ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ジェシー・ジェームズの暗殺』

2007-12-21 13:51:25 | 新作映画
(原題:The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford)

-----ジェシー・ジェームズって西部劇でよく聞く名前だよね。
この人って暗殺されたんだ…。
「うん。西部劇があたらなくなって久しいし、
彼の名前自体、もう日本ではあまり知る人が少ないよね。
でも、いわゆる“義賊”としてアメリカでは今でも人気があるんだ。
まあ、鼠小僧みたいな感じかな」

-----ネズミ?ゴクッ。
「いや。この鼠は人間だけどね(笑)。
南北戦争で南軍ゲリラとして戦い敗れた、フランクとジェシーのジェームズ兄弟。
以後、仲間を率いて銀行強盗や列車強盗を繰り返す彼らは
新聞によって義賊として祭り上げられ、
さらには『ジェームズ兄弟物語』という三文小説まで出版されるなど、
生きながらにして伝説となる。
この映画は、そんな彼らに憧れるロバート・フォードが
ふたりに自分を売り込むところからスタートする。
そんなロバートに、兄のフランクは最初からうさんくささを感じるんだけど、
弟のジェシーは最後の列車強盗の後、
仲間が分散する中で、
このロバートだけは自分の側に残るようにと命じる。
それはいわゆる世話係にすぎないんだけど、
ロバートは自分が見込まれたと天狗になってしまうんだね」

------ふうん。でも結局、そのロバートに暗殺されちゃうんでしょ?
「そう。原題(The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford)にも
ロバートによってジェシーが殺されたことが
はっきり記されているから、
この映画はいわゆる“誰に殺されたか?”といったミステリーではなく、
なぜ彼に殺されるに至ったかがその肝となる」

------でもCowardって決めつけられて可愛そう。
どうして殺したのか聞いていい?
「うん。ある程度はね。
暗殺の理由よりもふたりの心理的葛藤が中心の映画だし…。
実は
ジェシーに、それまでに一味が盗んだ以上の額の莫大な賞金がかかるんだ。
当然のように仲間内には裏切りの動きが出てくる。
それを知ったジェシーは、そんな裏切り者を捜し回しては殺してゆく。
また一方では、女をめぐる諍いも起こり、
そのいざこざの中でロバートはジェシーの身内のひとりを殺してしまうんだね」

----うわあ。それはハラハラだね。
いつかバレて殺されるんじゃニャいかと…。
「そう。この映画の見どころはまさにそこ。
ジェシーを演じるブラッド・ピットの演技だね。
凄まじいカリスマ性を持った男ジェシー。
だけど、その感情はどこで爆発するか分からない。
彼が笑いながら喋っているのは冗談なのか、本気なのか?
笑っていいのか、それとも真顔で応じなくてはならないのか?
おそらくその疑念でロバートたちは毎日生きた心地がしなかったと思う。
ロバートにはやはり一緒に行動した兄がいるんだけど、
その兄弟の会話さえも自分がいるところでしろと、ジェシーは言う。
まるで蛇に睨まれた蛙。
というか、捕まえた鳥をいたぶる猫…」

----それは言いすぎじゃニャい。
その睨まれた方、ロバートを演じるケイシー・アフレックは?
彼ってベン・アフレックの弟だよね。
「うん。
少しその演技が『サイダーハウス・ルール』のトビー・マグワイアを思わせたね。
一見、ボ~ッとして見えて何を考えているか皆目分からない。
ところが、このロバートがジェシーを殺してからがスゴい。
なんと、その<暗殺>を寸劇にして
兄と一緒に興行を打つんだ。
そこから、ロバートがどんな人生を歩むか…。
わずか20分足らずだけど、
これはスクリーンから目が離せないよ」



         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「渋そうな映画だニャ」


※撮影も美しい度

※ちょっとCM。ドラマ仕立てです。(画像をクリックしたらスタート!)
「寒い家」

人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー

画像はアメリカ・オフィシャル(ダウンロードサイト)より。