ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

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『別離』(アカデミー賞外国語映画賞受賞作)

2012-02-29 21:07:16 | 新作映画

(原題:Jodaeiye Nader az Simin)

----今年のオスカーって、
『アーティスト』『ヒューゴの不思議な発明』 との一騎打ちと言われていたけど、
結局、『アーティスト』が作品賞など主要部門を制したね。
「そうだね。
一方、最初から確実視されていたのが
アカデミー外国語映画賞。
『彼女が消えた浜辺』で一躍脚光を浴びた監督の作品。
いやあ、これは見ごたえあったね。
監督・脚本のアスガ-・ファルディ
脚本家として、そのキャリアをスタートさせているだけあって、
ほんと、物語の運び方が巧い」




----どういうところが?
「まず、物語が次々と意外な方向へと転がっていくこと。
そしてそれを動かすのが、
登場人物の不可解とも思える行動ということ。
つまり、そこには<謎>と<秘密>が隠されているわけで、
映画は当然にミステリー的な要素を帯びていく。
さらに、そのミステリーには、
登場人物たちそれぞれが語る<真実>と<嘘>があり、
観る方は、登場人物と共に、
それを見極めていかなくてはならなくなる」

----でも、それってミステリーだったら
どれでも同じじゃニャいの?
「確かにそうも言えるんだけど、
彼の映画の場合、
その<秘密>や<謎>は、
それぞれが抱えてやむなし…ということが多い。
悪意からは行なわれていないんだね」

----それって、どういうこと?
「たとえば、
それは周りへの気遣い、思いやりからついた嘘だったり、
宗教への帰依からの行動だったりする。
この映画は、
互いに起訴しあった事件における
二組の夫婦とその周囲の物語。
話を分かりやすくするために、
そろそろストーリーを語ろう。



テヘランで暮らす妻シミンは、
11歳になる娘の将来のことを考えて、
夫ナデルと共にイランを出る準備をしていた。
ところがナデルの父親がアルツハイマーのため、
彼はその提案を受け入れることができない。
やむなく家庭裁判所に離婚申請をするシミン。
一方のナデルは父の世話のためラジエーという女性を雇うことに。
ところが、ある日、ナデルが帰宅すると、
父は意識不明でベッドから落ち、
ラジエーの姿はどこにもなかった…」




----酷い女性だニャあ。
「まあまあ。
ところが、このラジエーは、しばらくして
当たり前のように戻ってくる。
収まらないのはナデル。
彼女が金を盗んだと決めつけ、
家から追い出してしまう。
ところがその夜、ラジエーが入院したとの知らせが入る。
しかも、彼女は流産していたという。
あわてて病院に駆けつけるナデルとシミン。
ラジエーの夫はナデルが暴力を働いたと訴えるが…」




----ニャるほど。
そこで訴訟合戦になるワケだ。
「そう。
ポイントはナデルがラジエーが言うように、
本当に突き飛ばしたのか、
そしてラジエーの妊娠を知っていて
そこまでやったのか?
ここにナデルの娘の両親への思いも絡み、
さまざまなドラマが生まれていく」

----結局のところ、真相は?
どっちが悪いの?
「ほらほら。
そうじゃないって。
この映画の見どころは、そんなところじゃない。
よく、映画を観た後、
『あのヒロインの生き方は私には受け入れられない…』とか、
あるいは
『だから、そうなったんだ。自業自得さ』みたいな声を聞くときあるけど、
この映画は、
そんな自分の生き方や倫理観に併せて観るものではない。
それって、つまるところ、
自分の価値観を絶対軸としていて、
でも、それはせいぜい日本国内、
あるいはそれに近い西洋的環境、教育から生まれた観方でしかないわけだからね。
だけど、このイランのようなイスラム文化圏に生まれた人にとってはどうだろう?
自分が子どもの頃から信じてきた宗教、
それに対する信仰心が深ければ深いほど、
ぼくらから観たら、一見、奇妙な行動となってくる」

----う~ん。例を出してよ?
「たとえば、このシーン。
ラジエーは失禁してしまった老人を前に大きな戸惑いを見せる。
イスラムにおいては、排せつ物に触れることは
血液や豚肉などと同じく不浄とされる。
ましてや男女が隔離されている世界。
親族ではない男性の肉体や排泄物に触れ、介護するなんてありえない」

----ええ~っ。
じゃあ、ラジエーはどうするの?
「答は言わないでおこう。
そのこと、ひとつとっても
この映画の登場人物のだれが正しく
だれが正しくないなんて、
簡単に言えないことが分かるよ。
しかし、すべてが明らかになったときの衝撃たるや…
ほんと、これはオスカー受賞当然の映画だね」



                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「でも真相が知りたいのニャ」身を乗り出す
米ジャンプカットが多く、ポンポン進む度

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『スーパー・チューズデー 正義を売った日』

2012-02-28 23:15:23 | 新作映画
(英題:The Ides of March)



----これって、ジョージ・クルーニーの監督作だよね。
アメリカ大統領選挙の裏側を描いた映画ニャんでしょ?
「そう。
ところが、そのジョージ・クルーニー、
こんなことを言っている。
『ジャンルで言えば政治サスペンスだが、
政治そのものがテーマではない』」

