ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

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『アルゼンチンババア』

2007-01-31 14:25:47 | 新作映画
※ラストカットを記しています。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただくことをおススメします。


「そうか、長尾君は
このアップが撮りたかったんだなあ」

----ニャにニャに?いきなり監督を“君”づけ?
「実は彼の映画は
『THE GREAT ADVENTURE OF PHOENIX』など
早稲田の学生だった頃の作品から観ているんだ。
当時の学生映画は実験&観念的な作品から
エンタメ的に物語へと移る過渡期にあった。
そんな中で、
『えっ、これが8ミリ?』と思わせるほどの
原色を強調した色彩と切れのいい編集によって
独自のポップな世界を作り出しているのが彼、長尾直樹だった。
ちょっと個人的なことを言えば、
ン10年前に仕事を手伝ってもらったこともあるんだ。
以後、ブラジルのグラウベル・ローシャ監督に師事したとは聞いていたけど、
その名が日本でも出てきたのは
初の劇場映画『東京の休日』から。
で、再会したのが『鉄塔武蔵野線』のPFFでの上映のとき。
以後、年賀状のやり取りだけは続いているってわけ」

----へぇ~っ。
でも『アルゼンチンババア』の話はどこへ行ったのよ?
「もうちょっと待ってね。
その年賀状のデザインがここ数年、
日本のクラシック映画の大女優たちをあしらったものに変わってきていたんだ。
で、一昨年は、その裏に
「今年こそ、こんな奇跡の一瞬をつくりたいと願いつつ
●○●さんで御挨拶!」と一文あったわけ。
そして昨年の年賀状には
「どメジャーかどマイナーか、
いずれにしろ今年は新作に入ります。乞御期待!!」。
つまり、その“新作”がこの『アルゼンチンババア」だったというわけだ」

----これって確か、よしもとばななの原作だよね?
「うん。彼女の原作はこれまでに
『つぐみ』と『キッチン』が映画化されている。
村上春樹と並んで世界で人気のある作家の小説だけに
注目度も高いとみたね」

----主人公のアルゼンチンババアは鈴木京香だっけ?
最初に話したのは彼女のアップのこと?
「いや。
ぼくは、ヒロインみつこ(堀北真希)の母・良子を演じた手塚理美のアップに
それを感じたね。
お話を簡単に説明すると、
みつこは、父と母の3人家族。
イルカが大好きだった母・良子が病死し、
なぜかその日に限って病院に顔を出さなかった
父・悟(役所広司)は、突然、姿を消してしまう。
半年後、父は広い草原にポツンと立つ風変わりな屋敷で発見される。
そこには、町の人々が『アルゼンチンババア』と呼ぶ
謎の女性・ユリ(鈴木京香)が住んでいた。
みつこは勇気を奮い起こし、父親奪還に向かうが……。
ぼくは、この映画の制作過程を知らないから、
長尾君が自ら望んだ企画なのかどうかさえ分からない。
物語は原作ものだし、
内容云々よりも長尾君色がどう出ているか
そこに興味を持って観たわけだ

----先ほどの話だと、まず<色>だっけ?
「うん。
イエロー系のフィルターを使ったのかな。
アルゼンチンババアの敷地に近づくと、
全体が温かい黄緑色のトーンになるんだ。
青空にも黄色みが少しかかっている。
アルゼンチンババアの屋敷も実際にオープンセットを設営。
CG頼みにしていない手作り感が嬉しかったね」

----ふうん。
あれっ?
手塚理美が演じる母親はすぐ亡くなっちゃうんだよね。
「そう。良子は回想シーンで出てくる。
海でイルカを発見し、大はしゃぎの彼女の帽子が宙に舞う。
そのとき空を見上げた良子の表情に、
実は2年前の年賀状の大女優の笑顔が甦ったんだ。
ああ、なるほど。
長尾君は女優のこの<一瞬>が撮りたかったんだってね」

----でもそれだけじゃ映画にならないのでは?
「ところが、もう一つの素晴らしい表情が
ラストに出てくる。
みつこ=堀北真希が空を見上げる、その<一瞬>だ。
ここでぼくの脳裏には、アルゼンチンババアの鈴木京香ではなく、
母・良子=手塚理美の顔がフラッシュバック。
すると、みつこ=堀北真希は口にする。
『お母さん』。
いやあ、ゾクッときたね。
これぞ映画でしか撮れない世界だ.
長尾君の手の上で親と子は一体化したと言うわけだ」

----ニャるほど。となると今年の年賀状は?
「もちろん。
この映画のラスト、そのアップだよ。
長尾君は見事、<奇跡の一瞬>を撮りあげた。
ぼくはそう思ったね」


  (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ネコさんもたくさん出ているらしいニャ」いいねぇ

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『ネバー・サレンダー 肉弾凶器』

2007-01-28 18:53:16 | 新作映画
(原題:The Marine)

----ジョン・シナってだれよ?
「ぼくも知らなかったけど、
WWE(ワールド・レスリング・エンタテインメント)のスーパースターらしい。
WWEでは持ち込まれた企画やオリジナル脚本、
書籍、記事の中から選りすぐった自社映画の企画立ち上げに出資しているんだって」

----と言うことは、アクション映画で間違いないよね。
「オフコース(笑)。
お話は一言で言えちゃう。
シナ演じる海兵隊員ジョン・トライトンは、
イラク戦での決死の救出の際に取った行動が軍法に触れて除隊に。
愛する妻との新生活を始めるものの、
妻が残虐なダイヤモンド強奪団に誘拐されたことから、
野獣の怒りを爆発させ、必死の追跡を始める!
あら、二言だった(汗)」

----それって、これまで
アクションで何回も描かれたパターンだ。
「でも、それだからこそ
この映画はオモシロいんだ。
80年代のアクションのように
爆発炎上の繰り返し。
主人公は爆風に追われるように危機一髪で飛び出し、
川の中に逃げ込む」

----調子よく川があるんだ?
「うん。川沿いの森の中、
湿地を追いつ追われつ。
ここはもどかしさを強調してるはずなんだけど、
ジョン・トライトンは軽々と突き進む」

----あれっ?なんか茶化してニャい?
「いや、そんなことないよ。
もちろんツッコミ始めたらキリないけどね。
たとえば犯人たちが誘拐したジョンの妻なんて、
どこかに置き去りにすれば、
主人公はそれ以上追ってこないのに
なぜかいつまでも連れ回っている(笑)」

----じゃあ、ダメじゃん。
「でも、アクションの密度は高いしなあ。
アクション映画に欠かせない悪党一味も個性派ぞろい、
そのためいつも一触即発の仲間割れ状況。
そんな中、彼らは仲間を粛正しながら逃げるんだ」

----悪党のボスをロバート・パトリックが
演じていると聞いたけど?
「うん『T2』のね。
彼の徹底した非情さも懐かしい。
部下の一人が、
不死身のジョンのことを『タ-ミネーターみたいだ』と言う。
するとボスが彼をじろり。
ここには笑ったね。
ただ、その爆破炎上ぶりから言えば
同じシュワルウェネッガーでも
『コマンドー』の方が近かったかな」

