ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『探偵はBARにいる』

2011-06-30 12:02:46 | 新作映画
-----今日は、もう出かけるから、フォーンに喋るようにだって。
だったら、帰ってきてゆっくり話せばいいのにね。
さて、この『探偵はBARにいる』。
実はスゴくお気に入りの作品ニャんだって。
どこが違うのかって聞いたら、
「やはり撮影所育ちの監督だからだな」だって。
この橋本一という人、
もちろん、『相棒』シリーズなどのテレビも体験しているけど、
いわゆる東映の社員監督。
いまは、ほとんどの監督がフリーだから、
これは珍しいんだって。
で、現場でたたき上げられているから、
映画のオモシロさが何かを知り尽くしている。
まずキャスティングの妙、その生かし方。
主人公の<探偵>が
大泉洋というから、
笑えるずっこけ映画かと思いきや、
これがなかなかのハードボイルド。
でも、いかにもという人たちじゃないところがいいんだって。
それは、相棒の運転手・高田を演じる松田龍平にも言えていて、
『まほろ駅前多田便利軒』の時を思い起こさせる似た飄々とした感じ。
特に取り柄がなさそうという感じがいいんだって。
一方、脇役の方は、逆に誇張がすぎるほどの作り込み。
最初に殺される、いわば映画のキーマン、
霧島グループの社長に扮する西田敏行は真っ白なスーツ。
探偵を拉致するヤクザの高島政伸
まるでブラック・ジャックみたいな髪形で、
えいは、最後まで「この役者だれ?」と思っていたらしい。
他にも、久々にその個性を遺憾なく発揮の有薗芳記
またまた不気味な男を喜々として演じる波岡一喜
彼らはみな劇画チックなパートを請け負っている。
そしてヒロインには小雪
えいは、彼女の演技に泣かされたのは初めてだとか…。
(これはネタバレになっちゃうけ)
トリュフォーの『黒衣の花嫁』的設定を、
『野良猫ロック』の梶芽衣子ルックでやっちゃうんだって。
これだけでも興味津々だよね。
で、キャスティングがハマれば、
もとより、原作がしっかりしているから、
後は、ディテールを作り込み、
そして、それぞれの魅せる演出をしっかりやればいい。
小樽のフェリーの乗船場には日活アクションのムードが漂い、
スノーモービルを始めとするアクション演出も
<画>のオモシロさで魅せる。
彼らの乗る車がポンコツで、
カ―アクションには向かないところも愛嬌。

と、とにかく楽しいお話でもないのに、
観ていて、
えいは、いつしか顔がほころびニコニコしていたんだって。
えっ、どんなお話かって?
あまり知らない方がいいと思うけどニャあ。
一言で言えば
携帯を持たずに、
彼との連絡はいつも通っているBARの電話でしか取れない探偵のところに
ひとりの女性から依頼が…。
先に、お金も振り込まれ、嫌な予感。
それでも、つい依頼を受けてしまった探偵は、
自分の命までも狙われる
とある事件に巻き込まれていく。

さあ、後は実際に観て確認してね。



           (byフォーン)

「ある時期のプログラム・ピクチャーのノリなのニャ」2009.4.7フォーン


※これぞ映画の醍醐味だ度

blogram投票ボタン

人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー

コトリ・ロゴお花屋さんもよろしく。



『デビルクエスト』

2011-06-25 23:49:29 | 新作映画
(原題:Season of the Witch)



----あれれ、また“デビル”の話だ…。
「うん。そうなんだけどね。
最初は、
なぜ、これが“デビル”というタイトルになるのか分からない。
確かに“魔女狩り”がモチーフとして
映画は始まるんだけど、
じゃあ、原題どおり“魔女の季節”でいいのでは?と」

----でも、次第に納得がいったってわけだね。
「そう。よく考えてみると、
オープニングエピソードの
“魔女”への執行で、
すでに“悪魔”はその力を見せている。
“魔女裁判”といえば、
“腐敗した教会による魔女捏造”という、
そのイメージが焼き込まれているから
早とちりした感もなくはないんだね」

----ふん。でも話を聞いていると、
女性ばかり物語に絡んで来るようだけど…。
主演はニコラス・ケイジのはずでしょ?
『60セカンズ』のドミニク・セナ監督と
再タッグと聞いたけど…。
「そう。
さて、物語を要約するとこうなる。
14世紀のヨーロッパ。
十字軍の騎士ベイメン(ニコラス・ケイジ)とフェルソン(ロン・パールマン)。
ふたりは、
罪のないものまで犠牲になる戦いに失望し、
十字軍を離れ旅に出る。
だが、ペストが蔓延する、とある町に立ち寄った彼らは、
そこで脱走兵として捕えられてしまう。
病に伏せる枢機卿(クリストファー・リーヴ
ペストを終息させるべく、彼らにあることを命じる。
それは、牢に捕えられている魔女(クレア・フォイ)を、
魔力を失わせる呪文の書かれた写本があるという、
遠くにの修道院に連れていき、
それによって、魔女の力を封印せよ…というものだった」




----えっ。じゃあ、その女性はほんとうに魔女ニャの?
「そこなんだよね。
この映画の妙味は。
普通に考えたら、
さっきの話じゃないけど、魔女=捏造。
ベイメンたちも、彼女が魔女という話には疑問を抱くし、
観客にしてもそう。
ところが、彼女が魔女としか思えないような事件が旅先で続発してくる。
一方で、彼女は、
崩れそうな橋から落ちかけた若者を助けたりもするんだ。
しかし、それが女性とは思えないほどの力の強さ。
いったい、なぜ?
このあたりのイライラ感を、どう感じるかで、
この映画への評価は変わってくるだろうね」

