ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

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『カンフーハッスル』

2004-11-29 22:13:40 | 新作映画
------これは待望のチャウ・シンチー最新作。
『少林サッカー』がヒットしただけに
プレッシャーは大きかっただろうにゃ。
「そうだね。今回は劇画チックな拳法の達人が続々登場。
物語は単純。冷酷無情な街のギャング団が
豚小屋砦という貧困地区を襲う。
でも、そこに住む住人はその外見と裏腹に
カンフーの技を極めながら普通の生活をしている職人たちや
二度と闘わないことを選んだ家主夫婦など、
ひと癖もふた癖もある人々ばかりが暮らしている。
そこでギャング団は刺客を雇い、
彼らの暗殺を企てるというものなんだ」

------チャウ・シンチーはどんな役。
「これが信じられない役なんだ。
ギャング団の手先となって砦を襲ったり、
最強の殺し屋(ステテコにで草履の眼鏡ジジイ!)を脱出させたり…。
口がきけない少女からアイスを盗んだりもするし、
てっきり、チャウ・シンチーは今回、演出に徹し、
出演も<脇>を楽しんでるだけかと思った。」

------ところがそうではなかった?
「そういうこと。これだと主人公がいない。
変人だらけの集団ドラマになってしまう。
おかしいなと思ったら、最後の最後で彼は突如ヒーローに。
しかし、これにしても全体から見るとほんのわずか。
そのほとんどは、香港映画の伝説の70年代スターたちの技と
彼らのオモシロい表情を楽しむというものだね」

------あのチャウ・シンチー独特のCG映像は?
「これは今回もふんだんに使われている。
しかも映画のパロディとしてね。
ふたりの刺客が琴を奏でたらそこから兵が繰り出したり、
早足での追いかけっこを
足が見えない昔のワーナーのアニメ風に処理したり、
最後には『マトリックス』なみに宙を飛んだり…。
また、それとは別に、ブライアン・デ・パルマ風の長回しや、
『ギャング・オブ・ニューヨーク』風の衣裳、
それに『シャイニング』の血の奔流などもあって、
まさに全編がパロディだらけ。
凝りに凝ったそれらの映像がユエン・ウーピンや、
サモ・ハン・キンポー指導のアクションと絡み合うのだから、
楽しいったらないよね」


(byえいwithフォーン)

※ありえねえ度


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『レオポルド・ブルームへの手紙』

2004-11-27 11:12:26 | 新作映画
-------この映画って、まだだれもブログで書いてなかったね。
「これだけ数多くの映画が巷にあふれていると
なかなかここまではみんな手が回らないのかも。
でも、これは一見の価値ありだと思うな。
物語はジョイスの『ユリシーズ』をモチーフとして展開。
殺人の罪により15年服役していたスティーヴン。
彼の出所後の新しい人生を描きながら、
その間に、自分の生い立ちについて書き綴った手紙を
スティーヴンに送り続けた
少年レオポルド・ブルームの話が挟まれる。
果たして、このふたつがどのような形で融合していくのか?
観る方の興味はここに集中。
全編を通してブルーを貴重とした静謐な画調。
その中に衝動的に<暴力>や<エロス>が突発し、
最後まで緊張の糸が途切れることはなかったね」

-------ふうん、それってミステリー?
「いや、そういうわけじゃないんだけど(笑)。
主演のジョセフ・ファインズを始め、俳優がみんな実力派。
もっとも重要なレオポルドの母親役にエリザベス・シュー。
さらにデニス・ホッパー、サム・シェパード、
デボラ・カーラ・アンガーがそれぞれの持ち味をいかんなく発揮している。
デニス・ホッパーの狂気は彼にしか出せないもの。
サム・シェパードの南部男も同じだ。
しかもあのお嬢さん俳優のイメージが強かった
メアリー・スチュアート・マスターソンが
エリザベス・シューのお姉さん役で出演。
これがあの『妹の恋人』と同じ人とは.........
別の意味でショックだったな」


      (byえいwithフォーン)

※しみじみ度

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『戦争のはじめかた』

2004-11-25 23:12:08 | 新作映画
--------『戦争のはじめかた』とはまた挑発的なタイトルだにゃ。
「でも、それだけでもちょっと観たくなるよね。
映画は、冷戦終結後のドイツで
戦争がなくて退屈している兵士たちが
自らの内部に戦争を作り出す姿を描いている。
引用されたニーチェの言葉を使えば
『平和な時、戦争は自ら戦争をする』というヤツ。
今のアメリカのイラクに対する姿勢を予見したみたいだよね」