   (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「クライマックスは『カジノ・ロワイヤル』だニャ」ご不満

※ツッコミ始めたらきりないけ度
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『バッテリー』

2007-01-27 17:57:08 | 新作映画
「いやあ、これは折り目正しいというか
実に端正な映画だったね」

----ん、どういうこと?
「どのショットも、まったく浮つくことなく
その構図に落ち着き、安定感があるんだ。
スクリーン・サイズはスコープ。
本来ならば、このサイズは風景の広がりを見せたり、
人物と人物の関係を描くのに向いているんだけど、
なぜかアップ、もしくはバストショットが多い。
まるでスターで客を呼んでいた60年代の日活映画のようだった。
しかも登場人物のポジションは
決まってスクリーンのセンター。
青春映画と言うと、その悩みや焦燥を描くことが多いせいか、
不安定な構図が多いけど、
これはどっしりとしている」

---ふうん。それってストーリーだけ追っていたら気づかないかも。
だけど、なぜそんなことをするんだろう?
「それはこの映画が扱っているモチーフやテーマと
深く関わっているんじゃないかと思うんだ。
ストーリーはあえて言うほどのこともない青春ものの王道。
天才ピッチャー、原田巧。
過去に自らの豪速球ゆえにキャッチャーが捕球できず
サヨナラ負けを喫した痛みを持つ彼は、
父親(岸谷五朗)の転勤先で永倉豪という男と出会い、
バッテリーを組むことになる。
巧には病弱な弟・青波がいて、
母(天海祐希)は彼ばかりを気にかけている。
巧の祖父(菅原文太)は、
多くの選手を甲子園に送り出した
かつての名将。
その最後の教え子でもある戸村真(萩原聖人)は、
中学の野球部の顧問として、いま巧と向き合う…というお話だ。
この物語は大ベストセラーの原作を持つらしいんだけど、
映画を観て分かったのは、
中学生の描き方が子供目線と言うこと。
友情だの挫折だのと言う、ありきたりの青春ものでなく、
そのベースに、反抗期特有の強烈な自我が横たわっている。
先生や親に対する巧の物怖じしない態度、
巧と豪の関係も、それぞれのプライドがぶつかり合って見応え十分だ。
よくキャッチャーはピッチャーの女房役と言うけど、
自信家で嫌われやすい巧を
豪はどんなときも、その明るい笑顔で気持ちを楽にさせる。
だが、そんな豪も、
巧が過去の痛みから
豪速球を投げてこなかったことをきっかけにガタガタに。
やがてそれはバッテリー間の乱れとなっていく」

---あれれ。ストーリーを語っていない?
「もう少し待ってね。
そんな豪が巧にかける言葉、
その中でももっとも印象に残るのが『ど真ん中じゃ!』。
つまり、映画は真っ向から直球勝負する青春を描く。
そしてそれを象徴するのが
スクリーンの真ん中に構えられたキャッチャーのミットというわけだ。
だからこそ青春の主人公である彼ら少年たちも、
そのミットめがけて自分を、そして青春を投げ込んでゆく。
野球を初めて体験した巧の父親が言う。
『野球は気持ちを伝えるスポーツだ』と…。
この映画は映像でそれを語ることに成功した希有な例。
バッテリーの乱れが野球の大敗に繋がるという
野球の根本を見事に見せてくれる。
エンドクレジット前のラストショットも
これしかありえないスクエアな映像。
ほんとうに気持ちのいい映画だったね」


 (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「これは本格野球映画でもあるニャ」身を乗り出す
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『ロッキー・ザ・ファイナル』

2007-01-26 18:12:52 | 新作映画
(原題:Rocky Balboa)

----今度の『ロッキー』って
16年ぶりなんだって?
「うん。
前作『ロッキー5/最後のドラマ』が
監督に第1作のジョン・G・アビルドセンを迎えて作ったにもかかわらず
クライマックスをストリートファイトにしたことなどで、
ファンの評価が低く、
シリーズ最低の興行収入に終わってしまった。
今回は、その汚名返上と言うわけだね」

----と言うことは、あのリング上での戦いが再現されているんだ。
「そういうこと。
しかもクライマックスに限らず、
全編が『ロッキー』第1作にそっくり。
まるでアナザー・バージョンを観ているかのよう。
今回の『ザ・ファイナル』の物語は
エイドリアンの命日から始まる。
ロッキーが地元フィラデルフィアの街をさまよい、
エイドリアンとの想い出の地を訪れるたびに、
彼女の面影が第1作の映像によって
オーバーラップされてくる」

---あっ、ペットショップやスケートリンク…。
「よく覚えているね。
エイドリアンとの想い出に生きるロッキーは、
自らが経営するレストランで
昔の試合を客に語って聞かせる毎日を送っている。
だが愛する妻との間に生まれた息子のロバートは
親の七光りによってようやく就職できたこともあり、
有名人であるロッキーに対して複雑な感情を抱いている。
闘いの日が過去のものとなり、
息子ともしっくりいかないロッキー。
心の空白が埋めきれない彼は、
再びプロボクサーのライセンスを取得することを決意。
一方、リングでは
現役ヘビー級王者ディクソンが向かうところ敵なし。
その<瞬殺>ゆえにファンからは強烈なブーイングを浴びていた。
そんなある日、スポーツTV局が、
ロッキーとディクソンの対決をCGでシミュレーションし、
これが大きな話題を呼ぶ。
そこでディクソンのマネージャーは、
チャンピオンの人気挽回のため
ロッキーとのエキシビション・マッチを企画。
かくして映画はロッキーの復活への路を描いてゆく…」

----ゴクッ。もちろんポーリーも出てくるよね?
「もちろん。
彼が勤める肉屋で肉をサンドバッグがわりに叩くシーンもある。
あ、ついでに言えば、生卵の一気飲みも、犬をつれて街を走るシーンも、
そしてロッキーと言えばこれ、
『Gonna Fly Now』が最高潮に盛り上がるフィラデルフィア美術館の階段もね」

----あらら。本当に同じだ。
でも、えいは確かこの第1作を…。
「そうなんだよ。
リアルタイムで最初に観たときから
どこがそんなにいいのか分からなかった。
と言うのも、物語がすべて<お約束>。
街をさまよい無目的に生きる若者が
チャンスをモノにして努力の末、愛と栄光を掴む。
決して悪い話じゃないけど、
主人公に感情移入がしづらかった。
リングでの試合経過は、
ラウンドを示すボードだけで次々と進んで
あっという間にファイナル・ラウンドがやってくる。
『シンデレラマン』『ミリオンダラー・ベイビー』のように、
じっくりと描き込むことはしないんだ。
スタローンが作品の大ヒットで一躍スターダムに上り詰めたのは確かだし、
映画史上の奇跡でもあるんだけど、
同年の『タクシードライバー』を押さえてのオスカーは
少し解せないなあ。
今回の『ザ・ファイナル』でも不思議だったのは、
現役チャンプは最初からヒール扱い。
登場するだけでブーイング。
でもロッキーが出てくると、歓呼の大合唱」

