ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

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『我愛イ尓<ウォ・アイ・ニー>』

2005-11-30 23:26:29 | 新作映画
※ネタバレにつながる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。


「う~ん。こういう言い回しってどうなんだろう?
この映画の宣材には『超リアルなドキュメンタリー・ドラマ』と書いてある。
最初、ドキュメンタリーかと勘違いしてしまったよ。
でもよくよく読めばシュー・ジンレイを始め、
中国の有名女優が多数出演している」

----つまりドキュメンタリーと思えるほど
リアルなドラマってことだったんだニャ。
で、どんな話なの? 
タイトルからすると愛についての映画のようだけど。
「一言で言えば<夫婦喧嘩>。
日本だと『とらばいゆ』というのもあったけど、
この映画の喧嘩は、ちょっと救いようがない。
ちょっとした心のずれがどんどん広がって、
口を開けば、罵詈雑言のぶつけあい。
和解しようと会話を始めても
結局はお決まりのコースを辿ってしまう。
しかし、これを延々見せられるのもなあ」

----でも結婚するくらいだから、
元々は仲が良かったんでしょう?
「うん。最愛の人を結婚目前に不慮の事故で失ったシャオジュー。
彼の親友だったワン・イー。
二人は慰めあううちに、愛し合うようになり、
先を急ぐかのように結婚する。
で、問題はこの後で、
プレスには次のように書いてある。
『やっと居場所を見つけた彼女は、
夫と愛のある生活を送っていきたいと切に願う。
しかし夫はその思いを裏切るかのように冷めた態度で、
やがて「愛してる」とさえも言わなくなる。
なぜ彼は、結婚前と変わってしまったのだろうか?
愛されたいと思うことは行けないことなのだろうか?』とね。
明らかにこれは女性が書いていると思うね。
だって映画を観ていたら、そんなに男だけが悪いようには見えないもの」

----おやおや、それって問題じゃニャい。
えいも女性の心を分かっていないと言われても仕方ないかもよ(笑)。
「(笑)。ま、それはさておき、
この映画の見どころはやはり二人の凄まじいバトル。
よくぞここまで細かく書いたなと思うほどの脚本…。
これって感情表現で演じるのは難しそうと思ったら、
なんとこの口論シーンは全て
脚本からセリフを一切外し、
監督の方からは状況設定だけを俳優に与え、
アドリブで演じられたらしい」

----ニャるほど。だからドキュメンタリー・ドラマなんだ。
「しかも映画はそのほとんどが二人の顔のアップ。
いやあ息詰る迫力だったね。
東京写真美術館での公開と言うから
また映像頼みの抑えた演出かと思っていたら、
これがまったく違うんだもの。
さて、映画はふたりの離婚まで進み、
そこからなんとサイコサスペンスに舵を切り、
シャオジューのトラウマへと繋げてゆく。
この展開をどう受け取るか…。
それによってこの映画への好悪が分かれるかもね」

----確かにそれだと
喧嘩の原因を、男のみにありとする根拠が薄らいでくるよね。
「でしょう?
『オフィシャルのコピーは
『結婚は愛に寄り添えなくなる儀式?』
これは映画をよく表していたと思うけどね」

    (byえいwithフォーン)

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コメント

『白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々』

2005-11-29 23:55:48 | 新作映画
----これも実話なんだって?
「そうだね。ヒトラー政権末期の1943年。
『打倒ヒトラー!』の文字を町中に書き、
郵便やビラで国民に自由を呼びかけた
“白バラ”と呼ばれた若者たちのグループ。
その紅一点、ミュンヘン大学の女学生
ゾフィー・ショルの最期の日々を描いたドイツ映画なんだ」

----ヒトラー関連のドイツ映画って今年、他にもあったよね。
『ヒトラー~最期の12日間~』だね。
あの映画のラストで、
ヒトラーの元タイピストの女性が
自分と同じ年のゾフィーの存在を知って
初めて罪に目覚めたと語っているけど、
そのゾフィーこそがこの映画の主人公と言うわけだ」

----ふん。つまりレジスタンスの話ってことだよね。
「うん。映画はゾフィーと兄のハンスが
ミュンヘン大学構内でビラ撒きをして見つかり、
逮捕、ゲシュタポの尋問、
人民法廷での裁判、そして処刑されるまでを描く」

----確か、こういう実話ものって
描かれているものが事実と合っているかどうかに関心が集中して、
映画そのものの魅力への言及がされにくいって言っていた記憶が…。
「うん。そのことについて監督はこう答えている。
『幸運にも我々が得た事実は
我々を夢中にさせるものでした』と。
この<白バラ>の話は過去にも何度か映画化されているけど、
本作は90年代になって東ドイツで発見された
ゲシュタポの尋問記録が軸となっている。
そのため映画は、かつてのように
ゲシュタポをステロタイプには描いていない。
ゾフィー・ショルを尋問したゲシュタポのロベルト・ムーア。
アレクサンダー・ヘルトの好演もあり、
その屈折した心理描写がじっくり描き込まれている。
ゾフィーはどんなに詰問されても、
冷静に理路整然と自分の潔白を訴えていく。
そのため、ムーアは最初彼女が無実と信じ込むんだ」

----うわあ、それってスゴくない。
相手はゲシュタポなのに、よく一介の女子大生がそんなことできたね。
えいには無理でしょう?
「うん。自分に置き換えてみて、少し情けなくなったね。
果たして、このようなとき自分だったらどう反応するかってね…。
それはともかくとして映画の話に戻ろう。
釈放寸前でゾフィーはビラ撒きに関わっていた証拠が見つかる。
それでも無関係を主張していたゾフィーだが、
兄の自白と言う絶対的証拠を突きつけられてからは
一転して反撃に出る。
自分たちは信念を持って行動し、それを誇りに思っている。
しかもそれは自分と兄だけでやったのだと、すべてを引き受ける。
仲間にナチの手が及ばないようにと言うわけだね。
そんな彼女に、ムーアは他の仲間を密告すれば命を助けると持ちかける。
ところがゾフィーはこれを拒否」

----mmmmm……。
映画は、この尋問描写が一時間以上も続く。
法廷映画と言うのはよくあるけど、これは珍しい。
でもそれだけ見つかった資料が驚愕的だったと言うこと。
それがあればこそ、ゾフィーの思想はもとより、
彼女の人間像が深く描き込まれたと言うわけだ」

----法廷の方はどうニャの?
「これが悪名高い狂気の裁判長フライスラーによって執り行われる。
彼の判決は先入観が元となっていて、
被告には恫喝で接し、
最初から有罪との決めつけがなされれている。
彼には元共産党員であるという弱みがあり、
自己保身のためにパフォーマンスをやっていたというように、
映画では描かれているけど、
いやあ、それにしてもこのシーンは戦慄が走ったね。
演じるアンドレ・ヘンニックにフライスラーが乗り移ったかのようだった。
ゾフィーを演じるユリア・イェンチの抑えた演技との対比が見モノだ」

----彼女らは即日処刑されたと聞いているけど・・・。
「うん。本来は99日の余裕があるはずなんだけど、
判決後すぐ執行される。
それを聞かされたとき、初めて彼女は絶望から慟哭する」

----ふうむ。これは観る価値がありそうだ。
「ムーア尋問官との心理的駆け引きだけでなく、
ビラを構内に置いて回る冒頭のエピソードからしてサスペンスフル。
見つかるとは分かっていながらもハラハラドキドキ。
一度観たら絶対に忘れられない衝撃のラストまで
目がスクリーンに釘付けとなること間違いないよ」

