ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『カタコンベ』

2007-08-30 23:47:56 | 新作映画
----カタコンベってパリの地下にある墓地のことでしょ?
「うん。街の地下深く、
複雑に張り巡らされた坑道、トンネルに
なんと700万体も眠っているらしい。
この映画は、主人公の内気なヴィクトリア(ジャニン・ソサモン)が
ソルボンヌ大学に通う姉キャロリン(アリシア・ムーン)に誘われ、
初めての海外旅行でパリを訪れるところから始まる。
到着早々、カタコンベで開かれているパーティに誘われたヴィクトリアは、
いつしかその迷路で迷子になってしまう。
死の恐怖に怯えながら地上への出口を誘うヴィクトリアだったが…」

----ニャんだか、それって前にも
似たような話を聞いたことあるニャあ。
「そうだね。『0:34 レイ_ジ34_フン』とそっくり。
途中までは、あの映画や『ディセント』と同じく
モンスター・ホラーになっていくのかなと思わせながら、
実はとんでもないエンディングが待ち構えている」

----もしかして主人公の妄想だったとか?
「実はぼくも、
ラストはそうなるのではないかと
ハラハラしながら観ていたんだ。
ヴィクトリアは安定剤を何種類も服用しているし…。
でもこれは一種のミスリード。
逆にそのことを見事にドラマに取り入れている。
ラストのヴィクトリアのモノローグが冒頭に繋がるところとかも
なかなか巧いよ。
ただ、途中で出てくる男アンリの正体など、
ツッコミたいところはいくつもあるけどね。
それとストロボ的な撮影はそろそろ止めてほしいと思ったね。
暗闇を写し出すのには効果的かもしれないけど、
不安心理を見せるサスペンスの手法としては安易。
クライマックスでこれを多用したのはいただけなかった。
もっと、シチュエーションをじっくり描くことで
心理的恐怖を出してほしかった気がするな」



(byえいwithフォーン)

フォーンの一言「でもカタコンベでパーティってバチあたりニャ」もう寝る

※そのパーティ、ほんとにあるらしい度

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猫ニュー 

『この道は母へとつづく』

2007-08-29 23:10:42 | 新作映画
----この映画って想像ついちゃうよね。
お母さんを訪ねて、孤児院の子供が旅をするというお話でしょ。
「確かにそれはそうなんだけど、
観る前に思っていたハートウォーミングな作品とは
まったく違っていたね。
この映画の舞台はロシア。
そこで育てられる子供たちは、
親に捨てられた孤児ばかり。
貧しく暮らす彼らの希望は、
裕福な外国人の養父母に引き取られていくこと。
6歳の少年ワーニャは、幸運にもイタリア人夫婦に気に入られ、
養子として院を出て行くことになる。
しかしある日、すでに養子として引き取られていった友だちの母親が
孤児院に突然現れたことで、
彼は自分を生んでくれた母親の存在を意識し始めるんだ」

----そこでワーニャは“母を訪ねて”旅に出るわけだニャ?
「うん。
でも周りはそれを許さないんだ。
というのも、ここにはある“ビジネス”が横たわっている。
ワーニャに逃げられるということは、
養子縁組の仲介業者であるマダムにとっては自分に入ってくる斡旋料が、
孤児院にとっては手数料が入らないことを意味する。
そこでマダムの執拗な追跡が始まる。
このサスペンスが加わることで、
映画はタイトルからイメージされるような叙情性とは
まったく異なる方向へと走り始めるんだ」

---ニャるほど。
「現在のロシアの社会的問題をえぐり出しながら、
映画は一方で戯画的な様相をも見せる。
というのも、このマダムの描き方が少しマンガチック。
運転手兼用心棒、そして愛人の男をアゴで使いながら
一緒にワーニャを追いつめるんだけど、
いつもあと少しのところで逃げられてしまう。
まるでトムとジェリーみたいな感じ」

---あらら。
「でもね。
この映画を観て
まず頭に浮かんだのは『求めよさらば得られん』の言葉。
つまり夢を叶えるには強い意志が必要ということ。
このワーニャは、お母さんに会いたい一心で、
お金をごまかしたり、文字を覚えたり、嘘をついたり。
さらには自分を守るために
あるとんでもない行動に出るんだ。
子供ながらにしてハードボイルド。
それというのも、
この孤児院には院を陰で牛耳る不良グループがあって、
ワーニャもその中の一員なんだね。
彼らの厳しい規律の中で生きてきたワーニャだからこそ、
この一人っきりの旅もなし得た気がするな」