----ふむ。ミステリー風味もあるわけだニャ。
あれっ。まだ悪魔は出てこない…。
「いやいや、大物は最後に(笑)。
さて、このクライマックスでの
悪魔との戦いがスゴイというかなんというか。
なにせ、フェルソンは悪魔にヘッドバット!(笑)
長く映画観てきたけど、
悪魔に頭突きをくらわしたシーンは初めてじゃないかな。
怖さを通り越して笑ってしまった。
まあ、ランニングタイムも95分だし、
気楽に楽しむにはいいと思うよ。
中世の画作りも見ごたえあるしね」





                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ニコラス・ケイジ、髪が伸びたようニャ」ぱっちり
※それは気にしないことだ度

コトリ・ロゴこちらのお花屋さんもよろしく。

こちらは噂のtwitter。
ツイッター
「ラムの大通り」のツイッター



blogram投票ボタン

ranking.gif人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー

画像はオフィシャルより。

『デビル』

2011-06-23 22:06:22 | 新作映画
※ネタバレ(でもないかな)注。見どころを喋っちゃっています。

(原題:Devil)


「最初に言っておかなくちゃだけど、
この映画にはハリソン・フォードも出てなければ、
もちろんブラッド・ピットも出ていない。
M・ナイト・シャマランが原案・製作に回って手がけた
“ザ・ナイト・クロニクル” シリーズの一本」

----ニャに?
そのナイトなんとかって?
「うん。
シャマランは、いつの日か映画化したいストーリーのアイデアを
長年にわたって何冊ものノートに書きためていたんだね。
で、それを全部、自分ひとりで脚本化して映画化するのは困難と気づく。
そこで、そのうちの何本かを選んで、
将来有望な映画作家や俳優たちに作品化してもらおうと思った…
と、こういうことらしい」

----で、その最初の一本がこれってわけだね。
そういう、有能な作家たちが実際に絡んでるの?
「まず、その脚本。
これは『ハード キャンディ』ブライアン・ネルソン
で、監督が『REC レック』のハリウッド・リメイク
『REC:レック/ザ・クアランティン』を手掛けた
ジョン・エリック・ドゥ―ドル

----へぇ~っ。それは怖そうだ。
で、どんなアイデアだったの?
「これが、ある意味、単純なんだ。
突然停止したエレベーターに閉じ込められた5人の男女。
彼らは、パニックになりながらもなんとか冷静さを保とうとする。
ところが、突然照明が消えて
再点灯したとき、若い女の背中が切られて出血」

----ゴクッ。その停止って
外にいる人たちはだれも気づいてニャいの?
「いやいや。
警備室では、監視カメラのモニターを通して状況把握がなされている。
ここがこの映画の特徴のひとつ。
普通の密室映画とは違う。
しかし、それでも、
照明が消えるたびに人がひとりずつ死んでいく。
やがて警察と消防が駆け付ける。
というように、ここにこの映画には、
犯人探しのミステリー、
そして、死体が増える前に救出を…というサスペンス。
ふたつの軸が出来上がる。
エレベーターに監視室からの声は聞こえるものの、
エレベーターの声は監視室には届かないという設定も効果的。
中にいる5人の身分を知ろうと、
警察側は、ありとあらゆる手段を講じていくんだね」

----ニャるほど。
で、デビルって悪魔だよね。
どう関係あるの?
「うん。
実は観る前までは、この映画が
本当の悪魔が出てくる話なのか、
それとも人間の心の比喩としての悪魔なのか、
どっちだろうと思ったら…」

----どっちだったの?
「言っちゃっていいのかな。
これは、ずばり悪魔登場。
もっとも彼らがエレベーターに閉じ込められて早々に、
悪魔が絡んでいることは
モニターにその姿が写ることで明らかになるけどね。
ただ正直言って、この悪魔自体はそれほどの怖さはなかった。
どちらかというとこの映画の怖さは
ひとり死に、ふたり死に…
で、
最後のふたりになったとき
彼らが対峙して、
互いに自分が殺されないうちに
先に相手を殺そうとするという、
“殺られる前に殺れ”の構図にある」

----でも、それってモニターで監視されているんだよね?
「そういうこと。
つまり自分が助かりたいために相手を殺したとしたら、
その場で彼、もしくは彼女は殺人犯。
先に手を出すわけだから、正当防衛という言い訳もできない」

----ふうむ。どう決着がつくんだろう?
「そこがポイント。
最終的に、この映画、
ある因縁話が絡んできて
ひとつの環を閉じるんだ。
その因縁話は、実際にはなくとも通じるというか、
オモシロく観られる映画。
でも、それがあるからこそ
シャマランらしいとも言える。
ヒントは彼の監督三作目『サイン』かな」

----それって喋りすぎ。



                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「80分という短さもいいのニャ」ぱっちり
※緊張が持続する度

コトリ・ロゴこちらのお花屋さんもよろしく。

こちらは噂のtwitter。
ツイッター
「ラムの大通り」のツイッター



blogram投票ボタン

ranking.gif人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー

『ゴーストライター』

2011-06-22 19:14:47 | 新作映画

(原題:The Ghost Writer)


----これは、観たときから
スゴク気にっていた映画だよね。
ロマン・ポランスキーだっけ?
「うん。
1960年代に大活躍していた監督たちは、
そのほとんどが鬼籍入りしちゃったけど、
彼は『水の中のナイフ』デビューしたのが20代。
ということで、まだまだ現役。
当初は、とんがったイメージもあったけど、
こういう歳の重ね方はいいよね。
円熟の言葉がピッタリ。
映画の楽しさがなんたるか知っている」