----でも、それは分かるな。
今回に限っては、
ファンみんなも「ロッキー伝説」を知っていて
その復活を祝しているってことでしょ?
「そうだね。
あれから約30年。
リングアナも『当時、自分はまだ子供だった』と興奮していた。
ぼくはこの『ロッキー』が当時オスカーを獲得した裏には、
アメリカン・ニュー・シネマの台頭で
ペシミスティックになりすぎ夢を失っていったハリウッドに
往年の力を呼び戻そうと言う
アカデミー会員たちの思惑があったのではないかと思うんだ」

----ニャるほど。
それまでのアメリカ映画って、
アメリカン・ヒーローとは正反対の主人公が多かったものね。
「そう。ダスティン・ホフマンやアル・パチーノみたいに、
どっちかと言うとひ弱なタイプが人気を博していた。
同世代の若者の共感を得ていたということだね。
ところがスタローン以降、映画は一気にマッチョ復権。
あっ、これはまた別の機会に…。
またまたこの映画に話を戻せば、
ロッキーが息子を諭す言葉がなかなかいい。
『自分を信じられなければ人生ではない』。
ここには『ロッキー』のスピリッツを次世代にと言う
脚本家シルベスター・スタローンの思いが感じられる。
でも、ファンはこれで終わるのかと思えば寂しいだろうな」


 (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「フォーンは、猫好きだったらどっちでもいいニャ」もう寝る

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『ラストキング・オブ・スコットランド』

2007-01-25 18:39:38 | 新作映画
(原題:The Last King of Scotland )

----この映画、ウガンダのアミン大統領のことだよね?
「うん。このアミンと言う人は
人間の肉を食べると言われていて、
子供ながらに戦慄したものだった。
失脚してからも
『食人大統領アミン』という映画が作られたりして、
やはりその噂は本当だったのかと…」

----実際はどうだったの?
「その映画『食人大統領アミン』は
さすがに観る気がしなく
実際にこの目で確かめてはいないんだけど、
タイトルにも使われているくらいだから、
どうやら肉片を口にするシーンくらいはあったみたい。
ただ、事実関係としてははどうだったんだろう?
やはり一種の都市伝説みたいなものなのかなあ」

----でも、この映画って主演のフォレスト・ウィテカーが
アカデミー主演男優賞にもノミネート。
他の映画賞も総ナメと言うから、
興味本位に作られているとは思えないけど…。
どんなお話なの?
「物語は実に分かりやすい。
スコットランドの医学校を卒業したニコラスが
自分の技術を役立てようと
ウガンダのムガンボ村にやってくる。
ときは、1971年。
軍事クーデターによってオボテ政権が倒れ、
イギリスの支援を受けたイディ・アミンが新しく
大統領の位置に就いた直後のこと。
元ヘビー級ボクシングのチャンピオンであり、
軍隊のヒーローでもあるアミン。
彼が国の将来への希望を熱く語る彼の姿を見て、
未知の土地へ来たばかりで高揚しているニコラスの心は、
あっという間にアミンに惹き付けられてしまう。
たまたまアミンの捻挫を治療する機会を得たニコラスは、
その処置が気に入られ、彼の主治医として迎え入れられるが…」

----ふむふむ。食人大統領と言われるくらいだから、
ここから彼の狂気が始まっていくわけだね。
「そう言うこと。
猜疑心が強いアミンは、
自分たちの乗った車列への襲撃をきっかけに
内部から情報が漏れているのではと、
側近を次々と粛正してゆく。
そんな中、ニコラスは
アミンの代理として重要な会議に出席。
主治医以上の仕事を与えられた、その期待に応えようと
ニコラスは周囲の不審な動きを彼に密告する。
ところがそのガセネタのために
一人の側近が死刑に。
深い自責と後悔にかられた彼は、
帰国の途に就こうとするが、
なんとイギリスのパスポートを取り上げられてしまう」

----でもウガンダには他のイギリス人もいたわけでしょ。
どうしてニコラスは彼らに助けを求めなかったの?
「そこがこのタイトルとも関係してくるところ。
ニコラスは自分がイングランドではなく
スコットランド人だと言うことを強調。
他のイギリス人に対しても一線を引いている。
一方のアミンもイギリスに対し、強硬な姿勢を取り、
自分を『ラストキング・オブ・スコットランド』と呼ぶわけだ」

----ニャるほど。
となると、この映画は
ニコラスがウガンダから脱出できるかどうかがポイントとなってくるね。
「そう言うこと。
後半、ニコラスはアミン暗殺を企む。
それを映画は
実際に起こったエンテベ空港でのエア・フランス機のハイジャック事件と絡めて描いている。
もちろんニコラスと言う人は実在していないわけで、
そこにはフィクションが混じってくるわけだけど、
暗殺未遂とその発覚、拷問、
そして脱出と続くスリリングな流れは
70年代のサスペンス映画を観ているような興奮がある。
映像の肌触りもあの頃のもの。
あえてクリアにしてはいないところが時代を匂わせる」

----フォレスト・ウィテカーはやはり本命?
「うん。
それがモノマネとかモノマネじゃないとかいう次元を超えて、
彼の演技は一人の特異なキャラクターを編み出している。
ここで描かれるアミンと言う男とは
個人的には決して知り合いたくないけど、
スクリーンで観る分にはゾクゾクする。
気分屋ゆえに
次に何が起こるのか
まったく読めないわけだからね。
ただ、こういう人ほどトップに立ちやすいと言うのは、
いまの日本でも同じだね。
アミンは自分の耳に心地よいことを言ってくれる
イエスマンの取り巻きだけで周囲を固める。
そのため側近たちは
彼を喜ばせることで保身を計り、
本質的に重要なことは口にしない」

----ホントだ。日本の会社構造に似ているね。
「話変わるけど、
ニコラスを演じているのはフォーンをやった人だよ」

----えっ?
「ほら、『ナルニア国物語 第1章・ライオンと魔女』 のタムナスさん。
あと、『X-ファイル』のスカリー捜査官ジリアン・アンダーソンも出ているよ」



  (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「フォレスト・ウィテカー、取るかもニャ」ぱっちり

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『バベル』

2007-01-24 12:02:03 | 新作映画
(原題:Babel)

----アカデミー賞ノミネートが発表されたね。
この『バベル』って7部門でノミネートでしょ?
「うん。
今日は最初は『ロッキー・ザ・ファイナル』のお話にしようと思ったけど、
急遽、こちらに」

----『バベル』って「旧約聖書」にも出てくるよね。
確か、神に近づこうとした人間たちが
天まで届く塔を建てようとして、
神の怒りを買って、言葉を乱され、世界をバラバラにされたと言う…。
「おいおい。フォーンは本当に猫なの(笑)。
この映画の監督アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥは
これまでにも『21g』などで、
いくつかのエピソードを並列させ、
しかも時制をバラバラにして描く手法を取っている。
この『バベル』はその集大成とも言うべき作品」

