ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『1.0【ワン・ポイント・オー】』

2005-04-29 21:30:20 | 新作映画
-----これまたいかにもサンダンス映画祭って感じのビジュアルだね。
「鋭いね。SF、サスペンス、それにフィルムノワールなど、
いろんなジャンルを複合させたこの手の作品は、
ここしばらくのインディーズのはやりだね。
昔で言えば“カフカ的不条理世界”ってヤツ。
あるアパートで一人の男が体験する奇妙な現象を、
オレンジ色を強調した照明の中、
悪夢のような、もどかしさで描いていく」

-----もどかしさ?
「うん。夢の中って、現実と空気の密度が違う。
空気に少しジェルが混じったような感じというか、
思うように行動がとれず、もどかしさを感じる。
(これってぼくの場合だけかも知れないけど…。)
しかも主要人物は喋ってるんだけど、
他の人たちは出てこないか、出てきてもせいぜいオブジェ扱い。
そう、これこそが、この“カフカ的不条理世界”の特徴のような気がする。
理性でははかりきれない、ある変化が主人公に起こり、
その後はだれかに操られているかのよう。
謎を解こうにも解けやしない」

------にゃるほどね。で、どういうお話なの?
「うん。プログラマー、サイモンのところに、
中身が空っぽの箱が次々と送られてくる。
サイモンは気味が悪くなり、隣人たちに対して疑心暗鬼となる。
そこで彼は運び屋の友人サイモンに相談。
部屋を完全ロックするけど、それでも箱は送られてくる。
やがて、この箱はこのアパートで変死した他の住人にも
送られていたことが分かる。
やがてサイモンは、あるメーカーの牛乳ばかり買い始める』

-----意外とオモシロそうじゃない。
「うん。ただ、この手の映画の特徴で
映像が汚らしささえ感じさせるほどにくすんでいる。
これは人によって好き嫌いが別れるかも。
あと、残念なのは、この箱の送り主がだれか、
そしてその目的までも分かってしまうこと。
“カフカ的不条理世界”を描くんだったら、
なるほどと思う結末は用意しない方がよかった。
部屋に運び入れたのが誰かまで分かっちゃうしね。
その点、あの『CUBE』なんかは、そのあたりがいさぎよかった」

-----結局、何が起こったの?
「それはネタバレになるからここでは喋らないよ(笑)。
あと、見どころはロケ地のルーマニアかな。
ドラキュラが生まれた地(トランシルヴァニア)だけあって、
怪奇幻想にはもってこいの町並みだ。
あとキャスティングも凄い。サイモンにはジェレミー・シスト。
さらにはデボラ・カーラ・アンガー、ウド・キア、ランス・ヘンリクセンと、
どうやって集めたんだろうと思うくらいに脇が豪華。
ウド・キア演じるデリックが作ったアダム・ロボットも不気味だ。
あ~、こういうとき、思い切って画像を載せたくなるね」

(byえいwithフォーン)

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『female フィーメイル』

2005-04-28 23:57:20 | 新作映画
-----この映画もオムニバスなんだって?
でも監督や主演の顔ぶれがすごそうだね。
「うん。これもいわゆる『Jam Films』の流れの中のひとつ。
今回は第一線で活躍する女性作家5人が"女性"をテーマに書き下ろした作品を、
気鋭の監督たちが5本の映画に仕上げたということらしい。
しかもエロスがそのテーマの一つに....。
これは観ないわけにはいかないでしょ(笑)」

-----それはそうだ(笑)。これって「小説新潮」の
エロス特集に載ったんだって? 読んだ?
「いや読んでないよ。でもここで喋ってるのは映画だから(と開き直り)。
簡単に内訳を紹介すると
『桃』原作:姫野カオルコ  監督:篠原哲雄 出演:長谷川京子、野村恵理、池内博之 ほか
東京でOLをやっている淳子が恩師の葬儀に出席するため故郷に帰る。
彼女は中学校の時、独身教師と『いやらしいこと』に耽っていた。
『太陽の見える場所まで』原作:室井佑月  監督:廣木隆一  出演:大塚ちひろ、石井苗子、片桐はいり
深夜、ホステスのマチコが女性ドライバーのタクシーに乗り込むと、
そこには先客の若い強盗がいた。
『夜の舌先』原作:唯川 恵  監督・脚本:松尾スズキ  出演:高岡早紀、近藤公園 ほか
工場で働く正子は変態チックな課長とデートする代わりに有給休暇をゲット。
旅先の南国で手に入れた不思議な香炉を使い、彼女は年下の男の子とのHな夢(淫夢)を見る。
『女神のかかと』原作:乃南アサ  監督・脚本:西川美和  出演:大塚寧々、森田直幸 ほか
小学生の真吾は同級生の奈月の母親に胸ときめかせる。
母親もそれに気づき、半ば誘惑を仕掛けるような言葉を口にする。
『玉虫』原作:小池真理子  監督・脚本:塚本晋也  出演:石田えり、加藤 亮、小林 薫 ほか
じじいと呼ぶ男に一軒家で囲われている女。
下界との接触を許さぬじじいだが、ある夜、ひとりの若い男を連れてくる」

