-----望月六郎監督の映画って、あまりタイプじゃないでしょ?
「う~ん。確かに。
陽に当ててない布団のような感触。湿気でじと~っとしている。
おそらくは、そこに生身の男と女の肉体、
そして感情の“距離のない”交歓を描こうとしてるんだとは思うけど、
あまりにも直截的な猥語が使われたり、血糊がたくさん出てきたりして、
観ていてとても気持ちよいとは言えない。
でも、今回の作品はいつもと少し毛色が違ってたよ」
-----と言うと?
「その前に物語のアウトラインを。
舞台は“忍山”という架空の町。
茂は色町で生きる一美という女に運命的な出会いを感じる。
町を出て一緒に暮らそうと彼女を誘う茂。
住み込みでボイラーの仕事に汗を流すふたりだが、
ある日、一美は茂の前から行方をくらましてしまう。
彼女にはなんとヤクザの夫がいて、
その夫が出所したため一緒に付いていってしまったんだね。
一美を取り戻そうとする茂は、周りからボコボコにされてしまう。
一年後、茂は大阪で恵理という女に出会う。
ところがこの恵理がとんでもない女だった.......。
と、これくらいにしておこう。
茂に北村一輝、一美に高岡早紀、そして恵理に吉井怜。
これに“忍山”で女たちに愛され、
彼女らの面倒を見る中沢と言う男が絡むんだけど、
この中沢を奥田瑛二が演じている」
-----らしい、キャスティングだね。
牡と牝って感じだ。フォーンが言うのもニャんだけど(笑)。
「うん、観ている間、70年代後半に戻った感じになったよ。
フィルムから発する匂いがあの頃の昭和。
しかも学生映画と日活ロマンポルノを行き来してる感じ」
-----日活ロマンポルノはいいにしても、学生映画はないんじゃニャい?
「いや、これは悪い意味でなく、ロケ地の選択、風景の切り取り方が、
学生運動が終わった後の時代のやるせなさと秋風を感じさせるんだ。
それでいて、前半は特に原色を散りばめてどぎつい空間を造型している。
北村一輝の服も、青や赤の原色。
それが逆に背後の風景の寒々しさを際立たせるんだ」
----ふうん。そんな見方もあるのかニャあ?
「それに加えてこの映画は、もしかしたら“入れ子構造”と思わせる
とんでもない<作り>となっている。
前半で、茂はトラックに轢かれそうになる。
ところが運転しているのは魚の運搬をしている茂。
開かずの踏切の前。
彼は大きな魚を手に早く運ばなくてはと焦りまくり、他のドライバーに絡まれる。
と、これは彼の悪夢。
夢から覚めた茂、しかしそこにまた別の悪夢が...。
そう、“夢のまた夢”ってヤツだ。
ところが映画は、
この二つ目の夢から覚めるシーンを映さないまま次のエピソードへ。
つまり、その後もずっと夢の可能性があるわけだ」
----えっ、さすがにそれはニャいでしょ?
「なぜ、そう思うかと言えば、以後、話があまりにも突拍子なくなるから。
まず、前半は茂と一美の話だったのに、
途中から完全に話の中心は恵理に移っていく。
しかもこの恵理の出現で、茂の人生は大きく狂わせられていく。
※ネタバレ注(今回はあえて全部書いてます)
病気で血を吐いている彼女を裏社会に売った自責の念から
彼女の面倒を見ていた茂は、
その病気が恵理の嘘と知り、彼女を追い出す。
しかし恵理はそこで引き下がりなんかはしない。
執念で追い回し、ある作戦により“忍山”を窮地に追い込む。
そこで中沢が恵理の背後で糸を引く男の元へ乗り込んでいく。
ここも不思議な描き方で、主人公は茂から中沢に移ったかのよう。
しかしその中沢は兇弾に倒れ、今度は茂が包丁を持って乗り込む。
ところが茂は魔性の女=恵理の返り討ちにあい。
その持っていった包丁で自分の指を切られてしまう」
-----あらら。ホラーじみてきた。
「なのに、次のシークエンスでは茂の指は繋がっている。
どう考えてもつじつまが合わない。
あのトラックのシーンで、もしかしたら茂はすでに死んでたのかも」
-----いや、それはニャいと思うよ。
「mmmmm・・・・・・・」
(byえいwithフォーン)
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「う~ん。確かに。
陽に当ててない布団のような感触。湿気でじと~っとしている。
おそらくは、そこに生身の男と女の肉体、
そして感情の“距離のない”交歓を描こうとしてるんだとは思うけど、
あまりにも直截的な猥語が使われたり、血糊がたくさん出てきたりして、
観ていてとても気持ちよいとは言えない。
でも、今回の作品はいつもと少し毛色が違ってたよ」
-----と言うと?