----そう言うのって、観ていて混乱しない?
「そこがこの監督の才能だね。
最初は、あれって思っても、
その混乱は頭の中ですぐに軌道修正ができる程度。
しかも、それが脳を刺激ししてかえって心地よいんだ、
もちろん、ラストではすべてのピースが繋ぎ合って
きっちりと大団円へと持っていくしね。
さらに言えば、エピソードとエピソードを
同じ方向線、類似した効果音で繋いで見せたりもする」

----それはゾクゾクするよね。
ところで今回はどんなお話なの?
「モロッコで山羊飼いの少年によって放たれた銃弾。
それがアメリカからの旅行客に当たってしまう。
この旅行客夫婦(ブラッド・ピット&ケイト・ブランシェット)は
過去のある事件が基で夫婦仲に亀裂が入っている。
彼らは自宅に子供たちを残してきているんだけど、
乳母であるメキシコ人の女性(アドリアナ・バラッザ)は
息子の結婚式にするべく子供たちをつれて国境を超える。
一方、東京では一人の聾の女子高生(菊地凛子)が
自分の中の心の空白を埋めようともがいていた」

----あれっ?東京のエピソードだけ浮いていない?
「プレスにはこう書いてあった。
『モロッコの片隅で偶然放たれた一発の銃弾が
アメリカ、メキシコ、日本の孤独な魂を繋ぎ合わせてゆく』。
ぼくはこれを文字どおり解釈していたものだから、
日本で彼らの命が救われるのかと…。
役所広司は医者の役かななんて
思って観ていたらまったく違ったね」

----だって、それじゃニコラス・ケイジ『ロード・オブ・ウォー』だ(笑)。
「正解は菊地凛子演じる女子高生の父親役。
日本からは、あと二階堂智が出ているんだけど、
彼のたたずまいがなかなか魅せてくれる。
アクの抜けた渡部篤郎って感じかな」

----噂の菊地凛子は?
「あの役はオスカー会員受けしそうだね。
本人いわく『この役は私にしかできない、そう思いました』と語っているけど、
彼女は人生の勝負に出たね。
目線の強さもさることながら、あそこまで体を張った演技は
ちょっとやそっとの覚悟でできるものではない」

----それって、どういうこと?
「喉まで出かかってはいるんだけど、
やはり言えないなあ。
ある映画(※ネタバレ気味=それでもいい人は下欄参照)を引用すれば楽なんだけどね。
ぼく個人としてはアドリアナ・パラッザの熱演に目を見張ったんだけど、
彼女も助演女優賞にノミネートされていたね。
主演男優賞ノミネートも含め、
今年は有色人種にスポットが多く当たっているみたい」

----この映画がオスカー取る可能性はあると思う?
「昨年、似た手法の映画に『クラッシュ』があったし、
近年、ヘビーなテーマの作品の受賞が続いているから
今年は『ドリーム・ガールズ』かと思ったら、
こちらの作品賞ノミネートはなし。
現代の混沌とした世界を、
言葉が異なるいくつかの地域に区切って描き、
その文化の違い、貧富の差を提示しながら、
夫婦、兄弟、姉と弟、父と娘、娘と母、叔母と甥、さらには乳母と、
家族を軸に、愛や性や暴力など、
さまざまな断面を切り取ってゆく。
そしてそれらカオスの果てに生じた絶望の淵から
再生への希望を覗かせるんだから、
やはりこれは稀なる傑作。
しかも監督の手法にピッタリあっている。
『ドリーム・ガールズ』が消えたことで
一躍、最有力に浮上してきた気がするな」



    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「これは観なきゃ分からなそうだニャ」ぱっちり

※緊迫の143分だ度
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※注:今年のラジー賞最有力候補映画の前作の有名なシーン。
   続いてジム・ジャームッシュのある作品も。
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『ナイト ミュージアム』

2007-01-23 01:45:04 | 新作映画
(原題:Night at the Museum)

----これ、予告編観たよ。
ティラノサウルスの骨が夜警を追っかけていた。
確かその役はベン・スティラーだよね?
「うん。
もう、それですべて説明がついちゃう。
と言うことで、これ以上はお話の必要ないかな」

----それ、あまりにも無責任だよ。
もう少し、見どころとか説明してよ。
「う~ん。そうだね。
ジオラマの中のローマ皇帝がグラディエーターの兵士を連れて
西部開拓時代のカウボーイ(オーウェン・ウィルソン)と大乱闘。
かと思えば、モアイ像が風船ガムを噛み、
ネアンデルタール人がライターで火をおこす。
あとは、セオドア・ルーズベルト大統領が
ネイティブアメリカンの女性に恋して、
古代エジプトのファラオが復活……」

----ちょ、ちょっと待って。
なんだか支離滅裂だけど…。
「だからこれはそういうお話。
夜になると、ミュージアムにディスプレイされている
すべてのものに生命が宿っちゃうんだ。
ほら、子供の頃、
みんなが寝静まった後に、
もしかしておもちゃが動き出すんじゃないかって、
押し入れとかをそっと覗いて見たことない?」

----フォーンは、そういうのないなあ(笑)。
「つまり、これはそういう<おもちゃのチャチャチャ>状態を
スケールアップして描いた映画。
主人公はバツイチの失業男ラリー(ベン・スティラー)。
別れた妻が子供を引き取って、
たまにしか会うことが出来ない……」

----その設定の映画多すぎ。
「確かに。
で、彼がやっと見つけた仕事がこのミュージアムの夜警。
ところが、
そこにはある<陰謀>が蠢いていた」

----あらら、単なるファンタジーじゃないんだ?
「うん。ここまで喋っていいのかどうか-----
このミュージアムの夜警を務めていた
前任の3老人と言うのが、とんでもない連中。
演じているのがディック・ヴァン・ダイク、ミッキー・ルーニー、
ビル・コッブスのベテラン・トリオ。
まあ、カンの鋭い人なら、
彼らが出てきただけで、何かを感じるだろうね」

----あれっ?ロビン・ウィリアムズは?
「彼はセオドア・ルーズベルト役。
この映画、クライマックスでは
動物たちが町へ溢れ出しちゃうんだけど、
その設定で何か思い出さない?」

----あっ、『ジュマンジ』!
そうか、あの映画でもロビン・ウィリアムズがキーになっていた。
「そのとおり。
もう、この手の映画には彼は欠かせないね。
でも、『ジュマンジ』の頃に比べてCGは進歩したね。
主人公がライオンに襲われ、
あわや爪でやられるというシーンなんて、
知らないで観たら、ホンモノとしか思えない。
ただ、正直言って映画としては
あまり後に残るものはなかったね。
よくいえばキャンディポップ。
楽しい気持ちになれることは間違いないけどね」


    (byえいwithフォーン)

ジュマンジ アルティメット・コレクション TSUC-24029ジュマンジ アルティメット・コレクション TSUC-24029
※『ジュマンジ』も驚いたけどなあ。

フォーンの一言「フォーンも外に出たいニャ」ぼくも観たい

※楽しいことは楽しいけ度
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『フランシスコの2人の息子』

2007-01-20 19:03:27 | 新作映画
(原題:2 Fihos de Francisco)