-----どれが気に入ったのかにゃ?
「どれもけっこう楽しめたよ。
それぞれ、簡単に見どころを喋っちゃおう。
『桃』
淳子を演じている長谷川京子のエロチックな桃のしゃぶり方。
子どもの頃、白いスニーカーをあえて泥で汚したように、
彼女は自分のしていることに愛などという理屈を付けてはいない。
『いやらしいこと』『ただやりたかっただけ』と言う淳子。
(こういう言葉が彼女のような美形の女性の口からはかれるとそれだけで、
男としてはマイってしまう。)
それだからこそ、彼女はあえて腐りかけた桃を選ぶ。
彼女の若い時代を演じた野村恵理のセックスも<青い>生々しさがあったね。
『太陽の見える場所まで』
これは廣木隆一 らしい映画だね。『ヴァイブレーター』と同じく、
車の中という密室で、コミカルにドラマが進んでいく。
3人の女性はそれぞれに悩み(とりわけ金銭的な)を抱えていて
口論がいつしか『私を殺して』の大合唱に変わっていく。
漫画チックな表現の中、車が空を飛び、
次の瞬間には浜辺で黛じゅんの『天使の誘惑』を
フリ付きで歌い踊っている。話の転がし方が実に楽しい。
『夜の舌先』
これは高岡早紀を観て楽しむ映画。
オールヌードで、よくぞここまでという痴態の限りを見せてくれる。
いわゆる性行為というのは第三者から見ると、
それは少なくとも視覚的には<笑える>=滑稽な行為だということを、
ここまで描いた映画も珍しい。
山本晋也監督の『未亡人下宿』を思い出したね。
高岡早紀にとっても『忠臣蔵外伝四谷怪談』以来の熱演だね。
『女神のかかと』
これは意外とありふれた話ではあるんだけどね。
でもそれにしても、この真吾役の少年・森田直幸の演技、特に目線が見事だった。
そしてその彼の目線を意識する母親との密度の濃い空気を捕らえた映像が秀逸。
『蛇イチゴ』でも、なぜこの若さでこのテーマを....と思ったけど、
やはりこの監督、西川美和は人間を見つめる姿勢が普段から違うんだろうな。
『玉虫』
これまた、塚本晋也の独壇場。現実にはなさそうで、
いやどこかでは実際に行われてるのかも知れないと思わせる巧みさ。
その寓話性は、じじいが銃で撃たれるシーンで沸点に達する。
その撃ち合いというのが、
なんと料亭のようなところで畳の上に座ったままえ行われるんだ。
若い男を演じる加藤亮が、つげ義春の主人公を彷彿とさせ、寡黙なのに、
いったん石田えりとコトに及ぶと、一転して野獣のようなセックスをする。
石田えりも『遠雷』以来の体当たり演技だったね」

(byえいwithフォーン)

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『メリンダとメリンダ』

2005-04-27 23:52:06 | 新作映画
------おっ、珍しいね。ウディ・アレンじゃない。
確か、この監督あまり好きじゃなかったのでは?
「そうなんだ。う~ん、なんて言うか、
インテリのニューヨーカーが
『ボク悩んでるんです』というのを特権的にひけらかしている気がして
鼻についてたんだ」

------でも『ボギー!俺も男だ』を観たときは、とても気に入ってたよね。
「あれは監督がハーバート・ロス。
しかも、主人公の悩みが映画狂ゆえというのもあって
まあ、いいかって(笑)...」

-----でも、けっこうラブ・ストーリーも作っているし、
毎回、手法は凝ってるよね。
「うん。今回は1本の映画の中、二つのお話が並行して語られる」
-----?????どういうこと?
「マンハッタンのビストロにたむろする劇作家たちが
『人生は悲劇か、喜劇か?』の議論を戦わせるうちに、
ある同じ状況設定から、
まったく別の方向へ展開するストーリーを
編み出していくというゲームを始めるんだ」

-----へぇ~、おもしろそうだけど、そんなこと可能なの?
「ニューヨークのあるアパートでパーティが行われている。
そこへ不倫の末、医者と別れたワケありの美女メリンダがやってくる。
アパートのドアを開け、パーティの輪の中に転がり込んでゆくとこまでは両方同じ。
そして、どちらのメリンダも、セクシーなピアニストに一目惚れするが…。
さて、それぞれどのような結末を迎えるか?
このお話を『悲劇のヒロイン編』と『ハッピー・ヒロイン編』で描くというわけさ。
その描き方も、片やドラマチックに、片やビター・スウイート・コメディに。
同じラブ・ストーリーでもテイストは全く違うふたつの物語が
1本の中に収まっているというわけさ」

-----メリンダは同じ人が演じているの?
「うん。ラダ・ミッチェル。彼女もやりがいあったと思うよ。
ちょっと見た目には、違う人が演じてるのではと思わずだまされるほど、
その容姿のみならず、キャラクターそのものを変えている。
そこで描かれるのは恋愛の幻想、不倫、夫婦の倦怠、嫉妬に三角関係の泥沼……。
その映像表現も含め、
これまでのアレン作品のさまざまなエッセンスをふんだんに盛り込んでいて
映画としてもけっこう楽しめる方じゃないかな。
あっ、ウディ・アレンと思われる役はウィル・フェレルがやってる。
メリンダの言葉に性的妄想を刺激され、彼女が仲良くなった相手にイヤミ連発。
こういうところは、あいかわらず自虐的だけどね(笑)」

(byえいwithフォーン)

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『交渉人 真下正義』

2005-04-26 00:01:49 | 新作映画
------これって『踊る大捜査線』のスピンオフ企画だよね。
どうだった、これもヒットしそう?
「う~ん、分からないな。織田裕二はおろか、深津絵里も出てないからね」
------でも、映画のトーンは同じなんでしょ?監督も同じだし。
「そうなんだよね。結局は刑事アクション。
交渉人の話と言うから
サミュエル・L・ジャクソンVS.ケヴィン・スペイシー『交渉人』を期待していたら、
途中からエディ・マーフィの『ネゴシエーター』になっちゃった」

------どういうこと?
「うん。つまり交渉人である真下正義と犯人の頭脳の駆け引きに徹しきれず、
アクション・エンターテイメントになってしまったと言うことなんだ。
物語は地下鉄の実験車両を乗っ取った犯人が交渉の窓口に
真下を指名したところから始まる。
この犯人はネットで車両を遠隔操作。
ときはクリスマス・イヴ。
同時に自動運行システムも麻痺し、
乗客200万人が人質になると言うモノなんだ」