                   (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「フォーン、固まったニャ」いいねぇ

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『SAYURI』

2005-11-28 20:13:33 | 新作映画
----これもまたお正月映画の話題作だね。
最初スピルバーグが監督すると言う噂もあったようだけど。
「うん。結局は『シカゴ』のロブ・マーシャルが監督。
日本を舞台にした映画と言うことで、
主役のさゆりをだれが演じるのかなど、
その注目度はとても高かった。
ところがふたを開けてみると、さゆり役はチャン・ツィイーで決定。
しかもさゆりに敵愾心を抱く芸者・初桃にはコン・リー。
さゆりを導く芸者・豆葉にミシェル・ヨーと中華圏の女優ばかり。
そんなに日本女優はダメだったのかな…少し悔しい気がするね」

----でも男優は日本人がたくさん出ているよね。?
「うん。やはり渡辺謙が『ラストサムライ』で認められたのが
いい方に影響してるのかも。
ヨーロッパではすでに黒沢清映画などで人気が高い役所広司も出演。
でも、映画自体は女優のバトルと言う感じだったね」

----確か、貧しいがゆえに置屋に売られたひとりの少女が
花街一の芸者に育っていくという話だっけ。
「そう。それじゃあもう言うことはないかな(笑)。
姉とも離ればなれ。両親も亡くなって
ひとりぼっちになってしまったこの少女・千代が沈んでいるとき、
優しい言葉をかけたのが会長(渡辺謙)。
『こんな美しい日に、悲しい顔は似合わない』。
その言葉で千代に一瞬の笑みが戻る。
千代を演じる大後寿々花が見せるこの笑顔が実に素晴らしい。
それまで一度たりとも笑った顔を見せていなかった彼女だけに、
観客に強い印象を残す。
そうそう、映像の方もここまでは90%以上が雨のシーン。
しかもほとんどが夜で、まるで魔界のように描かれている。
これは千代から見た視線でもあったんだろうけどね。
さて、ここまでが約45分。
その後、やっとチャン・ツィイーの登場。
再び会長と会う日を夢見る千代に転機が訪れる。
先輩の豆葉が自分を芸者にしたいとオファー。
その真意は、千代を置屋のおかあさん(桃井かおり)の養女にすること。
しかし、おカボ(工藤夕貴)を養女にすることで
置屋を自分のものにしようとする初桃は、
行く先々で彼女の邪魔をして回る……」

----うわあ。醜い戦いだね。あれっ、こういう女の戦いって…。
「そう。『シカゴ』。
ここでなるほどロブ・マーシャル監督が
この作品を引き受けた奥が見えてきた気がしたね。
原作はともかくとして、少なくとも映画は、
さゆりの恋よりも女たちの戦いに力点が置かれていた気がする。
なかでもコン・リーと桃井かおりのバトルは圧巻だった。
コン・リーの演技は『彼女ならなるほどね』で頷けるけど、
桃井かおりは、あの独自の言い回しが英語で抑えられ、
これまで観たことのない、白熱の演技を見せてくれる。
ただ、年月が経つに連れ、若返って見えたのは不思議(笑)。
最初のうちは照明、メイクもあって、正直誰か分からなかった」

----あっはあ、英語なんだ。
「正直、これには最初参ったね。
これまでヨーロッパなどを舞台にした映画で
その国の人たちが感じていたと思われる違和感、
それを最初はイヤと言うほど味わって、
腰が落ち着かなかったけど、
そこはさすがハリウッド大作、
強引な力技でいつの間にか納得させてしまう。
そう、これは「実際の日本の美」でなく「彼らが思う日本の美」。
プレスのコピー、
『ようこそ、ニッポンが嫉妬するJAPANへ----』は言い得て妙だ。
監督も一種のファンタジーとして描いたようだ。
音楽も同じで、最初は和楽器が多く使われ、
またかの感があったけど、次第に慣れてくる。
その白眉がさゆりが多くの観客を前に踊りを披露するシーン。
ミュージカルでならしたロブ・マーシャルらしい、
独自の美学に裏打ちされたステージが観られる。
高下駄でそれを演じたチャン・ツィイーもさすが。
でも、当然ツッコミどころは多い。
今日ほど記者会見に出席すればよかったと悔やんだことは最近なかったな」

    (byえいwithフォーン)

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『THE 有頂天ホテル』

2005-11-27 12:19:02 | 新作映画
----これはまた不思議なタイトルの映画だね。
「うん。これは『有頂天時代』と『グランド・ホテル』、
2本のアメリカ映画を意識して作られた作品。
タイトルからして、いかにもハリウッド映画通の三谷幸喜らしい」

----ということは、この映画も30年代ハリウッド映画のテイスト?
「基本は<グランド・ホテル形式>。
これは、さっき話した映画『グランド・ホテル』が語源になっている。
グレタ・ガルボを始め当時のMGMの5大スターが競演したこの映画以降、
限られた時間と場所に様々な人々を登場させる映画は、
みなそう呼ばれるようになったんだ」

----ニャるほど。それは三谷監督向きだよね。
確か『ラヂオの時間』や『12人の優しい日本人』(監督・中原俊)も
限られた空間の話だったし。
「うん。ただこれはホテルの中だけあって、
フロント、ロビー、ラウンジ、客室、通路はもちろんのこと、
車寄せ、エントランス、中庭やボイラールームまで、
多彩な人間ドラマが繰り広げられる」

----わあ。それは撮影が大変だったね。
どこのホテルが貸してくれたんだろう?
「そこなんだよね。
ぼくも見ている間はすっかり忘れていたけれど、
これは日本が世界に誇る種田陽平によるオールセット。
『グランド・ホテル』の出演者にちなみ命名された
4つのグランド・スイートルーム、
たとえばバリモアスイートをリッツカールトン風に、
ガルボスイートをパークハイアット風にするなどのこだわりもさることながら、
この映画の特徴であるワンシーンワンカット撮影が可能な空間を
美術によって提供していると言うところがスゴい」

----ワンシーンワンカット撮影が多いんだ。
「うん。
さらにこの映画ではキャメラが縦横無尽に動くことで
映像的にもダイナミックなものとなっている。
もちろんその撮影を可能にするには
相当の実力を備えた役者が不可欠ではあるけどね」

----ワンシーンワンカットって
舞台でも見ているかのように
キャメラも据えっぱなしと言うイメージがあったけど…。
「いや、そういう意味では伊丹十三の映画に近いかも。
伊丹映画では、役者の立ち位置がミリ単位で決められていた。
ある決められた構図の中にいる役者。
その移動に合わせてキャメラが動き、
ショットのラストで再びピタッと構図が決まる。
これは<映画>だからできること。
まさに<舞台>と<映画>の融合だね」

----そう言えば伊丹十三の『ミンボーの女』で
ホテルの総支配人を脅すヤクザを演じた伊東四朗が出ているね。
あっ、常連の津川雅彦もだ。
「うん。今度の役は総支配人、ホテル側だけどね(笑)。
『ミンボーの女』は一部セットはあるものの、
オープン前のハウステンボスを借りての撮影。
あの時の方が、より制約は多かったかも知れない」

