ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

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『シュガー&スパイス 風味絶佳』

2006-07-29 13:37:13 | 新作映画
----変わったタイトルの映画だね?
「うん。『シュガー&スパイス』というのは、
男性は女性に対してやさしいだけではだめ。
タフな時もなくては…ということらしい。
『風味絶佳』というのは
『森永キャラメル』の箱に書かれているコピー。
この映画、もともとは
山田詠美の短編集『風味絶佳』が
元になって生まれたらしい」

----主演が柳楽優弥に沢尻エリカ。
旬な役者だよね。
でも年齢的にあわなくない?
「うん。柳楽は撮影時まだ15歳。
それで18歳の役をやっているわけだ。
映画の中に『19になったら一緒に暮らそう』と言うのがある。
この映画、ストーリーはシンプル。
高校を卒業した後、大学に行く理由がないからと、
ガソリンスタンドで働いている主人公・志郎(柳楽優弥)が、
後からバイトで入ってきた乃里子(沢尻エリカ)との出会いによって、
恋に目覚め、彼女も志郎を好きになる。
しかし、そこに乃里子の元彼・矢野(高岡蒼甫)が現れて…というお話だ」

----それだけ?ほんとシンプルだね。
「サイドストーリーとして、
志郎のグランマ(夏木マリ)の過去の恋や、
志郎の友人・尚樹(今年は出演が多い濱田岳)の
現在進行形の三角関係もあるけどね。
中心は、ふたりのキュートで切ない恋」

----じゃあ、かわいらしいお話なんだ。
「うん。そうも言えるかな。
柳楽優弥があまりにも幼いからね。
いまの18にはとても見えない。
思い切って年代を下げた恋にすればよかったと思う。
たとえば『ジェレミー』のように、
自分たちだけではまだ人生が決定できないもどかしさを描くとか、
あるいは『君がいた夏』のように、
年上の女性との恋とするのも手だったかも知れない。
でも原作があるんだったら無理か……」

----監督が中江功だっけ?
「そう。
ぼくはフジテレビ出身のディレクターが撮った映画って
どうも相性が悪い。
笑いを取りにいったシーンだとか、
ポップな絵作りとかが、どうもしっくりこないんだよね。
オープンセットのガソリンスタンドなんて、
コーラの自動販売機も含めて日本ではありえない作り。
なにせロッカーまでオレンジと言うんだから……。
これは失われた寓話と呼ぶべきなのかもね」


                                           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「フォーンはスパイスよりシュガーだニャ」ご不満

ジェレミー TDV-3253Dジェレミー TDV-3253D
※少年少女のせつない恋は、この映画につきるなり。


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『ブラック・ダリア』

2006-07-27 23:55:06 | 新作映画
----監督がブライアン・デ・パルマだよね。
確かこの監督好きだったのでは?
「うん。ただし、
ぼくが彼に熱狂していたのは
巨匠と呼ばれるようになった『アンタッチャブル』以前、
まだ彼自ら<ヒッチコックの後継者>と名乗っていた頃のこと。
デ・パルマは別名<映像の魔術師>とも言われていて、
スローモーション、分割画面、長回しなど、
目もくらむような映像ギミックが多かった。
彼の映画の魅力は
人間の感情の機微を描くことなどとは正反対。
<映像で物語っていく愉しさ>にあると言ってもいいと思う。
だから、ストーリーの整合性を考えることもあまり意味がない。
そんなことで突っ込むのはそれこそヤボだと思う」

----えっ。と言うことは、
この映画もストーリー紹介は省略?
「うん。原作が<アメリカ文学界の狂犬>と言われるジェイムズ・エルロイ。
その彼のLAノワール4部作の第1作。
しかも実際に起こった事件を元に描いているわけで、
そのストーリーをあれこれ言ってもしょうがない。
主人公のバッキー・プライカード(ジョシュ・ハートネット)が
ある猟奇的殺人事件を捜査しているうちに、
大富豪の娘マデリン(ヒラリー・スワンク)と知り合い、
他に思う女性ケイ(スカーレット・ヨハンソン)がいながら
彼女と関係を持ってしまう。
そしてその女性マデリンと関わるうちに、
彼は事件の背後にうごめく大きな闇を知る……。
まあ、フィルム・ノワールらしい設定の話だ」

----で、今回はその華麗なキャメラワークは観られたの?
「彼の映画を観る時は、
最初から身構えてしまう。
冒頭から、何かやってくれる可能性あるからね。
ところが今回は意外と普通。
デ・パルマ印がさして見られない。
ノワールという言葉から連想する、
ミスティなしっとりしたタッチからはほど遠く
どちらかと言えばドライ。
しかし、それがあるシーンから大きく動く。
俯瞰で写した町の道路の脇でひとりの女性が死体を発見。
ところがカメラはそこから離れてバッキーたちの乗る車を追い、
町の反対側へと移動してゆく。
そしてそこでは
死体のことなど忘れたように別のドラマ、銃撃線が始まる。
ところがこの死体こそ、後に重要な意味を持ってくるんだ」

----ふ~む。意地の悪い映画だニャあ(笑)。
「でも、ここからしばらくも
時代色豊かな犯罪映画と言う感じ。
本格的なデ・パルマ印は、
もう一つの<死>まで待たなくてはならない。
それは、バッキーのロス市警でのコンビでもある
リー・ブランチャード(アーロン・エッカート)の暗殺。
階上で黒い影に襲われるリー。
その影に気づいたバッキーは
必死で彼に駆け寄ろうとするが、なかなか近づけない。
ここでのバッキーはスローモーション、
また凶器を持った暴漢の姿はシルエットに。
さらにそこにもう一人の顔を見せない殺人者が
ナイフを煌めかせてやってくる。
バッキーの眼前で喉を切られたリーは
暴漢もろともスローモーションで墜落してゆく。
このシーンだけでも何度も観たくなる素晴らしさだったな」

