(原題:Vier minuten)
「いやあ、久しぶりに重量級の傑作を観たね。
ただ、困ってしまうのがこういう映画の場合、
そのよさを言葉で伝えにくいんだな」
----ん?確か、この映画って
女性が手錠で縛られていて
後ろ向きにピアノを弾いているビジュアルのヤツだよね。
ちょっとH系かと思ってたニャ。
「いやいや、それが全然違う。
これはね。
天才的なピアノの才能を持ちながら、
過ちを犯して囚われた少女ジェニーと、
彼女の才能を開花させることにすべてを賭ける
年老いた女教師クリューガーの物語」
----ふうん。話だけ聞くと、
アメリカ映画によくありそうな話だけど…。
もっとも、あっちは男性教師と男性生徒が多いか。
それもスポーツが間に入ってるような…。
「うん。そう言われてみるとそうだね。
この映画の基本プロットは
これまで飽きるほど語られてきた
不良を更正させようとする教師の物語。
にも関わらずこの映画は多くの人の心を
揺さぶり動かしたわけだ。
なにせドイツで大ヒットを記録したばかりでなく
同国のアカデミー作品賞を受賞しているからね」
----えっ、またドイツ映画?
「そうなんだ。
最大のポイントはそこにあるような気がする。
ここ数年、世界を沸かせたドイツ映画では
いずれも<歴史>が語られている。
それは第一次世界大戦(『戦場のアリア』)であったり、
ナチス時代(『ヒトラー~最期の12日間~』
『白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の祈り』)であったり、
はたまた冷戦時代(『善き人のためのソナタ』)であったり。
この映画の主たる舞台は現代。
でもやはり<歴史の傷痕>が背景にあり、
それがドラマを大きく動かしてゆくんだ。
日本にはなぜかそういう作品はあまりない
『夕凪の街 桜の国』が数少ない例外」
---う~ん。なぜだろう。
国民性の違いなのかニャあ。
「どうなんだろうね。
いずれにしろやはり映画は<歴史>を
その軸に置くとダイナミックになる。
やはり体験は何よりも強いからね」
----となると、この女教師の方に何かありそうだニャ。
「うん。ネタバレにならないように、
それに関してはここではスルーするけどね。
でも、そのときのクリューガーの体験が
ジェニーの才能の開花への執着に向わせる。
でも、そういうこととは別に誰もが圧倒されるのは
ジェニーに扮したハンナー・ヘルツシュプルングの
火傷しそうな熱演だろうね。
ちょっとしたことで感情がキレてしまい
だれも手がつけられなくなる。
その暴力的ヤバさは狂気そのもの。
もし彼女が近くにいても
絶対に知り合いにはなりたくないね(笑)。
それでいて鍵盤に向ったときの凄さといったら、
もうただただ恐れ入る他はない」
----そんなに?
「うん。
あの演奏が吹き替えでなく、
また映像的なギミックも一切なく、
すべてナマの実演だとしたら、
役者というのは、
一つの優れた才能、アートだと改めて感じずにはいられないね」
----ふうむ。これはフォーンも観てみたいニャあ。
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「観たニャ。驚いたニャ」
※息を飲むとはこのことだ度
人気blogランキングもよろしく
☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)
「いやあ、久しぶりに重量級の傑作を観たね。
ただ、困ってしまうのがこういう映画の場合、
そのよさを言葉で伝えにくいんだな」
----ん?確か、この映画って
女性が手錠で縛られていて
後ろ向きにピアノを弾いているビジュアルのヤツだよね。
ちょっとH系かと思ってたニャ。
「いやいや、それが全然違う。
これはね。
天才的なピアノの才能を持ちながら、
過ちを犯して囚われた少女ジェニーと、
彼女の才能を開花させることにすべてを賭ける
年老いた女教師クリューガーの物語」
----ふうん。話だけ聞くと、
アメリカ映画によくありそうな話だけど…。
もっとも、あっちは男性教師と男性生徒が多いか。
それもスポーツが間に入ってるような…。
「うん。そう言われてみるとそうだね。
この映画の基本プロットは
これまで飽きるほど語られてきた
不良を更正させようとする教師の物語。
にも関わらずこの映画は多くの人の心を
揺さぶり動かしたわけだ。
なにせドイツで大ヒットを記録したばかりでなく
同国のアカデミー作品賞を受賞しているからね」
----えっ、またドイツ映画?