--------簡単にストーリー説明してよ。
「1989年の西ドイツ、シュツットガルトに駐屯する米陸軍基地でのお話。
規律は緩み、上級士官は昇進で頭がいっぱい。
そんな中、エルウッドは退屈しのぎに物資の横流しや
ヘロイン精製で金儲けしている。
しかしこれまでの最大の取引を目の前にして、
基地の浄化を公言するリー将軍がやってくる。
そこで彼に目をつけられたエルウッドは彼の娘に接近。
ところが、リー将軍はエルウッドを上回る本物の<悪>。
彼はとんでもない地雷を踏んでしまった...というお話さ」

--------へえ~っ、オモシロそう。でもこれお蔵入りになりかけてたんだって。
「そうなんだ。作られたのは3年も前。
でも本国アメリカでは
9.11をきっかけとした愛国心の高揚に伴い
<腐敗した軍隊を描いた映画は問題>と、
公開が見送られたというわけ。
実際にはこれほど今のアメリカを揶揄した映画はないと思うけど、
それだけに敬遠されたんだろうね。
その上映延期回数たるや、なんと5度。
出演している俳優とかは凄いんだけどね。
ホアキン・フェニックス、アンナ・パキン。
さらに『ライトスタッフ』でも顔を合わせた
スコット・グレン、エド・ハリス。
このふたりの演技を観るだけでもお金払う価値あり。
『M★A★S★Hマッシュ』以来の軍隊コメディの佳作だね」

             
 (byえいwithフォーン)

※ブラック度


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『着信アリ2』

2004-11-24 22:21:32 | 新作映画
(※ネタバレ注)

-------これまた続編だにゃ。しかも監督が.....
「(笑)『ゴーストネゴシエイター』の塚本連平。
前作と繋がった話になってるわけだけど、
映像から何まで今までにどこかで観たようなものばかり。
物語も『リング』の井戸を炭坑に変えただけという感じだしね。
あ、あと香港映画の『カルマ2』の線もあったな。
それはさておき、クライマックスで出てくるこの廃坑、
もう使われていない上に、夜で真っ暗なはずなのに、
懐中電灯が消えてもなぜか薄明るい。
子供の頃、防空壕に使われていたという
洞穴の探検をしたことあるけど、
それはもう怖かった。
だって、本当に真っ暗で何も見えないんだよ。
それひとつとっても、なんか嘘っぽかったね。
しかも映像よりも大きな音響で驚かせようとする。
これじゃ恐怖じゃなくビックリハウスだ」

--------と言うと、観るところ全くなし?
「そのはずだったんだけど.....
最後に物語はある意外な方向へ発展する。
と言っても、ま、よくある手なんだけどね。

(※ネタバレ注)
思わず読み進めた人のために、
詳しくは書けないけども、実はあの人は....ってヤツ。
それと、これは始まってすぐに明らかになることだから
言ってもいいと思うけど、
瀬戸朝香扮する女性が双子で、
一方が子供の頃に死んでいる。
だとすれば、ここはその設定を生かして
ブライアン・デ・パルマの『悪魔のシスター』のような
思い切ったことをやってほしかったな」


(byえいwithフォーン)

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『ゴジラ FINAL WARS(ファイナル・ウォーズ)』

2004-11-23 01:07:45 | 新作映画
(※ネタバレ注)

--------今夜のテーマはゴジラ。
最新作はファイナル、つまり最後ってことだけど、
これまで何度もそう言っては数年後に復活してるから
簡単には信用できないにゃ。
「(笑)それはその通りだね。
54&55年の1~2作の後、62~75年、84~95年、
そして99年~04年と、大きく分けて3回復活している。
『ゴジラ』について書くことはファンが多いだけに、
けっこう突っ込まれそうな感もあるけど、
思うにこれは『第2期』ゴジラへのオマージュという気がする」