----確かにデ・パルマらしい映像だね。
撮影は誰ニャの?
「デ・パルマの初期のサスペンスを多く手がけたヴィルモス・ジグモンド。
『さすらいのカウボーイ』や『未知との遭遇』など、
光と影の効果を知りつくした映像の美しさは
右に並ぶ者がいないと言っても過言ではない。
さらにオモシロいことに、この殺人シーンから後の映像が
冒頭とはすっかり変わってしまうんだ。
もし何も言わずに、
前半と後半からそれぞれ二つのシーンを切り取って見せたら、
多くの人が別の映画と思うんじゃないかな。
そういう意味じゃ、かなりいびつな映画とも言えるかもね」


                                           (byえいwithフォーン)

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※数あるデ・パルマの傑作から今回はこの作品を。
ヒッチコック・テイスト満載のラブイ・ミステリー。

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『トリスタンとイゾルデ』

2006-07-25 23:33:07 | 新作映画
----この人たちって「アーサー王」のお話に出てこなかったっけ?
「ぼくもそう思っていたんだけど、
この映画の時代背景は
ローマ帝国が崩壊した後。
プレス読んで分かったんだけど、
『トリスタンとイゾルデ』と言うのは、
最初は6世紀から8世紀のケルト史の中に
素朴な駆け落ち物語として
すでに現れているらしい。
そのオリジナルの物語が
騎士道華やかなりし時代に
媚薬のモチーフを織り込み
宮廷風恋愛として語り伝えられていく。
その変遷を記した
井辻朱美教授の解説は読み応え充分。
でも、この映画からは離れてしまうので
残念ながらここでは割愛ということで……」

----じゃあ、映画には駆け落ちはないわけだニャ?
「うん。でも、つらいつらい愛の物語だよ。
究極のメロドラマ。
20代の頃に読んだ『中世騎士物語』に出てきた
『トリスタンとイゾルデ』も、
こんな話だったのかなあ?
一言で言っちゃうと不倫なんだけどね」

----あらあら。ランスロットとギネヴィアと同じだ。
「まあ、基本は同じなんだけどね。
主人公のトリスタンは、
コーンウォールの領主マークを育ての父に持つ勇敢な騎士。
戦闘で瀕死の重傷を負い、
敵国アイルランドの海岸に流れ着いた彼は、
アイルランド王の娘イゾルデにかくまわれ、
献身的な介護を受けるうちに、
ごく自然に結ばれてゆく。
ところが運命の皮肉から、
イゾルデはマークと政略結婚をすることになる」

----ありゃ。それは確かにつらいね。
愛する人が父であり君主である人の妻ということでしょ。
いつもふたりを間近に見ることになっちゃう。
「おっ、フォーンも言うね。
しかも、その結婚はアイルランド王が
イギリスの領主たちの仲間割れを誘うために催したトーナメントに
トリスタンが名代として出場して
勝利したことによってもたらされている。
優勝賞品がイゾルデとの結婚と領地だったわけだ」

----ふうっ。ほんとうによく作り込まれたお話だ。
「だから、ある意味、観客も安心して観ていられる。
映画の方も映像に凝ることもなく、
この物語をビジュアル化するための
しっかりとしたロケ地探し、
そして当時を彷彿させる衣装や小道具、
それにきちんとした演技ができる役者さえ揃えれば、
それだけで一定レベルの作品にはなる」

----監督はケヴィン・レイノルズだっけ?
「うん。一時期、ケヴィン・コスナーとのコラボが多かった監督。
彼、こういうクラシックな映画には向いているんじゃないかな。
製作総指揮にリドリー&トニー・スコット。
リドリーが作るとシャープになってしまうし、
トニーが作るとファッショナブルになる。
たまにはこういう肩が凝らない
ウェルメイドな映画もいいかもね。
彼らの監督ヴァージョンも、あればもちろん観たいけど」

          
               (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「これは困ったことになったもんだニャ」身を乗り出す

ロビン・フッド 特別編集版 スペシャル・エディション(期間限定) SBE-14003ロビン・フッド 特別編集版 スペシャル・エディション(期間限定) SBE-14003
※ケヴィン・レイノルズは剣劇がお好き?

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『XーMEN ファイナル ディシジョン』

2006-07-24 22:41:59 | 新作映画
----タイトルに“ファイナル”と付いている。
と言うことは、これで最後と言うこと?
「おっ、いきなり核心を突いてきたね。
この第3作では、
『これで終わりじゃないとすれば、
あとはスピンオフか過去に遡るかしかない』と、
断言したくなるほどの大胆な展開を見せる。
少なくともエンドクレジットまではね」

----えっ?またまたオマケが付いているの?
「あれをオマケと言っていいのかどうか、
この映画もエンドクレジットが終わっても
決して席を立ってはいけない作品の一つ。
とんでもないことが起こる」

----ラストから話してしまっているけど、
どんなお話なの?
「ミュータントの力を恐れる人類。
プロフェッサーXを始めとする協調派のX-MEN。
人類に取って代わろうとするマグニートーらブラザーフッド。
その構図は今回も変わらない。
そんな中、ミュータント・パワーを無効にして、
彼らを普通の人間へと変えることができる
新薬“キュア”が開発される。
この薬を使えばミュータントではなくなるものの、
その一方で超能力も失ってしまう。
この“キュア”の人体実験に使われたのが
無垢なミュータントの少年リーチ。
かくしてリーチをめぐり、
X-MEN、ブラザーフッド、人類の間に
壮絶な争奪戦が繰り広げられてゆく」

----はい?ニャんだかそれって
『ウルトラヴァイオレット』を思い出すんですけど?
「やはり気づいたか(笑)?
でもその類似は単にストーリーだけじゃない。
少年リーチを演じているのが
『ウルトラヴァイオレット』のキャメロン・ブライト。
同じような役で彼も戸惑ったんじゃないかな(笑)。
それはともかく、このキュアを“人生を変える薬”の比喩ととらえると、
意外とこの映画のテーマが重いことが明らかになってくる」