----映画の楽しさ?
それって、いろいろあるんじゃニャいの?
「もちろん。
でも、ぼくはこうとらえている。
映画館の外から一歩、扉を開けて中に入ると
そこは暗闇という一種<魔>の世界。
その中で、外界を忘れさせてくれる、
濃密な時間を過ごさせてくれること。
これは、簡単なようでいて難しい。
観る方の感情の流れをつかみながら、
それを途切れさせることなく
最後まで引っ張っていかなくてはならないわけだから…。
ぼくが、昨今のカーチェイスやガンアクションの映画を好きになれないのは、
その部分がきちんとできていないから。
ただ、派手に長く引っ張っていこうとする」

----分かった分かった。
それはいいから(笑)。
で、この映画は?
「物語は、
もともとベストセラーということだから、
そこを突っ込んでも仕方がない。
まあ、それでもあえてツッコミをするとしたら、
その物語を破たんなく見せているか?
この映画は、実はプロットは単純。
主人公は元英国首相アダム・ラング(ピアース・ブロスナン)の自叙伝執筆を依頼されたゴーストライター(ユアン・マクレガー』)。
ラングが滞在する真冬のアメリカ東海岸にある孤島で、
取材をしながら原稿を書きすすめるうちに、
彼は、ラング自身の過去に違和感を感じ始める。
そんな中、彼は国家を揺るがす陰謀の中へと巻き込まれていく。
つまり、ここにあるのは
ヒッチコック映画によく見られる巻き込まれ型サスペンス。
しかも、ここが憎い設定なんだけど、
主人公がライターという、
興味を抱くとそれを追求したくなるタイプだけに、
危険と感じながらもその核心へと近づこうとする」

----で、気づいたときにはもう遅い…。
「そういうことだね。
この映画、
だれも乗っていないクルマがフェリーに遺されているのが見つかるシーンから始まり、
続いて溺死体が打ち上げられているシーンへと写る。
一体これは何?
と、思っているうちに本筋が始まるんだけど、
そのクライマックスで、
実は主人公も同じ目に遭い、
過去の事件のいきさつが分かるという構図。
このシーンが実に巧い。
自分の命がヤバいと気付いた主人公が車で逃げようとする。
と、キャメラは、彼の背後から肩なめで写すんだ。
実際には、そこに追手がいるわけでもないのに、
すぐそこまで誰かが迫って来ているかのように見せる。
この見せないことで不安と恐怖を醸成するなんて技は、
やはり映画を知り尽くしているものじゃなくちゃできない。
ぼくは、このシーンだけでも観る価値があると思う」

----へぇ~っ。
ところで他に誰が出ているの?。
「元大統領の妻役としてオリヴィア・ウィリアムズ
彼女とゴーストライターの一夜の情事シーンもあるんだけど、
これがけっこう笑える。
あと、『SEX AND THE CITY セックス・アンド・ザ・シティ』で知られる
キム・キャトラルが元大統領の専属秘書。
彼女は大柄で肉感的」

----それは妻としてはハラハラだニャ。
「うん。
このあたりの生かし方、
言っちゃっていいのかな、
ミスリードも巧いと思うよ。
これはキャスティングの妙だね」




                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「大人の映画なのかニャ」小首ニャ
※何度も観たくなる度

コトリ・ロゴこちらのお花屋さんもよろしく。

こちらは噂のtwitter。
ツイッター
「ラムの大通り」のツイッター



blogram投票ボタン

ranking.gif人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー

『SUPER8 スーパーエイト』

2011-06-18 16:46:36 | 新作映画

(原題:Precious Life)


----これは夏の超話題作。
来週公開だよね。
「うん。公開されてからネタバレ全開で喋ろうかとも思ったんだけど…。
それだったら、ストーリーなんか説明しなくていいし…」

----その言い方はないんじゃニャいの?
「あっ、ちょっと言いすぎだったかな。
しかしこの映画、ストーリー自体は
考えられないほどシンプルだからなあ。
1979年、アメリカのオハイオ州。
スーパーエイト方式の8ミリ映画を作っている少年たち。
彼らは、撮影中、貨物列車の衝突事故と遭遇。
貨物列車は空軍施設・エリア51からある場所へ
何かを極秘に移送中だった。
そして少年たちのカメラには、事故の一部始終が記録されていた……」

----えっ。それだけ?
じゃあ、ネタバレというのは
その移送中の“何か”という部分だニャ。
「そう。
でも、だれが考えたって、それが何かは容易に想像つく。
だって、エリア51だもの(笑)。
というわけで、この映画は
製作のスティーブン・スピルバーグにオマージュを捧げたとしか思えない、
監督J・J・エイブラムス
<スピルバーグ映画の記憶>がどれだけ詰め込まれているか…。
と、それを探しながら観るのが正解。
まあ、個人的には…だけどね。
まず、子供たちの冒険…この設定は『グーニーズ』
これが、本作を懐かしさと併せて甘酸っぱいものにしている」

----ちょ、ちょっと待って。
『グーニーズ』って、監督はリチャード・ドナーでは?
「うん。そうだよ。
これは、スピルバーグ製作も含めて
彼が主に80年代に創り上げた世界が満ち満ちた映画ってこと。
ということで話を進めれば、
モンスターが小さな街をパニックに陥れるのは『グレムリン』
その町の住宅風景(主に丘の上から眺めた)は『ポルターガイスト』『E.T.』
あっ、この『E.T.』は『未知との遭遇』と並ぶ本作の主軸。
で、複雑な家族、子を思う親というのも
それらの映画、しいては最近の『宇宙戦争』同様に描かれている。
それと、ここもやはりネタバレかな。
その“何か”にさらわれ、主人公が救出に行くところもね。
さて、“何か”の小出し的な見せ方。
これはもう、『JAWS・ジョーズ』
最初はちらり、徐々に全貌が見えていく」