----どういうこと?
「つまり政治映画ではないということ。
ライアン・ゴズリング演じる主人公、
スティーヴン・マイヤーズは、
民主党予選に出馬したマイク・モリス(ジョージ・クルーニー)知事の陣営の若き広報官。
キャンペーン・マネージャーのポール・ザラ(フィリップ・シーモア・ホフマン)と二人三脚で
ライバル陣営のプルマン上院議員相手に戦っている。
討論会場のモニター音量や演壇の高さにまで気を配り、
ブログや動画サイトの投稿にまで目を光らせる。
そんなある日、彼にプルマン陣営の選挙参謀トム・ダフィ(ポール・ジアマッティ)が極秘の面会を求める」

----ありゃりゃ、それは罠だ!
「だよね。
誰でもそれは気づくはず。
もちろん、スティーヴンも多少なりとも気づいていたはず。
でも、そこに何かを期待して彼は出かける。
あにはからんや、
トムはスティーヴンに
『我々の仲間にならないか』と
自陣営への引き抜きを持ちかける。
さあ、それからが問題だ。
この後、彼が取るべきもっとも適切な対応とは?
これが、この映画の主眼点。
忠誠心と野心。
どっちを選ぶにしても、
細心の注意を払い、
ミステイクを犯すな…とでも言っているかのよう」

----ニャるほど、だからテーマが“政治”ではないんだ。
「そういうこと。
これは、政治に限らず
広く社会の中、どんな局面でもありうる話。
最初の一歩を間違えると、
自分は見捨てられて、
もう、取り返しがつかなくなる。
そのときの焦燥感が、
ライアン・ゴズリングの役作りの見事さも相まって、
ひしひしと伝わってくる」

----じゃあ、起死回生は起こらないんだ。
「さあ、どうでよう?
実はここに
インターンの若く美しい女性モリー(エヴァン・レイチェル・ウッド)が
関わってくることにより、
事態は思わぬ方向へ転がっていく。
まるでチェスの目のように
彼女の存在が裏から表、表から裏へと変わっていくんだ。
もともとは、このお話、戯曲だったとはいえ、
映画としても楽しめる。
監督のジョージ・クルーニーは、
戯曲には登場しないモリス知事を主要登場人物に設定したとか。
この映画を観た後、
それを知ったら驚くこと間違いなし。
オリジナルはどうだったのだろう?
と思うほどの大胆な改変だよ」



                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ジェフリー・ライトにマリサ・トメイも!脇役がほんと豪華なのニャ」身を乗り出す
※しかし、美形はやはりいろいろと、トクだ度

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『ムサン日記~白い犬』

2012-02-26 17:19:20 | Weblog
----この映画って『ポエトリー アグネスの詩』の助監督をやっていた人が
監督しているんだって?
「そう。パク・ジョンボム
本作では製作・脚本、そしてなんと終焉までこなしている。
ヒロインのスギョンを演じているカン・ウンジン
イ・チャンドン監督に見出されて
『ポエトリー・アグネスの詩』では看護師役に扮しているなど、
両作品の関係は深い」

----脱北者の話って聞いたけど…?
「そう。北朝鮮から中国を経て、
韓国に逃れて来た人たちが、
いったい、そこでどんな暮らしをしているのか?――
彼らは、北の情報を知っているからといって
特別扱いを受けるわけでもなく、
また、その過去を同情されるわけでもない。
まともな職に就くことはできず、
結局は仲間内で集まり、
生きる方策を見出していく。
その中には、
闇ブローカーとして器用にわたり歩く人もいれば、
本作の主人公・スンチョルのように、
将来の展望が見えぬまま、
日々、ポスター貼りの仕事で糊口をしのいでいる人もいる。
映画は、このスンチョルの孤独と焦燥の日々を
教会で見かけた聖歌隊のスギョンへの思いとともに描いていく。
その日常とは、
ポスター貼りの縄張りをめぐって暴力を受けたり、
同居している兄貴分のギンチョルの不始末が元で、
脱北者の仲間から追われたり…」

----ニャるほど。
タイトルの意味は?
「ムサンというのは、脱北者が目指す北朝鮮と中国の国境の町。
そして白い犬は、スンチョンが拾ってきた犬。
最初は、この犬は、あんまり映画に関係ないのでは…という扱い。
でも、途中から徐々に大きなウエイトを占めてくる。
この犬なくしては、
本作は成立し得ないほど、深い印象を残すんだ」

----見どころはどこ?
「スンチョンが、自分の抱えている秘密を告白するシーンを始め、
この映画には、いくつかあるけれど、
なんと言ってもラストの衝撃に尽きる。
ここは詳しく話すのは避けるけども、
手持ちカメラで背後から写す長回しの映像。
その手法により、観る方は
何か起こる…という不安を抱かずにはいられない。
そして…。
ここの撮影が、どれだけ大変だったことか?
スタッフ全員に気を飲みながら行なったのでは?
ただ惜しむらくは、
いま、話したことと矛盾するけど、
その裏側を想像させてしまったことかな。
でも、それを差し引いても
これは近年まれにみるラストシーンだと思うよ」



                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「主人公の髪型が変なのニャ」複雑だニャ


" style="line-height:160%;">※あれはダース・ベイダーからの着想らしい度

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『映画ドラえもん のび太と奇跡の島』

2012-02-24 22:15:01 | 新作映画
----今日は『ドラえもん』の新作。
あまり、えいが好きなアニメじゃないと思っていたけど…。
「そうだね。
いつもクライマックスであくびが出ちゃう。
このシリーズに限った事じゃないけど、
悪役と戦うシーンを延々と見せられるのってつまんない」