----ニャるほどね。これがもし人種問題的に使われたら……。
考えただけでもブルブルだね。
「あと、この映画ではジーン・グレイの復活が大きな鍵となる」
----えっ?彼女って前作で
ダムの決壊による大洪水で死んだんじゃなかったの?
「まあ、そこが観超能力者たるゆえん(笑)。
ただし彼女の中に眠っていたもう一つの邪悪な人格が目覚めてしまう。
自分をも凌ぐその圧倒的な超能力パワーに目をつけたマグニートーは、
彼女を自陣営に引き込もうとする」

----ニャるほどね。特撮の方はどうだった?
このシリーズって、いつも超能力バトルが見モノでしょ?
「ウルヴァリンが原作で人気の大技“ファーストボール・スペシャル”を初披露。
またストームも身体を回転させながら嵐と雷を巻き込み、相手にアタック。
一方のブラザーフッド側も
マグーニートーが念力で浮かせた車を
少年パイロが炎で包み、次から次へと放り投げていく併せ技で応酬。
他にもこのパイロとアイスマンの“炎vs.氷”の対決、
また、全てを破壊しつくすジャガーノートの怪力と
物体透過能力を持つキティ・ブライドの頭脳戦も見逃せない。
バトル・シーン以外では
20年前の若きプロフェッサーXとマグニートーの姿、
そして金門橋を橋桁から外し、
アルカトラズ島へ飛ばす超スペクタクル映像も見どころだね」

----ストップ!それ以上聞いちゃうと
もう全部観た気になってしまう(笑)。
そう言えば、世代交替が進んでいる本作、
とんでもない俳優が出ているんだって?
「確かに“とんでもない”俳優が出ている。
このキティ・ブライド役の女の子に見覚えないかな?
実は彼女『ハード キャンディ』のエレン・ペイジ。
観ている間、あの映画が頭にちらついて
怖くて仕方なかったよ(笑)」


          (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「最後まで観るニャ」なにこれ?

※“キュア”は問題だ度
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『ハチミツとクローバー』

2006-07-23 21:09:47 | 新作映画
----これって昨日公開されたばかりの映画だよね……。
「うん。メイン館がシネマライズ。
ここで公開された映画はほとんどがヒット。
まあ、時代の風にあっていると言うことなんだろうけど、
これって鶏が先か卵が先かに似ていて、
シネマライズでやるから
そのブランド力の元にみんなが観に行くのか、
それとも観賞に堪えうる映画だからこそシネマライズでかかるのか?
どうもいま一つはっきりしない」

----ニャるほど。この映画なんて
原作が少女コミックで、
監督もこれがデビュー作だしね。
「そういうこと。
少し斜に構えて観てしまった。
でも、気がつくといつのまにか映画の中に引きずり込まれていた。
それは、この映画が単にぼくの好きなジャンルの
<青春映画>だからというだけではない。
この映画の持ついろんなファクターが
吸引力として作用していたと思うんだ。
まず、感心したのはそのキャスティング。
ヒロインの天才少女・はぐみ。
もし彼女を蒼井優以外の女性が演じていたら、
とても観られたものではなかったと思う。
社会的な協調性よりも
<自分の世界>に入り込むことが許されるはぐみのような不思議系キャラは、
どっちかと言うと同性に嫌われやすいタイプ。
それをギリギリのところで避けている彼女の演技はまさに賞賛に値する。
たとえば、疲れ果てて寝込んでしまうはぐみ。
無垢な寝顔をここまで見事に演じた女優をぼくは他に知らない。
自分の顔の皺一つひとつがもたらす効果を熟知。
まるで名優・三國連太郎のようだ」

----スゴい絶賛だね。あれ、この栗山千明似の女性は?
「あっ、関めぐみね。
彼女もいい。加瀬亮扮する青山への切ない恋を
そのしっかりと見開かれた目で好演する」

----しっかりと見開かれた目?
「うん。この映画は悪く言えば、
どこにでもあるような片思いの青春映画。
そのどれもが一方通行で交わることはない。
でも、映画的に観れば、
思いの対象を見つめ見守る<視線の映画>となっているんだ。
映画とは本来、興味のある対象物を見つめ記録したいという
強い思いから生まれた媒体、
ここでは、登場人物それぞれの思いから発する<視線>が
映像として焼き付けられている。
この映画の主人公たちは美大生と言う設定。
彼らも自分の描きたいものを
自分のその目で絵画や彫刻にしてゆく。
その意味でも主人公に櫻井翔を持ってきたのは大正解。
実際には存在しないような汚れなき澄んだ<目>が
観る者の心に強く残る。
さっきも言ったように
この映画は正直言ってお話としてはありふれたもの。
ある意味、テレビドラマの延長と言えないこともない。
しかしそれを<視線のドラマ>としたことで、
少なくともぼくの<青春映画アルバム>の1ページに
長く記憶に残る映画になったね」


            (byえいwithフォーン)


※いつまでも見つめていたい度

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『トンマッコルへようこそ』

2006-07-22 23:46:55 | 新作映画
※傑作『まぼろしの市街戦』オリジナルポスター。
最初はこの映画に似ていると聞いていましたが……。


----トンマッコルって韓国の地名なの?
あまり聞いたことないけど……。
「うん。これは架空の村で、
韓国語で“子どものように純粋な村”という意味。
舞台は朝鮮戦争が行われていた1950年代。
険しい山の奥深く、
神秘的な森のはずれにあるその村は、
完全に時間が止まっていて、
村人たちは菜食のみで自給自足で暮らしている。
そんなトンマッコルに予期せぬ6人の客がやってくる。
最初に空から降ってきたのは、
連合軍のアメリカ人パイロット、スミス。
次に韓国軍の兵士だと名乗る2人。
この国で戦争が起こっていると知らされ、驚く村人一同。
そして村の少女ヨイルが、
韓国軍と敵対する人民軍の3人を村へ連れてくる。
映画は、彼らがこののどかな村で、
最初はにらみ合いながらも、
次第に打ち解けて、
最後は力を合わせて村を外敵から守ろうとするまでを
寓話的に描いていく」