--------そういえば、えいは最近のゴジラにはノッてなかったよね。
「『第4期』はあたかも現実の世界の中に
ゴジラが出現したかのようなリアリティはあった。
それだけ、特撮、合成がうまくいってたということなんだろうけど、
ぼくなんかが子供の頃に観たゴジラはもっと劇画チック。
雑誌の『少年』『冒険王』のイメージが
極彩色でスクリーンに映し出されたような感じだった。
今回の『FINAL WARS』は、ちょうどあの頃のゴジラの肌触りなんだ。
色感が最近の映画とは全く違ってベタッとしてる。
カラーと言うより総天然色。
単に、いろんな怪獣が出てくると言うだけでなく、
色彩、セットのチープな質感も当時のゴジラ映画を意識している」

--------水野久美、宝田明なんかも出ているしね。
「そう。水野久美は『怪獣大戦争』でX星人のスパイをやった。
今回、重要な話となるのはそのX星人。
もう、これだけで『FINAL WARS』が目指しているのがリアリティでなく
『怪獣大戦争』のような
SF&怪獣バトル映画だということが分かってくる」

-------確かに、最近の怪獣映画はシミュレーション映画が多かったものにゃ。
「思えば平成の怪獣映画に新しい風を吹き込んだのは
東宝ではなく大映だった。
95年の『ガメラ 大怪獣空中決戦』に始まる金子修介監督の3部作は
多くの怪獣映画ファンに大きな衝撃を与えた。
特に第2作『ガメラ2 レギオン襲来』では自衛隊が主役級に。
その縛りから抜けきれないかのように、
怪獣映画の本家である東宝ゴジラも
リアリティ志向となっていった気がしてならないんだ。
ところが、その金子修介監督が作ったゴジラ映画
『ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』は
往年の怪獣映画のエッセンスいっぱいの超バトル映画だった。
今回、彼は『あずみ2』の監督に回って
『あずみ』の北村龍平が本作を監督。
『海底軍艦』の轟天号や『妖星ゴラス』まで
復活させてるところを見ると、
金子修介ゴジラを受け継いだのではないかな。
ただ、北村監督の興味は人間同士の肉弾戦の方にありそうだけど....」

--------ところでこの映画にはサプライズがあるとか。
「ネタバレ注とは断ってあるけど、
やはり全部は明かさない方がいいかも。
ただ、ゴジラの最大のライバル、
キングギドラに関することとだけは言っておこう」

       (byえいwithフォーン)

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『エメラルド・カウボーイ』(byえいwithフォーン)

2004-11-21 12:47:26 | 新作映画
-------これはコロンビアでエメラルドの最初の輸出業者になった
早田英志の話だよね。本人が出ているんだって?
「そうなんだ。まあ、確かにスケールの大きい人だったね。
ゴールドラッシュのアメリカのカウボーイのように
早田は南米コロンビアへ渡り、
エメラルド原石を取引する<エスメラルデーロ>になろうとする。
そしてそこで知り合った女性から、
彼はエメラルドに関するすべてを伝授されるんだ。
しかし現地はゲリラが出没する危険地帯。
友人デイブも闘鶏観戦の最中に射殺されてしまう....。
一回こっきりの人生を自分の悔いのないように生きようとした結果が、
この大成功なんだろうけど、
よほどの覚悟と冒険心、そして夢がなければムリだよね」

--------ちょ、ちょっと待ってよ。映画はどうだったの?
「実話を基に描かれた<アクション・ドキュメンタリー>って
ナンのことか分かんないよね(笑)。
最初は劇映画にするつもりだったけど、あまりにも危険すぎるため、
当初予定していた監督が辞退。
主演の日系アメリカ人俳優も降板したらしい。
そこで半分をドキュメンタリー的手法で撮影と言うことになり、
現代の彼を早田本人が演じている間に、
若き日の早田役をコロンビア人からキャスティングしたらしい。
しかし、これは正確にはドキュメンタリーとは言えないね。
結局は再現なんだから、<フェイク・ドキュメンタリー>」

---------ふうん。ユニークと言えばユニークだ。
「で、その人生自体がおもしろいから
出来不出来はともかく、目はスクリーンに釘付けになる。
しかし、本人が出てくる現代の部分になってからそれが崩れていくんだ」