-----ほほう、オモシロそうじゃニャイの。
「ところが、どうもこのあたりのテンポがよろしくない。
地下鉄司令室に乗り込んだ真下ら交渉課準備室を
指令室長が快く受け入れてくれないのも型どおり。
しかも困ったことに、周囲のキャラクター設定が大げさ。
彼の相棒として地上で動き回る警視・木島がうるさすぎる。
その上、この木島はすべてカンで行動し、
最後には真下もカンに頼ってしまい、
知能と知能の駆け引きや心理戦ではなくなってゆく」

-----今日は少し、手厳しすぎニャい?
「でも犯人の真の目的が別にあることが分かってからは、
ある程度以上のレベルのサスペンスにはなっていたけどね。
もっともこういった緊迫刑事ドラマは日本のお手の物。そう珍しくはないかな。
ただ、犯人が出す謎に『ジャガーノート』『オデッサファイル』
『愛と哀しみのボレロ』といった映画を使うんだったら、
それらの映画に挑む意気込みを見せてほしかった。
『ジャガーノート』はそのクライマックスで、
爆弾魔が仕掛けた爆弾の爆破に繋がるのは
赤と青、2本の線のどちらかということをめぐり
犯人と爆弾のオーソリティとの間に息詰まるやり取りがある。
この映画では爆弾に数本の線が繋がっているけど、
それもカンだけでクリアーしてしまう。
あれもこれもと
詰め込みすぎてもったいない映画になってたね」

-----でも、夏前にクリスマス・イヴの映画ってニャンかすごくない?
「そうなんだよね。この勇気(?)は買いたいね」
(byえいwithフォーン)

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※今日、鉄道の大事故が起きました。
この映画の公開延期もあるかも知れません。

『ニライカナイからの手紙』

2005-04-25 00:30:57 | 新作映画
-----ニライカナイ?
「うん。これは『ちゅらさん』で有名になった八重山諸島の竹富島に
伝わる伝説で、<海のかなたの、幸いすむ桃源郷>のことなんだってさ」

-----タイトルからして、ニャンだか良心的映画って感じ。
「そうだね。話はきわめて古めかしい。
竹富島で郵便局長の祖父と暮らす風希。
彼女は自分が6歳の時に離島したまま
いっこうに帰る気配のない母を
ずっと待ち続けている。
母からは毎年誕生日に一通の手紙が届く。
風希が14歳になったときの手紙、それは
『20歳になったらすべてを打ち明けます』というもの。
その言葉を信じる彼女は、
高校卒業後、祖父の反対を押し切って上京する...という話さ」

-----確かに、なんの変哲もないニャア。
「最初、桟橋で母親と風希が別れるとき、
風希を演じている女の子の目線がカメラを意識。
フェリーは30分おきだから撮影スケジュールがキツイというのは分かるけど、
リテイクのため、もう少し粘れなかったのかな?
こりゃヤバイぞ.....と思ったら、
続いて風希が小学生のときのエピソードでは、彼女が友達と
『キジムナーはいるよ』『いないよ』と言い合っている。
もちろん、『いる』と言うのが風希。
沖縄=キジムナー、夢を信じる=ヒロイン。
あまりにもあたり前の発想で、
いよいよヤバイと....。
でも、そのすべてを救ったのが成長した風希役の蒼井優。
『花とアリス』でもそうだったけど、
彼女の演技は同世代の女優たちの中でも群を抜いている。
この映画での役へのなりきり演技は、
これはもう恐れ入るという他はない。
そこには蒼井優がいるのでなく風希がいる。
この映画の最大の見どころは、
それこそ彼女にあると言ってもいいだろうね。
チラシもそれを意識してか、
沖縄の風景の中に立つ風希(蒼井優)に加え、
蒼井優の超どアップパターンも用意されてたよ」

(byえいwithフォーン)

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『埋もれ木』

2005-04-24 00:58:43 | 新作映画
------おや、頭抱えてるニャあ。
「う~ん、この小栗康平の新作は分からない。
ぼくには、ほとんどお手上げだ」

------どういうところが?
「うん。映画は、ある『山に近い小さな町』の
ちょっと変わったエピソードが
並行していくつも語られるわけだけど、
最後になって、『あれ?』って思ったわけだ」

------????
「果たしていままで自分が観てきた話って、
人間の物語だったんだろうかって。
ネタバレになるから、あまり詳しくは話さないけど、
そういう現実離れしたシーンで映画は終わる。
一緒に観た人が言うには、
『現実とフィクションが同居している』って.....。
で、家に帰ってプレスを見たら、なんとそれどころじゃなかった」

-----それどころじゃない!?
「監督の小栗康平が言うには
『「埋もれ木」では、見えていることと、
見ようとしていることが、ないまぜになっている』
んだって。
このプレスには各エピソードがさらに詳しく

『現実』『夢・希望』『説話』『現実+夢・希望』『夢・希望+説話』に分けてあり、
時間の流れと共に図解までしてある。
しかも、その時間も、ある場所では『固有の時間の流れを持つ』となっているんだ」

------そりゃ、大変だ。観ていてこんがらがったでしょ?
「そういうこと。映画では、それらのエピソードが
果たして『説話』なのかはたまた『現実+夢・希望』なのか、
説明は一切なされていない。
エレファントバードなんて言う巨大な鳥の卵や、
奈落にそれを動かす装置がある回り舞台、
そしてトンパ文字、ひき家、埋もれ木、空に浮かぶ馬の紙灯籠など、
それぞれスクリーンに映し出されるイメージは実に鮮烈なんだけど、
この前知識がなければ、何が何だか分からない。
で、ぼくにはその前知識がなかったわけ」