----お話だけ聞くと、
良心的な映画って感じだね。
「うん。この映画、映像も美しくユーモアもあり、
風刺もよく効いているんだけど、
すべて予想がついてしまうところが問題。
村人たちは<だれもがいい人>に形式・統一化されているだけに、
あまりにも展開に驚きが少ない。
村の中には、現実社会のような争いはもちろん、
嫉妬や差別を含む人的葛藤が全くない。
ドラマとしてのうねりも生まれようがないんだ」

----でも、そこに6人がうねりを作るわけでしょ?
「うん。それはそうなんだけど、
それも6人の中だけでのお話。
しかも彼らも村の中と同じ穏やかな人間になっていく」

----ニャるほど。彼らによって村人の誰かが外界を知り、
共同体の危機が訪れると言うわけではないんだ。
それで2時間強はキツいなあ。
「でも、それは普通の映画の観方であって、
この映画は意外と退屈すると言うことはない。
2005年、韓国では6人に一人が観たと言われ、
その年の第一位のヒットを記録している」

----この映画のどこにみんなは惹かれたんだろう?
「人民軍の将校を演じるチョン・ジェヨン(『シルミド/SHILMIDO』)、
敵対する韓国軍の将校役のシン・ハギュン(『JSA』)。
実力派である出演者の力に負うところが大きいだろうね。
キャラクターの性格づけがよくなされた脚本と相まって、
彼らが互いに敵対関係を解いていくさまが
ふたりの名演によってさらに説得力を持ってくる。
それと知的障害を抱える心のピュアな役で
『オールド・ボーイ』のカン・ヘジョンが出演。
彼女は青龍賞と大韓民国映画大賞の助演女優賞に輝いている。
もっともこの役は
比較的やりやすかったのではという気がしないでもないけどね」

---そう言えば、日本から久石譲が参加しているね。
「うん。いつもはファイナルカットしか観ない彼が、
今回に限っては自分でそれを破ったと言うから、
作品への思い入れの強さが窺える」

----でも、本当に映像は美しそうだ。
「ネタバレになるから詳しくは言えないけど、
クライマックスの戦闘シーンは大迫力。
村を徹底して美しく描いた後だけに、
その悲惨さがよりくっきりと浮かび上がってくる。
いろいろ辛口に喋ったけど、
そこでは『みんな生き延びてほしい』とマジに祈ったもの。
あっ、それとポップコーンの雨。
これは素晴らしかったな」

----ん?ニャんのこと?

            (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「これが噂の桃源郷なのかニャ?」なにこれ?


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『トリノ、24時からの恋人たち』

2006-07-21 23:27:26 | 新作映画
「これはまた風がわりな映画を作ったもんだ」
----えっ?普通の恋愛映画とは違うの?
「うん。これは映画ファン……と言うよりシネ・フィルのための映画。
舞台となるのはトリノの
モーレ・アントネッリアーナ(国立映画博物館)。
その中の使われていない小部屋を自分の住居としている男マルティーノが主人公。
夜は夜警のかたわらにフィルムを回し、
昼は古びたキャメラでトリノの街を写し取っている。
そんな彼の元にひとりの女性アマンダが舞い込んでくる。
仕事先でトラブルを起こし、警察に追われる彼女を
マルティーノはモーレにかくまうが…」

----確かに、舞台設定はオモシロいけど、
お話自体はよくある感じだね。
「う~ん。というか、“かつてあったお話”って感じ。
この映画は、マルティーノとアマンダ。
そしてアマンダの恋人であるアンジェロを加えた、
三人の“懐かしい”お話になってゆく」

----あ~あ。『突然炎のごとく』ね。
さっき映画博物館が舞台と言っていたけど、
もしかして、いろんな映画へのオマージュが飛び出すのでは?
「そう。ご明察(笑)。
場所が場所だけに、名画のスチールも観られる。
マルティーノはとりわけバスター・キートンが好きで、
彼の映画の恋愛観『波瀾万丈の末、愛する女性と結ばれる』を理想とし、
まるでキートンのように笑わない。
そこにトリュフォーの分身である
アントワーヌ・ドワネル(ジャン=ピエール・レオー)を重ねれば
マルティーノができ上がる。
実はマルティーノは自分でも映画を作っている。
それは過去の名画と自分を重ねあわせ、
そこに隠し撮りしたアマンダの映像をカットバックしたもの。
つまりマルティーノからアマンダへの映画によるラブレターだね」

----確かにこれはシネ・フィル向きだ。
「しかも、その物語を
ダヴィデ・フェラーリオ監督が
映画的記憶をフルに生かした映像で撮る。
『突然炎のごとく』と同じナレーション、
アイリス・イン、アイリス・アウトの多用。
自転車が出てきた時に、アッと思う人も多いんじゃないかな」

----こう言う映画好きでしょ?
「う~ん。それこそ若いころだったら、もっと惹かれただろうね。
でも、いまはオーソドックスな語り口の映画の方が好みだな。
あまりにも、監督の映画に対する溺愛が出すぎていて、
『それ、言われなくても
みんな同じだよ、
だれだって映画は好きだよ』と少し皮肉ってみたくなる」

----年だね、えいも(笑)。
「でも、映画を好きになり始めた人、
いま映画に熱烈に恋している人には
この映画はおすすめ。
どれだけの名画がこの映画の中に隠されているか、
パンフなどを見る前に探してみるのも楽しいと思うよ」


          (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「でも猫は入れてもらえないんだよね、ここ」複雑だニャ

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『太陽の傷』

2006-07-20 23:37:38 | 新作映画
※映画の核に触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、素通りしてください。
逆にアンチ三池崇史監督の方たちにお読みいただきたいです。
もしかしたら観に行きたくなるかもです。



----これまたスゴい前置きだね。
確か、三池崇史の映画はあまり好きではなかったのでは? 
「うん。新作『46億年の恋』もぼくには合わなかった。
この監督って、映画によっていろんなスタイルを選びとるんだけど、
豪速球でやったときの方が、
ギミックに凝ったときよりも全然オモシロく観られる」