---------と言うと?
「本人が役者として活躍するのは、
自分をコロンビアから追い出そうとする労働者組合の陰謀に対して戦うシーン。
確かに、早田本人が築き上げた会社だから、
それを奪われるような感じで追い出されるのは
腹立たしいだろうなというのは、とてもよく分かる。
しかし、それにしてもこのシーンが全体の四分の一ほども占めたのはまずい。
それまで、テンポよく波瀾万丈の人生を見せてくれたのに、
なんで、ここだけこんなに長いの?と、退屈してしまう。
この経営者と労働者の闘いだけをテーマに描いた映画になっていたら、
また違ったんだろうけど....」

-------やはり、人生は攻めの方がおもしろく、
守りに入っちゃダメってことかにゃ。

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『火火』(byえいwithフォーン)

2004-11-20 13:20:01 | 新作映画
-------これって実在の女性陶芸家・神山清子の話だよね。
「そう。彼女の窯を焚く日々を描いているんだけど、
これは語るのに気が重くなる映画だったね」

-------というのは?
「前半は、夫と別れて赤貧の中、
穴窯による信楽自然釉を完成させようとする
神山清子の挑戦の日々を描いていく。
演じる田中裕子が素晴らしく、
そのアクの強さを見ていると、
『あー、こういう人じゃないとできないな、これだけの仕事は...』
と、思わず納得せざるをえない真実味がある。
自分一人が貧乏に甘んじるのでなく、
子供にもそれを受け入れさせようとするところが、
いままであった『でも子供にはいい夢を、いい暮らしを』の
ヒューマニズム映画とは決定的に異なっているんだ」

--------うむ、なんだか見てみたくなってきたにゃ。
「ところが、後半映画は難病ものに舵を取る。
彼女の長男が白血病になってしまうんだ。
そこからが言葉は悪いけどくそリアリズム。
病魔との闘いは目を開けていられない凄まじさ。
で、母親である神山清子は、その闘いを息子の命を救うことに向ける。
それまで、子供のことなんか関係ないというように見えただけに
その変貌はかえって説得力がある」

---------周りは泣いていたでしょ?
「うん。隣に座ってられた女性の方なんて、
『白血病』と病名が告げられただけですすり泣き。
最後まで嗚咽が止まらなくなっていた」

--------身近に親しい人と永遠の別れをした記憶がある人には、
身につまされそう。その方もそうだったのかもしれないね。
「そうだね。それと、この映画を観ると
自分と『ドナー登録』の関係についても
改めて思いをめぐらせざるをえなくなる。
高橋伴明監督がこういうメッセージ映画を撮ったことも少し驚きだった。
でも、難病映画は正直ぼくには苦手だな」

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『オペラ座の怪人』

2004-11-18 23:56:20 | 新作映画
--------『オペラ座の怪人』って劇団四季がやってたヤツ?
「そう。でも、もともとはガストン・ルルーが1911年に発表した小説。
戦前からすでになんども映画化されているんだ。
ところが今回の作品は『キャッツ』などで知られる
アンドリュー・ロイド=ウェバーのヒット・ミュージカルの映画化。
この作品を永遠に残したかったから......というのがその理由らしい」

---------ということは、セリフは歌になってるのかにゃ?
「うん。9割近かったかな」
---------で、感想は?
「これまでぼくが観たのはブライアン・デ・パルマのロック・オペラ・ヴァージョン
『ファントム・オブ・パラダイス』だけ。
あれは、ひとりの作曲家が、悪魔に心を売り渡した音楽プロデューサーにだまされ、
自作の曲を盗まれたばかりか、その歌を歌う女性までも横取りされてしまう。
おまけに顔をプレス機でつぶされ、声まで失ってしまったことから、
彼はマスクの怪人となってプロデューサーに復讐をするというお話なんだ。
さて本家はどんな話?.....と思ったら、
やはりひとりの女性クリスティーヌをめぐる三角関係という設定になっていた。
この怪人はオペラ座に住み着き、孤児の女性クリスティーヌに主役となる機会を与える。
彼女は怪人を亡き父親が授けてくれた<音楽の天使>と思いこむ。
ところが、そこに幼なじみの男ラウルが現れ、二人は永遠の愛を誓う関係となったことから、
怪人は嫉妬に怒り狂うという話さ」

---------映画ならではのおもしろさはあるのかにゃ。
「うん、舞台を観てないから想像でしかないけど.....
冒頭はモノクロ映像で廃墟となった1919年のオペラ座を映し出し、
やがてそれに色が付いて、オペラ座華やかなりし1870年代へと移っていく。
もう、これだけでゾクゾク」