----伊丹十三と三谷幸喜のコラボ企画もあったよね。
ふたりの志向するものは似てたのかも。
ところでこの映画、肝心のお話を聞いてないけど?
「いや、それはここでは詳しくは語らないでおこう。
現代の日本映画を代表するスターがこれでもか、これでもかと登場。
彼らが、ホテル従業員、大晦日のショーに出演する芸人、
そしてその日に滞在する客に分かれて、
さまざまな人間ドラマを繰り広げる……。
これだけ知っていれば十分だと思う。
誰がどの役をやるかなんて知らない方が楽しめると思う。
そのエピソードの一つ一つは
三谷幸喜が実際に年越しで
ホテルの宿泊客として滞在したことが元となっているらしい。
最初は2時間16分というランニングタイムに腰が引けたけど、
観ているうちに時間は瞬く間にすぎていくばかりか、
笑いすぎて涙が出てくる。
TV『王様のレストラン』と『今夜、宇宙の片隅で』が
一つに混ざり合ってさらにバージョンアップした感じ。
そうそう、香取慎吾が劇中歌うのは甲本ヒロトの作詞・作曲。
またエンディングを飾るのは 『スイート・チャリティ』の
『If My Friends Could See Me Now』。
これはブロードウェイのミュージカルで歌ったグエン・バートンに
声が似ていると言うことでYOUがキャスティング。
エンドタイトルでは、
あまりにも贅沢な気分にしてくれたことへの感謝で拍手したくなるよ」

----へぇ~っ。それは早く観たいや。
大晦日を舞台にしていると言うことは、これは年内公開なの?
「いや、それが年が明けてから。
できることなら大晦日に観るのがピッタリなんだろうけど、
でもクリスマス・ムービーと同じで、
そう言う特別な日は
逆に映画なんか観なくて済む方が幸せなのかもね」

                   (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ここはぼくは泊まれないのかニャ」バレました?

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※おまけです。出演:役所広司、松たか子、佐藤浩市、香取慎吾、篠原涼子、戸田恵子、生瀬勝久、麻生久美子、YOU、オダギリジョー、角野卓造、寺島進、浅野和之、近藤芳正、川平慈英、堀内敬子、梶原善、石井正則、原田美枝子、唐沢寿明、津川雅彦、伊藤四朗、西田敏行 などなどです。お楽しみに。(チラシの序列順)
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『チキン・リトル』

2005-11-26 12:49:33 | 新作映画
----このキャラクター、あまり親しめないニャあ?
「うん。ニワトリって食材のイメージ強いし、
今年は鳥インフルエンザもあるからね。
でも観ているうちに、だんだんかわいくなってくる。
ドジと言うわけでもないんだけど、このチキン・リトル、
やることなすこと、すべて裏目に出ちゃうんだ。
チラシの言葉を借りれば
『ディズニー史上最も《ツイてない》キャラクター』」

----予告編では多くのUFOが空を埋め尽くしていたけどどんな映画なの?
「じゃあ、いつものように簡単なストーリーを。
物語は1年前にさかのぼる。
『空のカケラが落っこちてきた!』-----
警報用の鐘を力一杯鳴らして、
町中をパニックに陥れたチキン・リトル。
それ以来、彼は何をやってもヘマの繰り返し。
父親のバック・クラックは彼を心配するあまり
『お前には無理だよ』と言うのが口癖となってしまう。
でもチキン・リトルにとっては
町の人に嘲笑されるよりも父親に認められないことの方が辛い。
しかし彼についに名誉挽回のチャンスがやってくる。
長年のライバルチームを相手にした野球の試合で、
奇跡とも言える彼の活躍で大逆転勝利を収めたわけだ。
町のみんなも、もちろん父バックも大喜び。
その夜、空を見上げて、一日を感謝するチキン・リトル。
だが、そのとき最悪の事態が起こる。
またしても“空のカケラ”が落っこちてきたのだ!」

----ニャるほど。そこからSF的な話になるわけだね。
確か今回はディズニーがピクサーと離れて最初の作品だよね。
どうだったの?
「それ言われて思い出したよ。
冒頭は、映画をどのように始めようかと・・・
制作側がその逡巡の過程をセルフパロディ。
『ライオン・キング』風のオープニングを見せて、
『これじゃモノまねだ』と引っ込めてみせたりね(笑)。
で、本筋に入ると、
小さな町で家の前は芝生。そこを車が行き交う。
これって初の全編CG『トイ・ストーリー』そっくり。
でもそこから映画は自由な飛躍を見せる。
大きな給水タンクが狭い道路を塞ぐように転がり
その前を人々が逃げ惑う。
これってあの映画そっくりと思ったら、
映画館では『レイダース・失われた聖櫃《アーク》』が
実写でかかっているとかね」

----ふうん。映画のパロディが多いんだ。
「パロディと言うよりオマージュと言ってあげたい気がしたな。
特にスピルバーグへのね。
宇宙船が現れるところは『未知との遭遇』そっくり。
これは監督違いだけど、
トウモロコシ畑に身を隠し、
結果ミステリーサークルができるくだりは『サイン』。
チキン・リトルと仲間の設定も楽しく、
潜水ヘルメットをかぶった魚フィッシュや
体は大きいが実は恐がりの豚のラント、
それに決して美人とは言えないアヒルのアビーとかね。
彼ら仲間がカラオケ好きと言うのも楽しい。
スタンダード・ナンバーがいくつもはじけ、
映画をより楽しいものにしている」

----ユーモアもたっぷりのようだね?
「そう、しかもそれがディズニーらしく上品だ。
時間を気にして腕時計を見たらミッキーマウス(笑)。
一方では、ラントが過呼吸で袋いっぱいに息を吐いたり吸ったり、
といった現代的なシーンもある。
内容的には失われた家族の絆とその回復なんだけど、
それよりも、映画全編にあふれる遊び心、
そこに込められた笑いと冒険に時が経つのを忘れてしまう。
これから観る人のために、
その一つ一つを言うのは割愛するけど、
ここ一年のフルCGアニメではベストじゃないかな。
お正月に子供と観るには最高だと思うよ」

                     (byえいwithフォーン)

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『バッシュメント』

2005-11-24 23:15:48 | 新作映画
----あっ、土屋アンナだ。しかも監督が「フックン」なんだって?
「そう、シブがき隊のね」
----う~ん。他の顔ぶれを見てもテレビでおなじみの人ばかり。
あんまり期待できそうにないなあ。
「確かにビミョーだね。
見方によっては悪ふざけにすぎないとも言える。
でもまた別の見方をすれば、
映画への愛がつまっている作品とも言える」

----へぇ~っ。どんなところが?
「たとえば冒頭は、
傷の入った色あせた昔のフィルム。
大林宣彦ばりの字幕が挿入され、
サイレントによって主人公の子供時代を紹介。
そこではヒロイン、樹里と兄・隆が
仲睦まじくサーフィーンに興じている姿が描かれる。
溺れかかった彼女を救ったのがイルカ……。
そして時代は現代へ。
後に<史上最悪の夜>と呼ばれた
横浜での一夜が描かれると言うわけだ。
しかもめちゃくちゃポップにね」

----ふうん。どんな風に。
「映像の方ではコマの時間を引き伸ばしたり、
時間軸を行き来したり。
美術の方もゲバラの写真を貼っているタクシーと言ったベタなものから、
テンガロン・ハットにアロハ姿の殺し屋、
果ては1955年製初代、赤のコルベットまで、
観る者の目を十分に楽しませてくれる。
でも内容は、本来ハードボイルドなもの。
そこに土屋アンナが、あのハイテンションでからむモノだから、
一風変わった仕上がりとなっている」

