ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

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『ディス/コネクト』

2014-03-30 18:43:19 | 新作映画
(原題:Disconnect)


----『ディス・コネクト』
ニャんだか香港のカ―アクション映画あたりにありそうなタイトルだニャ。
「そうだね。
ぼくも観るまでこれはウェルメイドなアクション映画かと…。
ところが思っていたのとは全く違う。
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の『21グラム』、
あるいはポール・ハギス監督の『クラッシュ』のように、
多層的に物語が展開していく社会派系のドラマ。
しかも今の時代ならではの問題意識を抱えた映画なんだ」

----社会派?
「うん。
ここで展開するドラマは、
いずれもソーシャルネットワーク上で起きた事件が引き金となっている。
(1)自殺未遂を起こしたひとりの少年ベン(ジョナ・ボボ)。
(2)個人情報を盗まれた若い夫婦デレック(アレキサンダー・スカルスガルド)とシンディ(ポーラ・パットン)。
(3)違法ポルノサイトの取材に成功した女性レポーター、ニーナ(アンドレア・ライズブロー)。
この3つの物語の登場人物が
それぞれ別の物語の中にも顔を覗かせてくる。
たとえば(1)の少年ベンの父親リッチ・ボイド(ジェイソン・ベイトマン)は弁護士として(3)の事件に関わってくる。
また、(2)の捜査を行なうネット専門の探偵マイク・ディクソン(フランク・グリロ)。
その息子ジェイソン(コリン・フォード)の悪ふざけがベンの自殺未遂の原因となっている」

----ニャるほど。
これは、構成の妙ってヤツだニャ。
「そういうこと。
ただ、ぼくが感心したのは、
単にそれらが絡み合うというだけではなく、
それぞれの中に
バックグラウンドとしての物語を入れていること。
デレックとシンディは、
やっと授かった赤ん坊を亡くし、
それ以来、心が離れてしまっている。
その寂しさを埋めるため、
シンディはチャットルームで同じような痛みを経験する人と交流していた」

----ニャるほど。
個人情報はそこから漏れたんだニャ。
でも、妻がそんなところを利用していたと知った夫は
たまらないニャあ。
「だよね。
この映画の<核>は、
それぞれの事件の渦中に入る人物たちが、
その困難な局面を通して、
新たな関係性が生まれてくるところにある。
それまで自分がまったく知らなかった、
いや、人によっては日々の生活にかまけて
見ようともしなかった家族の<真実>と向き合う」

----逆境をバネにするということかニャ。
「分りやすく言うと、
そうなるかな。
しかも、それぞれの事件は
ジャンル・ムービーとしての形を取りながら進行していく」

----えっ、どういうこと?
「誤解を恐れずに、あえて言えばサスペンス&ミステリー
そしてその果てには3つのバイオレンスが待ちうける。
なのに、このシーンの<美しさ>はそれこそ完璧」

----えっ、暴力シーンなのに?
「うん。
ここでは、
ある映画的な手法を用いて、
時間を引き延ばし、空間を超越して
その<暴力>見せていくんだ。
映画とは、倫理を超えたところに
それとは別次元の感動を生みだすもの

そのことを改めて感じさせてくれた映画だったね」




フォーンの一言「時間を引き延ばし、空間を超越? おいおいこれってSFかニャ」身を乗り出す

※このシーンと出会えただけでも、この映画を観てよかった。そう思う度
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『WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~』

2014-03-26 11:15:12 | 新作映画

----これ、『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』で人気の
矢口史靖監督の映画だね。
「うん。
ぼくは彼の作品では
『アドレナリンドライブ』がいちばん好き。
他はそれほどでもないかな。
笑いの果ての感動という、
定型パターンがどうも苦手で…」

----でも、この映画は気に入っているんだよね。
高校卒業して、
自分の行方が決められない18歳の若者が
山奥の村で林業に従事するって言うんでしょ?
あれっ、でもこれってどこかで聞いたような…。
この“林業”を“酪農”に変えると…。
あらら『銀の匙』そっくりだ。
「言うと思った。
ところがこれは、
あの作品とは似て非なるものだね。
最初こそ、
都会の若者の考えの甘さやひ弱さといったものが
現場の厳しい仕事との対比の中に、
浮き彫りにされていくものの、
後半、子どもの神隠し(?)事件あたりから、
さっき話した<映画の定型>からどんどん離れていく。
バカバカしいまでの
スペクタクルな笑いが一気に噴き出してくる」