----これ、ブラジルで9週連続1位ニャんだって?
興行の新記録作ったというけど、本当なの?
「それはありえるだろうね。
だってモデルとなっているゼゼ・ヂ・カマルゴ&ルシアーノは
これまでリリースした14枚のアルバムの総売上が2000万枚を突破。
日本とは桁が違う」

----じゃあ、映画も親しみやすいものになっているのでは?
「うん。いいところ突いてきたね。
ここまでのヒットを飛ばすには、
国民の最大公約数的な支持を集めなくてはならない。
そういう作品に、小難しい映画が選ばれるわけないものね。
この映画自体、ゼゼ・ヂ・カマルゴ&ルシアーノが、
配給会社の重役に
『俺たちの人生を描く映画を作ったらヒットするはずだ』と請け合ったことからスタート。
彼らのヒット曲に加えて、
『トーク・トゥ・ハー』への出演で話題を呼んだ
カエターノ・ヴェローゾら、ブラジルを代表する
豪華なパフォーマーが結集して音楽を提供。
ヒットはあらかじめ約束されていたようなものだ」

----ニャるほど。スーパースターの伝記ということだね。
でも映画化するにはそれなりに起伏に富んでなくては
フォーンとしてはつまらないニャあ…。
「それはそうだね。
そこでこの映画は、
彼らミュージシャン兄弟だけでなく
ふたりの父親フランシスコを主人公の一角に加えている。
他人の畑を耕すことで生計を立てているフランシスコ。
彼の楽しみはラジオから流れてくる音楽だけ。
そんな彼は、長男と次男をプロのミュージシャンにする夢を抱く。
一生懸命アコーディオンの練習に励む長男のミロズマル、
ギターよりサッカーボールがほしいと思いながらも
家計を助けるために、兄と町角で歌う弟のエミヴァル。
映画は、貧困、難病、死といった
人生の苦難を縦軸に、
その折々に音楽を絡ませながら
感動のクライマックスまで一機に突き進んでゆく」

----そうか。やはり感動作なんだ。
「それはタイトルを聞いただけで分かるよね(笑)。
しかしその感動のほとんどは
魂の叫びを張り裂けんばかりに歌い上げる音楽、
少年たちの初々しい演技、
そしてストーリーに負うところが多い。
つまりこれ以上、この映画のストーリーを語ると
その感動に水を差すことになってしまう。
と言うことで、今日はこの当たりでおしまい」

----ニャんだ、それ?

    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「フォルクスワーゲンのトラックが出るらしいんニャ」小首ニャ

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『ブラッド・ダイヤモンド』

2007-01-19 14:19:11 | 新作映画
(原題:BLOOD DIAMOND)

----あっ、ディカプリオだ。
確かゴールデン・グローブの主演男優賞部門で
『ディパーテッド』とWノミネートされたんだよね。
「そう。またまた逃してしまったけどね。
この映画を観る限り、かなりいいところまで行ってるんだけどな」

----『ブラッド・ダイヤモンド』って
タイトルだけ聞くと、
イメージが沸きにくいけど?
「でしょ。
一見、アクション映画風。
実は現在進行中の大きな社会問題が背景にある骨太な作品なんだ」

----えっ、社会派の映画なの?
「監督が『グローリー』『ラスト サムライ』のエドワード・ズウィック。
彼は、それまであまり取り上げられなかった歴史の裏側、
あるいはタブーとされた社会問題などを
スケールたっぷりのエンターテイメントに仕上げることを得意としている。
今回彼がスポットを当てたのは、
内戦下の国におけるダイヤモンド産出の問題。
映画の舞台となるのはアフリカのシエラレオネ共和国。
反政府軍RUFは、その活動資金を得るべく
村を襲撃して働けそうな男たちを狩り集め、
ダイヤモンド採掘の強制労働に就かせる。
漁師ソロモン(ジャイモン・フンスー)もその中の一人。
彼はダイヤモンド採掘中に偶然発見した
巨大なピンク・ダイヤモンドを地面に埋めて隠す。
そこに、このダイヤを探し出そうとする死の商人ダニー・アーチャー(ディカプリオ)、
そしてその密売の構図を暴こうとする
女性ジャーナリスト、マディー(ジェニファー・コネリー)が絡むと言うお話だ」

----でも、それだけじゃ冒険的要素が強すぎない?
「鋭いなあ(笑)。さて一方で、RUFはまだ年端も行かない子供たちを誘拐。
血縁を否定し、敵を殺すように洗脳。
つまり自分たちのイデオロギーを徹底的に植え付けるわけだ。
そんなことになっているとは知るよしもないソロモンは
誘拐された息子を奪還しようと行動。
ダニーとマディーもそれぞれの目的のために
ソロモンを手伝う…
要約するとこういうストーリーだ」

----とんでもないお話だね。
映画としてはオモシロいけど、
それが事実だとしたら観ているのが辛くなりそうだ。
「うん。
そこがエドワード・ズウィック監督をどう評価するかの分かれ目だろうね。
俳優たちの演技は申し分なし。
ディカプリオの役は冷酷かつしたたかな元傭兵。
典型的なアンチヒーローだ。
それゆえに、彼の言動をどこまで信用していいのか----
自らの顔の皺まで計算した、微妙な表情の変化によって
最後まで観る者の心を翻弄する。
さらに注目したいのがジャイモン・フンスー。
息子を取り戻そうとするソロモンの慟哭の叫び。
まさに役に乗り移っているかのようだ。
彼が賞レースに名乗りを上げていないのは少し不思議だね。
ジェニファー・コネリーも、
自立した大人の女性を演じ、
かつての美少女イメージを払拭している。
もちろん『レクイエム・フォー・ドリーム』は別としてだけど…」

----少年兵と言えば『イノセント・ボイス 12歳の戦場』を思い出すけど…。
「そうそう。『イノセント・ボイス』では
ジェニファー・コネリーがスポークスマンを務めている。
今回の映画には、彼女自身
相当に思い入れが強かったんじゃないかな」

----演技以外はどうニャの?
「雄大かつエキゾチックなアフリカ・ロケ。
そしてその中で描かれる壮絶な市街戦、ヘリからのゲリラ一掃射撃など、
映画としての見応えは十分。
また映像を支えるジェイムズ・ニュートン・ハワードの音楽も
風格たっぷりで申し分ない。
でもその一方では、少年による銃殺や
車上から銃弾を浴びて射殺される子供たちと言った
目を覆いたくなるようなシーンが続出。
くどいようだけどエンタメとしての完成度が高いあまり、
かえってテーマ性が薄らぐ結果を引き起こしている…
これがエドワード・ズウィック監督のウイークポイントかも」


    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ダイヤを買うときは紛争ダイヤではないか、しっかり確かめるのニャ」ぱっちり

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『あなたになら言える秘密のこと』

2007-01-18 10:26:48 | 新作映画
※カンの鋭い人は注意。※映画の核に触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。