----なのに、今日喋っているということは、
いつもと違ったワケ?
「うん。それもある。
じゃあ、まずそのクライマックスの戦いから…。
いつもは、さっきも言ったように“わあわあ”の総力戦になるんだけど、
今回は、悪役が乗っている四足型ロボットと、
のび太が買っているカブトムシとの対決!
そのカブトムシにしても
ドラえもんの例の秘密道具で巨大化しているにすぎないんだけどね」

----ふうん。ところで今回はどこに行くの?
タイトルでは“奇跡の島”となっているけど…。
「この島は、
絶滅した地球の動物たちを集めて保護しているという設定。
もちろん、そんなことできるのは未来の地球人。
ということで、もちろんタイムトンネルが出てくる。
さて、今回の映画の最大の特徴、
それは、のび太の父親・のび助が
やはり、この島に、別の時代からやってくること。
同じ年齢のふたりが、島で共に冒険するんだ。
これを観て、思ったのは、
この映画は、“かつて、ドラえもんを見て育ったお父さん”向けにつくられているということ。
『クレヨンしんちゃん・オトナ帝国の逆襲』をかなり意識している。
あの『花びらの色は恋人の色』こそ使われてはいないものの、
“お父さん、家族のために頑張る…”を、
音楽をバックに時代を追って見せる。
ただ、『オトナ帝国の逆襲』ほど徹底していなく、
ちょっと遠慮がちにやってはいるんだけどね。
でも、のび太が生まれたときの回想シーンなど、
子ども連れでこの映画を観に来たお父さんは、
かなりじ~んとくるんじゃないかな」

----ニャるほど。
これは、かなり異色だニャ。
「そうだね。
ドラえもんの秘密道具がほとんど壊れてしまい、
修理に出してあることもそう。
で、その道具がないから戦えないというのび太に、
しずかちゃんは、
そんな人は嫌いだという。
そして、代わりにクローズアップされるのは
捕われの身の中、
ドラえもんたちが助けに来ることを信じるスネ夫だったり、
助けに行こうと真っ先に言うジャイアンだったり。
ぼくも、このシリーズ、すべてを観ているわけじゃないから
断言はできないけど、
やはり、かなりの異色作だったなと思うよ」



                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「『ドラえもん』シリーズも変わっていくのニャ」身を乗り出す
※甘栗旬という俳優も出てきた度

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『アーティスト』

2012-02-18 00:15:43 | 新作映画
(英題:The Artist)



----これって、噂のサイレント、モノクロ映画だよね。
アカデミー賞にもノミネート…。
「うん。
フランス映画なのに、
外国語映画賞扱いじゃないのはなぜ?
なあんて、最初は思ったけど、
なるほど、この映画はサイレントだから
どう転んでも“外国語”にはならないわけだ。
もっとも、厳密な意味で言えば、
完全なサイレントとは言えない映画だけどね」

----あれれ、どういう意味?
「まあ、それは言葉どおり取ってもらうとして、
この映画は、
サイレントとトーキーの違いとは何かを教えてくれた意味でも興味深い」

----えっ、俳優のセリフがあるかないかの違いじゃないの?
「いやいや。
そればかりじゃないんだ。
むしろ画面に映っている映像に添ったサウンド、ノイズがあるかなしかと言った方がいいだろう。
この映画は、そのことを指し示す興味深いシーンがある。
主人公は
サイレントのスター、ジョージ・ヴァレンティン(ジャン・デュジャルダン)。
時代がトーキーに代ろうとする中、
彼はある悪夢を見る。
その夢は、モノが落ちる“音”に始まる。
つまり、シーンと音が同期しているんだ。
それまでサイレントとはいえど、音楽はあった。
それは、そのシーンの雰囲気を作ったり
シーンの感情、状況を強調する効果として使われていた」

----ニャるほど…。
ところでこの映画は
トーキーに乗り遅れた古い時代のスターのお話ということでいいんだよね。
「うん。
では、簡単にあらすじを…。
大スター、ジョージ・ヴァレンティンは、、
オーディションにやってきた
ぺピ-・ミラー(べレニス・ベジョ)と
ひょんなことから知り合う。
愛らしい笑顔とキュートなダンスで役を獲得したぺピーは、
撮影後、ジョージの楽屋へ。
そこでジョージは彼女に、
女優を目指すのなら目立つ特徴が必要と
アイライナーで唇の上にほくろを描く。
その日を境に、ぺピ―は快進撃を始める。
一方、サイレント映画こそ芸術、
自分は“アーティスト”との立場を取るジョージは、
トーキーに背を向け、サイレント映画を自ら初監督。
しかし、映画は大コケ。
以後、転落の道をたどったジョージは
妻からも三下り半を突き付けられ、
やがてはオークションで自らの生活の品をも売り払うようになる…」

----ニャ~るほど。
映画は、
ぺピーの成功とジョージの転落を対比してゆくわけだね。
「そう。
今の時代だったら、
女性の描き方として、
男を踏み台にしてのし上がっていくと、
まあ、こういうことになるんだろうけど、
これは時代を1927年からの数年間に求めていること、
そしてその手法として
本作そのものをもサイレント映画を選びとっていることから、
ロマンスを軸に話は進んでいく。
それも、ふたりの表情やしぐさで
情感たっぷりに…。
ここには、今の映画にはもはや見受けられなくなった
映画の始原的な表現がいっぱいに詰まっている」