----スペクタクルな笑い?
「うん。
あの二枚目俳優・伊藤英明
妻(優香)のご機嫌を取りながらも
キャバレーの女に入れあげるという
三の線で使っているところから、
あれれ?とは思ったんだけど、
クライマックスでは、
それこそ誰も見たことがない“絶景かな(?)”シーンが出現。
なにせ、主演の染谷将太をはじめ、
伊藤英明から柄本明に至るまで出演男優全員、ふんどし一枚。
まるで、山上たつひこの漫画から飛び出したような男衆たちに
口あんぐりしているうちに、
“世界一巨大で、危険な奇祭”が繰り広げられる。
ここまでバカバカしいお祭りを
スペクタクルたっぷりに映像に焼きつけようとする
この映画のスタッフたちにとにかく脱帽。
それこそ日本の娯楽映画が元気だった60年代の映画を見ているような
そんな錯覚に陥ってしまう」

----ニャるほど。
確かに『銀の匙』とは違う。
「あの映画は、
基本、真面目だからね。
もちろん、この映画だって
心身ともに脆かった主人公はこの山村で立派に成長を遂げていくし、
それと絡めるように、日本社会が抱える問題をも提示した
真面目な映画ではある。
でも、一方では、
映画とは不真面目だからこそオモシロい”を実証するかのように、
矢口監督の“やるなら、とことん。思いっきり遊ぼう…
という覚悟と気概が隅々から溢れだしてくるんだ。
それと、思わず膝を打ちたくなる見事な伏線回収にも注目。
とりわけ映画のラストでは、
それが、
主人公の成長という、テーマの一つと見事に溶け合うんだ
う~ん。話しているうちに
もう一回観たくなってきた。
今のところ、今年ぼくが観た日本映画のベストだね」


フォーンの一言「ヒロインは、長澤まさみなのニャ」身を乗り出す

※それにしても伊藤英明。二枚目がさんの線をやった時の破壊力は凄まじい度
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『LIFE!』

2014-03-22 10:24:07 | 新作映画
(原題:The Secret Life Of Walter Mitty)


----昨日は、久しぶりに映画館ではしごしたんだよニャ。
お空から見ていたけど、スゴい行列だったよね。
「そう。
そのほとんどが『アナと雪の女王』
おかげで1時間以上並んで、
ぼくが最初に観る予定だった『LIFE!』
チケットを買う列に並んでいるうちに始まっちゃった。
結局、1時間以上並んで
『アナと雪の女王』<字幕版>
そしてその後、『LIFE!』を観たってわけ。
でも、やはり映画館には行ってみるものだね。
いろんなことが分ってくる」

----たとえば?
「いまは、チケットはネットで前売りが変える時代。
でも、
そのシステムを利用している人がほとんどいない。
こういうシネコンでは
ショッピングなど別の目的で来て、
そのときのノリで映画を観る…こういうことなのかも。
で、ラーメン屋の行列と同じで、
その大行列を見て、
これはいい作品に違いないと、
自分も並んでみる」

----でも、それじゃあ、
『アナと雪の魔女』じゃない映画を観ようと思った人までも
列に並ばなくちゃいけないよ。
結果、観られなくなったって人も多いのでは?
「そうなんだ。
このシステムは、多くの観客を逃してしまっている、
ぼくはそう思ったね。
作品ごとに窓口を変えた方がいい。
あるいは『アナと雪の女王』専用窓口を作るとかね…。
それと思ったのは、
やはり<吹替版>の人気の高さ
上映が後の<吹替版>の方が<字幕版>より先に満席になってしまい、
まあ、おかげでぼくは助かったわけだけどね」