---う~む。
「映画は、ワーニャが列車に乗るところ、
つまり院を飛び出してからが俄然オモシロくなる。
そしてだれもが驚かずにはいられない衝撃のシーン!-----
その後に続く
思わず頬が緩むラストとともあいまって
これはぼくにとって心に残る映画の一つとなったね」


     (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「これは<生きる才能>というヤツだニャあ」ぱっちり

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猫ニュー

『クワイエットルームにようこそ』

2007-08-28 23:09:55 | 新作映画
----偶然にも松尾スズキ離婚発表の日に観たんだよね。
キャッチコピーの
「目醒めたら、『そこ』にいた。」って、どういうこと?
「うん。これはね内田有紀演じる28歳のライター佐倉明日香が、
ある日目醒めると、白い部屋で拘束されていたというところから
話が始まっていくんだ。
そこは通称“クワイエットルーム”と呼ばれる、
女子だけの閉鎖病棟内にある保護室。
明日香はアルコールと睡眠薬の過剰摂取により、
自宅で昏睡状態となっているところを
同棲相手の焼畑鉄雄(宮藤官九郎)に発見され、
ここに運び込まれたわけだ。
明日香は自分は自殺しようとしたわけではないと説明するものの、
担当医と焼畑双方の同意がもらえず
退院したくても退院できない。
かくして逃げるに逃げられない状況に陥った明日香の
めくるめく絶望の14日間が始まる……と、こういう話だね」

----そういえば、最近韓国にも
そういう病院の患者を描いたお話がニャかった?
「『サイボーグでも大丈夫』だね。
残念ながらあれはぼくには合わなかったな。
病院とその患者をあまりにもファンタジーよりに描きすぎ。
ちょっとシラケてしまう。
この映画には、
入院患者の方が外にいる人たちよりも心が美しく純粋などという、
古めかしい描写は一切ない。
りょう演じるナース・江口の設定を
“ステンレスの心を持つ冷酷な女性”とするなど、
『カッコーの巣の上で』を思わせるシーンくらいはあるけどね」

---あっ、『カッコーの巣の上で』か。
あの映画は、この手の作品を語るときには外せないよね。
「そうなんだ。『カッコーの巣の上で』が与えた影響は大きく、
<病院=管理VS.患者=自由>の図式が
いつの間にかでき上がったような気もする」

---他の患者はどうニャの?
「摂食障害、過食症、拒食症-------
“食”に関する患者が多かったな。
同じ“食べない”でもいろんなケースがあるんだね。
まあ、それはさておき、
この映画の何よりの素晴らしさは、
役者の個性を知りつくし、
それを生かしたキャスティングだろうね。
元AV女優、過食症の患者・西野を演じる大竹しのぶは圧巻。
金にうるさいところは少し『魂萌え!』の 加藤治子 とダブルかに見えたけど、
もっと悪魔的。
『黒い家』を彷彿させるモンスターぶり」

---『17歳のカルテ』のアンジェリーナ・ジョリーみたいなもの?
「(笑)。そうも言えるかな。
それと、さすがに笑わせ方が巧い。
鉄雄の子分、その名もコモノを演じる妻夫木聡も
ここまでバカに徹したのは初めてじゃないかな。
あと、徳井優の使い方も
ここで教えるわけにはいかないけど爆笑もの。
そんな中でぼくのオススメはナース山岸を演じた平岩紙。
こういう人、確かにいるよなという
あまりにも自然な表情を見せてくれる」

---役者の演技以外の見どころは?
「構成の妙かな。
最初のうち、時制が不思議な飛び方をして、
それぞれのシーンが
どのように繋がっているのか分からなくなる。
一体、原作ではどういう風に描かれているんだろう。
ちょっと読んで確かめてみたくなったな」

---ふうん。ニャるほどね。
原作を読みたくさせる映画か。
それって、
やはり映画化に成功したってことのような気がするニャあ。
「そうだね。
実はこの映画、
クライマックスに向けて怒濤の展開を見せる。
そこで明かされる真実、
その衝撃は重量級。
甘く見ていると火傷する、そういう映画だねこれは」


     (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「これも一つの才能だニャあ」いいねぇ

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『パンズ・ラビリンス』

2007-08-27 22:46:50 | 新作映画
(原題:El laberito del Frauno)