------にゃるほど。じゃあ、ここでこれを喋ったことは、
これから観る人の手助けになってるわけだ。
「と思いたいんだけどね。
プレスに詳しく絵解きしてあると言うことは、
ただ、観ただけじゃ分からないと思ってのこと。
おそらくパンフレットにもこれは載るんだろうけど、
でも買わなかった人には、まず分からないだろうね。
過去と現実、空想と現実が同居のレベルじゃないからね。
そう考えていくと、映画って何?まで突き当たってしまう。
ぼくは、この映画を観ているとき、
60~70年代、作家性が強く実験的だった頃のATG映画を思い出した。
意図的にアフレコであるということを強調した録音、
ゴダールを思わせる音楽の挿入法なんかも、
その思いを強くさせる。
でも、後で絵解きが必要な映画って.........
う~ん、よく分かんない」

------悩みは深そうだニャあ。
(byえいwithフォーン)

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猫ニュー

『スカーレット・レター』

2005-04-22 23:41:42 | 新作映画
------この映画って、問題の作品だよね。
「うん。韓国のイ・ウンジュが亡くなった原因とまで言われている。
プレス見て初めて知ったんだけど、監督がピョン・ヒョクなんだね。
アジア初のドグマ認定作『Interview』を撮った人」

------ドグマ?ニャンだそれ?
「1995年にデンマークのコペンハーゲンにて、
ラース・フォン・トリアーとトマス・ヴィンターベアが『純潔の誓い』を立てたんだ。
これは作家性を重視したモノで、
いわく撮影はロケーション、小道具やセットは持ち込み不可、
カメラは手持ち、カラー、ジャンル映画は認めない、
オプティカル処理やフィルター使用は禁止....など10の誓いからなっている。
で、その後、世界各国から趣旨賛同の監督による作品が続いたってわけ」

------つまんなそう?
「いいねぇ(笑)素直な反応。
でも、それだけ厳しい姿勢を貫こうという人たちだけあって、
作家性の徹底ぶりはすごい。
そんな監督が作ったというんだから、
やはりすごいやね」

------どんな映画なの?
「『スカーレット・レター』というくらいだから、
デミ・ムーア主演で映画にもなった
有名なアメリカ文学の古典と関係あるかと思ったら、
それはあまりなかったね」

-----前ふりが長いなあ~。
「じゃあ、話すかな。
主人公はハン・ソッキュ扮する自信家の刑事ギフン。
彼は妊娠中の妻ギョンヒがいるにも関わらず、
彼女の音大時代の同級生カヒと付き合っている。
その不倫話と並行して、
彼が担当する殺人事件の物語が語られる。
それは写真館の店主が殺されたという事件で、
第一発見者の妻が疑われるというモノ」

-----ニャンだ。ありふれてるじゃない。
「そう思うだろう?
ところが、だれもが思いもよらなかった事実が
次々と明らかになっていき、
そしておぞましい驚愕のクライマックスへ向かう」

-----おぞましい?
「うん。少なくともこれを後味がいいと思う人は誰もいないに違いない。
いくつかブログ回ってみたけど『エグイ』『ショック受けた!』
といった言葉が並んでた。
あの悪夢というか、生と死のはざまの地獄のシーンを演じたら、
精根尽き果てること間違いない。
人間を信じられなくなるだろうし、
自分が一生ひとりの人を愛しきるという確信も持てなくなる」

-----な、なんかすごそう。
「うん。イ・ウンジュのセックスシーンも確かにあるけど、
彼女はそんなことよりこのクライマックスで
一気に厭世観を持ってしまったような気がするな。
鬱とも言われたけど、それも分かる気がする。
最初の登場シーンで『only when I sleep』を歌ってるけど、
その声が聞けるのが救いかな」


※改めてイ・ウンジュさんのご冥福をお祈りします。

※寝覚め悪い度

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猫ニュー

『キングダム・オブ・ヘブン』

2005-04-20 19:36:43 | 新作映画
------おっ、オーランド・ブルームだ。
『トロイ』でもうダメかと思ったけど、
しかもこんどは主演なんだって?
「なんて失礼な。
あれは役が役だったんだから仕方がないじゃない。
愛に殉じて戦争まで引き起こし、
でも、いざ決闘となったら命が惜しくて逃げ惑う。
こんな、できることならだれもがやりたくないパリス役を引き受けた、
その心意気を買ってあげなくちゃ」

------そう言われるとそうだニャあ。
それにしても今度も時代モノだね。
「うん。これは十字軍遠征中のエルサレムが舞台。
で、これは知らなかったんだけど、
当時、キリスト教徒の王にボードワン2世というのがいて、
彼の平和ヴィジョンとサラセンのサラディンの軍事抑制力により、
エルサレムでは休戦の日々が続いていたんだって。
しかし神に守られていると信じる十字軍戦士たちは血気盛ん。
やがてボードワン4世が癩病で亡くなると、
権力に飢えたギー・ド・リュジニャンが無謀な戦いをサラセンに仕掛け、
キリスト教徒たちは完膚なきまでに叩きのめされてしまうんだ。
これを『ハッティンの戦い』と言うらしい」

------歴史のおさらいやってるみたい。監督は誰なの?
「『グラディエーター』でオスカー受賞のリドリー・スコット。
もとよりビジュアルセンスには優れた手腕を発揮する彼だけに、
モブ&バトルシーンは迫力満点!」