----ところでどんなお話なの?
「詳しく話し始めると、きりがないので簡単に。
子供の頃、隆は両親を殺して行方をくらましてしまった」

-----え~っ。仲良かったんじゃ?
「そうなんだよね。
で、樹里は兄への復讐を堅く誓っている。
そんな中、樹里はギャンブルのいかさまを見抜いてキレたことから、
店を壊した修理代1000万円を24時間以内に作ることを要求される。
ところがその金を作るために
組織のダイヤ取引現場からダイヤを強奪。
その組織のボスに仕えているのが名前を海人と変えた隆だった・・・というわけ」

----ほとんど、バカだ。その樹里ってのは…。
「まあ、漫画みたいなもんだね。
でも、この映画、フックンがいかにも楽しそうに作っている。
自分も楽しみ、観る人も楽しませようと言うのが
隅々からにじみ出ていて憎めないんだ。
なんと言ったらいいかな。映画と戯れてるって感じ。
ただ、録音がどうもね。
言葉が聞き取りづらくて、
必要以上に込み入った人間関係を理解するのが難。
本来、気楽な映画だけに、
そのあたりの技術はきちっとしてほしかった気がするな」

----そうそうタイトルの意味教えてよ。
「レゲエ用語でパーテイーを派手に開くこと。
確かに、映画そのものが派手なパーティーと言えるかも」

                  (byえいwithフォーン)

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『エンパイア・オブ・ザ・ウルフ』

2005-11-23 00:50:10 | 新作映画
----これジャン・レノとは思えないね。
髪はシルバーだし、顔もいつもより厳つい。
「うん。実はこれに加えて十字架のタトゥまでしているんだ。
最初、ジャン・レノ主演のアクションと聞いて
あまり期待はしていなかったんだけど、
これは意外・・・と言っては失礼か。
なかなかの拾い物だったね」

----ジャン・レノって『レオン』と言う名作があるよね。
どうして期待しなかったの?
「だってあの作品以降、
彼の主演映画はどれもぱっとしない。
あの重たそうな瞼そのままに、
シャープさに欠けた寝ぼけた作品が多かった。
それでも監督が『キス・オブ・ザ・ドラゴン』のクリス・ナオンと聞いて
少し興味が出てはいたんだ。
リュック・ベッソンが製作に回ったヨーロッパ・コープ作品の中で、
あの映画は群を抜いてオモシロかったからね」

----でもあの映画も構図は『レオン』そっくり。
だからオモシロく感じたんじゃないの?
ま、いいや。で、結果はどうだったの?
あ、そうか拾い物だったね。
「この映画、実はミステリー仕立てになっている。
一つはマインド・コントロール、
そしてもう一つは政治色を持ったトルコの新興宗教集団。
この二つの話が別々に進み、
やがてそれが一つになると言う構成。
まあ、それだけならよくあることかもだけど、
それぞれの話が凝っていて、
それだけでも一本の映画として成り立つくらいよくできている。
原作は『狼の帝国』。
『クリムゾン・リバー』のジャン=クリストフ・グランジェの
ベストセラーと聞けば、なるほどそれも納得だ」

----どんな話なの。さわりだけでも教えてよ。
「アンナという名の女性。彼女はなぜか夫の顔を覚えていない。
しかも夫に子供が欲しいと言うと、
夫は『お前が望まないから作らなかった』と、
自分が言うはずもないことを言う。
このあたりでは、また『頭の中の消しゴム』かとも思ったね。
時を同じくしてパリ10区のトルコ人街では連続殺人事件が発生。
3人の犠牲者は身元が判明できないほどに切り刻まれている」

----ふうむ、これは二つを結びつけるのが難しそうだ。
「でしょう?
しかもここまでは言ってもいいと思うけど、
その女性アンナは最初、夫が整形したのではないかという疑いを抱き、
それがきっかけでとんでもない<事実>を知ってしまう。
そして彼女がその<事実>に気づいたとたん、
警察の治安部隊が動き出す」

-----ひえ~っ。どうなるんだろう?
「ところが彼らに対し、アンナは互角以上の戦いをやってのける。
逃げ方も堂に入ってるんだ。
もちろんその理由も後に明らかになるけどね」

----ふ~む。それはそうとジャン・レノはどこに出てくるのよ?
「彼が登場するのはもう一つの連続殺人事件の方。
刑事局の若き刑事ポール・ネルトーは
トルコ人の裏社会に精通し組織からも一目置かれているジャン=ルイ・シフェールに接触。
このシフェール、ダーティな捜査のやり口から暴力と汚職の噂が絶えない」

----分かった。それがジャン・レノでしょう。
『クリムゾン・リバー』シリーズでも若手刑事と組むものね。
「正解(笑)。
ところが今回は、かなり強烈。
トルコ人の組織に乗り込んで
ボスに白状させるため指を切断したりまでする。
彼の動き自体がミステリアスで、
その真意がどこにあるか分からないところが
この映画最大のポイント。
彼は果たして善なのか悪なのか?------
そのキーワードとなるものが
いつ映画に出てこないとも限らないため、
観る方はかなり緊張を強いられる」

----ニャルほど、そう言うことか。
「映画を通してずっと雨が降っているんだけど、
映画から受ける印象は、『セブン』のように陰鬱ではなく逆にパンキッシュ。
というのもシフェールは花柄のシャツなんかを着ているんだ。
まじめに捜査しているようにはとても感じられない。
いかにも裏に何かありそうな感じだ。
この画作りの妙が観る方の頭を混乱に陥れる。
映像が物語を牽引していく映画、
やはりこれはぼくの好きなタイプの作品だな」

                 (byえいwithフォーン)

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『エリ・エリ レマ サバクタニ』

2005-11-21 22:55:31 | 新作映画
----青山真治監督の新作だね。だいぶためらっていたようだけど?
「うん。ここでスルーする作品にはいくつかの理由があるけど、
これはその一つ。
自分の手に負えないタイプの作品だわ。
青山監督は最近ゴダールの新作『アワーミュージック』について
さまざまな場所で対談、鼎談をしていることからも、
<音>を重要なファクターと見ていることの予測はついていたけど、
まさかここまでとは。
ゴダールの映画がそうであるように、
この映画も従来の映画の語り口の中で収まりきれない」

----ふうん。よく分からないニャあ?どういうジャンルの作品なの?
「一応はSFの設定を取っている。
西暦2015年。世界中に正体不明の致死ウィルスが蔓延。
それは<レミング病>と呼ばれ、
そのウィルスに冒されて発病した人々は自殺をしてしまう。
ところがあるミュージシャンの創りだす“音”が
レミング病の進行を抑えることが分かり、
その噂を耳にした老富豪(筒井康隆)が
ウィルスに冒された孫娘ハナ(宮崎あおい)の死を止めるために、
彼らの演奏を請う……というものだ」

----オモシロそうじゃない?
「ところがね。これってシナリオでわずか50ページほど。
短編で終わってもおかしくはないこの脚本を
青山監督はなんと2時間弱の映画に仕上げている。
セリフも極端に少なく、
そのほとんどのシーンが、パイプを回したりだとか、
トマトや貝殻などををつぶしたり叩いたりして得られた
さまざまな音を拾い集める<画>に費やされていく。
しかもそうやって出来上がった音楽は凄まじい轟音。
5.1チャンネルの音響システムで再現される」

----ニャるほど。でもそれってノイズって感じ。
「そう。
このノイズが創りだす空間に身を浸すことができるか否か…。
映画の中で語られるセリフには、
興味深いモノがないわけでもないんだけど、
ぼくとしては、まずはそこでつまづいてしまう」