「そうなんだ。
最大のポイントはそこにあるような気がする。
ここ数年、世界を沸かせたドイツ映画では
いずれも<歴史>が語られている。
それは第一次世界大戦(『戦場のアリア』)であったり、
ナチス時代(『ヒトラー~最期の12日間~』
『白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の祈り』)であったり、
はたまた冷戦時代(『善き人のためのソナタ』)であったり。
この映画の主たる舞台は現代。
でもやはり<歴史の傷痕>が背景にあり、
それがドラマを大きく動かしてゆくんだ。
日本にはなぜかそういう作品はあまりない
『夕凪の街 桜の国』が数少ない例外」
---う~ん。なぜだろう。
国民性の違いなのかニャあ。
「どうなんだろうね。
いずれにしろやはり映画は<歴史>を
その軸に置くとダイナミックになる。
やはり体験は何よりも強いからね」
----となると、この女教師の方に何かありそうだニャ。
「うん。ネタバレにならないように、
それに関してはここではスルーするけどね。
でも、そのときのクリューガーの体験が
ジェニーの才能の開花への執着に向わせる。
でも、そういうこととは別に誰もが圧倒されるのは
ジェニーに扮したハンナー・ヘルツシュプルングの
火傷しそうな熱演だろうね。
ちょっとしたことで感情がキレてしまい
だれも手がつけられなくなる。
その暴力的ヤバさは狂気そのもの。
もし彼女が近くにいても
絶対に知り合いにはなりたくないね(笑)。
それでいて鍵盤に向ったときの凄さといったら、
もうただただ恐れ入る他はない」
----そんなに?
「うん。
あの演奏が吹き替えでなく、
また映像的なギミックも一切なく、
すべてナマの実演だとしたら、
役者というのは、
一つの優れた才能、アートだと改めて感じずにはいられないね」
----ふうむ。これはフォーンも観てみたいニャあ。
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「観たニャ。驚いたニャ」
※息を飲むとはこのことだ度
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神がかったような演技&演奏でしたものね。
ラストのシークエンスは鳥肌モノ。
重厚かつエンターテインメントで、心から拍手を贈りたいです。
個人的には間違いなく今年の年間ランキング上位ですね。
この演奏は凄まじかったですね。
ピアノ関連の映画が続いていますが、
その中でも、本作はベスト。
音楽そのものがスリリングでした。
ぼくもここ一、二ヶ月のベストですね。
ピアノ系映画では間違いなく最高でした。
こういう作品を拡大公開して欲しいものです。
今年のベストランキングに入れると思います。
自分のベストって単館系が多いなあ
ここ数年、ほんとうにドイツ映画がオモシロいです。
ただ、拡大公開は厳しいでしょうね。
同じ単館系でも『アメリ』くらいファッション性があると違ってくるのでしょうけども…。
それでもぼくなんかが映画を観始めた頃に比べると、
ずいぶんと、映画鑑賞状況はよくなってきたと思います。
あの頃は、ATGなんて5本の指の都市くらいでしか
観ることができませんでした。
隔世の感があります。
ドイツものらしく、やはり重たい雰囲気はありましたが…どうもクセになりそうなくらい、この頃ドイツ作品が好きですー。笑
ココ最近のピアノものに関してはどうも惹かれなかったのですけど、これは私も今年のマイベスト上位に入るかと思います。
シャーロットさんのレビューで
ベルリン派の存在を知りました。
ドイツ映画、まだまだオモシロくなりそうですね。
あっ、ピアノと言えばシャーロットさんですね。後でお邪魔しなくては。
自分では結構色々見ているつもりでも、まだまだ未見のドイツ映画があることに気がつきました。
『ヒトラー~最期の12日間~』見なくては!
ハンナー・ヘルツッシュプルングの熱演は、私の心に響きました。本作が映画デビューなんでしょうか。凶暴な部分もありましたけど、ピアノに賭ける情熱には心打たれましたよ~
彼女が実際に弾いているのか、私もとても気になるところです。
ハンナー・ヘルツシュプルングはスゴかったですね。
神懸かりとはこういうことを言うんでしょうね。
ドイツ映画は、ほんとうにオモシロいです。
となひょうさんのところでも書かせていただきましたが
やはり自国の歴史と向かい合うことで、
テーマが中にこもらずに、
深さと広がりを見せているからではないでしょうか?
予告編なども全然観ていませんでしたし、観た方の前評判とタイトルにそそられて鑑賞しましたが、正直あんなに暴力描写が描かれているとは思いませんでした。(^^;)クリューガーともどんどん温かい師弟関係を気付いていって、コンテストでも優勝して大団円とかありきたりな想像してたので、色んな意味で予想を裏切られましたね。ジェニーもホント危ない性格で終始ハラハラものでございました(汗
でも最後の4分間は自分も圧倒されました。ジェニーのありったけの感情が爆発したかのような曲は正に鳥肌もの。
弾き方も独特でしたし、才能が傑出してる人はやっぱり型にはまったやり方をしないんだな~なんて事も思っちゃいました。
暴力描写もそうですが、
ぼくは、あそこまで指を痛めつけられて、
果たしてピアノが弾けるのだろうか----?
と、思って観ていました。
あのアヴァンギャルドな(?)奏法はビックリ。
でもその前後の描き方にもっと興奮!
スゴいドラマトゥルギーを持った映画でしたね。