----と言うことは、この映画も直球勝負なわけだ?
「そういうこと。
テーマが、少年犯罪と法の壁。
そして被害者よりも加害者の人権が守られると言う矛盾。
それだけを聞くと、ありふれているように見えるけど、
この映画では、
あえてみんなが触れようとしないところまで問題提起をし、
そのために、日本映画が今まで規制していた
ヤバい映像を次々と繰り出してくる。
そう、これは映画そのものが時代を撃つ銃弾。
見方によっては凶器ともとれなくもない」

----どんなお話ニャの?
「主人公は哀川翔扮する片山。
彼は帰宅途中、浮浪者に暴力を振るう少年たちを目撃。
最初は躊躇したものの、あまりにもひどい彼らの暴行を見かねて止めに入る。
ところがボス格の少年が逆上し、彼をナイフで刺そうとする。
自分の命を守るため彼を殴りつける片山。
しかしその行為を咎められ、
彼は警察に連行されてしまう。
しかも相手の中学生たちは家に帰されたばかりか、
片山は『中学生相手に喧嘩するなんて…』という非難を受けてしまう。
そして悲劇は起こった。
片山のまだ幼い娘が彼によって惨殺されてしまったのだ。
悲しみのあまり精神のバランスを崩した妻は自殺。
やがて3年が経ち、
片山はある事実を知る。
犯人の少年・神木が保護更生のため
わずか1年半で社会復帰していたのだ。
人を殺すという重罪を犯しながら、あまりにも軽い罰。
片山は神木が本当に更生しているのかをその目で見ようと、
事件が起こった町へ舞い戻る」

----うわあ、詳しい説明。
でもこれだとストーリーだけだニャ。
「ごめんごめん。じゃあ、まず映像の方を。
悲劇の事件が一つひとつ起こるたびに退色。
娘が死んだ時には完全なモノトーンとなる。
そして3年後には、また色がつくと言うスタイルだ。
キャメラは手持ちで揺れて、ときには焦点さえ合わない
いわばドキュメンタリー・スタイル。
でも、なんと言っても衝撃は娘の死体を見せること。
これは少なくとも一般の映画ではこれまでタブーとされてきた。
しかも後半では、13歳の少年犯罪が起こる。
近年、14歳の犯罪が相次ぎ、
少年法が改正されたけど、
じゃあ13歳はどうか?という問題だ」

----そうだよね。犯罪がどんどん低年齢化していったら、
どうすればいいのか?
「3年後、神木は表面は更生したように見えながら、
裏ではカリスマ的な存在となっている。
ネットで仕入れた銃を少年たちに流し、
メールでこううそぶく。
『13歳は殺しのライセンスを持っている』。
つまり、法的には咎められないと言うわけだ」

----!!!!!!!!
「かくして、日本映画史上だれもが描くことのなかった
13歳の少年と大人の銃撃戦が始まる。
その相手となるのが
日本映画の裏の牽引者である哀川翔というのも興味深い」

----これは確かに、日本映画の事件だね。
「あと、スゴいのはキャスティングだね。
少年の弁護士に宅間伸。
法を盾に取り被害者を恫喝するその傲慢な姿に
怒りを覚えない人はまずいないと思う。
神木に心酔する少年グループの中で最年少の涼に
富浦智嗣を選んだ三池監督の慧眼にも恐れ入る。
『青いうた のど自慢 青春編』では“純真な心を持つ少年”役。
あの映画の時は、
この子、他の演技できるの?と思ったものだけど、
まさに逆転の発想だ。
あ、ビデオ映画ではおなじみ本宮泰風の出演も
個人的には嬉しかったな」

          (byえいwithフォーン)

※これは事件だ度
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『釣りバカ日誌17 あとは能登なれ ハマとなれ!』

2006-07-19 22:56:54 | 新作映画
----朝原雄三監督、連続4回目の登板だね。 
「うん。彼は毎回、趣向を凝らしていて、
前作『釣りバカ日誌16  浜崎は今日もダメだった♪♪』なんて凄まじい悪のり。
それはそれでけっこう楽しめたんだけど、
今回は、その暴走(笑)にストップが…。
ここらで軌道修正って感じだったな」

----どういうところが違うの?
「松竹を長らく支えた寅さんへのオマージュがいっぱい。
『男はつらいよ』そっくりのシチュエーションが用意してある。
つまり松竹映画伝統のお笑いが軸になっているんだ」

----えっ?でもハマちゃん、結婚していて家庭も持っているよ。
「まさか、彼が寅さんにはならないよ(笑)。
でもこの映画って渥美清みたいに
目がちっこい俳優が登場しているだろう?
ハマちゃんのポン友・太田を演じる中本賢が…。
彼が今回のマドンナ沢田弓子(石田ゆり子)に
本気で恋をするんだけど、
彼女が彼に少しやさしくして、
カフスをプレゼントしたりすると、すぐ早とちり。
意気揚々と正装して部屋に乗り込もうとする。
それを心配そうに窺うみち子(浅田美代子)。
そのたたずまいが
まるでさくらそっくり」

----ニャるほど……と言いたいけど、
話がさっぱり見えない。
その弓子って誰?
「ごめんごめん。彼女は、かつて鈴木建設でスーさんの秘書を務めた
“スズケン伝説のマドンナ”。
結婚退職したんだけど夫と離婚してしまい、
最雇用制度で契約社員として現場復帰。
ハマちゃんのいる営業三課に配属されたわけだ」

----ニャるほど。彼女の実家が能登ってわけだ。
「そう、兄の聖一は妹のためにお見合い相手を紹介しようとするも
夫の暴力で男性不信に陥っている弓子は、
まったくその気がない。
そんな彼女に向かいのアパートに住む
美術講師の村井(大泉洋)がアプローチ。
ただ、彼が気が弱くすぐアルコールに頼ってしまうため、
聖一の怒りを買ってしまう」

