ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

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『恋する日曜日 私。恋した』

2007-03-30 21:26:01 | 新作映画
※映画の核に触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がいいかも。


----あれっ、このタイトル、どこかで聴いたことあるニャ。
監督も確か同じ廣木隆一で
『恋する日曜日』というのがあったような……?
「フォーン、スゴい記憶だね。
これは80~90年代の名曲をテーマにした
BS-iの人気恋愛ドラマシリーズ『恋する日曜日』、
その劇場版第2弾。
主演は堀北真希。
彼女が演じるのは死期の迫った女子高生なぎさ。
余命3ヶ月と宣告された彼女は、
父に黙ってかつて暮らした町へと旅立つ。
そこには初恋の人・石川聡(窪塚俊介)がいるわけだけど、
彼に病気のことは告げぬまま、そこに泊めてもらう。
ところがその聡は、
人妻の絵里子(高岡早紀)と不倫を重ねていた……」

----ふうん。難病ものと恋愛か?
確か田村正和14年ぶりの復帰が話題となっている
『ラストラブ』もそうニャんでしょ?
「うん。
あの映画は大人の最後の恋、その顛末だけど、
こちらはいわば初恋とその告白。
まだ17年しか生きていないヒロインの目線だから
切なさはひとしおだ」

----お話はとてもシンプルだよね。
「でも、そこがいいんだよね。
この映画はよけいなものをそぎ落とし、
ヒロインの目から見た世界、そしてその心のゆらぎを写し取っていく。
『当たり前に明日が来るなんて思わないで』。
これはなぎさが聡に言う言葉の中でも、
特に印象に残る言葉。
明日と言う時間が約束されていないなぎさに取っては,
不倫と言う<汚い>ことで<時間>を<無駄遣い>している聡が許せない。
ところが周囲はそれを知るよしもないから
たとえば『20歳になったら一緒にお酒を』(絵里子)のような
ドキッとする言葉が次々と飛び出していく。
あっ、でもこの映画については
あまり語りたくないな」

----えっ?どうして?
「お話がシンプルなだけに、
その魅力を語ろうとすると、
映画の本質的な部分を語ることになるからさ。
ヒロインが泣かないのに泣ける映画----というのが
この映画の特徴のように言われているんだけど、
クライマックスのバスの中で、ぼくらはあることに気づく。
それはこの映画がタイトルどおり、
彼女の<恋>の映画で、
その<告白>の映画だと言うことを。
実はそれに気づいたとき、ぼくの目頭は不意に熱くなり、
そしてその次の瞬間、
映画の中のなぎさにも涙が込み上げると言う
不思議な符号が起こったんだ。
つまり、そこで映画を観ている方と演じている方と、
同じ感情の高まりの一致を見たというわけだ。
なぜ、そうなったのかも詳説したいけど、
これこそネタバレになるからなあ」

----それだけ、このシナリオはそれだけよくできてるってことだね。
「うん。しかも
聡が彼女の病気について
結局は知ったのか、それとも知らないままなのか、
ここもぼかしてある。
実はそれによって最後に交わす会話の意味合いも
かなり違ってくるんだけどね」

----そう言えばこの映画を観て
『ジェレミー』を思い出したって言ってなかった?
「うん。先ほど話したクライマックスのバス内での
なぎさの言葉の中に、
転校していった時のことを
『生まれて初めて自分の力ではどうしようもないことがあるのを知った』とあってね。
これはほんとうに辛い。」

----でも『ジェレミー』はもっとつらかったのでは?
あの頃はメールなんてないしね。

       (byえいwithフォーン)

※追記(3/31):この寂寥感に、ちょっと『ぼくを葬る(おくる)』を思い出しました。

ジェレミー TDV-3253Dジェレミー TDV-3253D
※画像がないのにが残念。音楽もいいです。


フォーンの一言「これは泣けそうだニャあ」悲しい

※忘れられないラストカットだ度
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『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』

2007-03-29 10:29:33 | 新作映画
----この映画、お芝居が基になっているんだって?
「そのようだね。
『生きてるだけで、愛。』が芥川賞にノミネートされた本谷有希子という人が
旗揚げした『劇団、本谷有希子』の公演作。
その後、小説化されて三島由紀夫賞候補にもなったらしい」

----お芝居と言うと、
映画に比べて空間が閉じられている気がするけど…。
「う~ん。
確かに舞台は北陸の山間部の村、
なかでもある家が中心となっている。
この村は、どこに行っても携帯の電波が届かないというから、
確かに隔絶されてはいるね」

----ニャるほど。
で、そこで何が起こるの?
「両親の訃報を受け、
東京から戻ってきた姉・澄伽(佐藤江梨子)。
彼女は女優を目指して上京していたわけだけど、
実はこれがとんでもなく意識過剰。
自分の実力がないのに、すべてを周囲のせいにしてしまう。
その理由を、家族のとりわけ妹・清深(佐津川愛美)の犯した“罪”にあると家族をいたぶり、
清深はその姉のいたぶりに怯えている。
そんな彼女をなぜかかばう兄・宍道(永瀬正敏)。
そして東京から嫁いできた、お人好しなまでに明るい兄嫁・待子(永作博美)。
その一触即発の関係がカタストロフィに至るまでを
くすくす笑いを伴うブラック・ユーモアを交えたシニカルな視線で描いていく」

----へ~え。オモシロそうじゃニャい。
でも、監督がCM畑の人で、これが劇場用映画第一回作品……。
ちょっとそこが不安だけどニャ。
「うん。こればかりは観てみないと分からないよね。
確かにCM出身の監督の中には、
自分が作り出す一風変わった<画>に溺れたり、
その世界の独自の<間>を新しいと信じきっている監督もいるからね」

