- それで、去年はA面[好きにならずにいられない]
B面[忘れじのショット]を作っちゃったワケだよね。
「うん。
でも今年は、周りを見習って“厳選”してみようかと。
その判断基準は“引き込まれ度”。
これが高かった作品。
“予想の上を行った作品”をそのセレクトの基準とした
Twitterとは少し違ってくるかも」

----えっ、だったらその二つを合体させたらいいんじゃニャい?
「あっ、言われてみるとそうだね。
ちょっとチャレンジしてみるかな。
君が生きた証  (引き込まれ度80点。予想の上度95点…計175点)
※まさかそうくるとはの典型例。この流れを読めた人は少ないのでは?
くちびるに歌を (引き込まれ度80点。予想の上度75点…計155点)
※汽笛の音(ド#)が過去と現在をつなぐ。ここで涙腺決壊。
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)   (引き込まれ度90点。予想の上度70点…計160点)
※あたかも1カットで映画を撮ったかのようなその映像に目は釘づけ。
マッドマックス 怒りのサンダー・ロード(引き込まれ度100点。予想の上度100点…計200点)
※新しい時代にどう対応すべきか、ジョージ・ミラーはその指針を見せてくれた。
ジュラシック・ワールド (引き込まれ度90点。予想の上度75点…計165点)
※これぞジェットコースター・エンタメムービー。ラストはあたかも東宝怪獣映画。
エール!(引き込まれ度80点。予想の上度95点…計175点)
※聾者の家族の中にひとりだけ美声の持ち主が…。この発想が物語を想わぬ方向へ運ぶ。
わたしに会うまでの1600キロ (引き込まれ度75点。予想の上度85点…計170点)
※「コンドルは飛んでいく」をイントロだけ使う。心をざわつかせるにくい演出。
ジョン・ウィック (引き込まれ度80点。予想の上度90点…計170点)
※デヴィッド・リンチを思いっきりB級にしたかのような妖しい世界。映画は所詮作りもの。
恋人たち (引き込まれ度95点。予想の上度90点…185点)
このタイトルからこの物語は想像つかない。監督の人を見る目、そしてそれを映像化する技術。すべてに感服。
クリード・チャンプを継ぐ男 (引き込まれ度80点。予想の上度80点…計160点)
オマージュとはかくあるべし。『ロッキー』シリーズの引用、そのさりげなさ、ち密さが涙を誘う。」

----あれ?これ、
点数の高い順に並べれば4ベスト10になるのでは?
「ほんとだ。ちょっと並べ替えてみよう。
①マッドマックス 怒りのデス・ロード
②恋人たち
③君が生きた証
④エール!
⑤わたしに会うまでの1600キロ
⑤ジョン・ウィック
⑦ジュラシック・ワールド
⑧バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
⑧クリード・チャンプを継ぐ男
⑩くちびるに歌を

なんか違う気もするけど、
まあ、ぼくがどうしたからって
映画が変わるわけじゃないし。
2015年大晦日の気分。

特別枠
『スター・ウォーズ フォースの覚醒』
観る前の悪い予感。でもJ.J.ならやってくれるのでは? 結果は吉。78年のあの日が甦ったメモリアルとなる作品。
『ハッピーアワー』
映画にはまだまだ未開拓の領域が残っていることを教えてくれた、これもメモリアルとなるであろう作品。

12月▶『味園ユニバース』
1月▶『フォックスキャッチャー』
2月▶『アメリカンスナイパー』『セッション』『イタリアは呼んでる』
3月▶『風に立つライオン』『アリスのままで』
5月▶『虎影』『ラン・オールナイト』『ローリング』『リアル鬼ごっこ』
6月▶『ラブ&マーシー 終わらないメロディ』
7月▶『ナイトクローラー』『人生スイッチ』『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』
8月▶『名もなき塀の中の王』『罪の余白』『私たちのハァハァ』『アクトレス 女たちの舞台』
9月▶『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』『キングスマン』
10月▶『コードネーム:U.N.C.L.E』『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』
11月▶『ベテラン』『ドリームホーム』『ストレイト・アウタ・コンプトン』
12月▶『マイ・ファニー・レディ』『友だちのパパが好き』