----じゃあ、あまり撮影とかも凝ってはいないんだ?
「いやいや、そんなことはないよ。
サイレントと言ってもいろいろ。
チャップリン映画を思わせる犬との絡みもあれば、
ドイツ表現主義のような映像も。
さらには、シュールレアリズムな悪夢までも飛び出す。
何より、
劇中劇はダグラス・フェアバンクスばりの活劇だしね。
そうそう、この映画は
そのフェアバンクスがモデルになっているとも言われている。
あと、音楽にヒッチコック映画には欠かせないバーナード・ハーマンを使ったり、
フレッド・アステア&ジンジャー・ロジャースを思わせるタップダンスを取り入れたり…。
もう、この上ない贅沢。
さて、喋り始めるときりがないけど、
最後にぼくが気づいた本作ならではの手法を一つ。
それは“階段”の描き方。
主人公が落ち目になってからは、
ジョージが登場する階段でのシーンは
すべて“下り”。
これは明らかに、
それによって視覚から生まれる心理的効果を狙っている。
これもまた、言葉やナレーションを使わない
サイレントならではの文法。
何も、長回し&抑えた演技、
あるいは最新の技術を駆使して描くばかりが映画じゃないし、
この作品は、そう、語りかけている気がしたね」



                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「サイレントのオモシロさを再発見させる映画なのだニャ」身を乗り出す
※サイレント映画は饒舌だ度

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『コーマン帝国』

2012-02-12 22:55:46 | 新作映画
(英題:Corman's World : Exploits of a Hollywood Rebel)



----今日の映画は『コーマン帝国』
これってロジャー・コーマンのドキュメンタリーだよね。
この人、いま一つよく分からないんだけど…。
「そうだね。
実はぼくが最初に彼の名前を目にしたのは、
雑誌『スクリーン』で紹介された『白昼の幻想』
『ワイルド・エンジェル』も監督してていたりで、
サイケデリック&ヒッピーの人かなって…。
ところが、後になって
『アッシャー家の惨劇』など、
エドガー・アラン・ポー原作のホラーを
いくつも手がけていたことを知るんだ。
あれあれ、この人、どんな人?
と思ったら、
こんどはマーティン・スコセッシ監督の『明日に処刑を…』をプロデュース。
さらにはジョー・ダンテ監督『ピラニア』
ジョナサン・デミ監督『怒りの山河』と、
当時の俊英たちの名前と一緒に彼の名前が出てくるようになる。
その中には、コッポラ、モンテ・ヘルマン、ロン・ハワード、ピーター・ボグダノヴィッチ
さらにはあのキャメロンまで…。
こうなると、コーマンはアメリカ映画界のゴッドファーザー…のはず。
なのに、なぜか彼の名前はメジャースタジオのブロックバスター作品には出てこない。
いったい、何者なんだろうって?」

----で、この映画を観たら、
その実像に近づけるってわけ?
「そう、ある程度はね。
彼が作ってきた映画が、あまりにも
ストレートにセックスやバイオレンスを打ち出しているため、
どこかおっかないイメージがあったんだけど、
これが文学か何かの教授のようにモノ静かなイメージ。
でも、映画を製作する熱はずっと燃え続けていて、
いまだに作り続けている。
その姿は、いわば万年映画青年。
製作費は莫大なのにCGを多用している映画が多い昨今、
彼の映画は手作り感でいっぱい。
現場の楽しさに満ち溢れているんだね」

----『スター・ウォーズ』でいえば、
後にCGで手を入れる前の感覚?
「おっ。
いいところを突いてきたね。
ロジャー・コーマンいわく、
『「JAWS・ジョーズ」』と「スター・ウォーズ」が自分の居場所を奪った』…。
それまで、宇宙や巨大生物など想像上の世界を
チープな特撮によって描いていたのに、
それを大予算で作られちゃった。
ジャック・ニコルソンの言葉じゃないけど、
緑の光線が飛び交う嘘っぽい映画が一掃されたのは
ぼくもやはりさびしい気がする」

----それって、意地悪な言い方をすれば、
技術の進歩に追いつかなかったってことでしょ?
勉強不足なのでは…?
「う~ん。
そこがロジャー・コーマンの、
強いては、この映画の哀しみ。
古き良き時代の、のどかな映画作りがそこにはある。
それをもっとも分かっているのが、
ロジャー・コーマンが見出した一人、ジャック・ニコルソン。
コーマンについて語っているうちに、
感極まったニコルソンは涙を流してしまうんだ。
一方、これもどうとらえるかだけど、
実はハリウッドは、彼にアカデミー賞名誉賞を授与するんだ」

----アウトサイダーとしては複雑だよね…。
「うん。
その時のスピーチが
『この世界で成功するには、危険を冒す必要があると思う。
今、最も優れている映画は、
危険を冒し賭ける勇気のある独創的で革新的な映画製作者が撮影したものだ。
だから常に賭けて、危険を冒すことを忘れないでほしい』