----たとえば?
「“病気の自殺と、本当の自殺の違い”とか、
“音楽が病気を治すのではなく、
ウィルスが音を食って満腹になって眠る”とか、
テーマとしてもユニーク。
あと、とぎれとぎれの不協和音の使い方も、
60年代のゴダール映画を思わせる。
でも、やはりぼくにはお手上げ。
映画は、ミズイ(浅野忠信)とアスハラ(中原昌也)ふたりが
音を集めているところから始まり、
しばらくしてようやく
この世界にレミング病が蔓延し、
それを押さえるカギが
実はふたりにあるということが分かってくるという構成。
でも、宣材はあらかじめそれを明らかにしている。
そこで最初は『こんな種明かししていいの?』
みたいな話をしようと思ったんだけど、
どうやらこの映画はそんな宣伝云々を超越したところに
屹立しているみたいだ。
まあ、こういうのも一つの映画のあり方なんだろうけどね」

----ところでタイトルの意味って?
「『神よ、何ゆえに我を見捨てたもうや。』
主イエスが十字架に張り付けられながら唱えた最期の言葉なんだって」

------mmmmmmm
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『単騎、千里を走る。』

2005-11-19 15:41:24 | 新作映画
----これって高倉健が馬に乗って草原を駆けるの?
まさか麻雀の映画ってワケじゃないよね。
「四暗刻単騎待ち」……あれっ、目が赤い。
「いやあ、まいったねこの映画には。
涙があふれて涸れるときがまったくない。
久しぶりのチャン・イーモウ節。
いや、そんな言い方さえも失礼なくらい素晴らしい映画だ」

----チャン・イーモウで泣けるときたら
『あの子を探して』『初恋のきた道』のライン?
「いいところ突いてきたね。
以前どこかで高倉健が『初恋のきた道』を絶賛していた。
一方のチャン・イーモウも、
中国における外国映画開放政策の記念すべき第一作となった
『君よ憤怒の河を渉れ』以来、高倉健に憧れ、
彼と映画を撮るのが夢だったのだとか。
なるほど、この映画は『俳優・高倉健』を知りつくした
チャン・イーモウ監督ならではの作品となっている。
ふたりの想いはこういう形で結実したわけだ」

----どういうお話なの?
「主人公・高田(高倉健)は
民俗学者の息子・健一と別れて静かな漁村で暮らしている。
そんな彼の元に息子の妻・理恵から
重病で入院している健一が会いたがっていると電話が入る。
和解の期待を胸に上京した高田だが、
長年にわたる確執から息子は会うことを拒む。
打ちひしがれて病院を出る高田に理恵は一本のテープを渡す。
そこには息子とリ・カミンとのある約束が写っていた。
それを観た高田は息子の代わりに、
仮面劇『単騎、千里を走る。』を撮影しに、
中国の奥地・雲南省麗紅市を訪れる。
しかし、言葉がわからない彼に次々と難題が降り掛かる……というものだ」

----ふうん。それって高倉健版『ロスト・イン・トランスレーション』だ。
「そうとも言えるかな。
ただあの映画のビル・マーレイとは違って
我らが健さんは“戸惑い”で終わりはしない。
なんとしても目的を完遂しようという強い意思がある。
その“思い”が周囲の心を揺さぶり動かしてゆく」

----じゃあ、言葉が通じないことも克服しちゃうんだ。
「そうなんだね。
これを観ていると、
言葉の壁なんて
真のコミュニケートにおいては問題じゃないと言う気になってくる。
しかし、そのことを可能にしているのはやはり“健さん”だからだ。
だれもが認めるように、彼は背中で語れる真のスター。
その立ち居振る舞い、あるいは顔の皺一つひとつが言葉以上にモノを言う。
そしてくどいようだけど、
それはそのことを知りつくしたチャン・イーモウだからこそできた映画。
この脚本は、チャン・イーモウ&高倉健以外ではありえないってことだ」

----ニャるほどね。そう考えると映画はグローバルなんだね。
「この映画で高田は言う。
『自分もこの人たちのように人前で涙を流すことができていれば…』と。
これはまた俳優・高倉健が東映任侠映画以来、
スクリーンで長い間築き上げてきたイメージでもある。
どんなに辛くとも男はじっとガマン。黙して語らず……ってヤツだね。
しかし、ここでは最後にそれを大きく崩していく。
健さん自身、
『高田と言う男は、これまで私が演じてきた人物とは大きく違っていました』
と説明している。
つまりチャン・イーモウはいままでの健さん伝説を踏まえた上で、
新しい高倉健を作ってみせたわけだ。
そうそう、話は横道に逸れるけど、
理恵役が寺島しのぶというのも感慨深い」

----えっ、なぜ?
「だって富司純子、つまりは藤純子の共演だよ。
さて話を先に進めるけど、
実は彼が撮影しようとした『単騎、千里を走る。』の演者リ・カミンは、
彼の子供のことを私生児呼ばわりした男を刺して刑務所に入っている。
これじゃあ、撮影は難しい。
そこで周囲は他の舞踏家で撮影してはどうかと言うけど、
そういうわけにはいかない。
なぜって息子は『リ・カミンの「単騎、千里を走る。」』を撮ると言う約束をしていたからだ。
やっとの思いでリ・カミンの元へたどり着く高田。
だが、リ・カミンは生き別れになっている息子ヤン・ヤンのことを想うと、
『単騎、千里を走る。』を舞うことができないと言う。
彼の真情に触れた高田はヤン・ヤンを迎えに行くと約束する…」

----ニャるほど。これまた『単騎、千里を走る。』だね。
「そう、これは中国の『三国志』に由来している。
劉備の義弟・関羽が、劉備の妻子とともに宿敵・曹操の手に落ちるが、
劉備への仁義と誠を貫き、最後はただ独りで劉備の妻子を伴い
曹操のもとを脱出し、劉備のもとへ帰還する……」

----ふうん。
「さてこの映画は、後半、さらなる奥地へ向かうところから
別のドラマが立ち上ってくる。
リ・カミンの息子ヤン・ヤンと高田の関係だ。
ネタバレになるからエピソードの一つひとつを言うわけにはいかないけど、
そのヤン・ヤンとの出会いを通して、
彼は自分と息子の関係を見直し、
遠い昔に失われてしまった家族の意味を取り戻していくこととなる。
この子役ヤン・ジェンボーがまた巧い。
さすが70000人の中から選ばれただけある。
考えてみたら『あの子を探して』で、
チャン・イーモウの子役への演出指導の素晴らしさは立証ずみ。
さらにここではその<父と子>の絆を
『初恋のきた道』を思わせる
情感をいっぱいにたたえたキャメラワークで浮き上がらせてゆく」

----ふうむ。これは必見だね。
「あとガイド役のチュー・リンや通訳の女性も
信じられないくらいナチュラルな演技。
『地方を舞台にする場合、その土地々々に住む人々を描くためには、
そこに実際に住んでいる人々の心情が映し出さなければならない』。
これはチャン・イーモウの基本的考え方。
そのためプロではないホンモノの尊重、警察官などが多数登場。
それが雲南省の風景と実にあっている。
まるでドキュメンタリーを観ているみたいだ。
それなのに、それら素人の演技を実に自然に受け止め
素人と演じていることをまったく感じさせない健さん。
いやあ、ほんとうにスゴいものを見させてもらった」

         (byえいwithフォーン)