----ははあ。やっとお話が見えてきた。
「今回は、この片岡鶴太郎と、
彼の妻・加代子を演じる宮崎美子のキャスティングが絶妙。
朝原監督の演出も冴えていて
兄の見合い話を断り風呂へ弓子が逃げた後の
お茶の間に残された者たちの空気感の出し方とか、
もう手慣れたもの。
これはスタジオ上がりの監督じゃないとできない技だね。
他にも成果主義の現代への批判を込めた社長決裁会議とか、
お約束の運転手役・笹野高史の一人芝居とか、
道場六三郎を始めとする豪華ゲストとか見どころも多い。
ただ、ひとつだけ気になるのがスーさん。
この監督、いつまでスーさんに釣りさせないんだろう?」

          (byえいwithフォーン)

※寅さんを思い出した度
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鬘 かつら

2006-07-18 23:11:51 | 新作映画
----また、ヅラのお話ニャの? 
「うん。ただ今度は韓国映画だけどね」
----まさかコメディじゃないよね?
「さすがにそれはなかったね。
タイトルに難しい漢字が使ってあったものだから、
時代色を感じ、古い時代が背景かと思ったんだけど、
そういうわけでもなく、
いわゆるコリアン・ホラ-だった」

----長い黒髪ってそれだけでも怖いよね。
お話も、ニャんだか想像はつく感じ。
「難病の治療で髪を失った妹(チェ・ミンソ)のために、
かつらをプレゼントする姉(ユソン)。
しかしその髪には、
ある呪いの記憶が刻まれていた。
映画は、この黒髪の恐怖をたっぷりと見せて、
クライマックスで
その因縁話を怒濤のように語る」

----怒濤のように?
「うん。あれよあれよと言う間に、
いろんなことが明らかになるんだ。
この映画の特徴の一つに、
姉が声を失っていることがある。
つまり彼女は恐怖の声を上げることさえもできないわけだ。
物語は、この姉の過去にも触れてくる。
韓国のホラーには、
ラスト近くで全てがあきらかになると言う、
このパターンがけっこう多い」

----恐怖度はどうだったの?
「ジャパニーズ・ホラーを見慣れているせいか、
それほどでもなかったけど、
血糊が多いのには参ったな。
同じ列の女性は口を押さえていた。
しかし、もっとドキッとしたのは
真ん中当たりに座っていた男性。
急に後ろを振り向いたかと思うと、
通路の方に出て、椅子の下を覗いてそれから後ろへ。
この人、途中退席するのかなと思ったら、
なんと後方の通路側の席へ座りなおし。
最初に座った席からは他の人が視野に入らず、
怖かったのかもね」


          (byえいwithフォーン)

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『カポーティ』

2006-07-17 23:51:15 | 新作映画
----これってフィリップ・シーモア・ホフマンが
賞を総ナメにした映画だよね。
カポーティ本人そっくりって話題になっているけど?
「そうらしいね。
でも本当に似ているかどうかなんて
ぼくたちには分からないよね。
そのことはともかくとして、
オスカーが全部ソックリさん大会になってしまったら、
それはそれで、ちょっと問題だと思う」

----おや、少し辛口だニャ?
「ただね、
この映画は良きにつれ悪しきにつれ
彼の演技に負っているところがとても多い。
と言うのが、この中での彼の声色が
他の映画ではとても聞くことのできない
神経質なまでのかん高いトーン。
人によっては耳障りなこの声が、
映画のトーンをも決定してしまう。
結局、この声にノレるかノレないかで、
この映画はオモシロくもなるし退屈にもなる」

----ニャるほど。
お話は伝記ニャんでしょ。
どこに比重が置かれているの?
「カンザス州の田舎町で起こった
一家四人の惨殺事件に興味を抱いたカポーティ。
彼はノンフィクションの新たな地平を切り開くと言う野望の下、
捜査に当たった保安官や事件の発見者を訪ね歩き、
現場や遺体を見て回り、ついには犯人との接触に成功する。
そこからついに彼は
傑作『冷血』(※映画にもなりました。これは必見です!)を生み出す。
ノンフィクション・ノベルと銘打たれたこの本は
一大センセーションを巻き起こすものの、
以後、カポーティは本格的な作品を書けなくなってしまう。
果たしてそこで何が起こったのか?」

----おっ。ミステリーが少し混じっているわけだ。
「うん。
少しネタバレ気味になるけど、
カポーティは犯人の一人ベリー・スミスの信頼を得るものの、
肝心の犯行の詳細に付いては聞き出すことができない。
しかもカポーティとしては
小説を完結させるには犯人たちが死刑になってくれないと困る。
つまり、彼はベリーの死刑の執行を待ち望むようになるんだ」

----それはひどいニャあ?
「ある意味、悪魔だよね。
この映画は創作というものが
そのような悪魔的側面を持っていることをいやと言うほど見せつける。
もちろんカポーティは血の通った人間だから、
彼に信頼を寄せている男の死を待ち望む自分を
そのまますべて受け入れるわけではない
そのためカポーティは次第に精神的バランスを崩し始める。
フィリップ・シーモア・ホフマンの演技賞受賞と言うのは、
そのソックリさんぶりよりも、
むしろこの内面苦悩演技に対して与えられていると言えるんじゃないかな」

---おや、賞賛に変わってきたニャ?
「うん。彼の演技の素晴らしさは十分に認めたい。
ただ、その人間関係がとても分かりにくい。
彼が電話で相談したり報告したりしている男、
その中の一人がゲイだったカポーティのパートナーなんて、
そんなのアメリカ人にとっては自明の理かも知れないけど、
ぼくには分からなかった。
また、チラシなんかには、
カポーティが犯人に対して
自分と同じ孤独で傷つきやすい心を持っていることを感じとり、
心を通わせる……とも書いてあるけど、
これもぼくには読み取れなかったな。
もっともこれはぼくの読解力不足かも知れないけど……」


            (byえいwithフォーン)

冷血 TSDD-10258冷血 TSDD-10258
※クールな映画でした。

※そりゃあ、とんでもない声だ度
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『ヅラ刑事』

2006-07-16 21:39:34 | 新作映画
----これが昨日話していた、叶井俊太郎企画ってヤツ?
「そう。彼はこれまでにも河崎実監督と組んだ
『いかレスラー』や『コアラ課長』を始めおバカな映画をいくつも生み出している。
ただ、これまではいかにもローバジェットという感じで、
タイトルロールとなるクリーチャーもほとんどが着ぐるみ。
学生映画のノリしか感じなかった」