「その前に物語のアウトラインを。
舞台は“忍山”という架空の町。
茂は色町で生きる一美という女に運命的な出会いを感じる。
町を出て一緒に暮らそうと彼女を誘う茂。
住み込みでボイラーの仕事に汗を流すふたりだが、
ある日、一美は茂の前から行方をくらましてしまう。
彼女にはなんとヤクザの夫がいて、
その夫が出所したため一緒に付いていってしまったんだね。
一美を取り戻そうとする茂は、周りからボコボコにされてしまう。
一年後、茂は大阪で恵理という女に出会う。
ところがこの恵理がとんでもない女だった.......。
と、これくらいにしておこう。
茂に北村一輝、一美に高岡早紀、そして恵理に吉井怜。
これに“忍山”で女たちに愛され、
彼女らの面倒を見る中沢と言う男が絡むんだけど、
この中沢を奥田瑛二が演じている」
-----らしい、キャスティングだね。
牡と牝って感じだ。フォーンが言うのもニャんだけど(笑)。
「うん、観ている間、70年代後半に戻った感じになったよ。
フィルムから発する匂いがあの頃の昭和。
しかも学生映画と日活ロマンポルノを行き来してる感じ」
-----日活ロマンポルノはいいにしても、学生映画はないんじゃニャい?
「いや、これは悪い意味でなく、ロケ地の選択、風景の切り取り方が、
学生運動が終わった後の時代のやるせなさと秋風を感じさせるんだ。
それでいて、前半は特に原色を散りばめてどぎつい空間を造型している。
北村一輝の服も、青や赤の原色。
それが逆に背後の風景の寒々しさを際立たせるんだ」
----ふうん。そんな見方もあるのかニャあ?
「それに加えてこの映画は、もしかしたら“入れ子構造”と思わせる
とんでもない<作り>となっている。
前半で、茂はトラックに轢かれそうになる。
ところが運転しているのは魚の運搬をしている茂。
開かずの踏切の前。
彼は大きな魚を手に早く運ばなくてはと焦りまくり、他のドライバーに絡まれる。
と、これは彼の悪夢。
夢から覚めた茂、しかしそこにまた別の悪夢が...。
そう、“夢のまた夢”ってヤツだ。
ところが映画は、
この二つ目の夢から覚めるシーンを映さないまま次のエピソードへ。
つまり、その後もずっと夢の可能性があるわけだ」
----えっ、さすがにそれはニャいでしょ?
「なぜ、そう思うかと言えば、以後、話があまりにも突拍子なくなるから。
まず、前半は茂と一美の話だったのに、
途中から完全に話の中心は恵理に移っていく。
しかもこの恵理の出現で、茂の人生は大きく狂わせられていく。
※ネタバレ注(今回はあえて全部書いてます)
病気で血を吐いている彼女を裏社会に売った自責の念から
彼女の面倒を見ていた茂は、
その病気が恵理の嘘と知り、彼女を追い出す。
しかし恵理はそこで引き下がりなんかはしない。
執念で追い回し、ある作戦により“忍山”を窮地に追い込む。
そこで中沢が恵理の背後で糸を引く男の元へ乗り込んでいく。
ここも不思議な描き方で、主人公は茂から中沢に移ったかのよう。
しかしその中沢は兇弾に倒れ、今度は茂が包丁を持って乗り込む。
ところが茂は魔性の女=恵理の返り討ちにあい。
その持っていった包丁で自分の指を切られてしまう」
-----あらら。ホラーじみてきた。
「なのに、次のシークエンスでは茂の指は繋がっている。
どう考えてもつじつまが合わない。
あのトラックのシーンで、もしかしたら茂はすでに死んでたのかも」
-----いや、それはニャいと思うよ。
「mmmmm・・・・・・・」
(byえいwithフォーン)
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