----あちゃ、厳しいことを言うね。
で、この映画はどうだったの?
「この映画にも、目を引く<画>はいくつも出てくる。
たとえば雑誌の中のインタビューされている監督・小森哲夫(土佐信道)が
動画となって動き出したり、
その監督の手紙の文字を背景に監督が文通相手の澄伽に喋ったり。
さらには、突然漫画のコマ割りになったり。
だけど、それらが映画の中に違和感なく溶け込んでいる。
つまりこれは中島哲也『下妻物語』と同じで、
その<画>がきちんとしたリズムを伴って物語を牽引していっているわけだ。
しかも深い人間洞察に基づいた物語がベースとなっているから、
スクリーンから目が離されることはない」

----ありゃりゃ、べた褒めだニャ。
話は暗そうなのに……。
「いやあ、そりゃあ暗いよ。
澄伽のキャラなんて痛すぎてへこむほど。
だけど<画>によって物語を物語れるこの語り口は賞賛したいね。
決して僕の好きなお話じゃないけど。
ヘビーでかなり残酷。『嫌われ松子の一生』もそうだったけど、
こういう内容を描くのにポップな<画>というのはありかもね。
あと、特筆すべきは役者たちのオモシロさだね。
主要人物以外は知らない俳優ばかり。
で、調べてみるとこれがみんな劇団出身。
なかでも吉本菜穂子、湯澤幸一郎の審査員コンビのリアリティは秀逸。
ほかにも谷川昭一郎、米村亮太朗、ノゾエ征爾も存在感あった」

----主演の俳優たちはどうニャの?
「佐藤江梨子が役になり切っている。
彼女の地がそうなのではないかと思えてしまったほどだ(笑)。
あと、やはり永作博美だね。
どんな不幸なことが起こってもニコニコ笑って
その身に降りかかる苦難を乗り切っていく。
でも趣味が呪いの人形作り(笑)。
彼女の演技はこの映画をビシッと締めたね」


  (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ファーストシーン、ぼくは観ちゃダメって。どういうことニャ」ご不満

※オモシロい。でも話は恐い度
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猫ニュー (byえいwithフォーン)
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『ブラックブック』

2007-03-26 23:28:15 | 新作映画
(原題:Zwartboek-----Black Book)

----もう、どうしてこういう映画に誘うのニャ。
フォーンは、血がたくさん出たり、
残酷なシーンが多い映画はダメなの知ってるでしょ?
なぜ、見せるの?
第一、なんでこの監督、こんな映画作るのよ?
「う~ん。そうかなあ。
ぼくはとてもオモシロかったけどね。
監督のポール・バーホーベンが23年ぶりに
故国オランダに戻って作った-------。
それだけで興味津々じゃない。
日本で言えば、たとえば清水崇がハリウッドで成功して
以来、日本では全然作らなかったとする。
それが四半世紀ぶりに日本で大作を手がけたと言うようなもんだ。
しかも描くのが、第二次世界大戦中のレジスタンスの内幕。
ナチのスパイとなった女性がナチの将校を愛してしまい、
しかも敵の罠にハマってレジスタンス側には裏切り者と思われてしまう。
果たしてそれは?
いわゆる『アンフェアなのは誰だ?』(笑)」

----う~ん。確かにミステリー・サスペンスの要素はあったけど、
あの過激な描写が、もうフォーンにはダメ。
涙出てきちゃった。
「もとよりバーホーベンと言う監督は、
過激なエロス&バイオレンスをハリウッドに持ち込んだ張本人。
“抑制”だの、“見せずに想像させる”だのと言うこととはまったく無縁。
でも、今回は内容が内容だけに、
少しは抑えた演出をするんだろうと…。
ところが、その予想は甘かったね。
エロス&バイオレンスだけじゃない。
ヒロインがナチの加担者との汚名を着せられて
汚物を頭から書けられるシーンなんて
囃し立てる野次馬まで揃え、
まるでテリー・ギリアム=悪夢の世界。
彼らの上には聖歌隊までいるし…。
でも、その見せる→魅せるこそがバーホーベンの持ち味。
個々の深い心理描写の掘り下げではなく、
そこで起こっている事象の積み重ねで映画を構築していく。
バーホーベンは映画を“芸術とビジネスが見事に交差する場”と捉え、
究極の目的は、“相反する両者をうまく結びつけること”だと言う。
だが、彼によるとそれを達成できたのは
デビッド・リーンしかいないということになる」

----ニャるほど。
『ドクトル・ジバゴ』のような叙事詩的大作は、
ドラマを描くことで目一杯で、
細かい心理の綾を入れる余地はないものね。
「うん。この映画もそう。
ヒロインは敵の将校に惹かれて愛し始めるんだけど、
そこが緻密に描かれているというわけではなく、
そうなって当たり前と言う感じで強引に進んでゆく。
でもその強引さが、ある意味ぼくにとっては快感だったね」

----う~ん。確かによくできたお話だとは思うけどね。
インシュリンとチョコレートのくだりとか、
伏線もうまく張られているし。
ただ、あとで振り返ると真犯人=裏切り者が
あの男と言うのは
けっこう無理がなかった?
「だから、その強引さがいいんだって(笑)」
----でも、「なぜこんな映画を作るのか?」に答えてないよ。
「それはラストを観て分かんなかった?
1945年のラストショットでヒロインは言う。
『やっと静かになった。永遠に続くのかと思った』-----
でもそれから11年後の現実は?」

----あっ、そうか。
だから、あそこのカットで終わったんだ。
つまり悲劇はまだ続き、
人類は過ちを繰り返していると言うことか…。
でもこの映画観ると、人間はダメだニャ。
自分が生き残るためなら、顔色一つ変えずに人を陥れられる。
しかも表面的に見ただけじゃ、その人の本質は分からないんだから
始末に負えない。
「そうなんだよね。
しかもその腐臭漂う行為が行なわれるのは
戦争と言う極限状況の時だけじゃない。
いまの社会でも根強く生き残っているばかりか、
競争原理を持ち上げる<勝ち組負け組>の名の下に、
それを容認する空気さえあるのが恐い。
そう言う意味でも、
これは十分に現代への警鐘になりうる作品だと思うよ」