--------なるほど映画ならではの快感だにゃ。
「そして圧巻は怪人が隠れ住む地下のイメージ。
下水道をゴンドラのような船で怪人とクリスティーヌが進むと、
洞窟の奥に彼の不気味ながらも幻想的な住処が現れる。
スワロフスキーの大シャンデリアもスゴイけど、
この地下の住処がもっとも印象に残ったね」


(byえいwithフォーン)

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『きみに読む物語』

2004-11-17 23:14:59 | 新作映画
------アルツハイマーの夫婦の映画って
『アイリス』があったよね。
「そうだね。でもあの映画に比べてこれは
いかにもハリウッド的。
一番の違いは『アイリス』では妻が徐々に正気を失っていく課程を
描いていたのに対して、
この映画ではそれを省き、
かつて、どこかで観たことがあるような
ノスタルジックなアメリカ映画の青春。
その眩いばかりの情熱の輝きと、
もう記憶を失ってしまった現在とを交互に描いているという点だね」

-------タイトルの意味は?
「アルツハイマーにかかった妻アリーが残したノートブック。
そこには二人の愛の記録が書かれていて、
彼女は自分が完全に発症してしまう前に、
それを夫に読み聞かせてもらうことを望んでいたという話なんだ。
それによって奇跡が起こるかもしれないと.....。
で、映画は二人の出会い、別れ、再会、結婚....と
時系列を追って描いていく」

--------出ている俳優が凄いよね。
「そう。意外性も何もないまま話が進みながら、
ジェームズ・ガーナー、ジーナ・ローランズ、
ふたりの名優が最後にきっちりと見せ場を作ってくれる。
妻が記憶を取り戻したと思った瞬間、
夫の『ダーリン』という呼びかけに
『あなただれ、なぜ知らない人がダーリンと言うの?』と
パニックになるジーナ・ローランズも凄いけど、
それを聞いて涙を目にうちひしがれ、体ふるわせる
ジェームズ・ガーナーが泣かせる」

--------でも、何か不満そう。
「結婚直前までいっておきながら
アリーに振られてしまうロンがかわいそう。
彼は確かに自信家ぶりが鼻につく部分があるけど、
そんなに悪い人じゃない。
主人公二人だけよければいいという描き方.....
それが先ほど言った<ハリウッド的>というヤツ。
それってどうもぼくには納得いかないんだよね」


      (byえいwithフォーン)

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『パッチギ!』(えいwithフォーン)

2004-11-16 23:11:21 | 新作映画
--------『パッチギ!』とはまた不思議なタイトルだにゃ。
これは井筒監督の映画だよね。
「うん、もうこれは彼の最高傑作。
68年に生きた若者の青春を
現代にまで影を落としている朝鮮問題と絡めて描き、
娯楽性と社会性がみごとなまでに融和。
<これぞ映画>って感じだね」。

--------『69 sixty-nine』も同じ時代を描いて話題になった作品だよね。
「実はぼくは、あの映画には不満があるんだ。
『69 sixty-nine』は普遍性があるとかと言われ、評価は高いけど、
だったら、あのタイトルは意味がない。
いくら村上龍の原作がそうだからと言っても、
『69 sixty-nine』のタイトルを使う以上、
時代を描いてなくては意味がないと思う。
あの時代固有の言葉も、
若い俳優たちが意味も分からないまま使ってるとしか思えず、
単なる記号と化していた。
やはりあの時代を知る人が描かなくてはダメなのでは...
と思ってたところに、この映画」。

---------にゃるほどね。だからよけいに嬉しかったんだ。
「そうなんだ。この『パッチギ!』には、
あの『69 sixty-nine』にはないもの、
<時代の空気>がある。
映画は、日本の高校生と在日朝鮮の高校生との衝突を背景にしている。
その中で芽生える両者の男女の愛、
それは必然的に「ロミオとジュリエット」的な色合いを帯びていく。
で、それをダンスに置き換えると
『ウエスト・サイド物語』になるわけだけど、
ここでは当時放送中止となった「イムジン河」、
つまり唄がその代わりを果たしているんだ。
この唄は南北を分断してる38度線を流れる河のことを歌ってるんだけれど、
クライマックスで朝鮮と日本の高校生が
『けんかえれじい』ばりの大乱闘を繰り広げるシーンや
主人公の高校生、いわゆるロミオがジュリエットのところへ泳いで向かうシーンでも
両者の間に河を挟むことで、この唄と映画をリンクさせている。
大友康平扮するラジオディレクターの
「歌っていけない唄なんてない」もいい言葉。
終わってプレスを見ると、「世界は、愛で変えられる」のコピー。
反戦を訴え続けている井筒監督らしいメッセージがいっぱい詰まっている映画だね」。