------でも『ロード・オブ・ザ・リング』の域までは行ってないでしょ?
「あれと比較されちゃどうしようもない。
『ロード~』以後の映画は戦闘シーンを描くのがとても難しくなった。
『キング・アーサー』しかり、『アレクサンダー』しかりだ。
でも、さすがにリドリー・スコット。
彼は、普通ならだれもが描きたくなるハッティンの戦いをばっさり切り捨てる」

-----えっ、じゃあクライマックスは?
「なんと、その後にやってくるんだ。
サラセンと戦うことに反対の異を唱えていた主人公バリアンは、
エルサレムに立て籠り、残るキリスト教徒たちを率いる。
しかも彼は戦う理由を
『サラセンから砦の中の人々の命の保証を引き出すため』と演説。
大切なのは砦でもなければ土地でもなく、一人一人の命であると言うんだね。
このバリアンをオーランド・ブルームが演じているわけさ」

-----ふうん。かっこいいニャア。
「バリアンが少数を率いてサラセン軍と戦うシーンも出てくる。
でもこの映画では、そういった戦いの迫力よりも、
戦(いくさ)がいかにして始まり、いかにして終わるかに重きが置かれる。
いやあ、つくづく一度始まった戦いを終わらせるのは難しいと思ったね」

------それっていまのイラクみたい。
「直接的に描かれてるのは聖地をめぐる争い。
これって、いまのアラブとイスラエルを連想させるけど、
明らかにイラクに攻め入ったアメリカも重ね合わせて描いているね。
バリアンの演説の中にも
自分たちが始めたわけではない戦いを続けることの無為性が強調。
一種のプロパガンダ映画になっているだけに、
アメリカで公開されたら、どう受け取られるか実に興味深いね」


   (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「スゴい迫力ニャ」身を乗り出す


※注:今回観た映画はファイナル・ヴァージョンでなく、
   「エンドクレジットが途中で終わり、
   また字幕も変更の可能性がある」と上映前にアナウンスがあったことを付記しておきます。


※男だねえ~度

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猫ニュー

『ラヴェンダーの咲く庭で』

2005-04-19 20:28:17 | 新作映画
------この映画ってジュディ・デンチとマギー・スミス、
ふたりのオスカー女優が共演しているんだよね。
なんだか渋い映画って感じがする。
「でも、中身は切ない切ない恋物語。
舞台は1936年のイギリス、コーンウォール。
ジャネット(マギー・スミス)とアーシュラ(ジュディ・デンチ)。
浜辺の近くで静かに暮らす初老の姉妹の日常が、
ある嵐の日を境に大きく変わっていく。
その嵐は、アンドレア(ダニエル・ブリュール)と名乗る一人の美しい青年を
ふたりの元へ運んでくる。
アーシェラは一目彼を見た瞬間から、すっかりその虜となってしまう。
最初はジャネットも彼に惹かれ、ふたりの間には火花が散り始める。
かつて夫がいたジャネットの<熱>は次第に沈静化するんだけど、
免疫ができていないアーシェラは、
それこそ少女のように彼にときめいていくんだ」

-----ふうん、そんなことってあるのかニャア。
「だから、昨日も言っただろう。
恋はいつどこから始まるか分からないって....。
さて、話を進めると、
この青年アンドレアは実はポーランドのヴァイオリニスト。
折しもその町には、名ヴァイオリニストを兄に持つ
オルガと言う若く美しい女流画家性が滞在。
彼女がアンドレアの才能に気づいたことから、
ふたりの接近を恐れる姉妹は、
やってはならないことをやってしまう」

-----えっ、なになに?そのやってはならないことって。
「オルガがアンドレアに出した手紙を焼いて
知らないふりを決め込むのさ。
この映画の悲しさは、
恋の情熱が老いと言う現実の前で立ち往生せざるをえないという残酷さにある」

------う~む。確かに確かに。
そのオルガってのは悪い子なの?
「いや、そうは描かれていないところがまた辛い。
オルガはアンドレアを画のモデルにと望むわけだけど、
その接近を、
自分がアンドレアを誘惑しようとしてるのでは....と、
姉妹が警戒しているということにも気づいている。
そのことをオルガに教えられたアンドレアは
ふたりの関係を男と女の関係へと変える行為に出ようとする」

------(笑)回りくどい言い方だニャア。
「しかし、そこでオルガは態度を一変。
厳しく彼を突き放す。
つまり、オルガに取って彼への興味は
その美しさも含んだ<才能>にしかないわけだ。
アーシュラがあんなにも恋焦がれている相手だけに、
これはほんと辛い話」

-----でも、話聞いてると物語ばかり語ってるニャア。
映画としての見どころはどこなの?
「やはりふたりの女優の名演だね。
微妙な表情や仕種が、
老いらくの恋の痛みを伝えてあまりある。
あっ、物語ばかり語ってるのは、
この映画がそのような作られ方をしているから。
いかにも脚本どおりに撮っていきましたって感じなんだね。
すべてを見せていてあまり想像の余地を残していない。
よくいえばウエルメイドの映画。
だれもが安心して観られるんじゃないかな。
ただ、欲を言えば時代が時代だけに、
主人公の青年をポーランド人と設定したんだったら
そこにもう一枚、ドラマをかませてもよかったと思う。
相手もドイツ語を喋るオルガだけにね」


   (byえいwithフォーン)

※一口メモ:1936年11月、BBCはテレビ放送を開始。
この映画ではラジオが頻繁に出てきますが、
その中でテレビのことも少しだけ語られています。

※辛い度切ない度
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猫ニュー

『やさしくキスをして』

2005-04-18 20:38:31 | 新作映画
「危険や不確かさの感覚というのはすぐれて創造的になりうる」
------いきなり難しいこと言うニャア。これ受け売りでしょ?
「うん、こんなこと僕が言うはずはないね(笑)。
これはこの映画の監督ケン・ローチの言葉なんだ。
映画を観ている間からとにかく感情を激しく揺り動かされる。
その理由って何なんだろうと考えたら、
一見、自分の身には起こりそうにないこと、
でももしかしたら明日にも起こるかもしれないことを
素人、あるいは無名に近い俳優を使うことで
自然体で描いているという点にあるんではないかと....」