(原題:The Secret Life of Words)

----こういう地味な感じの映画、えいは苦手でしょ?
「うん。なんとなく想像ついてしまうものね。
過去のある事件が原因で心を閉ざした女性が
新しい出会いによって、徐々に心を開いていく。
と同時に彼女は相手の再生の手助けともなる」

----あらら。やはりそういうお話だったの?
「うん。想像した通り。
ただ、彼女の<過去>が予想を遥かに上回るヘビーなものだった」

----えっ。恋がらみで刃傷沙汰とか、
そういうものじゃないの?
「いや、まったく違うね。
そのパートを受け持つのは
ティム・ロビンス演じる男の方。
ヒロインを演じるのは前作『死ぬまでにしたい10のこと』でも
イサベル・コイシェ監督と組んだサラ・ポーリー。
彼女が演じるのは、
心に受けた深い傷を秘密として封印し、
友だちを作らず、
趣味や遊びも楽しむことなく、
ただ、単純作業を黙々とこなす工場の女性ハンナ。
ある日、働きすぎを理由に工場長から1ヶ月の休暇を取らされた彼女は
長距離バスで見知らぬ町に向かう。
彼女はそこで小耳に挟んだ話から
油田掘削所の事故で重傷を追った男の看護をすることになるが…」

----う~ん。確かにこれも驚きはないなあ。
「まあ。そう言わないで。
周囲から閉ざされた海の中の人工施設と言う不思議な空間。
これが彼女の心理にあっているばかりでなく、
そこで働いている男たちも
ぼくたちが触れる日常とはかなり異なっている。
施設に打ちつける波の数ばかり数えている海洋学者、
その国の音楽をかけながら料理を作るシェフ、
妻子を大事にしている同性愛者…。
それらの視覚的オモシロさも、
またこの映画の中身と密接に絡み合ってくる。
そんな中、彼女は網膜が傷ついて
2週間、目が見えない男ジョゼフの看病をするわけだ」

----それがさっきのティム・ロビンスの役だね?
「うん。自分のことをまったく喋ろうとしないハンナに、
ユーモアを交えながら質問攻めにするジョゼフ。
やがて彼は自分の抱える傷について話し始める。
そしてハンナも…」

----その「中身」は、もちろん言えないよね。
「そう。
あまりにも想像を絶するこの『中身』は、
まさにこの映画のキーだからね。
ただ、一つだけ言えば『ホテル・ルワンダ』と同じく、
民族問題が背景に絡んでいる。
その話の凄まじさときたら、
この世に神はいないのか…と呪いたくなるほどだ」

----だとしたら、このタイトルはないんじゃないの?
「まあ、原題にも『secret』は入っているし、確かに間違ってはいない。
でも<秘密>と呼ぶには軽すぎる気がするね。
前半で、彼女の国籍が違うことを気にしないと言った医者に対して、
『私が気にする』と返すハンナ。
ここに、実は全てがあるんだけどね」

 
 (byえいwithフォーン)

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『ハッピー フィート』

2007-01-17 11:50:38 | 新作映画
(原題=HAPPY FEET)

----これって皇帝ペンギンのアニメだよね。
観る前は「やりすぎ」と言っていたのに、
意外とニコニコしてるじゃニャい。
「あれはトレーラーが個人的に受けつけなかったんだ。
イワトビペンギンが『マイウェイ』をスペイン語で歌うなんて…。
いくらCGが進んだって、これは狙いすぎと思ったわけ。
ところが、実際はあのペンギンは主人公じゃない。
予告の中で『君は確かにオレより背が高い』と言っている相手、
それがこの映画の主人公、皇帝ペンギンのマンブルなんだ」

----あれっ。あの予告は
てっきりスクリーンのこちらの観客、
人間に向かって喋っているのかと思った。
「うん。そう思ってしまっても仕方がないよね。
じゃあ、まずは物語を話そう。
南極大陸の冬。
皇帝ペンギンの国、エンペラー帝国で
卵を暖めていたメンフィス(ヒュー・ジャックマン)は
ちょっとしたはずみで、
なんと大切な卵を氷の上に落としてしまう。
そのためかマンブルの孵化は遅く、
くちばしからではなく足から生まれてくる。
足をバタバタさせ、タップを踏み出すマンブル。
しかしその優れたリズム感とは逆に、
声はしゃがれている。
歌を歌うと、みんなは耳を塞いでしまうほどなんだ」

----ちょ、ちょっと待って。
なぜペンギンが歌を…?
「うん、それはね。こういうことなんだ。
皇帝ペンギンは生涯のパートナーを探すべく歌を歌うんだ。
それは人間にとっては、
ただ鳴いているようにしか聞こえないけれど、
彼らはその声によって群れの中で互いを識別できる。
『ベイブ』の監督でもあるジョージ・ミラーは
これを『愛の歌』に見立てたわけだ。
そうそう、
このことは、あの大ヒット作『皇帝ペンギン』 にも描かれていた」

----ニャるほど。お父さんがメンフィスと言うことは…。
「彼はまるでプレスリーばりの歌で
女性たちを魅了する。
一方のお母さんはノーマ・ジーン(ニコール・キッドマン)」

----マリリン・モンローってわけ(笑)?
それにしても凄い豪華なボイス・キャストだね。
「あっ、言い忘れていたけど、
マンブルの声はイライジャ・ウッド。
そのためか、目が澄んだように青い。
さて、この後の展開は、学校での音楽の授業など、
一部、アニメ用に擬人化したところを覗けば
途中までは『皇帝ペンギン』とほぼ同じ。
トウゾクカモメやヒョウアザラシに襲われるという、
危機一髪の場面が続く

----それじゃ、つまんなくない?
「いやいや。
ここからがオモシロい。
さて歌えない彼に自信を与えてくれたのがラテン系ペンギンの5人組。
イワトビペンギンには歌を歌う習性はなく、
変わりに小石を積んで巣を作るんだ。
そんな彼らにとっては、
歌なんかよりもマンブルのタップの方が魅力的。
メスの気を引く武器となるからね。
やがてマンブルとイワトビペンギンは
最近、ペンギンたちの大問題となっている魚不足が
エイリアンの仕業によるものだと知る」

----エイリアン?
「うん。つまりは人間なんだけどね。
ここから仲間たちの危機を救うための
マンブルの大冒険が始まるわけだ」

----なるほど、それはオモシロそうだ。
いかにしてペンギンと人間がコンタクトを取るか、
これはちょっとした見モノだよね。
「うん。
一つの興味としては、
このアニメの中に、人間をどんな形で出すか?
同じCGでも3Dではなく
あえて『オープン・シーズン』のようなセルアニメ風の見せ方もあるし、
また『モンスター・ハウス』のようにクレイアニメ風に見せる手もある。
ところが、この映画が選んだのは……?
うん。これは内緒にしておこう。
ただ、ひとつだけ言わせて。
クライマックスは『未知との遭遇』。
ペンギンmeet人間だね。
あの映画のメッセージが
<『We are not alone』=
宇宙にいるのは我々だけではない>だったことを考えると、
この映画は<地球にいるのは我々だけではない>
のメッセージを含んでいるとも言える。
そのためかどうか、宇宙の中に浮かぶ地球の映像が
数多く用いられていたね」