----あれれ。重要なヒントを喋ってしまっている。
その“何か”は大きいということじゃない。
「あらら。ヤバいヤバい。
でもそのとおり。
これは『ジュラシック・パーク』が頭にあったんだろうね。
で、さらに言えば、列車の爆風や街で車が舞うシーンは『ツイスター』
大事件を乗り越えて、家族が和解して抱き合うところもそうだね。
この、人間に対するやさしさと暖かい視線は、
人によっては、なんちゃってにしか見えないかもしれないオチと共に、
スピルバーグならではのイノセンスさ。
と、いろいろタイトルを出したけど、
あの青白いライティング、少し煽り気味で人物を捉えるアングル、
そしてジョン・ウイリアムズばりのドラマチックな音楽と、
やはりこれはスピルバーグの80年代映画」

----青白い光…。
『太陽の帝国』もそうだったよニャ。
でも、なんか話聞いていると、
同じことの繰り返しって気もする…。
「まあね。
この前、とある大先輩も
『スピルバーグって同じことしかできないんですね』と…」

----えっ、監督は違うよね。
「もちろん。
ただ、彼の息は相当かかってたようす。
脚本、編集にもついていたみたいだし…。
さて、この映画でのぼくの一押しはエル・ファニング
とりわけ劇中映画『ザ・ケース』のヒロイン=探偵の妻を演じるシーンが圧巻。
突然、別の人になりきって悲しげな訴える目線。
主人公たち同様にぼくもドキッ。
思わず引き込まれたもの。
まるでヒッチコック映画におけるグレース・ケリーみたい。
その映画ってジョージ・ A・ロメロのようなゾンビが登場するんだけど、
なんでもこの子役たちにストーリーのアイデアを
全部任せたらしい。
それが、観ている方にもほんとうに楽しく伝わってくるんだ。
この子役たちのキャラがまたよくって、
太っちょ、メガネ、歯の矯正中と、ユニークな顔ぶればかり。
もちろん主人公のジョエル・コートニーは別。
その甘いマスクはこれから人気を集めるだろうね」



                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「でもなぜ『E.T.』って、あんなにヒットしたのかニャ」小首ニャ

※ぼくはこっちの方が好きだ度

コトリ・ロゴこちらのお花屋さんもよろしく。

こちらは噂のtwitter。
ツイッター
「ラムの大通り」のツイッター



blogram投票ボタン

ranking.gif人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー


『いのちの子供』

2011-06-15 23:44:40 | 新作映画
(原題:Precious Life)



----この映画、余命を宣告されたアラブ人の赤ちゃんが
封鎖されたパレスチナ・ガザ地区からイスラエルの病院に運び込まれ、
そこで手術を受けるというお話だよね。
ドキュメンタリーと言うけど、
これって、イスラエルとアメリカの合作。
ニャんだかプロパガンダのような気もするニャあ。
「うん。そう見えないこともないよね。
実際、このことについては
赤ちゃんのお母さんラーイダも懐疑的。
監督で撮影とナレーションも手がけている
イスラエルのTVジャーナリスト、シュロミー・エルダールは
手術に必要な55,000ドルの寄付をテレビで呼び掛けるんだけど、
『誰も寄付なんかしてくれない』と、
冷やかというかあきらめているというか…」

----でも、出資者は現れたんだよね。
「うん。それも
息子を戦争で亡くしているという人が匿名でね」

----へぇ~っ。それってスゴい。
敵味方という考え方を超越しているってことだよね。
「そうだね。
さて、話を先に進めると、
この赤ちゃん、ムハンマドは骨髄移植を必要としているんだけど、
適合する人がいない。
そこで、従兄たちの中から探すことになる。
しかし従兄はガザに25人もいて、
彼らを全員連れてくることは無理。
エルダールはそれまでの取材で得た人脈を使って採決したサンプルを持ち込み
その中から、従姉のひとりが適合することが判明する。
ところが、ガザで再び大規模な爆破事件が勃発し、
移植手術のために検問所まで来ていた従姉は、
直前でイスラエルに入れなくなってしまう」

----うわあっ。まるでドラマみたい。
「そうなんだ。
ここではムハンマドの命を救うという、
ある意味、世界中のどこでも進行している感動のドラマが進行しているのに対し、
社会の情勢、仕組みが、それを阻害していく。
非難のそしりを承知であえて言えば
ドラマチックでスリリング。
(いまプレス見たら、この言葉使われているからいいのかな…)
しかも映画は、現実に起こっている爆破テロや爆撃を写しだす」

----ニャるほど。
これは通常のドラマより遥かに感動的なものになりそう。
「う~ん。
ところが、この映画はそんな“感動”の言葉でくくられるような
一筋縄でいく代物じゃない。
最初こそ、純粋に大きな目を見開いているムハンマドの姿に、
それだけで涙を禁じえなかったんだけど、
途中で、母親のラーイダがとんでもないことを言い始めたあたりから、
様相がおかしくなっていく。
それは、エルサレムをめぐる会話。
監督エルダールとの間で、
お互いに『エルサレムは自分たちのもの』との自論を交わしているうちに
なんとラーイダは
『私たちは死を恐れない。エルサレムのためなら命を捧げられる。
ムハンマドが殉教者になってもいい』と、
死を肯定するようなことを言い始めるんだ」