  (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「フォーンは恐くて何度も目を背けたニャ!」もう寝る

※セバスチャン・コッホ、今年3本目だ度
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『インビジブル・ウェーブ』

2007-03-24 10:20:20 | 新作映画
(原題:Invisible Waves)

----最近、浅野忠信、あまり観ないと思ったらこんなところにいた。
「フォーン、“こんなところ”はないだろう。
彼は海外での評価が高く、
このタイの監督ペンエーグ・ラッタナルアーンと組んだ『地球で最後のふたり』では
ベネチア国際映画祭コントロコレンテ部門・主演男優賞を受賞。
ホウ・シャオシェン監督『珈琲時光』や
この映画の撮影クリストファー・ドイルが監督した『孔雀』でも主演している」

----そう言えば、この映画も
『トンマッコルへようこそ』のカン・ヘジョンや
『インファナル・アフェア』のエリック・ツァンが出演。
アジアの才能が結集した映画になっているみたいだね。
「うん。実は『地球で最後のふたり』では
ぼくはそのゆったりしたリズムにあまり乗ることができなかった。
それだけに少し心配だったんだけど、
今回は少し変わった趣の映画になっていて、
いつの間にかスクリーンに引き込まれていた」

----ふうん。どういうお話ニャの?
「ストーリーは実にシンプルなんだ。
舞台は香港。
ボスの妻セイコと不倫関係にあったキョウジは
ボスから彼女を殺すことを命じられる。
ワインに毒を入れて
首尾よくコトを成し遂げた彼はボスに休暇を取らされ、
フェリーでプーケットへ向かう。
映画はその旅の途中にキョウジが出会った人々との関係、
また彼を見舞う不思議な出来事の数々を描く」

----えっ?と言うことは
これロードムービーなの?
「う~ん。
そうとも言えるかな。
ただ、あまり自然や風景が出ることはなく、
描かれるのはもっぱら船の中、
そしてホテルの中と言う密室空間。
その船室にしても
シャワーやベッド、はたまた電気までが自分勝手に動き、
ついには彼は中に閉じ込められてしまう。
バーとトイレの異様な関係も含めて、
途中、これはゴーストシップ・ホラーかと(笑)」

----でも、そうじゃなかったんだ。
「お話は、後半、
意外と普通のドラマ展開を見せていく。
生きる意味が見いだせない者と
幸せな生活を送る者。
その間における復讐と死の物語へね。
プレスにはいろいろと深い解釈がなされているけど、
そこまで考えなくてもけっこう楽しめるんじゃないかな」

----そんなこと言っていいの?
「いいと思うな。
こういうアジアのアーティステックな単館系映画って
取っつきにくいもの。
少なくともぼくはそう。
でも、この映画はさっき話したように<ホラー>という見方をしても十分楽しめる。
光石研のカラオケ『たどり着いたらいつも雨降り』も聴けるしね」

----ニャに、それ?

       (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ハードボイルドだニャあ」もう寝る


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『メイド 冥土』

2007-03-23 11:20:12 | 新作映画
※カンの鋭い人は注意。※映画の核に触れる部分もあります。
画像は、これでも恐くないのを選んでいます。


(原題:The Maid)

「もう、これは日本語のタイトルを付けた人に賞をあげたい。
ベタと言えばベタなんだけど、
まさか、この原題から『冥土』と持ってくるかねぇ~」

----あれっ、原題は?
「原題も『メイド』。
ただ、これは『The Maid=お手伝いさん』の意味。
その<黄泉>じゃなかった<読み>に
日本語の漢字をあてたと言うわけ」

----じゃあ、お話は
その<冥土>と関係はないの?
「いや、これがちゃんと繋がっているんだ。
太陰暦の7月。シンガポール。
道教信者たちの間では、地獄の門(これが冥土ね)が開き
死者の霊が人間界でさまざまな悪事を働くとされている。
亡者たちに会わないようにするため、人々は夜間の外出を控えるなど、
さまざまな因習を綿々と受け継いできた。
だが、中国人一家に冥土として雇われた
フィリピン人の少女が、
知らず知らずのうちにあらゆるタブーを侵していた-----。
プレスを中心にストーリーを要約するとこうなる」

----へぇ~っ。国際的だね。
どこの映画なの?
「監督・脚本のケルヴィン・トンの母国シンガポール映画。
ただ、主演のメイドにはフィリピンのアレッサンドラ・デ・ロッシ。
製作総指揮は『the EYE』のダニエル・ユン、
メイドが働く家の人たちも香港の俳優が演じている」

----で、この映画、恐いの?
「う~ん。ゴーストの現れ方は
『リング』貞子以降のジャパニーズ・ホラーの
影響をもろに受けているし、
音は『でるぞでるぞ』って感じで仰々しい。
しかもそれらが研ぎすまされてはいないから、
あまり恐くはない。
ツメの甘さを感じたね。
ただ、脚本がよく練られていて、
因習破りによる“祟り”----かと思いきや、
そうではなく、もっと個的な“怨み”へ帰結していく。
あまり話すと、これから観る予定の人の
楽しみを奪ってしまうことになるから言えないけど…」

----でも、そういう映画ってこれまでにもなかった?
「そこなんだよね。
でも、ぼくはそれが思い出せないんだ」


 (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「怨みを買うようなことしちゃダメニャ」もう寝る

※どこかで観たような気もする度
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画像はシンガポール・オフィシャルより。フリーダウンロードです。
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『恋しくて』

2007-03-21 10:33:44 | 新作映画
----あれっ、これってBEGINのデビューシングルと同じじゃニャい?
「うん。そうだね。
この『恋しくて』が日産のCMソングに。
奇しくも今日の17年前が彼らのデビューを飾った
シングルのリリース日なんだ」

----と言うことは彼らと関係あるの?
「監督の中江裕司がBEGINのエッセイ『さとうきび畑の風に乗って』に
インスパイアされて作ったと言うことらしいけど、
ストーリー自体は監督のオリジナル。
地方の高校生たちがバンドを組んで
東京に出て成功するまでを
主人公の恋と絡めて描いたもの」