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※な、なんと本日11月19日、9時から
NHKスペシャル「絆(きずな)~高倉健が出会った中国の人々~」が放送されます。

※日本撮影パートは降旗康男監督を始め日本人スタッフ。これは少し複雑でした。
※最近トラックバックのお返しが追いつかずご迷惑をおかけしています。
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『ピーナッツ』

2005-11-17 18:52:04 | 新作映画
※結末に触れる部分もあります。ご覧になってから読まれることをおススメします。

----なんだか観る前から分かってしまいそうな映画だね。
ウッチャン(内村光良)の初監督作品なんだって?
「そうだね。
多くの人が思っている、まさにそのままの映画だと思うよ。
かつては青春を謳歌していた大人たち。
いまはそれぞれの事情を抱えながら暮らしている彼らは、
ダメダメ野球チーム「ピーナッツ」の復活に賭ける!
ね、分かりやすいでしょ…」

----ウッチャンも出ているんでしょ。どういう設定の役なの?
「ピーナッツ“伝説の三塁手”秋吉。
10年前、ピーナッツの優勝について書いた記事が認められ、
上京してスポーツライターに。
しかし長いスランプに陥ってしまう。
そこで「新生ピーナッツ」のことを書くことで
再起を図ろうとしていた…というわけだ」

----それって、他のメンバーを利用しているってことじゃ?
「そう。彼は途中でそれを告白し、みんなに謝るんだけど、
さして大きな問題とはならない。
この“ユルさ”が本作の特徴と言えるだろうね。
ウッチャンが初めて2回続けて観たという
『がんばれ!ベアーズ』にオマージュを捧げていることもあり、
足りないメンバーの補充や下手なライトの存在、
そしてライバルチームとの試合の行方など、
物語のポイントや展開はほとんど読めてしまう。
手に汗握らない珍しいタイプの野球映画だけど、
この安心して観られるところが意外といい感じ。
観ているうちにほんわかした気分になってくる」

----へぇ~っ。ハラハラドキドキしないんだ?。
「うん。たとえば試合中、テイタム・オニール的存在のヒロインが負傷。
本来なら欠員ができて大きな問題となるわけだけど、
そこに手術中の恋人に付き添っていた、かつての4番が駆けつける。
でも観客は病院でのふたりのやりとりの一部始終を見ているから、
彼が現れることは分かっていてサプライズドとはならない。
またピンチに、肩を壊して長いこと投げていない、かつてのエースが登板。
超スピードボールで敵を圧倒するんだけど…」

----普通はまたそこで肩を痛めて、
投げ続けるか否かの苦渋の決断があるよね……。
えっ、違うの?……ふうん。
そもそもピーナッツはどこと試合をするの?
「商店街の再開発を計画している会社が保有する社会人最強のチーム。
つまりこの試合は、商店街再開発の是非を賭けた試合でもあるわけだ」

----それって人生を賭けた試合じゃニャい?
「うん。でもさっきも言ったように、
それぞれが事情を抱えているからね。
ピーナッツのメンバーの多くは商店街反対派だけど温度差はかなりある。
しかし映画はそういったヘビーな問題を深く掘り下げることなく
ウッチャン自身が観てきた映画のさまざまな“幸せな時間”を再現することに
力を注いだような気がする。
冒頭、主人公・秋吉がさびれた商店街に現れるシーンなんて
黒澤明『用心棒』そのままだしね(笑)」

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『ザスーラ』

2005-11-16 19:22:21 | 新作映画
----この映画の原作って『ジュマンジ』と同じ人なんだって?
「そう。クリス・バン・オールスバーグ。
彼は『ポーラー・エクスプレス』の原作『急行「北極号」』も書いている」

----『ジュマンジ』では
ゲーム盤の中での出来事が現実の世界で引き起こされた上に、
ジャングルの動物たちまで呼び寄せてしまっていたよね。
「うん。あの映画を観たとき、
『こりゃ何でもアリだな』とどこかに書いたことを覚えている。
ゲーム内容を“宇宙”“未来”“異次元”などにすることで、
いくらでも続編を作れるからね」

----でも実はすでに類似した原作「ザスーラ」があったわけだ(笑)。
今度は宇宙なんでしょ?
「そうなんだ(笑)。
しかも前作でロビン・ウィリアムズがやったような
ゲームにハマったまま戻れなくなった、かつての子供まで登場。
この『ザスーラ』の方が一ひねりはしてあるけど」

----ふうん。今度のプレイヤーも兄弟ニャの?
「そう。しかもこのふたりはあまり仲がいいとは言えない。
しつこくつきまとう弟ダニーを、
兄のウォルターはうっとうしく感じ、
地下室に閉じ込めてしまう。
ところが弟はそこでこのゲーム盤を見つけるというわけだ。
この<兄弟不仲>という設定が
ゲーム・クリアの阻害要因として巧く生かされていたよ」

----このゲーム盤も懐かしい感じだね。
「監督のジョン・ファブローいわく
「戦後の日本で大量生産されたような、
ブリキのおもちゃをイメージした』とか。
ネジを巻いてボタンを押すとカードが飛び出してくる」

----なかなかいい感じ。で、どんな冒険が待ち構えているの?
「天井を突き抜けて隕石群が振ってきたり、
小さなロボットのオモチャが巨大化して攻撃してきたり、
宇宙船が接近して発砲したり…。
このロボットにしろトカゲを思わせるエイリアンにしろ
50年代のハリウッド映画のテイスト。
怖いけど、どことなく親しみが持てる。
監督は、CGなしでできるところは積極的に実演を採用。
ロボットに追い回されたり、エイリアンと戦わせることで
子供たちの自然な演技を引き出そうとしたらいしいよ」

----ニャるほど。そういえばティム・ロビンスが出ているね。
「彼の役は『宇宙戦争』でのトム・クルーズと同じ。
離婚していて、その週は父親の方が子供たちと会える番というわけだ。
アメリカには多い設定だね。
この映画では、それが兄弟関係にも影を落としている。
もっともこの危機を通して
ふたりの絆は深まってゆく。
ま、こういうところがコルデコット賞受賞作家たるゆえんだろうけどね。
あっ、そうそう。
『宇宙空間なのになぜ酸素があるの?』なんて
ヤボなことは言わないように(笑)」

    (byえいwithフォーン)

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『7人のマッハ!!!!!!!』

2005-11-15 19:55:19 | 新作映画
----これって「ワイヤ-なし、CGなし」で話題を呼んだ
『マッハ!!!!!!!!』と関係あるの?同じタイ映画のようだけど。
「うん。トニー・ジャーこそ出ていないけど、
監督は前作でアクション監督を担当したパンナー・リットグライ。
実はこの人、タイのアクション映画界では伝説的存在らしい。
25歳の時父親の畑を売って調達した資金で撮った映画が『BORN TO FIGHT』」

----あれっ。それってこの映画のヨーロッパでのタイトルだ。
「うん。つまりそれだけこれは彼にとって重要な作品と言うことなんだろうね。
通常の映画常識を遥かに超えたアクションが途切れることなく連打されて
最初から最後まで観る者の目をスクリーンに釘付けにする」