----それはニャいよね。
周りの善意で命を救ってもらっているのに…。
「そう。
これには当事者のエルダールも収まらない。
今までやってきたことはなんなんだ…とね。
このやりとりを観て、だれしもが思うこと。
それは、世界共通のものとぼくらが思いこんでいる
“平和への祈念”は
実はそうではないのではないかということ。
そして、この映画は、民族や宗教の壁を超えて“命を救う”という行為に
暖かい感動の涙を期待している人たちに、
世の中はそんなにシンプルなものではないということを
改めて教えようとしているのではないかということ。
なんて、少し苦い気持ちで観ていたら、
さらに思わぬ方向へと事態が発展していく。
まあ、これ以上は言わぬが花と思うけど、
ラーイダの真意と葛藤が明らかになり、
そしてまた、ある予想外の出来事が起こる…。
う~ん。これもやはり苦いなあ。
とにかく、みんなが予想しているのとはかなり違う映画。
これは観る価値、十二分にありだね」」




                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「でも赤ちゃんはかわいいのニャ」もう寝る

※ガザから来た従姉が芝生を知らなかったのは衝撃だった度

コトリ・ロゴこちらのお花屋さんもよろしく。

こちらは噂のtwitter。
ツイッター
「ラムの大通り」のツイッター



blogram投票ボタン

ranking.gif人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー

画像はフランス版ポスター。

『この愛のために撃て』

2011-06-12 21:55:02 | 新作映画
(原題:A bout portant)


----これって、どこかで聞いたようなタイトル…。
あっ、『すべて彼女のために』だ。
「おおっ。まるで打ち合わせたみたい。(笑)
この映画は、その作品で監督デビューを飾った
フレッド・カヴァイエの新作。
プロットそのものはシンプル。
主人公は看護師の資格を取ろうとしているサミュエル(ジル・ルルーシュ)。
臨月を間近に控えた妻ナディア(エレナ・アナヤ)と幸せに暮らしていた彼だが、
ある日、突然家に押し入ってきた謎の男たちに暴行され、
気を失ってしまう。
携帯電話の音で目覚めると、
電話の向こうから妻の泣き声とともに
『今から3時間以内にお前が勤める病院から
警察の監視下にある男を連れ出せ。
さもなければ妻を殺す』という脅迫の声。
その男とは、昨夜交通事故により
意識不明の重体で病院に運ばれた、
ある重要事件の容疑者サルテ(ロシュディ・ゼム)。
妻が誘拐された理由も分からぬまま、
必死の覚悟で犯人の要求に従うサミュエル。
やがて、彼は警察からも追われるハメとなってしまう」

----ニャるほど。
確かに、よくあるといえばるタイプの映画。
巻き込まれた上に、警察からまで追われちゃう…。
「うん。それでもこの映画をオモシロくしているのは、
そのテンポのよさ。
ヒッチコック映画はもちろんのこと、
他にも『フレンチ・コネクション』を始めとする地下鉄でのチェイス、
さらには昨今の香港アクションによく見られるアパートの構造を生かしたサスペンスなど、
85分という短いランニングタイムの中に、
それこそ盛りだくさんの要素を詰め込んでいる。
そして、その底流に流れるのは前作と同じく“強い妻への愛”。
それが根底にあるからこそ、
この特別スーパーヒーローでもない男が
ギリギリのところで最大限の力を振り絞って、
危機また危機の連続を切り抜けていくのが
これっぽっちも嘘っぽく見えない。
この監督、次回作も楽しみだな」




                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「きっと力強い映画なのニャ」いいねぇ

※でも、サクッと観られる度

コトリ・ロゴこちらのお花屋さんもよろしく。

こちらは噂のtwitter。
ツイッター
「ラムの大通り」のツイッター



blogram投票ボタン

ranking.gif人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー

『一枚のハガキ』

2011-06-08 22:49:44 | 新作映画

「先日、ある大先輩の方が、
『監督も歳とるとつまらなくなるね。
最後までオモシロかったのはルイス・ブニュエルくらいだ』と、
そうおっしゃっていたんだけど、
日本にもそれと同じくらいバイタリティあふれる監督が、
それもなんと現役でいる」

----それが、この新藤兼人ってわけだね。
「うん。彼がこの『一枚のハガキ』を撮ったとき、なんと98歳。
自ら『映画人生最後の作品』と語るだけあって、
その想いが隅々まで込められた作品となっている」

----その想いって?
「それは『戦争はやってはいけない』という、
この力強い一言。
ここに描かれているのは、
一家の中心であった夫が死んだことで、
その家族みんなが人生を狂わされていくという悲惨な現実。
ということで物語を要約。
戦争末期。中年兵として徴集された松山啓太(豊川悦司)。
彼は、仲間の兵士・森川定造(六平直政)から
『今日はお祭りですが あなたがいらっしゃらないので
何の風情もありません 友子』と記された一枚のハガキを託される。
終戦後、彼は
そのハガキの送り手である兵士の妻・友子(大竹しのぶ)を訪ねるが…。
と、ストーリーはこの程度でいいだろう。
ある意味、これまでにもよく語られた話でもあるからね。
ただ、それらに比べてもなお、
この映画が強い力を発揮しているのは、
これが監督の実体験に基づいていること」

----へぇ~っ。どういうところが?
「実は、この啓太が生き延びたのは、
上司によってひかれたクジのおかげ。
彼を含む6名だけが
たび重なるクジによってもなお戦地に行かず
予科練の宿舎掃除など国内での仕事を担当。
そのひとりが、新藤兼人監督だった…と、こういうことなんだ」

----それは、複雑だよね。
「うん。
それだけに、この映画において、監督は抑制などと言う手法はとらない。
それぞれの心の内を、叫ぶように互いにぶつけ合う。
この激しさは増村保造以来、
とんとお目にかかっていなかった気がする」