----それってよくある話だよね。
確かモッくんと吉岡秀隆の『ラストソング』もそうじゃなかった?
あれっ、確かあの映画も九州・福岡が舞台だ。
「いやあ、同じ九州でも沖縄は特別。
あそこまで青春の影を前面に押し出すことはなく、
ゆったりとした時間が流れる。
まず主人公たちに気負いがないしね。
なにせ思いつきで音楽を始めているし、
予選で落ちたりしても挫折らしきものが匂ってこない。
ヒロインの女の子が歌えないワケなど、
いくつかの翳りも入れてはあるものの、
総じてハッピームービー。
脇を固める大人たちも
とんちんかんな会話をする牛小屋のおじぃ、
高い楽器と出世払いを勧める楽器店主、
見た目は普通ながらもツェッペリンを速弾きする音楽教師など、
ユニークなキャラクターがいっぱい。
同じ<東京へ!>を描いても
『祭りの準備』のような悲愴な覚悟感はないね」

----確かに沖縄って独自の時間が流れているよね。
キャラクターも魅力的。
「そうなんだよね。
先ほどのヒロインにしても、
高校生でありながら人前でおならを平気でする。
そのバリエーション(笑)と数の多さは
おそらく日本映画最多(笑)。
あと、牛や山羊が時折人間の言葉で
ナレーションを入れるのも愉快」

----俳優たちは現地の人が多そうだね。
読めない名前ばかり。
「うん。その中でひとりだけ
石田法嗣が16歳でありながら19歳の役を演じている。
『カナリア』の頃とはまったく違って見えた。
さすがにプロだね」

----ところでBEGINは出るの?
「それは観てのお楽しみ」

  (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「フォーンも歌うニャあ」ぼくも観たい

※『奄美民謡の武下和平さん、ジャズボーカリスト与世山澄子さんの歌も聴ける度
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『フライ・ダディ』

2007-03-19 23:44:10 | 新作映画
(原題:Fly Daddy Fly)


----あれっ?これと似たタイトルの映画なかった?
「うん。『フライ,ダディ,フライ』だね。
この映画は、そのコリアン・ヴァージョン」

----ビジュアルだけ見ると
カラっとしてそうな感じだけど…?
「そうなんだよね。
最初は、また最近の韓流に洩れず、
大げさな映画でコミカルにやってるのかと…」

----その言い方からすると、
そうじゃなかったんだ?
「これはまったく想像もしなかったことだけど、
個人的にはこの映画の方が泣けたね。
と言うのも東映ヴァージョンはロングが多くて
いわばドキュメンタリー・タッチ。
それでいながら
クライマックスの戦いは超現実的な上がりとなっていた。
いわゆるクールでスタイリッシュな作り。
何よりも“おっさん”を演じた堤真一がカッコよすぎ。
ところがこちらは
ラサール石井を少し横に広げたような感じ。
その“弱さ、情けなさ”が信用できちゃう。
映画の作りも正攻法で奇をてらったところがない」

----確かお話は、
娘を高校生のボクシングチャンピオン暴行された父親が
復讐のため別の高校生に弟子入りし、
厳しいトレーニングを積む-----ってお話だよね。
「うん。父親を演じたイ・ムンシクは15キロもの体重の増量、減量を行なったらしい。
いわゆるデ・ニーロ・アプローチだね。
それが見事にスクリーンに反映されている」

----岡田准一の役は?
「宮崎あおいとの共演『ヴァージン・スノー』も控えている『王の男』のイ・ジュンギ。
イ・ムンシクとの間とのコンビネーションはバッチリ。
二人による擬似的父子関係がなかなか魅せてくれる。
あと、クライマックスの戦いをリングに持ってきたのも正解。
殴られても殴られても立ち上がる姿に、
周囲からはすすり泣きも聞こえたよ」


 (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「えいは、ぼくのために立ち上がるかニャ」小首ニャ

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『かちこみ! ドラゴン・タイガー・ゲート』

2007-03-18 10:56:51 | 新作映画
(原題:龍虎門 Dragon Tiger Gate)

----「天下無敵の<ヤンクアクション>」?
ニャによそれ?
「ほんと。なんなんだろうね(笑)。
これは香港で35年以上愛されている
国民的漫画『龍虎門』の実写映画化ということらしい。
この『龍虎門』というのは
親と生き別れ、行き場をなくした子供たちが最後に流れ着く場所。
ここで生まれ育ったタイガー(ニコラス・ツェー)は
子供の頃に別れた兄ドラゴン(ドニー・イェン)と再会。
龍虎門の門下生志望のターボ(ショーン・ユー)とともに、
アジアの巨大犯罪組織『羅刹門』と戦う---
まあ、こういうお話だね」

----あらら。それだけ?
「いや、もちろん話はもう少し複雑で、
兄のドラゴンが悪の組織・江湖に属していて、
そこの内部抗争があったり、
ボスの引退声明に怒った羅刹門に狙われたり、
龍虎門の師匠が惨殺されて看板を奪われたり、
タイガーとターボが伝説の師匠の元へ修行に行ったり----と、
とにかく目一杯のエピソードが盛り込まれている」

----でもそんなに盛りだくさんで
90分で話まとまるの?
「テンポがいいなんてモノじゃないからね。
噂の<ヤンクアクション>だって目にもとまらぬ早技。
時間が短縮できるってわけ(笑)」

----原作が漫画だと
超絶技が飛び出るわけでしょ?
結局、CGが多くなりそうだけど???
「うん。確かに。
そこに香港お得意のワイヤーワークも絡み、
宙を飛ぶシーンの連続。
まるで宇宙人のサーカスを観ているみたい。
その一方では未来と伝統が混淆したような
街や建物のビジュアルも目を楽しませてくれる。
ハリウッド映画で言えば『ウルトラヴァイオレット』にも似た
劇画タッチだけど、
こちらの方が暗くないし、その開き直りが潔い。
人が激しく柱にぶつかり、
木片、コンクリート片が派手に砕け散るしね」