※感涙度


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『プリティ・プリンセス2 ロイヤル・ウェディング』(byえいwithフォーン)

2004-11-15 22:50:00 | 新作映画
------これも続編だにゃ。
「そうだよ、前作で普通の高校生からプリンセスになったミア。
彼女がこんどは王位継承のために30日間で結婚しなくてはならないという
とんでもない試練に立ち向かうわけだ」。

----------どう考えてもありえないにゃ。
「うん。これは少女漫画の世界、
いわゆるおとぎ話と思った方が解りやすい。
ファンタジーはなにもアドベンチャーだけでなく、
こういう少女向けのものもあるよってことじゃないかな。
そのため主人公周囲のキャラクターも思いっきり戯画化されている。
お付きの二人は、お辞儀や挨拶がまるで時計じかけ。
いつまでも止まらない。
ライバルで王位の座を狙っている男は、
なぜかプリンセスの住まいに出入り自由でおとがめなし。
好きなときに好きなところへ出没する(笑)。
極めつけは、各国のプリンセスが集まってのパジャマ・パーティ」。

--------そこまでバカバカしいとしらけない?
「ところが作る方もそれを意識して
50年代から60年代のハリウッド・ミュージカルのノリで撮ってる。
照明もフラットだしね。
プリンセスが子供たちを連れてパレードするところなんて、
普通には恥ずかしくて観てられない。
でもジュリー・アンドリュースが歌うシーンもあるし、
それを無理なく溶け込ませるにはこの方法でよかったのかもね」。


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『故郷の香り』(byえいwithフォーン)

2004-11-14 17:47:15 | 新作映画
------『山の郵便配達』の監督って
確か『ションヤンの酒家(みせ)』もあったし、
『暖(ヌアン)』とかいうのもあったよね。
よく作ってるにゃ。
「ぼくもそう思ってたんだけど、
この映画実は『暖(ヌアン)』のことだった。
今度の公開にあわせて邦題を変えたらしい。
というくらいに、この作品については全く前知識がなかったんだけど、
実は香川照之が出てるんだ。驚いたな」。

------『鬼が来た!』みたいに、また日本兵の役?
「違う違う。なんと中国人役」。
-----それは大変だ。言葉の問題があるよね。
「いや、聾唖者の役だから言葉は必要ない。
物語は、主人公ジンハーが都会に出て戻ってくるところから始まる。
彼のかつての初恋の相手ヌアンは
都会の人と結婚して幸せに暮らしていると聞いてたのに、
なんと村でも粗野で知られた聾唖者のヤーバと結婚。
ジンハーはなぜ?と訝しむとともに、
その脳裏に青春時代の甘酸っぱい日々が甦るという話さ。
その過去というのが....
ジンハーはヌアンを好きなのに、
ヌアンは京劇の劇団の青年を好きになり、
村を去って劇団に入りたいという。
その望みが叶うことは、
ジンハーの失恋を意味するのに、
ジンハーは彼女の望みが叶うといいと願う。.....
つまりは、これまで何度となく語られた愛の物語の定番。
ところが、本当の愛は別のところから生まれてくる」。

------わかった。それが香川照之のヤーバだにゃ。
「そう、正直言うと最初は彼の演技、鼻についてたんだ。
いかにもという、聾唖者演技。
日本語で心の中でヤーバの気持ちを考えてるようにしか見えなかった。
ところが、最後クライマックスではセリフが全くないのに、
ヤーバの心の中が痛いほど<声>として伝わってくる。
まさに名演だね。
ちなみに彼は去年の東京国際映画祭で
最優秀男優賞を受賞しているらしいよ」。


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『Jam Films S』(byえいwithフォーン)