----おっ、その言い方だと今回は違うわけだ?
「うん。ここまでやればもう『お見事!』と、
そのおバカ映画への偏愛に拍手したくなる。
まず、キャストからしてこれまでとは違う。
メジャーな俳優が続々出演。
<ヅラ刑事>を演じるのはモト冬樹。
なんと言ってもこれは大きい。
彼がヅラを冠ると『太陽にほえろ』の
ある人に見えないこともない(笑)」

----それは言いすぎだ(笑)。
でも、なんで<ヅラ刑事>なの。
「主人公のヅラ刑事こと源田初男は頭の毛が薄い。
それをヅラで隠していたんだけど、
プロポーズの時にヅラがバレてフラれたという
悲しい過去を持っている。
ところが彼はそのヅラを利用して、
敵をやっつける<モト・ヅラッガー>を編み出す。
これはヅラを敵にめがけて投げて相手をやっつけ、
しかも投げられたヅラは<元=モト>に戻ってくるという必殺技だ。
しかし、そのあまりの威力に周囲は引いて、
彼は警視庁の厄介者になってしまう。
ところが彼はめげることなく、
自分に劣らず個性的な連中がひしめく花曲署で仲間たちと共に難事件挑む!
………こういうお話だ」

----ぷっ。ニャんなの。
そのモト・ヅラッガーというのは?
「どうも元ネタは『ウルトラセブン』のアイスラッガーらしいんだけどね。
まあ、他の面々の必殺技は映画で確かめてもらうとして、
感心したのは、この映画がいわゆる刑事ものの王道に則っているところ。
最初に一つの事件があり、
ヅラ刑事がそれを解決する形で主人公のキャラを紹介。
やがて、次の事件が起こり、
同時進行で映画の軸をなす大きな犯罪が起こる。
その中で、彼の過去も見せつつ
事件を捜査、解決していく」

----ニャるほど。『ダーティハリー』だ。
「で、この事件がまた主人公の過去にも関わってくる。
まあ、お話自体は核を盗むテロリストと
ショッカーたちが握手をしたような戯画的なものだけどね」

----そんな大きなお話が80分で収まるの?
「実質的には75分くらいかな。
5分くらいは主題歌『悲しみはヅラで飛ばせ』の
カラオケ映像みたいなものだからね。
でも、あくまでおふざけ映画だから、
これで十分じゃないかな」


               (byえいwithフォーン)


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『ドリームシップ エピソード1/2』

2006-07-15 23:13:22 | 新作映画
----またまた変なタイトルだね。
『1/2』なんて付いていると
『裸の銃を持つ男』を思い出すよね。
結局これはパロディ映画ってことかニャあ?
「そういうこと。しかもマニアックな映画のパロディではなく、
『スター・ウォーズ』『スター・トレック』など、
だれもが知っている映画ばかり。
こんな映画を作っちゃったのは
ナンセンス・パロディ・ウエスタン『マニトの靴』を手がけた
ミヒャエル・ブリー・ヘルビヒ。
彼自らからバルカン星人、スパック役(笑)で出演している」

----どんなお話なの?
「西暦2304年。地球は火星植民地の反乱軍の猛攻を受け、
人類滅亡の危機に瀕していた。
美しきメタファ女王を擁する元老院は、
宇宙船ドリームシップ号の乗組員たちに最後の望みをかける。
それは、タイムマシンで300年前のアメリカのネバダ州<エリア51>に向かい、
そこに不時着するUFOを破壊するというもの。
このときの遭遇さえなければ、人類が火星に行く知識を得ることもなく、
反乱も起こらないはずという理屈だ」

----ふうん。オモシロそうじゃニャい?
「確かに。映画のバカバカしさを容認できる人にはたまらない。
さてこの映画、
ストーリーばかりではなく、
その映像もふざけている。
元老院は『スター・ウォーズ』そっくり。
反乱軍の指揮者ジェンズ・モールは
ダース・ベーダーをひ弱くしたような感じで、
気管支でも痛めたの?と突っ込みたくなる。
まるで赤塚不二夫漫画のイヤミのような音を発するんだ。
さらに言えばタイムマシンはソファー(笑)。
でも、こんなマシンがまともに作動するはずもなく、
最初に彼らが到着するのは1304年の騎士の時代。
と言ってもここのノリは『ロック・ユー』。
やっとネバダに着いたと思ったら、
そこはまだ西部の開拓時代。
あっ、言い忘れたけど、
このミッションを遂行する乗組員たちが
宇宙最強のオカマ・トリオ。
彼らはミス・ワイキキ・コンテスト出場のため
歌と踊りの練習をしている(笑)」

----ニャんだか、バカバカしくなってきたなあ。
「だろう?
ところがこの映画、なんと
製作国のドイツで
9週間連続興行成績No.1&観客動員オープニング新記録を樹立。
乗組員と一緒に旅するタクシードライバーとして
ドイツの人気俳優、
ティル・シュワイガーまで出演しているんだから、
あきれちゃうよね」

----日本でそのバカバカしさに対抗できるとしたら
だれだろう?叶井俊太郎くらいかニャ?
「じゃあ。明日はその線でいこうかな」

               (byえいwithフォーン)


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『花田少年史 幽霊と秘密のトンネル』

2006-07-14 22:58:00 | 新作映画
※映画の核に触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。


[その前に]
この映画で主人公花田一路の姉・徳子が読んでいた本は何でしょう?
※ヒント「冬のソナタ」。


----これも原作はコミックなんだって?
チラシを見るとノスタルジー色が強いけど、
また昭和を振り返ったものなの? 
「実を言うと、この原作についてはぼくもまったく知らなくて
フォーンと同じ勘違いをしていた。
主演も『ALWAYS 三丁目の夕日』の須賀健太だしね。
でも、これはれっきとした現代もの。
ある日、トラックと衝突する大事故に遭った少年・花田一路。
九死に一生を得た彼は、幽霊が見える不思議な能力を身につけていた。
その日から一路の周囲には、いろんな幽霊が出現して願い事や相談を持ちかける。
やがて、自分が本当の父親だと名乗る見知らぬ男まで出現して…」