----予告編では『キル・ビル』に似たシーンが出てくるよね。
「うん。あれはほんの小手調べ。
カメラが真俯瞰から部屋を捉え、
人が入り乱れて戦っている和食料理屋の壁一つ隔てた隣りでは
遥か下を行き交う車が走っていたりとか、
ビジュアルにも凝っている」

----けっこうほめていニャい?
「でも最初のうちは
ドラゴンが龍虎門を去っていた理由などの人物関係や
建物の位置関係が分かりにくかった。
龍虎門かと思ったらそこは海上レストランだった---とかね。
特にドラゴンがタイガーに手加減している理由が
最初よく分からなかった。
第一、ぼくから観たら手加減しているようには見えない(笑)」

----それだけドニー・イェンのアクションがスゴいってことだね。
「うん。
まあ、香港の人にととっては有名なお話で、
“みんなが知っている”が前提になっているんだろうけどね」


       (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ありゃりゃ、スゴいニャあ」身を乗り出す

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『毛皮のエロス ダイアン・アーバス 幻想のポートレイト』

2007-03-16 23:24:22 | 新作映画
※映画の核に触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。



(原題:Fur: An Imaginary Portrait of Diane Arbus)


「これはのっけから唖然呆然。
まったくもって目のやり場がなかったね…」

----あらら、ちょっとネタバレチックじゃニャい?
「う~ん。だからネタバレ注違報を出したんだけどな」
----そもそもこのダイアン・アーバスってだれよ?
人名がフルで入ったおかげで
とんでもなく長いタイトルになってるけど…。
「うん。実はぼくも知らなかったんだけど、
20世紀を代表する有名な女性写真家らしい。
ダイアンの被写体となったのは、結合双生児、同性愛者、そしてヌーディスト…。
写真集のタイトルもずばり『フリークス』」

----ダイアンも、なぜそういう題材を選んだんだろう
「そう思うよね。
この映画は、ダイアンがフリークス専門の芸術写真家へと変貌したきっかけを
彼女の撮った写真の中の多毛症の男ライオネルとの出会いに求めている。
主人公ダイアンにはニコール・キッドマン。
ライオネルにはロバート・ダウニーJr.。
全身毛むくじゃら、
『美女と野獣』のビーストを思わせるこのライオネルの特殊メイクは
なんと『T2』の大御所スタン・ウインストンが担当している」

----ということはリアリズムでは描いてないんだね?
「うん。そういうこと。
この映画はあくまでダイアンへのオマージュであり、
彼女の写真集からのイマジネーションから生まれたもの。
そのため監督独自のシュールな映像が繰り返し出てくるんだ」

----たとえば?
「ダイアンが住んでいるアパートの部屋から階段を上がって行くと
そこは奇妙な電飾で飾られた、
大きな鍵穴を持つライオネルの部屋。
壁紙もパスカル系からケバケバしい色に変わり、
まるっきり別の建物としか見えない。
一方、同じアパートの地下には両手がない女性が足で掃除をしている」

----まるで大人版『不思議の国のアリス』だ。
「そうだね。
でも、この映画では
こちらと向こうの世界とが繋がっている。
ライオネルの部屋の床からダイアンの部屋の天井へ。
階段でフリークスたちが続々と現れるシーンは
まさに息を飲むほかない。
でも、こういう超現実的な描き方はありだと思うな。
彼女の撮った写真集から
その奥に横たわる精神世界を覗き見ようとしたわけだからね。
あっ、キャッチコピーの
『その下の彼自身に夢中だった』は
あまり変に捉えない方がいいと思う」

----観たら分かるってわけ?
「うん。実に巧いキャッチコピーだと思うよ。
まず、だれもが勘違いするからね(笑)」


 (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「フォーン、観ちゃダメそうニャ」もう寝る

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『サンシャイン2057』

2007-03-15 22:23:13 | 新作映画
(原題:sunshine)

----ダニー・ボイル監督のSF?
なんか『28日後…』を思い出しちゃうな。
「あ~。ちょっと似ているところあるかな。
あの作品はゾンビ映画のように始まり、
途中から生き残った人間の恐ろしさにスポットを当てていた。
この映画も『レッドプラネット』など
これまでにもよくあった地球を救うためのミッションを帯びて
深宇宙へ飛び立った飛行士たちを描くように見えながら
途中からホラー的な要素が入ってくる」

----宇宙を舞台にしたホラーと言うと
『エイリアン』が有名だよね。
「う~ん。それだけじゃないんだな。
消えた宇宙船からのメッセージ(『イベント・ホライゾン』)、
人間に背く指令コンピュータ(『2001年宇宙の旅』)、
そして何よりも嬉しいのは
『サイレント・ランニング』にも出てきた
オキシジョン・ガーデンが出てくること」

----うわあ懐かしいニャあ。ブルース・ダーン。
監督が特撮のダグラス・トランブルだっけ?
でも、そもそもこれはどんなお話ニャの?
「これはもう一言で説明できちゃう。
西暦2057年。太陽は消滅しつつあり、
人類は滅亡の危機にあった。
地球にとって最後の望みは
男女会わせて8人の乗務員が乗るイカロス2号。
彼らは衰えつつある太陽を活性化するための
核爆弾を太陽まで運ぶ任務を帯びていた」

----また、核爆発ニャの?
それってどうよ?
「確かに、この手のディザスター・ムービーは
いつも最後の手段が核。
大地震を扱った某テレビ映画でさえ、
核で解決しようとしていた。
ただ、オモシロいのはこの映画の中のことが実行されれば、
まず地球では核戦争は起きないこと」

----えっ、どういう意味?
「地球のすべての核物質はこのプロジェクトのために使われて
もうまったく残っていないんだね(笑)。
ま、それはともかく
このプロジェクトは7年前にも一度試みられながら失敗に終わっている。
太陽に近づいたその時、
そのイカロス1号から遭難信号が入る。
ミッション優先か、彼らの救助か?
ここからドラマは大きく動く…」