----常識を超えたアクション……う~ん想像つかないニャあ。
「そうだなあ。一言で言えば体を張ったアクション。
死と隣り合わせのアクションと言ったらいいかな。
その昔、『マッドマックス』でスタントマン死亡説が飛び出したことがあったけど、
今回のスタントはそれを遥かに凌駕している。
まるで全盛期のジャッキー・チェンだ。
と思って、後でプレスを読んでみたらやはりこの監督、相当なジャッキー・マニア。
ジャッキーが映画の中でやるスタントは当時、全部マネしたらしい。
そういえばこの映画の中にも
『ポリス・ストーリー/香港国際警察』のスケールを大きくした、
トラックがバラック作りの村に突入して家々をなぎ倒すシーンがある。
しかもそのトラックは炎上しているんだ!」

----アクションって映画にとってそんなに重要なの?
「だって映画って、写真とは違って<動き>をキャメラに収めるのが基本。
最近ではCGやSFXでその動き=アクションまで創りだしているけど、
やはり人間の肉体の動きにはかなわないよ」

----そう言えば、チャップリンやバスター・キートンのコメディも
危険なアクションがたくさん入っていてドキドキするよね。
「あの時代はセリフがないから、
よけいにアクションで見せなくてはならない。
アクションは単なる見世物ではなく、
観る者の感情を揺さぶる重要な要素の一つなんだ」

----ニャるほど。言いたいことは分かったけど、
この映画はどんなお話なの?
「タイのある国境の村が反乱軍の襲撃に遭う。
彼ら反乱軍は組織のボス、ヤン将軍の釈放を要求。
そして見せしめのため、村人を一人また一人と殺してゆく。
しかしその村には刑事デュー、
そして各種スポーツのチャンピオンが慰問に来ていた。
デューとアスリートたちは力を合わせて反乱軍に立ち向かう!」

----ぷっ。なんだか調子いいストーリーだなあ。
「いいのいいの。
オモシロいアクションを見せるためのストーリーなんだから。
テコンドー、ムエタイ、ボクシング、セパタクローなどはともかくとして、
サッカー、ラグビー、果ては器械体操の選手まで登場。
そのキャストのほとんどが実際にタイを代表するアスリート。
彼らはそれぞれの競技の<技>を生かして
銃器を持った一味に立ち向かうんだ」

----いいなあ、その荒唐無稽さ。
「まずオープニングのカー・チェイスで度肝抜かれる。
2台の18輪トラックの上でのデューとヤン将軍の部下の肉弾戦。
トラックから落ちて並走している車にぶつかり地面へ。
あるいはトラックとトラックの間に叩き落とされ、
あわや車輪に巻き込まれそうになったり……。
1年以上の入念なリハーサルを繰り返したと言うけど、
事故が起こらなかったのが奇跡としか思えない」

----ニャるほど。そのノリで全編突っ走るわけだね。
「うん。ぼくはもともとアクションの中にドラマがないと飽きちゃう方だけど、
ここまでアクションに徹底していたら話は別。
少し記憶を甦らせてみよう。
クライマックスではデューの乗ったバイクが丘から落ちる。
そこに敵のトラックが覆いかぶさってくる。
転がってそれを避けたデュー。
彼は火のついたバイクを駆って、
トラックのボンネットに正面から激突!
バイクは炎上し、
デューは反動でトラックの上を飛び越え後方へ転がり落ちる……」

-----「mmmmm………」
「この映画、公開規模は小さいけど、
ぜひスクリーンで観てほしいな。
アクションの醍醐味を満喫できること間違いないから。
こう言う映画には、話のつじつまなんてどうでもいい。
そう、ぼくは思うよ」

    (byえいwithフォーン)

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『プルーフ・オブ・マイ・ライフ』

2005-11-14 21:08:15 | 新作映画
----ジョン・マッディンとグウィネス・パルトロウと言ったら、
アカデミー賞受賞作『恋におちたシェイクスピア』コンビの作品だね。
「うん。彼らが新作に選んだのはピュリッツァー賞を始め
数々の賞に輝く舞台劇の映画化。
舞台でもパルトロウが演じているらしい」

----原題は『proof』、つまり“証明”だよね。何を証明するの?
「それを話すには、
まずストーリーから語らなくては…。
一週間前に天才数学者の父ロバートを亡くしたばかりのキャサリン。
彼女は精神のバランスを崩してしまった父を入院させず、
5年もの間、たった一人で看病をしていた。
一方、金銭的な援助だけをしていた彼女の姉クレアは、
父の病がキャサリンに遺伝しているのではないかと言う疑いを抱いていた。
そんな中、ロバートの教え子である若い数学者ハルのやさしい心に触れたキャサリンは
それまで閉ざしていた心の扉を開き、
ある一冊のノートが仕舞われているデスクの鍵を彼に渡すが……」

----ニャるほど。そこから歴史的発見が現れる。こういうことだね。
「そう。そのノートには
いままで誰も成し遂げられなかった定理の<証明>があったわけだ。
だが、この発見がキャサリンの人生を思わぬ方向に動かしてゆく……」

----なになに?何が起こるわけ?
「う~ん。実はこの映画についてぼくは、先に観た人から聞いた
『今年のアカデミー主演女優賞はグウィネス・パルトロウで決定!』の
“興奮”くらいしか情報がなかったから、
この思わぬ展開には目を見張ったんだけど…。
どうしよう、この後は言わない方がいいのじゃないかな?」

----いやいや。原作が有名だからいいんじゃニャい?
心配だったらネタバレ注意報を出せば……?
「うん。そうしよう(笑)。
(※)ネタバレ注意報:弱
この定理についてキャサリンは自分が論証して書いたものだと主張。
しかし、姉がそれを信じるはずもなく、
また、自分の味方と思っていたハルも
ノートに書かれているのはロバートの字だと断言する。
前夜に愛を交わし、明るさが戻ったばかりのキャサリンは
このことで再び闇の中に突き落とされてしまう。
果たして彼女は、それが自分のものと<証明>できるか?」

----ニャるほど。それじゃあ映画はミステリーの要素も入ってくるわけか…。
まるで昨日聞いたばかりの『フライトプラン』みたいだ。
「そうなんだね。
あの映画のジョディ・フォスターと同じく、
ここでもヒロインの<狂気>の見きわめが観る方に要求される。
映画は
死んだ父親がキャサリンに話しかけるトリッキーな映像から始まる。
その内容というのが<精神の病と自覚の関係>について。
この冒頭の幻覚的映像が心に沈潜し、
観る方は彼女の狂気を疑わざるを得なくなってくる」

----ははぁ、ニャるほどね。
「しかも当のキャサリン自身も病の遺伝を心配しているし、
一夜を共にしたハルまでも彼女を諌めるものだから、
観客の心は
すべてはキャサリンの嘘ではないかという方向へリードされてゆく。
このハルを演じたジェイク・ギレンホールの好演もあるけど、
彼の役柄を生み出した原作・脚本(デイヴィッド・オーバーン)の力も大きいと思う。
ハルを愛にイノセンンスな男とはせずに、
理性で“真実”を判断するクールな男にしている。
まあ、ハルは“理数系”だからかも知れないけど(笑)」

----でも、それって戯曲がそうなっているんでしょ?
「だと思うよ。物語の骨子だしね。
ただ、興味深いのはオープニングを始め、
時制がかなり複雑に入り乱れていること。
キャサリンの回想も多く用いられていて、
これって舞台ではけっこう難しいと思うんだよね。
実際はどうなっているんだろう?そっちも観てみたくなったな。
ただロバートがアンソニー・ホプキンスじゃないのが残念だけど…」

----えっ、お父さん役はアンソニー・ホプキンスなの?
それ早く言ってよ。(笑)
ところで<真実の行方>はどうなの?
「それはさすがに言えないよ(笑)」
            (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「あららら。こうなるニャ」ぱっちり