----で、こういう苦労したときの例にもれず、
えいは、この映画がそれほどではなかったワケだ。
「うん。
想定内に収まったって感じ。
その分、次の『LIFE!』はよかったね。
この映画は、才人ベン・スティラー
自ら監督・主演を務めたファンタジー。
基となっているのは『虹を掴む男』
と言っても、
“白昼夢を見る主人公”という設定を借りたくらいなんだけど、
同じようなファンタジーということで
やはり俳優のウォーレン・べイティがバック・ヘンリーと
『幽霊紐育を歩く』をリメイク(共同監督)した『天国から来たチャンピオン』
を思い出したね」

----そういえば最初から引き込まれていたものね。
「うん。
街角の落書きを利用したオープニング・クレジットね。
デビッド・フィンチャーの『パニック・ルーム』でも
オープニング・クレジットに街角を利用していたけど、
現実の中に空想が…という
この映画の世界観にはピッタリだったと思う」

----そうか。この映画のお話は
空想癖のある主人公が未知なる土地への旅をする、
そういうものだったニャ。
「そう。
で、その中に
いろんな映画へのオマージュがある。
最初のうちは、
いったい何が起こっているのか分からない仕組み。
雑誌「LIFE」の写真管理部で働くウォルター・ミティ(ベン・スティラー)が、
いきなりヒーローとなり、
空を飛ぶようにビルの中へ。
そこから赤ちゃんを救出したり。
よそからリストラにやってきた上司と、
アメコミヒーローのようなバトルを繰り広げたり。
しかもこれが、さあ空想の始まりますよ…ではなく
現実の中でいきなり行なわれる」

----ニャに、それ。
戸惑わニャい?
「いや、こういう“戸惑い”が
また、映画を見る楽しみの一つ
なんだ。
で、途中からそれが空想なのか、
実際に起こっていることなのか、
その区別がつかなくなってくる。
たとえば、ヘリから海に飛び込みサメと格闘するシーン…。
あるいはアイスランドで火山に巻き込まれるシーン、
そしてヒマラヤを登山するうシーン。
あっ、順逆になったけど、
この映画は、
雑誌「LIFE」の最終号の表紙に使うネガが見当たらないことに気づいたウォルターが、
カメラマン、ショーン(ショーン・ペン)を探しに行くというもの。
冷静に考えれば、
ここで行なわれていることは、
もしかしたら彼の空想の続きなのかもしれない。
なにせ、女性に話しかけることさえできないオクテの彼が、
急に、サメだのヒマラヤだのってありえない。
だから、<精神>面での成長は遂げたとしても
この<冒険>が事実とは言い切れない。
ぼくがこの映画で最も好きなシーン、
それは彼の憧れの女性シェリル(クリステン・ウィグ)が
グリーンランドでギターを抱えてデヴィッド・ボウイの「スペース・オディティ」を歌うシーン。
こんなところに彼女がいるはずはないのに、
それに勇気づけられ、
次の一歩、
荒れた海を行くヘリに飛び乗る。
空想が現実を動かしてゆく、
これはまさに<映画>そのものの魅力

ぼくはそう思うね」


フォーンの一言「映画は、整合性を求めるモノじゃニャいのニャ」身を乗り出す

※こういう映画がもっと生まれてほしい度
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『ローン・サバイバー』

2014-03-18 14:57:35 | 新作映画

(原題:Lone Survivior)


----『ローン・サバイバー』って、
タイトルがネタバレ。
ひとりだけ生き残るってこと、
最初から分っちゃうじゃニャい。
「う~ん。
でもこれって2005年6月に
アフガニスタンの山岳地帯で展開されたレッドウィング作戦を基にした実話だし、
その作戦で唯一生還した兵士の回顧録が原作となっている。
映画のポイントは、
『さあ、だれが生き延びるでしょうか?』
じゃないんだよね」

----ふうん。
じゃあ、見どころはどこ?
「いわゆる “戦闘”そのもの。
逃げ場なしの極限状況をとことん再現し、
その臨場感から生じる生身の恐怖を
観る方にもリアルに味わってもらう…
一方、物語自体はシンプル。
アフガニスタンの山岳地帯。
そこである特殊任務に就いていた4人のネイビーシールズ。
彼らは200人を超えるタリバン兵に追われ、猛攻撃を浴びてしまう。
この絶望的な状況の中、
果たして“彼”、マーカスは、いかにして生還できたのか?”――」