-----具体的に喋ってよ。
「じゃあ、いつもの通りに、まずは物語を。
主人公はカソリックの高校で音楽を教えているロシーン、
そしてパキスタン移民でクラブのDJをやっているカシム。
カシムの妹タハラがイスラムの多様性をクラスで語り、
白人の男子生徒にからかわれたことがきっかけで
ふたりは出会い、ほどなく愛が芽生える。
ところがカシムの両親は敬虔なイスラム教徒。
子供たちの結婚相手にも当然イスラム教徒をと決めている。
そんなこととはつゆ知らないロシーンはカシムをスペイン旅行に誘う。
そこでふたりが情熱的な愛を交わした後、
カシムは自分に婚約者がいることを初めて告げる」

-----ひどい話だニャア。婚約者がいるなんてのはその前に言わなきゃ。
「そうなんだよね。ロシーンもそれを冗談としか思わない。
まさか、いまごろになって....というわけだ。
そのときのセリフが『なぜ、もっと早く言わなかったの』。
ケン・ローチの言う“ 危険”と言うのは、
つまりこういうことなんじゃないかと思う。
ある人(カシム)にとってはリアルなことも
他の人(ロシーン)にとっては非リアルである....と。
この映画では、なにも特別なことが起こっているわけじゃない。
でも、それぞれが属する社会特有の価値観に基づいた行動が、
一つの事件を生み、相手を傷つけてゆく。
この“不確かさの感覚”が観る者の感情を揺り動かしてる、
そういう気がするんだ」

-----分かったような、分からないような???
「ケン・ローチは、時系列に添って撮影。
撮影中もお互い顔をあわせないようにさせられていたらしい」

-----ちょっと前に話に出たマイク・リーみたいだ。
「よく覚えているね。
しかし、この映画の方がテーマは多岐にわたっている。
そのひとつに宗教の壁、そして偏見がもたらす悲劇があるわけだけど、
これにしてもイスラムの方だけが閉鎖的という風には描いてはいない。
たとえばロシーンがカシムとつきあっていることを、
地区教会の神父に恫喝されるシーンは凄まじい。
ほとんど、狂気としか見えない」

-----恫喝?
「そう。ラシーンは一度結婚に失敗しているわけだけど、
カソリックはまず、この<離婚>というヤツを認めない。
夫婦は神によって結ばれている。
離婚は神との誓いを断つと言うわけだね。
ましてや異教徒と一緒に暮らすなんて...。
だったら無宗派の学校へ行ってくださいというわけだ。
カソリックの学校で仕事を続けるには、
この神父の資格証明書がいるらしい。
いやあ、驚いたね」

-----イスラムの方はどうなの?
「こちらも息子が異教徒と結婚することで、
周囲から後ろ指さされて、家族が辛い目にあってしまう。
それがきっかけでカシムの姉ルクサナの結婚も危機に陥る。
そこで家族がある強硬手段に。
ここが後半最大のクライマックスだね」

-----でも、さっき、だれにでも起こりうる
と言ってたけど、こんなこと普通ないよ。
「いや、そうじゃないだろう。
人間である限り、だれがだれと恋に落ちるか、一寸先は分からない。
それがこの映画の場合、たまたま宗教が違ったと言うこと。
あっ、フォーンは猫だから分からないか?」

-----mmmmmm
   (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「タイトルのイメージと違うニャ」ぱっちり

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猫ニュー

『サハラー死の砂漠を脱出せよー』

2005-04-16 22:42:58 | 新作映画
-----この映画って全米初登場No.1の映画だよね。
「とりあえずはね」
-----えっ、とりあえず?
「だって、よほどの超協力な映画でも現れない限り、
初登場でNo.1になる可能性というのは月に4~5回と、けっこうあるからね。
ただ、この映画の場合、期待された割には
あまりいいスタートダッシュを切っていないみたいだ。
でもぼくは充分に満足したな」

-----期待されてたの?
「うん。原作の『ダーク・ピット』シリーズは
全世界で1億2000万部突破。
1973年に第1作が発行されて以来、
多くの読者を獲得している冒険小説なんだ」

-----冒険小説か。どうしてこれまで映画化されなかったんだろう?
「いや、実は80年に一度「タイタニックを引き揚げろ」が
『レイズ・ザ・タイタニック』として映画化されている。
ところが原作者のクライブ・カッスラーはその出来に不満。
それ以来、長い間、映画化の道が閉ざされたと言うことらしい。
彼の完全主義はつとに有名。
一度は売った映画化権を買い戻しまでしているんだ」

-----すごい人だにゃあ。
「しかも彼は、この映画に出てくる
NUMA=National Underawater&Marine Agency
(国立海中海洋機関)を自ら設立してるらしい」

-----その人の話はもういいや。そろそろ映画の話してよ。
「分かった、分かった(笑)。
主人公は、このNUMAのエージェントであり、
なおかつトレジャーハンターのダーク・ピット(マシュー・マコノヒー)。
彼が今回探し求めているのは
南北戦争時に莫大な財宝と共に姿を消したと言われる甲鉄艦テキサス。
このテキサスがアフリカの地に眠っていると確信した彼は、
ナイジェリアからマリ国境へ向かう。
折しもナイジェリアでは疫病が発生していて、
その原因がマリにあると判断したWHO(世界保険機構)の
エヴァ・ロハス博士(ペネロペ・クルス)も彼らのボートに同乗して現地へ。
しかしそこは独裁と圧政がはびこる死のサハラ砂漠。
彼らはそれぞれに非情な敵から命を狙われる.....と、こういうお話なんだ」