----それが、さっき話していたバイタリティ?
「いや、それだけじゃない。
前作『石内尋常高等小学校 花は散れども』あたりから見られた、
ちょっと間違えば滑稽になってしまうほどの
誇張した戯画的表現。
一般的な意味合いでのリアリズムからは考えられない
演者たちによる大げさな(?)反応。
ここが最大の見どころ。
夜這いは、頬かむり姿で行われ、
ケンカによる殴り合いは、これまた段取り的に進んでいく。
それでいて、戦時中を写すキャメラはフィックス。
戦後になってようやく少しだけ移動撮影を見せるなど、
様式的なこだわりをも見せる」

----それって
自由が少し社会に入ってきたことを意味しているのかもよ。
「だと思うよ。
で、それら独自の表現の集合体としてできあがったこの映画は、
結果的に、どこを切り取っても“新藤兼人”印。
とりわけ、啓太と友子が水を運ぶシーンでは
『裸の島』を思い出さずにはいられなかった。
ただ、あの映画が無声。
こちらが多弁の違いはあるけど…」

----やはり、監督最後の作品。
大きな声で主張せずにはいられなかったんだと思うニャ。



                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「監督は、反核映画もたくさん作っているんだよニャ」ぼくも観たい

※今度の福島第一原発事故。監督の言葉が伺いたい度

コトリ・ロゴこちらのお花屋さんもよろしく。

こちらは噂のtwitter。
ツイッター
「ラムの大通り」のツイッター



blogram投票ボタン

ranking.gif人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー

『ラスト・ターゲット』

2011-06-07 22:40:50 | Weblog
(原題:The American)



----ジョージ・クルーニーって久しぶりだよね。
「うん、しかも最近は
『フィクサー』『マイレージ、マイライフ』など
硬めの作品への出演が続いていた彼けど、
この映画でクルーニーが演じているのは殺し屋ジャック。
スウェーデンで何者からか命を狙われた彼は、
イタリアの山岳地帯、中世に建てられた石造りの美しい町に身を隠す。
ジャックは〈組織〉から依頼された狙撃ライフル製作の仕事を最後に、
裏社会からの引退を決意するが…」

----犯罪に手を染める人が
“これを最後の仕事に”というの多いよね。
「そうだね。
最後だけ人完璧を期したいという気持ち、
そしてそこにプレッシャーも加わることで
映画としての緊張感が増すからじゃないかな。
で、ついでに言えば、
その最後の仕事がすんだら、
愛した女性と静かにどこかで…というのもパターン。
そういう意味では、これは王道。
偶然、鉢合わせしたかつての同僚が言っていたけど
『若い日のチョウ・ユンファがやったらピッタリ』。
ただ最後の仕事が“殺し”ではなく“狙撃ライフル製作”というのは珍しい。
しかも、その依頼に現れるのがマチルダ(テクラ・ルーテン)なる女性。
完成した減音器付き狙撃ライフルを
人気のない川べりで試し打ちするシーンは
この映画のひとつの見どころ」

----それがこの女性?



「いや。彼女は現地で知り合った娼婦クララ(ヴィオランテ・プラシド)。
一見、そうは見えないけどね。
昔で言えば、クラウディア・カルディナーレって感じかな。
なかなか肉感的。
で、そのマチルダはこっちだね」




----ニャるほど。
風貌からして裏組織の人って感じ。
ところで監督は?
「うん。
『コントロール』アントン・コービン
前作とはタッチをガラリ変えて、
静かに殺し屋の最後の仕事を見つめていく。
銃の製作過程なんかも、
部品集めから完成までが実に細かく紹介される。



そんな中に、聞いたことのあるメロディ。
あれっ、またエンニオ・モリコーネだと思ったら、
なんとテレビでセルジオ・レオーネ『ウエスタン』が。
こういう“遊び”もいやみなく映画に溶け込んでいたよ」



                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「風景もきれいだニャあ」身を乗り出す



※アペニン山脈の麓からアドリア海に向かって広がる山間地帯、アブルッツォというところらしい度

コトリ・ロゴこちらのお花屋さんもよろしく。

こちらは噂のtwitter。
ツイッター
「ラムの大通り」のツイッター



blogram投票ボタン

ranking.gif人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー

画像はオフィシャルより。

『見えないほど遠くの空を』

2011-06-06 18:16:09 | 新作映画

「これは懐かしさ漂う映画だったね。
いい意味での学生映画の香り。
70年代後期から80年代にかけて
山川直人黒沢清といった学生監督が手掛けたようなみずみずしさ…。
しかも、彼らの
ある種、観念的とも言える世界よりも
遥かに分かりやすくとっつきやすい。
そう、エンターテイメント性も備えているんだ」

----えっ。これって新人監督の作品だよね。
どうして、そんなことが可能ニャの?
「それは、監督の榎本憲男という人が
ずっと映画畑を歩んできているから。
劇場支配人、番組編成、プロデューサー、脚本家。
これだけ、違った角度で映画に関わってくれば、
なるほど、自分のスタイルが生まれるというもの。
しかも、これは
古くは『暗くなるまで待てない』から
近年では『カミュなんて知らない』『虹の女神 Rainbow Song』へと連なる大学映研の物語。
フライヤーに基づいて話を要約すれば次のようになる。
主人公は、映画研究会に属する高橋賢(森岡龍)。
仲間と一緒に卒業制作の映画を撮っていた彼だが、
ラストシーンのワンショットを撮り残したまま
主演女優の杉崎莉沙(岡本奈月)が死んでしまう。
彼女は、この映画のラストに不満を表明していた。
それから一年。
卒業した賢は、街で莉沙にそっくりな女を見かける。
彼は、周囲の反対を押し切って、その女を代役に
最後のワンショットを撮り直そうとするが…」