----ふうん。そう言えば今回、
技術的なこと、あまり言わないね?
「そう。
海中の泡や海面の飛沫、そしてそこから覗き見える地上…。
それらは言葉を失うほど美しく、
技術のことなど語るのがいやになる。
あと、テーマとしては<個性>の尊重もある。
みんなと同じである必要はないと言うこと。
そのこと一つとっても、
この映画が『皇帝ペンギン』のヒットで生まれたと言う
誤解を解くことができると思うよ」


    (byえいwithフォーン)

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『夏物語』

2007-01-16 00:33:40 | 新作映画
※映画の核に触れる部分もあります。
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----イ・ビョンホンの恋愛映画って久しぶりだね。
「うん。配給会社サイドでは『純愛中毒』以来、4年ぶりと言っている」
----あれっ。じゃあ
『バンジージャンプする』の立場はどうなるの?
「だよね(笑)。
でもあれは韓国では『純愛中毒』より前に作られている。
日本では公開が遅れたけどね。
それはともかく、
その『バンジージャンプする』でもそうだったけど、
彼が大学生を演じるのは、そろそろキツいと思う。
まあ、今回は60代の役も演じているけどね」

----ふうん。
どんなお話ニャの?
「60歳を越えて今も独身を貫く大学教授ユン・ソギュン(イ・ビョンホン)。
その彼の元に、テレビ番組のスタッフが、
大切な人を探したいと訪れる。
かくして映画はソギュンが大学生であった1969年の夏へ。
そこで語られるのは
ソギュンと辛い過去を背負った美しい女性ジョンイン(スエ)の
あまりにも悲しい恋の物語であった…」

----あらら、あまりにもシンプルな恋愛映画だね。
「うん。農村での日々は、
それこそ韓国映画ならではの、
あっけらかんとしたタッチ。
周囲に三枚目を配することで
笑いを引き起こそうとしているんだけど、
ギャグが滑り気味で、ちょっとお寒い。
そしてこれも毎度のことだけど、
主人公が最初はヒロインにまったく無視され、
でもいつしか仲よくなっていく。
この嫌われても嫌われても追いかけるしつこさも
韓国青春映画によく見られる特徴だね」

----でも、悲恋映画である以上、
このまま終わるわけないよね。
「うん。ときは1969年。
世界中の若者が自由を渇望していた時代。
韓国でも朴正煕大統領の軍事独裁政権に対して
学生たちの反発が高まっていた。
映画はここに、韓国ならではの国の事情、
つまり北朝鮮との関係をも織り込み、
ぬるま湯的に見えたこの恋愛映画に
一本の芯を通していく」

----なるほど、そこが見どころってワケだ。
「うん。
自分にスパイ嫌疑がかかることを恐れたソギュンが
ジョンインを知らないと言う
まるでユダとキリストを思わせるエピソード。
このときのふたりの目の演技は観る者をスクリーンに釘付けにする。
そして、ふたりの決定的な<別れ>となる駅のシーン。
ベタとは言え、ここもやはり見逃せない。
この映画を観たら、
『繋いだその手を離さないで』という
オフコースの歌『YES YES YES』を思い出したよ」

----また、オフコース…(笑)。
「いやあ、彼らの歌は恋愛の王道だね。
そう言えば、この映画、エンドクレジットで藤井フミヤの歌が…。
これは日本だけのヴァージョンらしいよ」


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『オール・ザ・キングスメン』

2007-01-15 00:32:23 | 新作映画
(原題:ALL THE KING′S MEN)

----この映画のタイトルってよく聞くよね。
確かアカデミー賞とか取っているんじゃなかったっけ?
「そう。作品賞を含む3部門を受賞。
ただし、それは
1949年にロバート・ロッセン監督によって映画化された方の話。
日本では長らく未公開だったため、
タイトルだけが有名になったと言う
オスカー受賞作にしては珍しい例だね」

----なぜ公開されなかったの?
「内容がアメリカの政治の裏側を告発しているからかな。
当時の日本はまだ占領下で、
民主主義への道を歩んでいた頃。
アメリカへの疑いをもたれては困る、
そう判断されたのかもしれない」

----ふうん。それにしても、
そんな名作をリメイクすると言うのは
けっこう勇気がいるよね?
「でも、監督のスティーヴン・ゼイリアンは
前作を観てはいないらしい。
今回は、原作に惹かれての映画化と言うことのようだ。
だから、あまり前回との比較は意味を持たないかもしれないね」

----ところでどういうお話ニャの?
「意外とストーリーは簡単。
汚職政治を追及していた州の下級役人ウィリー(ショーン・ペン)が
後ろ盾を得て州知事に立候補。
ところがウィリーは、
対立候補の評を割るための当て馬に利用されていたにすぎなかった。
その事実を新聞記者ジャック(ジュード・ロウ)から知らされたウィリーは、
彼の助言により演説スタイルを変え、
自分自身の言葉で喋り出す。
ジャックの記事と相まって、選挙戦は俄然ウィリーの有利に。
結果、ウィリーは知事となり、ジャックはウィリーの参謀になる。
数年が過ぎ、絶大な権力を得たウィリーは、
忌み嫌っていたはずの汚職、愛人と言ったスキャンダルにまみれていく。
どう、分かりやすいでしょ?」

----なるほどね。それをショーン・ペンと
ジュード・ロウでやるのか。
あれっ、ケイト・ウィンスレットやアンソニー・ホプキンスも出ている。
「ケイト・ウィンスレットの役は、
ジャックが密かに思いを寄せていた幼なじみのアン。
彼女も後半で大きなウェイトを占めてくる。
一方のアンソニー・ホプキンスはジャックにとって親同然の判事役。
ところが判事はウィリーの汚職を追及し、その政敵を支援。
そこでウィリーは、ジャックに彼のスキャンダルを探させるんだ」

----そ、それは……!?
「原作はピューリッツアー賞に輝いた実話を基にしたお話とか。
さすがによくできているよね。
でも、この映画の最大の魅力は
フィルムノワールを思わせる空気の醸成にあると思う。
社会派映画としてのテーマを持ちながら窮屈さがなく
媚薬にも似た映像が全編を覆っているんだ」

----俳優たちも魅力的だよね。
「うん。なかでもショーン・ペンはハマり役。
激しい演説で人々の心を掴んでいくシーンは息を飲む迫力。
あっ、あとジャッキー・アール・ヘイリーが
重要な役で出ているので見逃さないようにね」

----誰だっけ、その人?
「『がんばれ!ベアーズ』の不良少年ケリーだよ。
どの役かは観てのお楽しみ」


    (byえいwithフォーン)