----そうか、オバケたちが出てくるんだ。
これは夏向きだね。
「うん。オバケと言ってもそう怖くはない。
これはネタバレになるからあまり詳しくは言えないけど、
最初に現れるトンネル内の幽霊にしても
その目的が花田一家を守ると言うもの。
映画は、この成仏できないオバケたちと一路による、
笑いあり、涙ありの人間ドラマになっている。
プレスを見た限りでは、
原作の有名なエピソードてんこ盛りと言う感じ。
ただ、欲張ったその分、ランニングタイムが少し長すぎる気がした」

----じゃあ、ストーリーはいいから、見どころを教えてよ。
「この映画、いくつもの父と子の関係が出てくる。
一路と父、一路の親友・荘太と彼の亡き父、
さらには幽霊の親子、
親であることを放棄した男から子供を預かる男もいれば、
亡くなった友人に代ってその子を見守る男もいる。
そんな中で『あっ!』と思ったのが
怨みを持って人を殺そうとする男を父に持ち、
彼の魔の手から花田一家を守ろうとする娘のエピソード。
この親子、実はふたりとも幽霊なんだけどね」

----そうか、正義を貫くには
娘は彼と対決しなくてはならないものね。
「娘は言う。
『どうして、こんな男が自分の父親なんだろう。
でも、悲しいけど父親は父親だ』(※ここ正確ではありません)。
さあ、この後、彼女の取った行動は?
実は、途中まで人情コメディでありながら、
映画は後半霊界バトルに。
しかもVFXもそう目新しくないので、
『なんだかなあ』と思っていたんだけど、
突然現れたこのテーマにはドキッとしたね」

----出演者も魅力的だよね。
「西村雅彦&篠原涼子の夫婦が最高。
篠原涼子なんて90年代はストリートミュージシャンと言う設定。
そんな彼女に憧れる青年が西村雅彦。
そのファッションを観ているだけでも楽しい。
ただ、西村雅彦の方は
どちらかと言うとフラワージェネレーションじゃないかと言う気も。
吉川の婆ちゃん役のもたいまさこは出るだけで場をさらうし、
その愛犬ジロと、
こちらの名前は分からないけど、
猫の演技もなかなかの見モノだったよ」



          (byえいwithフォーン)

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『イカとクジラ』

2006-07-13 21:48:33 | 新作映画
----この映画も、昨年の賞レースに絡んできた作品だったよね。
変なタイトルだから覚えている。
でも、どういう意味ニャの? 
「それを説明し始めると、
ストーリーを全部言わなくてはならないからなあ。
まずは、この映画のシノプシスから喋ろうかな。
かつては人気作家だったバーナード(ジェフ・ダニエルズ)と
その妻で新進気鋭の作家ジョアン(ローラ・リニー)は、
互いの気持ちが噛み合なくなり、ついに離婚を決意。
彼らのふたりの息子たち、
16歳のウォルト(ジェス・アイゼンバーグ)と
12歳のフランク(オーウェン・クライン)は、
今日はパパの家、明日はママの家と翻弄される」

----ニャんだ、たいした話じゃないじゃない。
でも、どの賞でも、その脚本が注目されていたよね?
「うん。物語の背景が1986年のブルックリン。
自分の小説が売れなくなっても矜持を失わない男の
悲哀さと滑稽さがまずは見モノ。
彼は『小説を読まず映画も観ない』人たちを軽蔑しているけど、
実は自分がもっともスノッブ。
そんな彼を<ホンモノ>だと思い、
母を非難する立場を取るのが長男ウォルト。
一方の母親は寂しさもあり、次々と浮気に走る。
この母親に付くフランクは、
性的に早熟な上、アルコールにまで手を出してしまう」

----ふうん。少しオモシロそうに思えてきた。
「彼らスノッブ・ファミリーを演じる俳優たちの
アンサンブルはこの映画最大の見どころ。
でも、ぼくはこの映画の特徴の一つとして
その映像も挙げたいんだ。
脚本・監督のノア・バームバックは
80年代の雰囲気を出そうと、
デジタルビデオではなくSuper16で撮影。
当時なかった機材では撮影したくなかったと言うんだね。
しかも、ランニングタイムが81分と言うのを見ても分かるように
めちゃくちゃテンポが速い。
タメや余韻を作ることなく
カット尻も早くポンポン進んでゆく。
音楽や効果音も次のシーンのものを前のシーンから被せていて、
ちょっと『卒業』のときのマイク・ニコルズを思い出してしまった。
そうそう、音楽はピンクフロイドの“Hey You”を使っていた」

----猫が印象的だったって言ってなかった?
「うん。家に飼われていた猫も
ふたりの間を行ったり来たりするんだけど、
クライマックスで実に重要な役割を果たす。
感情的に昂っている父親が猫を抱いたまま連れて行こうとする。
ここで『えっ?ヤバい』と思った人は
猫のことをよく分かっている人。
多くの猫はそんなことしたら、
手からするり抜け出して外に飛び出し危ない。
たまに、みゃん茶(家に前いた猫)のような例外、
しがみついて怖がる猫もいるけど、
普通はケージか、最低でも洗濯袋に入れなくては…」

----ふむ。それはそうだ。
「ただ、このエピソードにはオチがあって、
撮影の時に最初使った猫は、
何度落としても、そこに座ってニャ~っと鳴くだけだったらしい。
最終的には走る猫を用意したらしいけどね」

----ぼくを使えばよかったのにね。
「mmmmm……」

          (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「複雑だニャ」複雑だニャ

アイス・ストーム ASBY-5050アイス・ストーム ASBY-5050
※舞台が70年代だと、親はこういうことまでヤッちゃいます。

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※画像はアメリカ・オフィシャルサイトのプレスキットより。
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