-----ハリウッドって砂漠を舞台にした映画多いよね。
「そうだね。同じアドベンチャーものだと最近では
『ハムナプトラ・失われた砂漠の都』かな。
これはこれでよくできていたけど、
この『サハラー死の砂漠を脱出せよー』は、
あそこまで奇想天外なファンタジーというわけではない。
比重を魔法より冒険の方に置いている。
そう、どちらかというとインディ・ジョーンズや
ジェームズ・ボンドの色に近いかな」

-----また、息つく間もないジェットコースター・ムービーって感じなの?
「確かにアクション、アクションの連続ではあるんだけど、
それ(アクション)だけを見せるのではなく、
その中のドラマを見せるゆとりがあるのが嬉しかったね。
最近のアクション映画は、
まるでゲームのように、ただ派手な爆発・炎上やガンプレイばかりを
延々と映し出してることが多い。
ぼくが古いのかも知れないけど、それってあきてくる。つまらない。
アクション映画のおもしろさは、
たとえばその一つのアクションの中にも人間関係のドラマが生まれ、
それが次の展開へと結びついていくところにあると思うんだ。
それは初めて明らかになる真実でも、復讐する主人公の回想でも、
あるいはユーモアに富んだ会話でもいい。
そこから生まれる新たなドラマがアクションを豊かにすると、
ぼくはそう思う。
日本でそれをやれるのは室賀厚監督かな。
『Gun Crazy』シリーズは低予算だけど見応えあった。
話それちゃったけど、この映画はその点でもオモシロかった。
60~70年代の血の通ったアクション映画を思い出したね」

      (byえいwithフォーン)

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猫ニュー

『ワンダーランド』

2005-04-15 18:58:12 | 新作映画
------この映画は実在の人をモデルにしてるんだよね?
「うん。ポルノスターのジョン・ホームズね。
巨きなモノを持ってたことで知られ、
一時はファンクラブもできたほどの存在だった。
.......と言ってもこれは海の向こうでの話。
日本では(今もだけど)ボカシが入るから、
そんなの分かるはずもないしね。
マリリン・チェンバースとかシャロン・ケリーとか
ポルノ女優は人気あったけど、
彼は名前だけ有名だったにすぎない」

------ふうん。
「この映画は、そのジョン・ホームズが落ち目の頃に関わった、
ある殺人事件をめぐる物語。
警察への尋問を受ける3人の証言者。
でもそれぞれその証言は食い違いを見せるんだ」

-----いわゆる『羅生門』パターンね。
「そういうこと。その中で彼の妻と愛人、
ふたりのジョンへの愛が浮き彫りになっていくという映画さ。
この映画の特徴は一言で言えばダーク&ダーティ。
ドラッグシーンが多く、
粒子の粗いざらざらした映像の中で
血糊ベタ~っのバイオレンスシーンも出てくる。
観るには少し体力を必要とするかも...」

-----でもヴァル・キルマーって、
なんかこの役にピッタシって気がする。
「そうなんだ。最初はマット・ディロンも候補に挙がってたらしい。
彼には『ドラッグストア・カウボーイ』なんてのもあったしね。
でも、いわゆる猥雑さをここまで出せる役者という点では、
ヴァル・キルマーで正解だった気がする。
BBCiの言葉を借りれば『自我を感じさせない』演技。
そう言えば『ドアーズ』のジム・モリソン役に続いて
今回も公然で自分のモノを見せている。
映画のためとは言え、役者も大変だ」


(byえいwithフォーン)

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猫ニュー

※そういえばマリリン・チェンバースってデヴィッド・クローネンバーグの『ラビッド』にも出てました。

『エレクトラ』

2005-04-14 19:23:26 | 新作映画
------『エレクトラ』って『デアデビル』のスピンオフだよね。
ベン・アフレックも出ないし、ジェニファー・ガーナーだけじゃ
いくらボブ・サップが出てるとは言っても、
あきらかにスケールダウンにゃのでは?
「う~ん、そう言われると困るんだけど、
でもほらB級アクション映画の楽しみってあるでしょ」

------B級なの?SFXバンバン使ってるみたいだけど?
「そこなんだ。これだけCGやVFXが発達しちゃうと、
どんな映画でも当たり前のようにそれを取り入れてしまう。
つまり『チープだけど、その心意気いいじゃん』的な映画が
なかなか生まれにくくなってるのが今の時代という気がする。
B級というよりも『A級になりそこねた』映画っていうのばかり」

------この映画もそうなの?
「監督がロブ・ボウマン。
あの怪作『サラマンダー』でもそうだったように、
ちょっと変わった趣向を織り込み
『B級でもやってやろうジャン』の意地が窺える。
設定は『善の組織』VS.『悪の組織』の闘い。
いかにもマーベル・コミックスだよね。
で、それぞれのリーダーに名優テレンス・スタンプと
日系アメリカ人のケリー=ヒロユキ・タガワ。
テレンス・スタンプは『スーパーマン』でゾッド将軍という悪役だった。
今度はそれが180度逆の立場......というわけだ」

------わざわざ日系の人を選んだ理由あるの?
「うん。悪の組織は『忍者』を使う。
こちらは黒い服で、組織名は“ザ・ハンド”。
一方、善の組織は白服の忍者姿。組織名を“キマグレ”という」

------変にゃの(笑)。
「彼らはいずれも東洋の武道を生かした術を操り、
その修行風景も出てくる。
ロケーションはバンクーバーで行われたらしいんだけど、
前半の主要舞台となる島もどこか日本の離島を思わせるんだ」