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『フライトプラン』

2005-11-13 21:45:47 | 新作映画
----この映画、けっこう騒がれているよね。
ジョディ・フォスター久しぶりの主演映画だから?
「それもあるけど、
その内容が刺激的すぎて
アメリカの客室乗務員の労働組合(AFA)が配給元のディズニーに抗議、
ボイコット運動を展開したというのも話題となっている」

----へぇ~っ。抗議行動まで起こるなんて
どんな話なんだろう?
「突然の夫の死に打ちひしがれた
航空機設計士のカイル(ジョディ・フォスター)は、
6歳の娘ジュリアとともに帰国の途へ。
ベルリン発ニューヨーク行きの最新エアジェット。
ところが高度1万メートルの上空で、
娘は忽然と姿を消してしまう。
しかし、乗客はおろか乗務員のだれ一人として、
ジュリアが機内に存在していたことを認めない。
果たしてこの謎は…?というものだ」

----それは航空機の仕事に従事している人から見たら大問題だね。
安全性と言うことに関わってしまう。
あれっ、でもこの話どこかで聞いたことあるような・・・。
「ヒッチコックの『バルカン超特急』だね。
さて、この映画はその飛行機版リメイクなのか、
それともまったく新しい展開を見せるのか?
ここが、最大の見どころだね」

----さすがにそれを聞くわけにはいかないよね。
「さすがにそれを話すわけにはいかない(笑)。
ただ、この映画では機長がカイルに恐るべき事実を告げる。
FAXで送られてきた情報によると
ジュリアは6日前に死亡していたと言うんだ」

----ということは、娘が乗っていたと言うのは、
ふたりも続けて大事な人を亡くした
カイルの神経衰弱による妄想と言うこと?
「あらら。それも話すわけにはいかない(笑)。
しかし、
<ことの真相>はどうなんだろう?と
スクリーンに観客を釘付けにするだけの力はあったね。
少なくともここまでは……」

-----その言い方って問題ありなんじゃない?
「う~ん、ネタバレになるからあまり詳しくは話せないけど、
明らかにされた<ことの真相>がぼくにはどうも納得いかない。
つじつまが合わないことが多すぎるんだ。
もしかしたらぼくが<解答>のサインを見逃しているのかも知れないけど」

----ふ~む。久しぶりに厳しいコメントだな。
「でもジョディ・フォスターは大熱演。
周囲の誰からも自分の言うことを信じてもらえなくなったカイルは
機内のどこかにいるはずの娘を、
まるで狂ったかのように探しまわる。
途中、自分の思い込みからいろんな人と衝突を起こし、
機内の全員を敵に回してしまう。
これにより観ているぼくらもカイルへの疑いが増し、
機内の一般の人々と同じ気持ちに立ってしまう。
『ちょっとやりすぎなんじゃないの?人に迷惑かけるなよ』ってね。
この観客への心情の揺さぶりは、
演出もあるんだろうけど、
やはりジョディ・フォスターの演技に負うところが大きいと思う。
そう、このあたりまでは実に快調だったな」

----そう言えば、彼女は母親役の映画が増えたね。
「前作の『パニック・ルーム』もやはり子供を守る母親だったしね。
実生活でも二児の母である彼女の、まさにこれは独壇場。
一にも二にもジョディ・フォスターの演技を楽しむ映画だと思うよ」

                    (byえいwithフォーン)

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『ブレイキング・ニュース』

2005-11-11 19:28:45 | 新作映画
----ジョニ-・トー、今年日本に来るの2本目だね。
あまり相性がよくなかったんじゃなかったっけ。
「うん。そのはずだったんだけどね。
この映画はいい意味で裏切ってくれた。
カンヌ国際映画祭のワールドプレミアでも
10分間のスタンディング・オベイションが続いたと言うけど、
それも分かるな。
クレーン撮影を駆使した冒頭7分間に及ぶ
ワンカット・ワンシーンの銃撃戦だけでも、
もうお腹いっぱいだ」

----それって前にも他の映画で話してなかったっけ
「うん。『カミュなんて知らない』』だね。
ただ、あの映画ではワンカット・ワンシーンは人物紹介として使われていたけど、
今回はアクション・シ-ン。
どちらが難しいかは言わなくとも分かるよね」

----タイトル『ブレイキング・ニュース』の意味って?
「ニュース速報のこと。
香港の市街地で警察と銀行強盗団による銃撃戦が発生。
警察は犯人グループを取り逃がしてしまうんだけど、
そのさなか、犯人に銃を向けられた一人の警官が
両手を上げて命乞いをしてしまう。
偶然にも、その瞬間を現場に居合わせたTVカメラマンが捉えていたことから、
香港警察に対する非難が集中。
そこでOCTB(組織犯罪課)のレベッカ(ケリー・チャン)は
PTU(機動部隊)にワイヤレス・カメラを仕込み、
犯人逮捕の瞬間と言う史上最高のショーをTV中継しようとする」

----なるほど。メディアを使った戦略か。
どちらかと言うとハリウッドが考えそうな映画だね。
「確かに。
ここにCID(重犯罪特捜班)の熱血刑事チョン(ニック・チョン)の
本部の指揮を無視した執拗な追跡がからみ、
『踊る大捜査線』ばりの<現場>のオモシロさが前面に出てくる。
さてユアン(リッチー・レン)率いる犯人グループは、
アパートから逃げ遅れたタクシー運転手イップ(ラム・シュー)を人質に、
警察と交渉しながら、彼部屋のパソコンを使い自分もメディアを操る。
さらに、そのアパートには
本土からやってきた殺し屋のチュン(ユウ・ヨン)が潜伏。
なんとしてでも生き延びようと
犯人たちにぺこぺこ。言いなりになりながら情けない脱走を試みるイップ、
一緒に警察と戦ううちに仲間意識が芽生えるユアンとチュン…。
ジョニー・トー映画は、
物語が思わぬ方向へ転がり広がって行くのが特徴だけど、
これはよくできていたね。
緊迫のサスペンスの中に、ユーモアはあるし、ドラマもある。
レベッカなんて現場の警官だけでなくマスコミにまで
最高級の弁当を振る舞うんだから(笑)」

----ニャるほど。それだけ一気に喋ると言うことは、
ほんとノレたってことだね。
「うん。前作「PTU」とは違って昼間に事件が起こっているのも
事件を視聴者の前にさらすと言う映画のストーリーにあっていてよかった。
香港の住居って高いビルが多いけど、その中は通路が狭いんだね。
日本の昔のアパートって感じ。
そのため銃撃戦も閉塞感が増してリアルな怖さがあった。
あと特筆すべきは畳み掛けるようなクライマックス。
爆破相次ぐビルの中、
ユアンはいかにして逃げ切るのか、
いや逃げ切れないのか?
<※軽いネタバレあり>
ここはユアンがレベッカを手錠で繋ぎミニバスへ。
それをバイクで追いかけるチョン。
キャメラはミニバスの中からまたまたワン・ショット。
実はここも最後までワンシーン・ワンカットで行きたかったらしい。
キャメラが壊れてそれは叶わなかったらしいけど、
観てみたかった気がするな」

----あれっ、そう言えばユンは?彼は逃げ切れたの?
「これがうまい。
さすがにその結果は言えないけど、
伏線がきちっと張ってあるから、
最後まで見落とさないようにね」

        (byえいwithフォーン)

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猫ニュー

※画像はフランスのオフィシャル・サイトより。
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