----ほんとだ。これはオモシロそう。
でも、どういうところが
その死んだ女性、莉沙は不満だったの?
「うん。
いまをどう生きるのが自分にとっての幸せなのか、
その考え方の相違。
劇中映画のタイトルが『ここにいるだけ』。
主人公の男は、ここにいることを選びとろうとする。
しかし、莉沙は『それじゃあ、あまりに哀しくない?』と…」

----ニャるほど。
だからタイトルが
『見えないほどの遠くの空を』…。
「そういうことだね。
この映画には、劇中主人公の言葉を借りれば
『ノスタルジーでさえ前の世代のもの』でしかないほどに、
現実に対して手ごたえのない今の若者の日常と、
その中での“生き方”の模索が描かれている。
彼らがまったくの無関心無感動かと言うと、
そういうことはなく、
たとえばヒロインの死後、
その映画製作の続行をめぐっては、
かなりシビアな議論もシーンも交わされたりもする。
この生真面目さが本作の肝。
謎の女の服装などと共に70年代的な懐かしさを漂わせ、
現代との不思議な(魅惑的とも言っていいかな)共存世界を
映画の中に作り上げているんだ。

映像も、めまぐるしいカットやブレを生かしたものではなく、
移動シーンにもステディカムを使うなど、落ち着き練られた構図が特徴。
それが返ってスリリングに物語を運んでいく。
ネタバレになるから、これ以上詳しくは言えないけど、
物語がファンタジーへと転がっていく、その展開もぼくの好みだね」

----ちょっと持ちあげすぎのような気もしないではニャいけど、
フォーンも観てみたくなったニャあ。


                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「場面写真の画も決まっているニャあ」身を乗り出す

※閑話休題。森岡龍は『書道ガールズ』では楽しそうに踊っていたのが」印象的だ度

コトリ・ロゴこちらのお花屋さんもよろしく。

こちらは噂のtwitter。
ツイッター
「ラムの大通り」のツイッター



blogram投票ボタン

ranking.gif人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー

『田中さんはラジオ体操をしない』

2011-06-04 22:41:48 | 新作映画

----ぶっ。変なタイトル。
しかも、この男の人カウボーイハットで
ギター抱えているし…。
これってドキュメンタリーだよね。
どんな人ニャの?
「そのタイトル、そのまんまの人。
この田中哲朗さんは、
30年前に毎朝のラジオ体操を拒否したために
大手電機を解雇されたんだ。
それ以来、抗議のために
会社の前で毎朝プロテストソングを
歌い続けているんだ
(八王子に行けば会える)」

----えっ。それだけの理由で解雇されたの?
「まあ、会社もそんなにバカじゃないから、
表向きは、地方への異動命令に従わなかったからってことになっている。
しかし、それまでにもこの会社では、
社長が変わったのをきっかけに、大々的なリストラを敢行。
このラジオ体操は、
給料が払われない始業前の時間に行われていることからでも分かるように
会社への忠誠心を確かめるための踏み絵となっているんだね。
で、彼はそれには応じず、ひとり席につき、
ラジオ体操する同僚たちをじっと見つめる。
そういうことを繰り返すうちに、給料は何度も減額。
会社の仲間からは無視され、
親しくしていたマンドリンクラブの仲間も離れていく。
一方で、労働組合の役員選挙においても
会社へ支持の候補と戦う」

----ニャるほど。それだったら目をつけられても仕方ないよね。
みんなが離れていくのも分からない気がしないでも…。
だって、食っていくためには会社から離れられないもの。
「そこが、
やはり世代による考え方の違い、
いや、やはり個人の生き方の違いなんだろうね。
以後、彼の戦いは四半世紀、
14人の総理大臣と3人の社長が交代した年月を超えて、
いまも続いているんだ」

----四半世紀…。
子どももいるんでしょ。
彼らは、どんなふうに自分たちのお父さんを見ていたんだろう?
第一、養っていけるの?
「そこなんだ。
この映画、第一の興味は…。
自分だけの問題だったら、
まあ、理解できないでもない。
でも彼には家族がいる。
その家族への思い、
また、家族は彼をどう思っているのか?
一見、ひねた見方に見えるかもしれないけど、
そこが、この映画に対するいちばんの見どころ。
彼を支持して、株主総会で一緒に闘う仲間、
また、彼と同じように学校の公式行事で
『君が代』の起立斉唱をしなかったことから、
度重なる停職、減給処分を受けた女性教師なども出てくる。
彼女は言う。
『「君が代」の思想性以前に、選択の自由がないのは独裁国家と同じだ』。
これも分かる。
折しも、この映画を観た日、
公立校の教職員に君が代の起立斉唱を義務づける全国初の条例案が
大阪府議会で成立した。
こういう時代の風潮の中、
反権威、不服従をモットーとする彼の生き方は、いよいよ特異性を放つ。
でも、ここではその思想云々よりも、
さっき言った、彼の生き方と家族の関係。
これが最重要ポイントだと思う」

----監督がオーストラリア人女性ニャンだよね。
「そう、マリー・デフロスキーさん。
インターネットで田中さんの粘り強い闘争を知ったらしい。
人生、だれにでもそれは一回しかない。
その人生の大半を、このこと(闘争)に欠ける彼の信念。
その生き方を、一家の長である彼が貫くということは、
彼の家族の在り方、みんなの生きる道にも大きな影響を及ぼす。
それを受け入れる家族とは?
くどいようだけど、
やはりここだね、ポイントは…」