------なんだか、周辺の話ばかり。まだ本筋を聞いてにゃいよ。
「これは簡単。このザ・ハンドはある『宝物』を狙っている。
その『宝物』とは13歳の少女アビー。
彼らは高い戦闘能力を持つ彼女を自陣営に引き入れようとしているんだ。
そのアビーに、自分を見たエレクトラは
迫りくる刺客から彼女を守るというわけさ」

-----あれっ、思い出した。エレクトラって死んでるはずじゃ?
「うん。キマグレのリーダー、スティック(テレンス・スタンプ)が
彼女を蘇生させてんだね」

-----キマグレな話だ。
「そう、言わないでよ。
この刺客が結構オモシロいんだから。
黒魔術を操る男、ナイフを跳ね返す強靭な体を持つ大男、
人間には不可能なバランス感覚で攻撃を仕掛ける男。
なかでも、身体に彫ったタトゥーの猛獣が飛び出し
実体化して相手を襲う術を持つ男と、
キスをすると相手の精気とエネルギーを吸い取る怪女。
このふたりは視覚的にも見モノだよ。
この怪女が歩くだけで周りの木々が枯れていく。
あと、彼ら個性的悪役を途中で簡単に殺さないのもよかったね。
一度は劣勢に立ったエレクトラたちが
クライマックスでどう挽回するか、
楽しみを最後まで引っ張れたからね」


(byえいwithフォーン)

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『いらっしゃいませ、患者さま。』

2005-04-13 19:08:10 | 新作映画
------「いらっしゃい」って、変だよ。
だって、これ病院の話でしょ?
「いいところに気がついたね。
確かに『いらっしゃい』というのはショーバイの慣用句。
つまり、この映画は借金で倒産寸前の病院を
風俗業界専門の立て直し屋が売上No.1の病院にするというお話。
分かりやすいいだろう?」

------「分かりやすいだろう?」って、見どころはどこ?
なんとなくコメディっぽいけど......。
「彼が掲げる経営方針がズバリ『病院はサービス業、患者はお客様だ!!』
そのサービスというのが、ナース指名の『お散歩サービス』、
ナースと一緒の『同伴CTスキャン』、
そしてナースによる『口移しバリューム』.....と、風俗のアイデアばかり」

------ふざけた話だなあ(笑)。
「でも、たとえばその中には『薬の特急券』というのも。
これは『のぞみ10分待ち』『ひかり20分待ち』
『こだま30分待ち』と価格によって分かれている」

------にゃるほど、そういうところはいまの時代に合ってるかもね。
大病院と言えば、とにかく待たされるというイメージが強いもの。
監督は誰にゃの?
「『夜逃げ屋本舗』シリーズで名を挙げた原隆仁。
初監督作品が『バカヤロー!私、怒ってます』の第3話
『運転する身になれ!』。
この手の映画に関しては実に手堅い。
バカバカしい話と思いながらも、最後まで見せきってくれる」

-----キャスティングは?
「大借金を抱えながらも風俗通いする院長に渡部篤郎。
異業種から参入の立て直し屋に大友康平。
コメディは初めてと言う渡部篤郎の演技もなかなか楽しめるよ。
あとナース代表は原沙知絵」

------でも、物語がそれだけじゃ持たないでしょ?
「うん、そこに、
この病院の乗っ取りを企むヤクザの組長(藤岡弘)が絡んでくる。
この組長は、もめ事に関わりたくない病院のせいで
妻を失ってしまったという過去を持つ。
それならいっそのこと、
病院を自分たちのものにしてしまおうと言うわけなんだね」

-----ふうむ。普通の乗っ取りとは違うんだね。
ちょっと期待してみようかな。
「あっ、ハートフルコメディや
スラップスティックの線を期待しちゃダメだよ。
これは、そのいずれでもないユル~イ感覚のコメディ。
映画にあれこれ求めない人なら、ちょっと楽しめるかも」


(byえいwithフォーン)

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猫ニュー

『迷宮の女』

2005-04-12 22:45:08 | 新作映画
------あれっ、今夜は早かったじゃない?
夜の試写会で遅くなるんじゃなかったっけ?
「よくぞ聞いてくれたフォーン(泣)。
六本木ヒルズに行ったんだけど、
フィルムが到着遅延で中止になったんだ。
う~~、寒かったあ。
ランニングタイムが書いてなかったので
問い合わせれば中止と分かったんだろうけどね」

-----でも、お台場のシネマメディアージュじゃなかっただけ、
よかったんじゃない。そういえば速達で中止のお知らせ来てたよ。
ただ、もう、えいは出かけた後だったけどね。
「そ、そうだったのかあ~~~。
というわけで、早く帰れたのでフランス映画『運命の女』のお話。
これはね、多重人格の女性が連続殺人犯で捕まり、
彼女が本当に精神異常なのか、それとも演技なのかを
心理カウンセラーが調べるっていうサイコ・ミステリー」

-----えらく簡単だなあ。
「うん。でもその話と並行して、刑事が犯人を捕まえるまでが描かれる。
この刑事が捜査にプロファイリングを駆使するんだけど、
これがプロファイリングというよりもほとんど超能力。
たとえば、この一連の事件は
ギリシャ神話の『ダイダロスの迷宮』が元になっているんだけど、
その中に出てくるミノタウロスの彫像を彼が見た瞬間、
そこに事件の核心があると直感したり、
自分の描く絵画の中に犯人の手がかりのヒントを感じたり...少し強引すぎ。
でも、その違和感も最後には見事に解決されるけどね」

-----ことの結末は読めた?
「いや、乙一じゃないけど叙述トリックを使ってるため、
最後はとんでもないことになっていく。
すべてが明らかになるクライマックスは、
けっこう目を瞠ったよ」

      (byえいwithフォーン)

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