でも、この残り30本も落としたくない作品ばかり。
みんなよく10本絞れるなと、改めて感心」


----ほんと。初めて聞く作品ばかり。
もっとここでも話してほしかったのニャ。

「そうだね。
Twitterではこまめにしゃべっているんだけどね。
来年は少し考えてみるかな」


フォーンの一言「あまり出てこなくなったけど、来年もよろしくなのニャ」
もう寝る


※201⑤年の五つ星だ度


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『森のカフェ』

2015-12-13 19:27:15 | 映画

悩める若き哲学研究者の前に現れた森の妖精?
だがそのメルヘンチックな謎は瞬く間に現実の物語の中に回収。
代りにもう一つの秘密のヴェールが剥がされていく…。
『森のカフェ』を観ることは、その心を地上の引力から解き放つ魔法の時間を過ごすこと。
これは映画館の暗闇の秘密を知った者の映画だ。



----う~ん。
持って回った言い方。
意味がよく分からないニャあ…。
「う~む。
フォーンをしてもそうか。
この映画はね、
Twitterでお世話になっている榎本憲男監督の作品」

----あ~あ。
その監督なら聞いたことがある。
確か、
『見えないほど遠くの空を』を撮った人だよね。
「うん。
あの映画は映画製作をしている若者たちの話、
しかも自分の学生時代に関わりのある懐かしい場所が物語の舞台ということもあって、
懐かしさ交じりで観ていたんだけど、
後半、物語が思わぬ方向へ転がっていく。
脚本としてのオモシロさも見せてくれただけに、
今回もひそかに期待していたんだ。
ところが、Twitterでのつぶやきを観ていると、
あまりにもメルヘンな物語。
しかもヒロインは歌まで歌うという。
果たして、どんな映画になるのか
次第に不安も入ってきてはいたんだ」

----ニャるほど。
「実際、
映画は、これぞフェアリーテールというか、
おとぎ話のような展開を見せる。
なにせ哲学研究者の前に現れた少女が
『ようこそ森のカフェへ』だもの。
二回目に現れたときには
ギターを抱えて歌まで歌う。
そこは何も特別な森じゃない。
主人公が住んでいる場所のすぐ近く。
おいおい、どうなるんだこれは?
と、こちらはそう思うわけ。
ところが榎本監督は、
この裏に隠された秘密というか、
仕掛け>をあっさりと見せてくれるんだ。
このヴェールの剥がし方も
映画を観る人の楽しみの一つだから、
ここで教えるわけにはいかないけどね」

----ふうん。
じゃあ、メルヘンには
ならニャいじゃん。
「いやいや。
ところがそこに、
もう一つの隠された<秘密>が立ち上がってくる。
ファンタジーをベースにね。
このストラクチャーがぼくはとても気に入ってしまった。
気づく人は早くから気づくんだろうけど、
その<秘密>が
主人公とヒロインの間で通底しているんだね。
で、主人公は
少女の歌に自分の抱えている研究のテーマに通じるものを見る。
それはデカルトの心身二元論

---えっ、そんな難しいものが出てくるんだ。
よく理解できたニャあ。
「いやいや。
脳みそが怠けきっているいまのぼくには到底無理。
でも、これはいったい何を言おうとしているんだろうと考えてみたくなる不思議な力を
この映画は持っているんだね。
考えることの心地よさというか…。
最近の映画って、
いかに観るほうに伝わりやすくするか、
それが上手くできていればいるほど
いい映画として高評価を得やすい。
ところがこの映画は、哲学をテーマにしているだけあって、
そんな昨今の流れに与してはいない」

---じゃあ、人によっては
つまらないんじゃないのかニャあ。
「いや、
その思考とは別に
目の前で展開する映像が
秋の枯葉を軸に
色、構図など、
これまた心地よく計算されている。
たとえ主人公が言っていることが分からなくても、
いつしか足が地上からふわり舞い上がったような
不思議な時間に包まれるんだ。
このあたりの魅力を言葉にするのは難しい。
こういうと反感を買うかもしれないけど、
これは多くの映画を観てきた者だったら分かる感覚」

---ニャるほど。
それが“暗闇の秘密を知った者の映画” という言葉になるんだニャ。
「そう。
そしてそれは誰にでも作れるものではない。
Twitterを見ればわかるけど、
榎本監督は、
脚本の構成や
キャメラの位置について
常に論理的に思考している。
この映画、76分しかない小品。
でも、その中身はきわめて豊かだと思うな」


フォーンの一言「歌もいいらしいのニャ」身を乗り出す

※音楽をあまり覚えられないぼくが口ずさんでしまった度
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