そして彼は今も低予算で
着ぐるみパニック・ホラーを作っている。
こういう人は、もう二度と出ないだろうね」


                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「コーマンという人は、ベルイマン『叫びとささやき>』や
『フェリーニのマルコルド』
などを全米配給したらしいのニャ」いいねぇ

※彼の部屋にはトリュフォーの『アデルの恋の物語』のポスターが貼ってあった度

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『孤島の王』

2012-02-11 19:02:29 | 新作映画
(原題:Kongen av Bastoy)



----映画って“孤島”を舞台にした作品多いよね。
「うん。
閉ざされた空間だから、
それだけでドラマにしやすい。
登場人物も限られていて、
人間関係の縮図の比喩として描くのにもいい。
最近では『ビー・デビル』なんていう韓国映画の秀作もあったけど、
こちらは、島民ではなく囚人たちのお話」

----ということは監獄?
「厳密に言うと、
非行少年を強制するための収容施設。
観るまでは、“王”というのは
その中の一人かと思っていたんだけど、
そうじゃなかったね。
“王”は、そこに厳しい戒律を敷き、
厳格な指導をしている院長のこと。
少年たちは、過酷な自然環境の下、
青い作業服を身にまとい労働の従事している。
リーダーのオーラヴは、卒院を間近に控え、
揉めごとを起こしたくないという優等生だし…。
主人公は、そこに新しく送られてきたエーリング。
彼は島にやってきた時から
脱出を考えている。
ここに『アルカトズからの脱出』『パピヨン』といった
監獄島からの脱出の物語が入りこんでくる」

----『シャッターアイランド』などとも違うようだね。
アクションの要素も多いの?
「いや、それは少ないかな。
ちょっとネタバレとなるけど、
最後に反乱が起こるくらい。
この映画、批評にも書いてあるから言ってもいいのだと思うけど、
ミロシュ・フォアマン監督『カッコーの巣の上で』を想起させる。
途中、ぼくはリンゼイ・アンダーソン監督『ifもしも…』を思い出しもしたけどね。
で、クライマックスの兵士の登場は
森崎東監督『高校さすらい派』

----へぇ~っ。アメリカ、イギリス、そして日本か…。
この映画はどこの国のニャの?
「なんと、北欧のノルウェー。
なんでも、これは1915年に実際に起こったことらしいんだ。
さて、その“王”となる院長に扮しているのがスウェーデン生まれの名優で
『メランコリア』などラース・フォン・トリアー監督作品にも出演しているステラン・スカルスガルド
両庁を演じているクリストッフェル・ヨーネル
よくぞ見つけてきたと思うほど
権力を背景に薄汚い欲望をまき散らす寮長を好演。
監督のマリウス・ホルストと共に覚えておいて損はないと思うね」


                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ラストが衝撃的らしいのニャ」悲しい
※まだ『カッコーの巣の上で』を観たことがない人は、そちらはまだ観ないで観た方がいい度

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『恋人たちのパレード』

2012-02-08 23:55:05 | 新作映画
(英題:Water for Elephants)

「う~ん。このタイトルはないよなあ。
まるで、70年代前後の
クロード・ルルーシュの映画みたいだ」

----どんなお話ニャの?
「一言で言えば、
強圧的な夫の虐待に苦しめられていて、
それでも彼を母親のように見守っているヒロインと、
大学を卒業できなかった若い青年との恋」

----一言と言っている割には、
ややこしい説明だニャあ(笑)。
「まあ、
そのややこしい部分がこの映画を膨らませているんだけどね。
そうじゃなければ、、
それこそこれまで数えきれないくらい作られてきた
“許されない愛”の映画と変わらなくなってしまう。
ということで、もう少し詳しい説明を…。
ヒロイン、マーリーナを演じるのはリーズ・ウィザースプーン
彼女は孤児院育ちで、
いまはサーカスの花形スター。
その彼女に恋をするのが、
ロバート・パティンソン演じるジェイコブ。
彼はポーランド系移民の息子。
大学で獣医学を学んでいたものの、
卒業目前で両親が交通事故死。
経済的にも追いつめられてしまった彼が衝動的に乗ったのが移動サーカスの列車。
そこで彼は大学で獣医学を修め、卒業したと偽ってサーカス団に入り込む。
だが、そのサーカス団長兼舞台監督のオーガストは、
冷酷な絶対君主。
必要なくなった団員を列車から放り落すような男だった…」

----へ~え。その団長はだれが演じているの?
『イングロリアス・バスターズ』以来、人気のクリストフ・ヴァルツ
強権的で嫉妬深い彼は、また子どものようでもある。
そんな彼をマーリーナは見切ることができないんだ。
とはいえ、この“ひねり”もそこまで目新しい設定とは言えない。
映画はその内容そのままにクラシックな香りを放つ。
時代が1930年代、大恐慌時代ということもあり、
全体的に紗がかかったようなノスタルジックな感じなんだね。
で、その決定打とも言えるのが、
当時の“一流ではない”サーカスの存在。
サーカスというのはやはり映画に向いていると再確認。
代表的なのはフェデリコ・フェリーニ
日本の寺山修司なんかもそうだった。
サーカスという超絶空間によって
息苦しい現実からちょっぴり離れるという意味でも、
この映画は今の時代の空気に向いているかも。
そうそう、本作はベストセラーが基になっているけど、
映画オリジナルの設定として
年老いたジェイコブの回想としていることも言っておかなくちゃ」