----ニャるほど。
そのマーカスに、
マーク・ウォ-ルバーグが扮しているワケだニャ。
「そういうこと。
もちろん、映画は、
なぜ、4人が敵に見つかってしまったか?など、
その原因となったできごとについても説明はする。
実は、彼らは最初からタリバン兵と遭遇したわけではない。
子どもを含む現地の山羊飼いたちに見つかってしまうんだ。
もしそのまま解放すれば、
タリバンに連絡がいくのは間違いない。
だが、口封じのために殺せば、
丸腰の民間人を殺したと、
世界中から非難を浴び、大問題になってしまう」

----ニャるほど。
でも、襲われたということは、
釈放したってことだニャ。
「うん。
苦渋の決断が裏目に出たワケだ。
しかも無線は繋がらず、
彼らは大勢のタリバン兵に包囲され、
文字どおり崖っぷちに立たされ、
一斉に銃火を浴びる…というわけだ」

----ニャるほど。
まさに絶体絶命。
あれっ?
キャッチコピーに
『ひとりでは、生き残れなかった』とあるよ。
どういう意味?
「さあ、ここなんだ。
この映画の特異性、
というか評価が分かれるところは…。
この後に続く銃撃戦、それは
“録音賞”“音響編集賞”の2部門で
アカデミー賞にノミネート
されたことからも分かるように、
まさに、凄まじいの一言。
自分がその戦闘の真っただ中に放り出されたかのよう」

----あっ、だから
『プライベート・ライアン』が引き合いに出されるんだニャ。
「そうだね。
ある意味、体験型映画とも言える。
さて、もはやここまで…かと思ったときに、
ある“奇跡”とも思えるできごとが起こる。
う~ん、ここからが説明しづらいんだけど、
彼は、村人たちにかくまわれるんだ」

----えっ、なぜ?
もともとは民間人の密告でこんな事態になっているんだよね?
「なぜ、村人が彼をかくまったか?
その理由は、映画の最後に<字幕>で明かされる。
この映画を一緒に観た、某イラストレーター氏は
そこが納得いかないと言っていた。
あまりにもその“助け”が唐突すぎるというんだね。
なぜ、村人が彼を助けるのか?
その説明が提示されないから、
観る方は疑問を抱えたままとなり、
映画の急な展開についていけないというワケだ。
あの<字幕>は、むしろ冒頭に出すべきだと…。
そこからピーター・バーグ監督の演出の甘さなど、
この映画を肯定できかねるという意見が続いていった」

----えいもそうニャの?
「いや、ぼくは逆の意見。
そのとき、マーカスも
なぜ、村人が彼を救出したのか、
その理由は分ってはいない。
もしかしたら、
自分は売られてしまうのでは?という恐怖…。
もし、ここで観客が
村人が彼を助ける理由を知っていたら、
映画を冷静に客観的立場から観ることになり、
その“恐怖”を共有することにはならない。
兼ねてから話しているように、
ぼくは映画を観るときは劇中に自分が入り込みたい方。
その観点から言っても、
この手法は納得がいったな」

----う~ん。
それでも理由が知りたいニャあ。


フォーンの一言「映画の観方はひとそれぞれなのニャ」身を乗り出す

※映画の最後に、ピーター・ガブリエルがカバーしたデビッド・ボウイの名曲「ヒーローズ」が流れる度
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『ウォルト・ディズニーの約束』

2014-03-13 22:15:36 | 新作映画

(原題:Saving Mr. Banks)


----今日の映画、『ウォルト・ディズニーの約束』って、
だれと約束した映画ニャの?
「これはね。
後にミュージカルとなった『メリー・ポピンズ』の原作者
P・L・トラヴァースとディズニーが交わした約束のことなんだ。
でも、どんな約束を交わしたか、
それはこの映画の肝でもあるし、ここでは言えないけどね」

----それはそうだね。
でも、なぜ、その“約束”とやらを交わさなくてはならなかったか、
それくらいは教えてよ。
「うん。
ディズニー(トム・ハンクス)は、かねてより
この『メアリー・ポピンズ』を映画化したくてたまらなかった。
ところがトラヴァース(エマ・トンプソン)は絶対に首を縦に振らない。
しかし、フォーンも知っているように
結果的にこの作品は、ジュリー・アンドリュースの主演で映画化。
『チム・チム・チェリー』など多くのスタンダード・ナンバーを生みだした」