----ニャるほどね。
そう言えば、これ真田広之が出ているんだよね。
あれっ、ミシェル・ヨーも…。
「真田広之は船長役。
他にもキリアン・マーフィ、
クリス・エヴァンスなどなど。
なかなか国際色豊かな顔ぶれだよ」



  (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「猫も滅亡するのかニャ」小首ニャ

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『あるスキャンダルの覚え書き』

2007-03-14 11:57:36 | 新作映画
(原題:Notes on a Scandal)


----ニャんだか小難しそうな映画のタイトルだね。
これって社会派映画ニャの?
「いやいやどうして。
ある意味、これはスリラーとも言えるかな。
原作がブッカー賞の最終候補に残ったりもしたところから、
硬めの作品を覚悟していたんだけどね」

----でも主演がジュディ・デンチにケイト・ブランシェット。
いずれにしてもクオリティは高そう。
ふたりは以前に『アイリス』でも組んでいるけど、
この映画はその『アイリス』のリチャード・エア監督作品。
と聞けばよけいに生真面目な作品に思われがちだけど、
別の角度から見ると実にスキャンダラスな映画。
一言で言えば
15歳の少年と肉体関係に落ちた美術教師シーバ(ケイト・ブランシェット)。
その彼女に以前より目を付けていた
孤独な初老の教師バーバラ(ジュディ・デンチ)は、
シーバの弱みを握ったことから
その人生すべてを支配しようとする-----というお話。
これがバーバラによるナレーションで進んで行く」

----うわあ恐いニャあ。
このふたりの演技対決も凄まじそう。
「うん。ふたりとも本年度の
アカデミー主演&助演女優賞他にノミネート。
なかでもジュディ・デンチは、
目尻の皺の動きまで計算した演技計算により
微妙な心理の動きを完璧に表現。
これまでにぼくが観た彼女の演技の中ではベストだったね。
また、これは原作がそうなっているんだろうけども
日記に書かれたセリフが凄まじい。
『密かに彼女を配する。
私に対し、永遠の借りを作ってやるのだ。
私はすべてを手に入れられる。
何もせずに』」

----うわあ身震いしてきた。
でもこのままで終わるはずないよね。
「うん。それはバーバラが一緒に暮らしている猫と関係あるんだけど、
さすがにフォーンの前では言えないニャあ」

----う~ん。ニャんだろう?
「まあ、それはともかく、
この映画はわずか92分。
最近の映画としては実に短い。
それで思い出したんだけど、
70年代にはこの手のスリラーがけっこうあって、
B級扱いで公開されていた。
それ専門の職人監督もいたしね。
いま、そんなの作っても劇場公開とはならず
ビデオ直行なんだろうな。
この映画にしても文学的香りを纏っているしね。
話としては、
<若い男とのただれた関係を続ける
過程持ちの女教師と
その教師に同性愛的な関心を抱いて近づく
初老の女教師のストーカー的行為>
こういうことなんだけどね。
でも、一流のスタッフ・キャストで作っているだけあって、
途中背筋をゾクゾクする瞬間があったことだけは
<覚え書き>として喋っておこうかな」


 (byえいwithフォーン)

※パフィンさんからご指摘いただきました。
ケイトはケイトでも『アイリス」に出ているのはウィンスレットの方。
穴があったら入りたいです。観ているというのに…(汗)。
パフィンさん、ありがとうございました。


フォーンの一言「ちょっと観るの恐いニャ」もう寝る

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『ドレスデン、運命の日』

2007-03-13 12:31:35 | 新作映画
(原題:Dresden)

----ドレスデンって、ドイツの都市の名前だよね?
「うん。かつては
“エルベのフィレンツェ”と呼ばれたらしい」

----“かつては”……ってどういうこと?
「この街は、
第二次世界大戦末期、
連合軍が行なった
徹底した大空襲によって完全廃墟となったわけだ。
ところがこれまでこの史実が映画化されることは
ほとんどなかった」

----それはニャぜなの??
「一つは戦後の冷戦構造。
ドイツ空襲の加害者はアメリカとイギリスだからね。
もしこれを映画化すれば
同盟国となる国が犯した残虐な史実を明らかにすることになる。
しかもその発端が自らの国が仕掛けた戦争。
これではなかなか踏み切りにくい。
しかし、ここ最近ドイツでは
『ヒトラー~最期の12日間~』
『白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の祈り』
『戦場のアリア』
そしてアカデミー外国語映画賞受賞の『善き人のためのソナタ』
など、自国の歴史に目を向けたあいついで映画が製作。
この映画もその流れにあると見ていいんじゃないかな」

----でもこのビジュアルからすると
メロドラマ的な匂いもするけど…。
フォーンは『哀愁』なんてのを思い出した。
「うん。そういう感じもあるよね。
いわゆる“戦火の恋”ってヤツだね。
物語も
ドレスデンで看護士をしているアンナが
アレクサンダーと言う婚約者がいるにもかかわらず
英国のパイロット、ロバートと恋に落ちると言うもの」

----えっ?なぜドイツにイギリス兵がいるの?
「彼はドイツへの飛行任務中に追撃を受けてパラシュートで脱出。
しかも腹部に銃弾を受けたため、
病院にひっそり隠れていたわけだ」

----そんな危険なことあり?
「ぼくもそれが信じられなかったね。
いくらキモが座っているとは言え、
ナチスの支配する街の中を歩き抜け、
しかも病院にたどり着くわけだから…。
しかしこれもやがて理由が明らかになる。
ロバートの母親はドイツ人。
つまりある程度のドイツ語は話せたわけだ」

----でもそれでもアンナとアレクサンダーは婚約しているわけでしょ。
そんなに簡単に恋に落ちるというのも不思議。
「まあね。
ここはあまり説得力がなかったね。
ふたりは傷病兵でいっぱいの病室のベッドで結ばれるし、
婚約パーティの最中にもセックスしてしまう」