----まさか、それってロバート・パティンソンが老けメイクで?
「いやいや、演じるのは名優ハル・ホルブルック
ポール・シュナイダーも出ているし、
映画って、やはり役者の存在が大きいなということを
改めて感じさせられた映画でもあったね。
監督は『コンスタンティン』 『アイ・アム・レジェンド』フランシス・ローレンスだよ」


                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「コメディじゃないリーズ・ウィザースプーンも魅せるのニャ」いいねぇ

※ロバート・パティンソン、『トワイライト』シリーズよりはこっちだ度

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『ヒューゴの不思議な発明』

2012-02-07 00:18:15 | 新作映画
(英題:Hugo)

----これ、マーティン・スコセッシ監督の新作だよね。
しかも3D。
よく「映画への愛」を描いているって、言われているけど、
それってどういうこと?
「ぼくも、どういうことかなと、
もしかしたら、原作に“映画愛”の要素を加えたのではないかと、
監督が、映画生誕10年を祝ったドキュメンタリー
『A Personal Journey with Martin Scorises Through American Movies』
『マーティン・スコセッシ 私のイタリア映画旅行』などを手掛けた
あのスコセッシだけにね…。
ところが、なんとこれって原作自体が
映画史上、もっとも重要な、
あるひとりの作家を取り扱ったものだったんだ
まさに彼のためにあるような原作」

----へぇ~っ。
てっきり、パリの時計台に住む少年の物語とばかり…。
「それには間違いないんだけどね。
主人公は、時計職人で、博物館の所蔵品の修繕もしていた父親(ジュード・ロウ)を亡くし、
冷酷な叔父に引き取られた少年ヒューゴ(エイサ・バターフィ-ルド)。
ある日、駅構内のオモチャ屋に忍び込み、
ネズミのオモチャを盗もうした彼は、
店主のジョルジュ(ベン・キングズレー)に捕まってしまう。
ポケットの中身全部を調べ上げられるヒューゴ。
彼は、その中でも最も大切にしていた
父の遺したノートを取り上げられてしまう。
そのノートには、
父が亡くなる直前まで心奪われていた“機械人形”の修理方法が描かれていた。
ジョルジュは、決してノートをあきらめないヒューゴに、
盗んだ分を働いたら返してやると譲歩する。
かくしてジョルジュの店に通うことになったヒューゴは、
そこでジョルジュの養子イザベル(クロエ・グレース・モレッツ)と出会い、
心を開くようになっていく…」

----ふむ。その著名人はジョルジュという名なのだニャ。
ジョルジュ、ジョルジュ、ジョルジュ…。
誰だろう?
「う~ん。
これは映画史に興味を持っていないと出会わない名前かも。
その手の本には必ず出てくるんだけどね。
答は、特撮の父ジョルジュ・メリエス
ほんとうは、この答を明かすべきかどうか迷ったんだけど、
プレスの裏に、彼の代表作、
最初のSFとも言われる『月世界旅行』のワンシーンが載っているから、
まあ、いいのかな?って。
とは、言いつつも、
ぼくはこの映画がメリエスを扱っているとは知らなかっただけに
ほんとうに嬉しい驚きだったんだけど。
それこそ学生時代にアテネフランセで観て以来だもの」

----ニャるほど、メリエスだったらオモシロそうだ。
「でしょ。
さて、この映画、
父を失ってこっそり隠れ住んでいたヒューゴが希望を取り戻すまでを、
“映画”そしてジョルジュ・メリエスとの関わりの中で描いていく。
それだけに全篇が見逃せないシーンの連続。
おそらく、人によっていろんな楽しみ方ができると思うけど、
ぼくはこれをスコセッシの“3D支持宣言”と取ったね。
冒頭の、パリに降る雪、光にきらめく綿ぼこりなど、
この映画それ自体もスペクタクルではないディテールにおける3Dの魅力を謳っているけど、
いちばん注目してほしいのが
メリエスが特撮を駆使した『A Thousand and One Nights』を撮影シーンもろとも見せていること。
この『ヒューゴの不思議な発明』が3Dであるだけに、
撮影シーンの向こうに描かれた撮影中の『A Thousand and One Nights』も3Dとなる。
特殊効果の萌芽的な撮影がいかにしてなされていたかが、いまの最新の3Dで楽しめるわけだ。
実は、ジョルジュ・メリエスはマジシャン上がり。
リュミエール兄弟の『シネマトグラフ』を観て、
そこに新たな可能性を感じ取り、
映画にストーリー性を持たせたり、カット割りなどを使用。
もし、そんな彼が現代にまだ生きていたら…」

----それは3Dに手を出すに違いないニャ。
「そういうこと。
ここにスコセッシがこの映画を撮ったわけ、
しかも3Dで…という理由が見えてくる。
そう言う意味でも興味深い作品だったね」


                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「アカデミー賞最多11部門ノミネートなのニャ」身を乗り出す

※映画ファンにはたまらない映画だ度

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『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』

2012-02-05 00:18:12 | 新作映画
(英題:Sherlock Holmes : A Game of Shadows)