                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「確かに、相当の覚悟が必要だよニャ」身を乗り出す

※彼の活動を2回報じた新聞、それはやはり「東京新聞」だった度

コトリ・ロゴこちらのお花屋さんもよろしく。

こちらは噂のtwitter。
ツイッター
「ラムの大通り」のツイッター



blogram投票ボタン

ranking.gif人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー

『ハングオーバー! 史上最悪の二日酔い、国境を越える』

2011-06-02 19:51:17 | 新作映画
(原題:The Hangover Part II)




----これって、
一作目『ハングオーバー 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』の評判が
やたらとよかった映画の続編だよね。
今回もアメリカで大ヒット。
でも、批評的には厳しいと聞いたけど…?
「うん。それは分からない気もしないでもないな。
ぼくも観る前は、いったい、どう展開させるのかと…。
いやあ、驚いたのなんのって。
もう、ほとんど前作をそのままなぞっている。
出演もフィルを演じるブラッドリー・クーパー以下、
まったく同じ。
ただ、異なっているのは舞台がバンコックになったこと。
そして結婚する仲間がダグ(ジャスティン・バーサ)から
スチュ(エド・ヘルムズ)にバトンタッチしたことくらい。
後は、(言ってもいいのかな)
冒頭の電話連絡から、
一見落着した後の画像による振り返りに至るまでおんなじ」

----確か前作は、実はアルコールだけが
二日酔いの原因ではなかったことが明かされたよね。
今度も、そうニャの?
「うん。
じゃあ、どうやってその異物が、
またどういう理由で彼らのアルコールに入り込んだか?
つまり、今回は、
前回と同じことがなぜ起こって、
それがどのようにして、
前回とそっくりのドタバタを巻き起こしていくのか、
前作の記憶をたどりながら、先を想像しながら観ていくというのが、
この映画の楽しみ方と言う気がする。
そうそう。
今回もあるひとりが姿を消すんだけど、
その彼が今度はどこにいるのか?…とかね。
前回にも登場した中国人マフィアもいれば、
あのマイク・タイソンもまたまた登場。
このウォールペーパーで分かるかな。
アラン(ザック・ガリフィアナキス)は坊主頭、
スチュの頬には刺青。
どうしてこんなことになってしまったのか?
まあ、こういうことに想像を働かせながら観ると、
けっこう楽しめると、ぼくはそう思うよ」


                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「そういえば、今回はポール・ジアマッティも出ているらしいのニャ」身を乗り出す

※彼のポジションも楽しみだ度

コトリ・ロゴこちらのお花屋さんもよろしく。

こちらは噂のtwitter。
ツイッター
「ラムの大通り」のツイッター



blogram投票ボタン

ranking.gif人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー

画像はオフィシャル・ダウンロードサイトより。

『ナニー・マクフィーと空飛ぶ子ブタ』

2011-06-01 23:26:54 | 新作映画
(原題:Nanny McPhee and the Big Bang)



「こういう映画は好きだな。
なんともホッとさせられる」

----昨日喋った映画が映画だったからね。
でも、ブタが空を飛ぶって、ちょっと変。



「空飛ぶどころか、
シンクロナイズドスイミングまでやっちゃう(笑)。
まあ、アホらしいと言えばそれまでなんだけど、
こういう、誰もが楽しめる映画って
いま、スゴく必要な気がする。
子どもにとってもそうだけど、
大人にとってもね。
ここで描かれる世界はウェットじゃない
明るい前向きのノスタルジー。
大人の人が子どもの頃、
たとえばディズニー映画や
アメリカのファミリー向けテレビなどで触れたような世界。
原色とパステルの絶妙な配色でつくられた世界は
観ているだけで楽しくなる。
『メリー・ポピンズ』とか『チキ・チキ・バン・バン』とかの感じかな」

---そうか、ナニーって育児係のような意味だっけ?
メリー・ポピンズもそうだよね。
「うん。それにふたりとも
魔法が使えるしね。
ただ、その使い方が少し違っていて、
メリー・ポピンズのように
明らかにこことは違う世界へまで連れて行ってくれるわけではない。
ただ、ちょっとした不思議な出来事を起こして、
それによって、
彼らに“ケンカしない”とか“助け合う”といった
重要なレッスンをしちゃうんだ」

---ん?彼らって?
物語の構成が
まだ、よくわかってないんだけど…。
「これはシンプル。
お父さんが戦争に行って音信不通のグリーン家。
お母さんのイザベル(マギー・ギレンホール)は
育ち盛りの子供たちに手を焼いている。
しかも家計は火の車で農場を手離す寸前。
そこに、借金まみれの弟フィル(リス・エアヴァンス)が
次々と悪だくみを仕掛ける。
そんなさなかに、ロンドンからいとこたちがやってくる。
彼らは、今まで見たことがない田舎の風景に
悪態をつき、大ゲンカを始めるが…」

---ニャるほど。それは結末読めちゃうね。
でも、それにしても豪華なキャスティング。
「でしょ。
実は、この映画、ナニー・マクフィーを演じるエマ・トンプソンが脚本も手がけている。
その中で、前作に繋がる役として
大御所マギー・スミスも出演。
また、子どものひとりに
『縞模様のパジャマの少年』の印象も強烈なエイサ・バターフィールド
基本はファミリー・ピクチャーなんだけど、
色彩設計に至るまで
しっかり作り込まれている。
これは、ぼくの7月のおススメの一本だね」





                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ブタさんの表情も可愛いのニャ」身を乗り出す

※イギリスならではの映画だ度

コトリ・ロゴこちらのお花屋さんもよろしく。

こちらは噂のtwitter。
ツイッター
「ラムの大通り」のツイッター



blogram投票ボタン

ranking.gif人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー

画像はオフィシャル・ダウンロードサイトより。