----ありゃりゃ。それじゃ感情移入しにくいよね。
もしかしてアレクサンダーってとても悪い人?
「いやあ。それがそうでもないんだ。
恋にも仕事にもなかなか誠実な医師。
ただ、ロバートの方が包容力はあるし男前(笑)。
でも、得てしてこういう人は映画では損な役回り。
こういうところは40~50年代のハリウッドぽい気もしたね。
さて、そんなメロドラマが大きく動くのはドレスデンに空襲が始まってから…。
ロバートとアンナ、それにアレクサンダーは
なんと3人で戦火の中を逃げ惑う。
ここの描き方は『硫黄島からの手紙』、あるいは『ひめゆりの塔』を思わせる。
地下壕から地下壕へと地獄めぐり。
酸素がキレて神に祈っている一軍もいれば
兵士に『殺してくれ』と祈るものもいる」

----うわあ。それは息苦しそうだ。
「外でも凄まじい爆風が絶え間なく吹いていて、
体を支えていないと
火の海の中に巻き込まれてしまう」

----う~~ん。それを聞いて思ったけど、
日本ではそんな映画、あまり聞かないよね。
「一説では
新藤兼人監督が原爆投下直後の広島を映画化したいと言う
強い希望を持っているらしい。
80歳を超える高齢ながらもその不屈の精神。
難しいだろうけど、実現させてあげたいよね」


  (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「2時間半もあるんニャ」複雑だニャ

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『14歳』

2007-03-12 00:37:55 | 新作映画
----この映画「今年最大の問題作」と
書いてあったけど、そんなにスゴいの?
「チラシの言葉を借りれば
<容赦なく>スゴいね」

----どういうところが?
「日本の映画って戦後は民主主義の発達とともに、
ヒューマニズムが美徳として礼賛されてきた。
ところがこの映画は、前提として信じられてきたはずの
ヒューマニズム=オールマイティに冷や水を浴びせる作品となっているんだ」

----う~ん。よく分からないニャあ。
「この映画は現在14歳でそれぞれの問題を抱える生徒たちと、
かつて14歳だったときのできごとをトラウマとして持ち続けている教師たち----
この二つの物語を軸に進んでいく。
中学生を描いた物語と言えば、
これまでは『話せば分かる』が基軸となっていた」

----確かにそうだね。
テレビの『金八先生』などでも
先生は生徒に真っ正面からぶつかっていってた。
「これは『青春とはなんだ』に始まる
熱血青春ドラマの流れを汲んでいるわけだけど、
この映画では、そんな先生はどこにも存在しない。
強いて言えば、香川照之演じる46歳の小林先生。
ところが彼は<熱血>部分の役割を担ってはいるものの
『校則の方が憲法より上』と豪語。
生徒との話し合いなど頭から信じていない。
その底にあるのは
『あいつら(生徒たち)は生き残るためなら何でもする』という
生徒たちへの憎悪にも近い不信感だ」

----それじゃあ。
最初から問題の解決策を放棄しているようなものだ。
この小林先生というのは、
主人公である26歳の教師・深津綾(並木愛枝)と
意見が対立。
ところが深津は14歳の時に
教師を背後から彫刻刀で刺した過去を持っている」

----!!!!!!!!!
「深津はその教師から
飼育小屋放火事件の犯人と疑われていた。
だが、当の深津自身にもそのときの記憶が定かではない。
その後、精神科に通うことになった深津は
医師の影響で教師の道を選び、
いまは中学教師として生徒に真剣に向かい合おうとしていた。
ところがそんな彼女の気持ちをあざ笑うかのような
事件が次々と起こる。
ま、ここから先は話さない方がいいだろうな」

----でもそれじゃ、話にならないよ。
「確かにそれはそうだね。
では簡単に…。
いまを生きる生徒同士、
あるいは生徒とその親の間にも
いくつもの問題や溝が横たわっている。
しかしもっとも<痛み>を伴って描かれるのは、
この深津と生徒たちの関係。
従来の映画だと、
不幸な過去を持つ主人公(この場合は深津だね)が
自分の体験を基に次の世代の生徒たちにはそんな悲しい思いをさせないようにと
誠心誠意を込めた教育に従事する。
ところが、この映画では
彼女はいつの間にか自分が14歳だったときの気持ちを失っている。
決して言ってはならない一言を吐いてしまうんだね。
結果、それが生徒の<悪意>を引き寄せてしまう。
これでは生徒は教師を尊敬しえないし、
いったんその脆さを見せてしまった教師にとっては、
毎日が地獄と同じ。
教育どころか自分の身を守ることで精一杯だ」

----それは確かに<容赦なく>スゴいや。
でも映画として観るにはヘビーすぎニャい。
「そうなんだ。
仮にこれが嘘のない現実だとしても、
世界はそればかりじゃないような気もするんだけどな」


       (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「学校は恐いニャあ」身を乗り出す

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『女帝 エンペラー』

2007-03-10 23:00:17 | 新作映画
(原題:The Banquet 夜宴)

----実はこの映画について
えいは、とんでもなく恥ずかしい勘違いをしていました。
まず監督が『ハッピー・フューネラル』のフォン・シャオガン。
ところが、あろうことかチャン・イーモウと思い込み。
ひとりで期待に胸を膨らませていたのだとか…。
しかもシェークスピアの『ハムレット』の翻案にも関わらず、
これまた『マクベス』と……。
「(汗)&(汗)。
いまや、中国ではだれもがこんな超大作を撮る時代なんだね。
チャン・イーモウやチェン・カイコーだけじゃないんだね。
その勘違いのお詫びと(?)いうことで
今回は珍しく画像の大盤振る舞い」

----これ、確か中国のオフィシャルの画像だよね。
「うん。これに従って簡単に話をすれば、
争いを好まず都を離れ
歌と踊りを親しんでいた皇太子ウールアン(ダニエル・ウー)は
父が謎の死を遂げたと聞かされる。