----昨日だっけ。
この映画ってツイッターで呟いたら、
耳に痛いご指摘をいただいちゃったよね。
「う~ん、お叱りというわけではないと思うけど、
安易な言葉で呟いてしまったのはまずかったかもね。
その呟きとは
『「シャーロック・ホームズ シャドウゲーム」、
これはオリジナル・キャラのエッセンスを使ったアドベンチャー・アクション。
エンターテイメント・ムービーだな。』というもの。
それに対していただいたレスが
『ホームズはともかく日本語名詞が一つも入っていないのに驚いた』。
でも、この映画、これにつきちゃうんだ。
ぼくが子どものころ読んだホームズとは別モノ。
というわけで、今回は、この呟きに添って話をしよう。
フォーンは、ホームズと言うと
どんなジャンルの物語だと思う?」

----それは決まっているよ。
推理モノ。ミステリでしょ?
「だよね。
ところが、この映画、
前作『シャーロック・ホームズ』 にもまして
その推理要素は後退。
推理も確かにあることにはあるんだけど、
それは最後の最後にホームズがモーリアック教授に対して優位に立った時、
“実はあの時…”という形でタネを明かすという、
いわゆる『木更津キャッツアイ』パターン。
本作最大の見どころは全編を貫くアクション。
もとより、原作でもホームズは格闘技に優れているとなっているし、
その描いているところは、決して間違いではないんだろうけど、
彼の武闘能力が並外れているために、
ミステリーの要素が影に隠れてしまうんだ」




----ちょっと待って。
そのモリアーティ教授というのは?
「これまた、
原作では人気のホームズのライバル。
今回は、そのモリアーティ教授が政商よろしく立ち回る。
表では国際会議に出席しながら裏では戦争の火種を作っている」

----具体的には?
「一見、アナキストの仕業であるかのように見せて
ヨーロッパ各地で爆破事件を起こしているという設定。
その真の目的は、戦争によって武器と包帯の需要が増え、
自分のふところが膨らむことにある。
さてそして、ここにもうひとりの新たなキャラ
ホームズの兄マイクロフトが登場。
このモリアーティとマイクロフトそれぞれを、
ジャレッド・ハリス、スティーブン・フライ
というふたりの名優が演じている」

----主演とかは変わらないんだよね?
ヒロイン役でレイチェル・マクアダムスもまた出てるんでしょ?
「うん。
ホームズがロバート・ダウニーJr.、
ワトソンがジュード・ロウ

原作未読の、とりわけ今の若い人には自然に受け入れられるだろうね。
でも、くどいようだけど、
ぼくのような古い時代の愛読者にはね~。
映像にしてもあまりにカッコよすぎるんだ。
砲弾が飛び交う中での脱出、
そして前作にも出てきたホームズの“格闘予想”における
超スローモーションとストップモーションの組み合わせは、
この21世紀ならではの映像。
スタイリッシュすぎる。
そういえば、もうすぐ公開されるドラゴン・タトゥーの女』のオリジナル、
スウェーデン版でリスベットを演じたノオミ・ラパスも重要な役で出演。
こちらもファンには見逃せないかもね」

----あれれ?その『ドラゴン・タトゥーの女』、
観たはずなのに、まだお話を聞いてない気がするけど…?
「……mmmmmm」



                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「カッコよすぎるのが気に入らないというのは問題ではないのかニャ」複雑だニャ
※だから「エンターテイメントとしては楽しめる」と言っているんだ度

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『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』

2012-02-04 00:08:25 | 新作映画
(英題:Extremely Loud & Incredibly Close)



「なるほど。
これは評判がいいのもうなずける。
基本となる物語がよく練られているのはもちろんのこと、
演技、撮影、そしてそれらを束ねる演出が申し分ない。
ハリウッド映画って、どうしてこんなに隙がないんだろう? 
これはまさに丁寧な職人の仕事」

----へぇ~っ。最初タイトルを聞いたとき、
これニャに?って思ったけど…。
「それはぼくも同じ。
しかし、観てみてよく分かった。
この映画、最大の感動は
“ありえないほど近い”が何かということが分かった瞬間に訪れるんだ」

----う~ん。よく分からないニャあ。
そもそも、どんなお話ニャの?
「主人公は新人のトーマス・ホーンが演じる少年オスカー・シェル。
9.11で父トーマス(トム・ハンクス)を失った彼は、
父のクローゼットで見つけた鍵に心動かされる。
この鍵に合う鍵穴を見つければ
父からのメッセージを受け止められるはずだと考えるんだね。
そこで、鍵が入っていた封筒に書かれたブラックという文字を頼りに、
ニューヨーク中のブラックという名前の人を訪ね歩く…
と、こういうお話だ」

----ニャるほど。
さっき、“名優”と言っていたけど、
それってトム・ハンクスのこと?
「彼もそうだし、
母親役のサンドラ・ブロックもそう。
いつもにはなく抑えた演技ながら
最後にはいいところをさらっていく。
しかし、今回最大の注目株は
アカデミー助演男優賞にノミネートされたマックス・フォン・シドー
ベルイマン映画のベテランとして知られる彼が演じるのは、
オスカーの祖母の部屋の間借り人となる老人。
ある過去の事件がトラウマとなっていて彼は失語症に…。
つまり、マックス・フォン・シドーは無言の演技を続けるわけだ。
その老人に対し、
オスカーが自分の思いを一気に爆発させるシーンがある。
その中で、オスカーは父親の9.11当日の留守電を彼に聞かせる。
それを聞きたくないと、遮ろうとする老人。
いわば“受け”で感動を誘う演技…
これはもうさすがと言うほかない」