----だよね。
あと、アニメと実写が共演しているのも話題。
「そう。
それもトラヴァースは我慢ならなかった。
この大切な原作をディズニーに渡したら、
自分の世界がとんでもないことになるんじゃないかと…。
あんいせミューZカルだからね。
そこで彼女は、
ハリウッドのスタジオでリハーサルに立ち会う。
そして一語一句に細かい注文を付けていくんだ」

----それは、現場はやりづらかっただろうニャあ。
「そうだね。
今はどちらかというと、
原作は原作、映画は映画で別の作品…
そういう考え方が主流を占めるからね。
でも、トラヴァースはそうは思わなかった」

----それだけ、
その作品が大切だということだよね。
それは少し分らないでもないニャあ。
「うむ。
そのもっとも“大切”な“理由”とは何か?
そこにディズニーが気づくところが
この映画のヤマと言えるかな」

----ニャるほど。
その“気づき”を基に“約束”が生まれてくるわけだニャ。
「そういうこと。
この、ちょっと大げさに言えば
ミステリー的な要素を作ったところが
この映画の成功の要因の一つ。
観る側を最後まで飽きさせない。
話は少し逸れるけど、
ぼくは子どもの頃、
原作の『メアリー・ポピンズ』
なかでも『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』が大好きで、
映画を観たときには
そのイメージがあまりにも壊されていたので
がっかりした方なんだ」

----どう違ったの?
「この映画は、
少なくともあの頃のハリウッド・ミュージカル向きじゃない。
メアリー・ポピンズのイメージ、
それは気難しくて近寄りがたいツンとした貴婦人。
映画のジュリー・アンドリュースのように
にこやかななじみやすさはない。
でも、そんな彼女が
ここではない、どこか違う世界へ連れて行ってくれる…
その落差が子ども心にワクワクしたんだ。
実際に自分の周りにいる大人たちも
いつもそんなに怖いときばかりではない…という淡い期待。
そしてそこに、イギリスならではのノーブルさがかぶさる。
そう、ここに描かれるファンタジーは
同じファンタジーでも
アメリカの
いわゆるポップ・キャンディのような甘い世界とは根本的に違う。
だから、
ぼくはこの映画の話を最初に聞いたとき、
納得が言ったし、スゴく嬉しかった。
そうかトラヴァースは、
ディズニーの映画化をよしとはしていなかったんだとね」

----ふむふむ。
でも、そんな裏話を
よくディズニーが映画化したよニャあ。
「そこはぼくも驚き。
この映画は、かなりディズニーの自虐的な笑いを入れている。
たとえば、トラヴァース用のが宿泊するホテルの部屋には
大きな『クマのプーさん』のぬいぐるみが用意されている。
それを観てトラヴァースは
『かわいそうなA・A・ミルン』(笑)。
でも、これで分ったことがひとつある」

----ニャに、ニャに?
「数あるディズニー映画の中で、
メリー・ポピンズだけはキャラクター化されていない。
これは、ぼくにとってはほんとうによかったと思うよ。
いや、皮肉じゃなくて、
子ども時代からの原作のファンとしてね」



フォーンの一言「そう言われてみれば、『メリー・ポピンズ』にはキャラクター・グッズがないのニャ」身を乗り出す

※ディズニーランドにもいないワケだ度
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『ブルージャスミン』

2014-03-04 15:10:20 | 新作映画
(原題:Blue Jusmine)


----アカデミー賞も終ったようだけど、
いつもと、ニャんだか違ったような…。
「おそらくそのひとつは、
毎年、前日発表されるラジー賞にあるんじゃないかな。
M・ナイト・シャマラン監督、ジェイデン・スミスとウィル・スミス出演の『アフター・アース』
これがあまりにも順当すぎた(笑)」

----その言い方、ちょっとかわいそう。
でも、アカデミー賞がすべてじゃないよね。
「うん。
ウディ・アレンなんて、
『アニー・ホール』が作品賞を受賞したときも、
ニューヨークの「マイケルズ・パブ」のレギュラーバンドの一員として
月曜恒例のクラリネットを演奏していた」