女帝ダニエル・ウー

と同時に彼に襲いかかる刺客たち。
そう、父を殺したのはその弟リー(グォ・ヨウ)だったのだ。

女帝グォ・ヨウ

先帝の妻でもあった王妃ワン(チャン・ツィイー)は
ウールアンの命を守るため、
新帝リーと結婚する。
ワンとウールアンは、かつて密かに想いを寄せ合っていた仲だったわけだ。
ウールアンは父の仇を討つべく、急ぎ都へ戻る。
だが、そこには野望と欲望が激しく渦を巻いていた」

----あらら。確かに『ハムレット』そっくりだ。
となるとオフィーリア役は?
「ジョウ・シュン。
どことなく千秋に似ていない?」


女帝ジョウ・シュン

----そうかニャあ。観ていないから
なんとも言えないけど?あれっ、この人は?

女帝ホァン・シャオミン

「その兄を演じている
ホァン・シャオミン。
彼はなかなかシャープで、
これからも出てきそうだよ」

----あらら、今日は役者紹介で終わり?
「う~ん。
まあ、基本は『ハムレット』だからね。
見どころはユエン・ウーピンのワイヤーワーク……
と言いたいところだけど、
そろそろ見慣れてきた感もあるしなあ。
やはり、この映画はチャン・ツィイーだろうね。
権力欲に憑かれた女性の末路を
貫禄たっぷりに見せてくれる」

----でも、えいは
彼女が薔薇のお風呂に入るサービスカットが
いちばん嬉しかったんでしょ?


女帝チャン・ツィイー

「グォ・ヨウとの夜伽のシーンもね」

----mmmmm……。
        (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「写真で逃げたニャ」もう寝る

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『ラブソングができるまで』

2007-03-09 10:57:09 | 新作映画
(原題:music and lyrics)

「いやあ、この映画を観てつくづく思ったことがあるね」
----あらら、ニャによいきなり?
「ドリュー・バリモアの映画に大ハズレはなし」
----あっ、それはフォーンもそう思うな。
そう言えば、この映画はヒュー・ブラントとの初顔合わせだよね。
彼って、セクシーなダメ男という役柄のイメージ強いよね。
でもいつも最後はなんとかなる。おトクだニャあ(笑)。
だけどこの映画、タイトルだけでほとんど想像ついちゃうよね。
「あれれ。フォーンは、どういうお話だと思う?」
----う~ん。たとえば売れない作曲家が
ライバルの女性と知り合い、
いつの間にか恋に落ちて、
最後は2人の愛のハーモニーを奏でる……とか?
「まあ、似ているけど、少し違うね。
主人公は80年代に人気を博したと言う設定の
ポップスター、アレックス・フレッチャー(ヒュー・グラント)。
今やすっかり落ち目の彼の元に
人気絶頂の歌姫、コーラ・コーマン(ヘイリー・ベネット)から
デュエット曲の作曲と収録のオファーが舞い込む。
しかし彼は長いこと作曲をしていない上に、
作詞の経験は一つもなかった。
そんなアレックスの前に現れたのが
彼の家の植木を世話するソフィー・フレッチャー(ドリュー・バリモア)。
その抜群の詩のセンスに気づいたアレックスは
ソフィーに共同で歌を作ることを依頼するが……」

----あ~あ。ニャるほど。
そこで『ラブソングができるまで』か。
「うん。ところがこの映画、
意外にその『ラブソング』が簡単にできてしまう。
おそらく物語の半分よりも前には
完成していたんじゃないかな」

----えっ?じゃあ見どころは別にあるわけ?
その後、ニャにがどうなるのよ。
「まあ、そこは観る人のために伏せとくことにしよう。
替わりに見どころを先に話しちゃうと、
この映画ではヒュー・グラントはもちろんのこと
ドリュー・バリモアもその喉を披露してくれる。
タイトルバックなんて
80年代のミュージックビデオのノリそのまま。
白黒の格子柄をバックに
毒にも薬にもならない
明るいナンバーが弾ける」

----その言い方って、それこそ毒がない?
「いや、そんなことないよ。
ぼくは80年代ポップスに付いては詳しくないけど、
それでもワムやデュランデュランそっくりのナンバーが
たくさん出てきて、何度も笑ってしまった。
なかでも彼ら共作の
『愛に戻る道』(【WAY BACK INTO LOVE】)というバラードは
冗談抜きでCDを買いたくなったほどだ。
4月25日には発売されるらしいけど、
3月上旬には輸入版が出るらしいから
そっちを探してみようかな。
あっ、音楽を手がけたのは
トム・ハンクス監督作『すべてをあなたに』でも
素敵なナンバーを聞かせてくれた
フアウンテンズ・オブ・ウェインのアダム・シュレシンジャー」

----そう言えばえいは、あのCDも買っていたもんニャあ。
「ほんとうは70年代の方が好きなんだけどね。
同じ復活でもビル・ナイ主演の『スティル・クレイジー』の方が
スピリッツとしては分かりやすいんだけど、
この映画には80年代の方が合っているね。
その軽さとか……」

----確かにヒュー・グラントって
どこか80年代ポップ・スターの匂いがあるよね。
『ラブソングが~』
「うん。その彼の“腰振りダンス”はファンにはたまらないかも。
もっともドリュー・バリモアの方も途中で
胸をギリギリまで見せてくれる大胆なセクシードレス姿を見せてくれる。
しかもこれが物語と絡んで必然性があるところが嬉しい」

----シナリオもよくできてるってワケだ?
「うん。しゃれた会話の応酬も楽しめるしね。
クライマックスは
だれもが望むように新曲発表のステージ上で訪れる。
しかし、ここでさらなるプラスワンのサプライズドが用意されている。
これもネタは明かせないけど、
このあたりは、さすがプロの仕事だと思ったね」


  (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ドリュー・バリモアはメグ・ライアン抜いたかもニャ」身を乗り出す
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