2004-11-10 23:37:58 | 新作映画
------このシリーズももう3作目だね。
「うん、最初の1作目しか観てないけど、
そのときは、あまりにそれぞれの作家の個性が強すぎて
ノレなかったというのが正直な気持ちだったな。
今回のはそのときの監督たちが推薦した若手作家のものばかり。
気負ってるなってのもあれば、そうでないのも。
でも平均して今回の方がすんなり入っていけた。
なかでも篠原哲雄監督推薦、
阿部雄一監督の『すべり台』が素直でよかったな」。

-------どんなお話?
「7年前に自分がしたちょっとしたいたずらで
すべり台から落ちてしまった男の子の頭の中身を気遣う少女が
引っ越しの前の日に彼を呼び出し、
償いとして何でも一つだけしていいと言う。
男の子はじゃあセックスと言うんだけど、
これが全然いやらしくならない。
どこで、どんな風にと互いに試行錯誤しつつ、
やがて時間切れの時がやってくる。
そのときに彼らは自分の本当の気持ちに気づいて...」。

--------うっ、泣けるにゃあ。
「しかも、オチがあっけらかん。笑えるよ。
ただ、石原さとみの小学6年生はないだろうと思った。
来年はNHK大河ドラマで静御前を演じるというのに...」。

-------他には?
「石川均監督の『ブラウス』が官能的。
女性客に心乱されるクリーニング屋の主人。
その心の振幅がブラウスを通して描かれておもしろい。
あと、内山理名とスネオヘアーの『α』は
ゴダールの『アルファビル』へのオマージュって感じ。
『SUIT』も映画はコミカルだけど、
藤木直人のような美形の青年がやることで、
よけいに不条理性が生きていたと思う」。

--------なんだか、全体的におもしろそうだにゃ。
※バラエティ豊か度


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『レディ・ウェポン』(byえいwithフォーン)

2004-11-09 23:06:08 | 新作映画
------いやあ、一時期はどうなるかと思ったにゃあ。
「そうそう、gooのblogメンテナンスであちこち不具合が...。
書き込んでるときに全部消えたなんて報告入ってたし、
実際にここもテンプレートの色がめちゃくちゃになって、
まるで読めなかったモノね」。

---------さて一安心したところで、今日の映画は?
「『レディ・ウェポン』」。
---------ナンジャ、ソリャ?
「うん、気持ちは分かる。
これは小さい少女を無人島に集めて
女殺し屋に仕立てるというとんでもない話。
しかも、最後の試験は仲間同士殺し合わせ、
生き残った者だけを選ぶという、
『バトル・ロワイアル』か『あずみ』かという内容。
驚くのは少女たちが殺されるシーンを写しちゃうこと。
日本だったらさまざまなコードに引っかかりそう。

--------なるほど、それは驚きだにゃ。
「それはともかくとして
監督が『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』のチン・シウトン。
これぞ本家ワイヤーワークという
かっこいいクンフーアクションを見せてくれる。
ダニエル・ウーも久しぶりに見た気がするな」。


※セクシー度


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『トニー滝谷』(byえいwithフォーン)

2004-11-08 23:53:49 | 新作映画
-----これって、村上春樹の原作の映画化だよね。
「そう。以前、山川直人が『パン屋再襲撃』、
大森一樹が『風の歌を聴け』を映画化してるけど、
彼の作品の映画化は久しぶりだね。
原作はほとんど覚えてなかったけど、
観終わった今思うのは、その喪失感は村上春樹らしいということ」。

-------確か、仲良くしていただいてる脚本家の方と
一緒に観たんだよね。
「うん。
この方は、とても感心してられた。
『やはり市川準はただものじゃない。
この孤独感はすごい』と。
そしてこうも言っておられた。
『普段映画を観ていない人が観ると
ただ退屈としか感じないかも』と」。

------で、えいはどうだったのかにゃ。
「緊張感がすごかったね。
前半、主人公が結婚するまでは
そのカメラ移動は徹底して左から右へ。
結婚してから、やっとその縛りが解ける。
あと、寂寥感だね。
で、主人公をイッセー尾形がやってて、
なんか冴えないふつうの男だなって感じなんだけど、
その父親を見たこともない怪優が演じてる。
だれかな?と思ったらこれもイッセー尾形。
いやあ、やられたね。
同じ画面にふたり。まったく違うキャラだもの」。


※寂寥度


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猫ニュー
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