----その老人って?
「彼は、オスカーと一緒に“ブラックさん探し”を続けるんだ。
9.11以降、祖母が彼に部屋を貸した意味など、
あとで考えると
この映画、それぞれの気持ちを
あえて言葉にはしようとせずに描いていることが分かる」

----でも、いずれにしろ、
そのブラックさんを探すっての、
あまりにも無謀じゃニャい?
「ところが、
オスカーは、独自の才能によって効率的にやる方法を見出す。
実は、冒頭の方で
彼と父マックスの関係がじっくり描かれている。
最初は、よく分かりにくかったけど、
この父親は、ある種の発達障害を持つ息子オスカーから、
その好奇心を引き出し、社会と関わりを持てるような子育てを行なっているんだ。
もし、この父親がいなければ
彼は家に引きこもっていたかもしれない。
で、ここは知らないと分かりにくい部分でもあるけど、
この(広汎性)発達障害を抱えた少年というのは、
反面、驚くほど知能が高いケースもある。
この映画で、オスカーはアスペルガー症候群の検査を受け、
その結果は“不確定”…となっていると説明されている」

----ふうん。
ここまで聞いた限りでは
あまり9.11は関わってこない気もするけど…?
「それについては、
説明できない不条理なことといった描き方に近いね。
なぜ、それが起こったのか、
それによって多くの人たちの命が奪われなければならなかったのか…。
政治的人間ではない一般市民にとってはどうしても理解できない。
大人がそうだから、ましてや子どもには…。
それともう一つ。
僕らがこれまで見てきた9.11ツインタワーの多くは
下から見上げたもの
しかし、ニューヨークで働く多くの人たちは同じく高層ビルの中、
かなり高い位置から真正面に“それ”を目撃している。
それは文字通り言葉を失う映像だったね」


                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「タイトルはふざけているようで、内容はしっかりしているのニャ」複雑だニャ
スティーヴン・ダルドリー監督は<謎>を孕ませながら物語を展開する映画に抜群の手腕を発揮する度

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『ヤング≒アダルト』

2012-02-01 22:21:28 | 新作映画
(英題:Young Adult)



「いやあ。
これはオモシロかった。
ほんとうによく考えられた脚本だ」

----えっ。この映画って、あれでしょ。
勘違いのタカビー女が、
高校時代に付き合っていた元カレからのメールで、
赤ちゃんが生まれることを知り、
幸せな結婚生活を壊してカレを自分に取り戻すべく
故郷に乗り込むという…イタイ女性のお話…」

「そうだよ。
で、この映画が公開されたら、
こういう意見が大多数を占めるのも想像つく。
『あれはないよ。空気が読めない以前の問題だ…』。
でも、ぼくは思うんだ。
じゃあ、なぜ、そんな誰も共感しないような女性の物語を
この監督(ジェイソン・ライトマン)は映画にしたんだろうって…」

----そう、そこが分からないところ?
「じゃあ。
たとえばみんなが褒める
コーエン兄弟の 『ノーカントリー』とかはどうだろう?
あんな猟奇殺人鬼にみんな共感なんかしないよね。
でも、いつの間にか惹きつけられて観ちゃう。
ということで、まずはストーリーのおさらい。
高校時代にみんなから一目置かれた女性メイビス(シャーリーズ・セロン)。
都会に出た彼女は仕事では、まあまあの成功を収めているものの、
こと、男性に関してはせいぜい一夜限りの付き合い程度。
そんな中で、自分のよりどころだった
連載小説(と言ってもゴーストライターとして関わっているわけだけど)さえも打ち切りになることが決定。
そこで、過去の栄光にすがりつき始める。
彼女に火を付けたのは一通のメール。
その昔付き合ったことのあるバディ(パトリック・ウィルソン)が、
あの頃のことをまったく忘れ、
いまや善きパパ善き夫として
日常の幸せの中に入って行こうとしていることを知ったメイビスは、
勝手に『それは彼の本心ではない』と勘違い。
助けに向かうというお話」




----結局、身勝手じゃニャい。
「ところがこの映画、
なんとかにも一分の理じゃないけど、
彼女の言い分も十分に聞く。
しかも、高校時代はメイビスからはそっぽも向かれなかったマット(パットン・オズワルド)、
そしてその妹サンドラ(コレット・ウォルフ)などを登場させることで、
彼女にもある種の救いを差し伸べる」




----救いって…?
『もっとも哀れなのは“忘れられた女”』という、
マリー・ローランサン(『鎮静剤』)の詩
の一節もあるけど、
この映画では、そこまでメイビスを貶めない。
マットはメイビスにバディに近づくなと忠告。
一方で、サンドラは今でもメイビスの生き方に憧れている。
もっとも、マットに下心がなかったかと言うとこれは怪しいけど…。
一方、バディにも優柔不断という弱みもある。
でも、そういうところまで描ききっているからこそこの映画はオモシロイ。
言葉で、『あれはダメ、この人はイヤ』ですむんだったら映画にする意味なんてない。
ヒトの不思議さオモシロさ。
そして他の人との関わりの中でどう変わっていくか…。
それが映画をダイナミックに動かす。
そういう意味でもぼくはこの映画は本当に楽しめたね」




                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「映画は、ヒロインの生き方が好きか嫌いかじゃないということなのだニャ」
※タイトルバックもお見事だ度

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