----そ、そうだったニャあ。
「さて、ここからが本題。
今回、アカデミー主演女優賞を受賞したケイト・ブランシェット
その対象作品となったのが『ブルージャスミン』
つまりウディ・アレン作品なんだ」

----そのタイトルだと、
お花に関係あるの?
「いやいや、そういうワケじゃない。
ケイト演じるヒロインのほんとうの名前はジャネット。
でも彼女はそれを使わず、
ジャスミンと名乗ることで
周囲への自分のイメージ作りをしている。
で、この“ブルー”は色の青ではなく
“憂鬱な”というような意味合い」

----つまり落ち込む理由が彼女にある…ということニャンだね。
「そう。
では簡単にお話を。
ニューヨークで人もうらやむセレブ生活を送っていたジャスミン。
ところが夫ハル(アレック・ボールドウィン)の不法行為が当局にバレて、すべての財産を失ってしまう。
サンフランシスコに暮らす妹ジンジャー(サリー・ホーキンス)のアパートに身を寄せた彼女だが、
そんなに簡単には新しい生活にはなじめるワケもない。
妹の周りにいる下卑た感じの男性に辟易。
仕事も始めなくちゃならないし、
インテリアデザイナーにでもなろうと、
まずはパソコン教室に通う。
つまりパソコンが彼女はできない…」

----うっ、痛い。
「その繋ぎに、
紹介でいやいや働き始めた
歯医者の受付のバイト、
ところがそこではドクターからセクハラを受け、
すでにすり減らしていた神経をさらに悪化させてゆく。
そんなある日、
彼女の眼の前に、金持ちの男性ドワイト(ピーター・サースガード)という男が現れる。
これでやっと、この暮らしから脱出できる。
そう思ったジャネットは、
ドワイトに対し、
自分の身の上について嘘をついてしまう」

----あらら、嘘はいけないや。
「だよね。
もう、ここからの流れは想像つくと思うけど、
この“嘘”がいつバレるか…。
映画の興味はそちらの方へ向っていく」

----ふむふむ。
これは監督がウディ・アレンだけに
ハッピーエンドじゃ終らないニャ。
「まあ、それについては
ぼくははっきりとは言えないけどね。
と、それはともかく観ている間は、
これがウディ・アレン監督の映画ということを忘れるほど、
物語の中にのめり込んでしまう。
でも考えてみれば、
神経を病む…というのは、
ウディ・アレン映画の特徴の一つ。

この『ブルージャスミン』ほどじゃないけど、
アレン自身が役者として出演した映画では、
必ずと言っていいほど、
彼は、神経的にまいっている男の役を演じている。
ただ、ここまで重症のものはなかったような…。
なにせ、ジャスミンは人前で放心したように
ブツブツ独り言を言うしね。
冒頭、飛行機から空港へ。
とにかく喋りまくるジャスミン。
これ、やりすぎじゃないの?
と、そう思ったら、
実は、すでに病に冒されていたということ。
で、過去の栄光が忘れられないものだから、
着る服や、身につけるバッグ、小物など、
すべて一流品。
それが市井の生活の中で浮き上がり、
よけいに彼女の不安定さを強調するんだ」

----ニャるほど。
これはケイト・ブランシェット
やりがいがありそう。
「そういうことだね。
映画では、
セレブ時代の彼女のシーンも半分を占めている。
つまり、ケイトはその両方を演じなければならず、
同じファッションでも周囲に与える効果の違いを演じなければならない。
ぼくは、アカデミー主演女優賞には『あなたを抱きしめる日まで』のジュディ・デンチを押していたけど、
これには納得だね。
あと、映画として観れば、
最後の最後に明かされる“ある秘密”だね。
あっ、と驚くけど、すぐに納得。
それどころか、
彼女の神経が病んだ理由まで分ってくるという仕組み。
これはシナリオも上手いと思ったよ」




フォーンの一言「ケイト・ブランシェットのイッてしまった表情がスゴイらしいのニャ」身を乗り出す

※真の狂気だ度
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