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『スターフィッシュホテル』

2007-01-13 12:16:23 | 新作映画
----監督ジョン・ウィリアムズ?
あれっ、彼って作曲家じゃなかったっけ?
「いや、このジョンは彼とは違って映画監督。
しかもイギリス人なんだ。
前作『いちばん美しい夏』では
遊び好きな少女と
軽い痴呆を患う老婆の交流を描き、
その中で、外国人とは思えないほど見事に
日本の田舎の風景を切り取っていたよ」

---でも、この映画はそんな感じでもなさそうだね
「うん。夢と現実が混じり合う摩訶不思議な物語。
主人公の有須(佐藤浩市)は会社に勤務するサラリーマン。
設計事務所に勤める妻のちさと(木村多江)と
人並みより裕福に暮らしている。
そんな彼の楽しみは人気作家・黒田(串田和美)の描く幻想的なミステリー。
だが、その刺激的な内容に、
彼は毎日のように悪夢に悩まされている。
そんなある日、ちさとが謎の失踪を遂げる。
時を同じくして黒田の新作『スターフィッシュホテル』が発売される。
それはかつて有須が不倫相手の佳世子(KIKI)と出逢った北国のホテルの名前。
そして、その内容は
有須の身に起こった出来事と酷似していた…」

----へぇ~っ。これはオモシロそうじゃニャい?
「うん。
一見、ありふれた設定のように見えるけど、
この映画では
主人公の身に起こっていることに
合理的説明を付けようとしているのか、
それとも<幻想映画>の枠組みでいこうとしているのかが
後半に至るまでまったく分からない。
そこが本作のいちばんの魅力だね」

----そうか。
もし、どっちなのかが早く分かってしまうと、
観る方にも構えができてしまうものね。
それだと、ドキドキ感が減少してしまう。
「そう言うことだね。
この映画は、現実、回想、そして夢までを
ほとんど同じ地平で描く。
たとえば、それぞれのシチュエーションによって
音楽を変えたりするようなことはしないんだ」

----写真とかを見ると、日本と言う感じはしないね。
「イギリス出身のジョン・ウィリアムズ監督にとっては
照明の捉え方が
蛍光灯的な明るさに慣れた日本人とは違う。
そのため、わざわざ撮影監督ベニート・ストランジオを
オランダから呼び寄せているんだ。
彼はピーター・グリ-ナウェイの『枕草子』などで
日本の撮影現場の経験があるから、
ピッタリかもしれない」

----そうか、じゃあホテルなどの建物もCGじゃないんだね。
「うん。
大正期の建物が多く残る会津市内にロケしたんだって。
日本であって日本ではない、不思議な感じだったよ。
夢のシーンでも、全員が死んだように動かなかったりとか、
ビジュアル的には見応えあったね」

----有須(アリス)というからにはウサギも出てくるの?
「うん。これがきったない灰色のウサギ。
演じているのは柄本明。
もちろん着ぐるみなんだけど、
前歯が二本、口から飛び出ていて、
かなり不気味」

----で、映画としてはどんな結末が待ち構えているの?
失踪した妻は戻ってくるの?
殺人とかも起こるみたいだけど…。
「だからそれは言わない方がいいんだって」

 (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「悪夢に悩まされそうニャ」もう寝る

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『絶対の愛』

2007-01-12 10:50:38 | 新作映画
(英語題=TIME)

「恐るべし、キム・ギドク」
----おっ、いきなりだニャ?
「最近の映画って、
みんなそれなりに巧くなっていて
ある程度のレベルまではいくんだけど、
『映画作家』と言う言葉が流行った60~70年代のような
超個性的な監督が少なくなっている。
でも彼は特別、今回のプレスを引用すれば『異常天才』。
しかも映画のキャッチコピー、
『唖然呆然!美しい!面白い!ひたすら、凄い!
これがスーパー・ギドク・ラブストーリー』を
まったく裏切ることはない」

----それはまたべたボメだニャ。
どんなラブストーリーなの?
「今や韓国では整形がブームを超えて
すっかり市民社会の中に根付いているよね。
ノムヒョン大統領さえも
瞼を一重から二重に整形したと言われている。
この映画は、そんな韓国社会を背景に物語が進められていく。
セヒ(パク・チョン)は恋人ジウ(ハ・ジョンウ)を愛するあまり、
周囲のことが見えなくなってくる。
彼が自分に飽きて他の女性に心変わりするのではないか…
毎日が不安でたまらない彼女はジウの前から突然姿を消す」

----えっ。なぜ?
「彼女自身、美女であるにもかかわらず、
まったく別の顔に整形してもらうわけだ。
そして手術跡が完治した6ヶ月後に彼の前に姿を現す」

----ちょ、ちょっと。
その6ヶ月の間、セヒは心配じゃないの?
だって、ジウは他の人と付き合ってしまうかもしれないよね。
「ジウはセヒを愛しているから
他の女性には目もくれず、
ひたすらセヒの失踪の謎について考える。
それでも友人が彼を慰めようとセッティングした合コンなどでは、
酒の勢いもあって相手とベッドイン寸前になったり、
その昔、好きだった女性から誘われたりする。
ところがそこにいつも邪魔が入る。
ここはサスペンスの常道的な描き方。
揺れる手持ちカメラ、しかもセヒの視線で
ジウと女性を映し出すんだ」

----ニャるほど。セヒがいつも見張っているんだね。
「ジウはかつてセヒと行ったペミクミ彫刻公演で
彼女との想い出に浸る。
と、そこで彼はマスクで顔を隠した謎の女性と出会う。
そして6ヶ月後、ジウの前に
今度はスェヒ(ソン・ヒョナ)と名乗る女性が媚を含んだ目で現れる。
もちろんふたりともセヒだけど、ジウには分かってはいない。
やがてジウはスェヒに惹かれ、
男と女の関係になる」

----ゴクっ。
「それはスェヒ=セヒの望んだこと。
だが、ここで彼女は悩み出す。
ジウはスェヒを愛し、セヒを忘れたのではないかと…。
そこでセヒの名前で手紙を彼に出すんだ。
それを見てセヒの元へ戻ろうとするジウ。
ところが、今度はスェヒの方の自分が納得いかなくなってくる」

----あらあら。こうなると
先がまったく読めなくなってくるね。
「うん。
この映画のオモシロさは
その奇想天外なストーリーもさることながら、
やはり話法に尽きると思う。
先ほどのサスペンスを盛り上げる写し方もさることながら、
この後の展開では
分裂を始めたスェヒ=セヒの内面を
社会からの孤絶感という形で描き出す」

----でも、スェヒがセヒであると言うことは
ジウには、いずれ分かるんでしょう?
「そう、
そこは最初のハイライトだけに
明かすわけにはいかないけど、
こんな<恐怖>の描き方もあったのかと思うほど怖かったね。
さて、その事実を知ったジウは<ある行動>に出る。
そこから始まるカタストロフィは、
もう圧巻の一言。
ヌーヴェルヴァーグを思わせる突然の終止符。
しかし、そこからギドクはまだ話を続けていく。
ラストを目撃したほとんどの人は
もう一度、最初から見直してみたくなること間違いないと思うよ」


  (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「フォーンもびっくりニャ」身を乗り出す


※異常天才だ度
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猫ニュー

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