(英題:The Chaser)
「いやあ。
久しぶりに重量級の映画に出会ったね。
配給の人から『自信作なので観て!』という趣旨の
メールをいただいていたこともあって、
ある程度の期待はしていたけど、
まさか、ここまでとは思わなかった」
----それはまた大絶賛だニャあ。
監督の
ナ・ホンジンって
いままで聞いたことがない名前だけど、
どこがそんなによかったの。
「じゃあ、まずはその設定から話をしよう。
『チェイサー』というだけあって、映画は
追う者VS.追われる者という対立の構図で進んでゆく。
主人公はふたり。
デリヘルを経営する元刑事ジュンホ(キム・ユンソク)。
そして連続猟奇殺人鬼ヨンミン(ハ・ジョンウ)」
----あれっ。
そのヨンミンとやらが犯人と
そんなにあっさり特定しちゃっていいの?
ミステリー的な楽しみを奪うことにならニャい?
「いや。そこがこの映画の特徴の一つ。
情報をすべて提示した上で、
その世界の中に観客を
否応無しに引きずり込んでいくんだ」
----へぇ~っ。観客参加型というわけか?
「そう、まるで映画と観客の間でゲームをしているかのよう。
観客が受け身になりっぱなしの
ありきたりな映画とは、これは全然違う。
さて、話を元に戻すと…。
このジュンホの元から、女たちが相次いで失踪。
ジュンホは、女たちが残した携帯の番号から
このヨンミンにたどり着く。
しかも、病気だというのに無理に仕事に行かせた
ミジン(ソ・ヨンヒ)をユンミンが指名したことから、
ジュンホは彼を捕まえようと、
彼女に行き先から携帯で連絡するように言う」
----ニャンだ。
じゃあ、話は早いじゃニャい。
「ところが
このヨンミンがミジンを呼び寄せた屋敷が
携帯の電波が届かないところ。
さあ、ここからサスペンスが一気に加速していく。
その屋敷で以前にも殺人が繰り返し行なわれていることを知るミジン。
観ているこちらも、ミジンの心理と一体化してハラハラ。
ところが、
ジュンホとヨンミンは意外と早い段階で鉢合わせに」
----でも、そこではジュンホはヨンミンが犯人とは
まだ知らないわけだよね。
「そう。分かっているのは観客だけ。
いつ彼がそれに気づくのか?
これまた観ていてハラハラドキドキ。
この映画の最大のオモシロさは
このように、観客の気持ちを見透かしたように
それを操りながら進んでゆく脚本の妙と、
役が乗り移ったかのような熱演を見せるふたりの俳優、
そしてそれを感情もろともフィルムに写し取る秀逸なカメラにある」
----ニャんだ。結局は、全部ということじゃニャい。(笑)
「そういうこと。
しかもこの映画でヨンミンは、
これまでだれも想像さえしたことがない
“不敵な宣言”を
しかも警察署でやってのけるんだ。
『女たちは俺が殺した。
そして、最後の女はまだ生きている』。
ジュンホは、ヨンミンが女たちを売り飛ばしたとしか思っていなかっただけに、
この予想外の発言に唖然」
----スゴいニャあ。
でもそれって警察署でのことしょ。
即逮捕のはずでは?
「ところが、
証拠不十分で彼は再び野に放たれてしまうんだ。
そこには韓国の法制度や政治状況なども絡んでくる。
ナ・ホンジンは、
そのような社会の仕組みについての批判をも織り込みながら、
息もつかせぬ緊迫感で
ことのなりゆきを追っていく。
それも観客の予想を常に裏切り続けながらね。
ミジンの身を心配するあまり、
ただ走って走って走り続けるジュンホ。
それを捕えようと一緒になって走るカメラ。
観る者の鼓動と一体化するこの興奮は『フレンチ・コネクション2』か、
はたまた『最も危険な遊戯』か。
そして訪れる驚愕のラスト。
いやあ、ここは『セブン』なんて目じゃないね」
----そりゃまた大胆な。言いすぎじゃニャいの?
「でも、この映画のリメイク権を
レオナルド・ディカプリオ&ワーナー・ブラザースが獲得と聞いたら、フォーンも納得するかも。
さすがに『殺人の追憶』とまではいかなくても
少なくとも『オールド・ボーイ』よりは
遥かにオモシロかったね」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「ここまで褒めるとはフォーンもビックリだニャあ」
※『チェイサー』と言ってもアラン・ドロンのそれとは違う度



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