----これってずいぶん前に観たんじゃなかった?
「映画のポイントをどこにおいて、
フォーンに喋るか、
ちょっとそこを決めかねていたんだ」

----イメージとしてはダークファンタジーだよね…。
「うん。
舞台は1944年のスペイン。
内戦で父を亡くした少女オフェリアは
母カルメンの再婚相手、
独裁者フランコに心酔するビダル大尉の元に身を寄せる。
大尉の子供を宿した母は日に日に衰弱。
一方、その義父は残忍な本性をちらつかせる。
孤独と不安に苛まれ、森をさまようオフェリアは、
いつしか謎めいた迷宮に足を踏み入れてしまう。
驚く彼女の前に山羊の姿をしたパン(牧神)が現れ、
思いもかけぬ言葉を吐く。
『あなたは魔法の国のプリンセス、
モアナの生まれ変わりに違いない』」

----へぇ~っ。オモシロそうだ。
それでどううニャるの?
「パンが言うには
オフェリアの左肩にある印がその証拠で、
満月の夜が来るまでに
3つの試練に耐えられれば、
彼女は両親の待つ魔法の国に帰ることができるというんだ」

----こういうお話の場合、
ファンタジー部分が事実か、
それとも彼女の空想かってところが
最大の興味の的だよね。
「そうだね。
しかもそれは観る人によって変わってくる。
ファンタジーを現実にはありえないものと割り切る
リアリスティックな立場を取る人と、
いやどこかで実際に
こんなこともあるかもしれないと信じている、
もしくは信じたい人。
そのどちらの立場に立つかによって
映画を観ているときの
感情の揺さぶられ方も大きく違ってくるからね。
ただ、通常のファンタジーと異なり、
この映画でオフェリアが体験する幻想的世界での試練は、
ファンタジーと呼ぶにはあまりにも苛酷で恐ろしい。
まさに悪夢だね。
ファンタジー好きでも引いてしまうかも」

----えっ? 
現実が厳しいんでしょ。
だったら
空想の中だけでも夢の世界に逃避しそうなものだけど…。
「いや、それじゃあまり意味がないというか、弱いんだ。
あの時代のあまりにも苛酷な<現実>。
それは少女が想像しうる最も怖い<悪夢>さえも超えている----
と、こういうことなんだね。
実際、現実世界では思わず目を背けたくなる
残虐な映像が次々と飛び出してくる。
ただ、このため
映画が少し平坦になってしまった気がする。
少しでも救われるというか、ホッとできる時間がまったくないんだ。
もちろん、このダークなトーンが好きな人には
たまらないだろうけどね」

----そういえば、アカデミー賞授賞式で
最初のうち、次々と受賞し、
周囲を驚かせたのもこの映画だったよね。
「うん。撮影賞、美術賞、それにファンタジー賞ね。
結局、すべてが技術関係の賞ばかりというのも
この映画らしい。
内容や構成上の弱さを補ってあまりある、
技術の素晴らしさ。
それこそが賞賛されたというわけだ。
確かにこの映画における異世界のイマジネーションと
その造形力は秀逸。
『ミミック』以来の<空飛ぶ虫>は
ここにきて妖精へと姿を変える。
これだけでもギレルモ・デル・トロのファンは大満足じゃないかな。
個人的には、両手のひらの目玉に度肝を抜かれたけどね」


 (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「でもこの結末はどうなのかニャ」悲しい

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猫ニュー

画像はアメリカ・オフィシャルより。

『風の外側』

2007-08-25 22:25:12 | 新作映画
----気がつくと、奥田瑛二ももう4本目の監督作品だね。
「うん。彼ってその世界観が独特。
あまり他の監督が描かないような
陰の部分を好んで描く傾向がある。
よく言えば、人間の血が通っているとも言えるんだけどね」

----どういうこと?
「まあ、間違っても都会のライトな青春を描くことはない。
やはり70年代の人なんだろうな。
彼の映画を観ていると
80年代というのはこの世に存在しなかったみたい。
この映画も『いつの日か青春映画』と、
“理屈なく取った。嘘なく撮った。”ということらしいけど、
その青春が抱えるものは暗くて重い」

---具体的に言ってよ。
「主人公の女子高生・岩田真理子(安藤サクラ)は
ふとしたことから。
ある青年(佐々木崇雄)と知り合う。
で、学校帰りのボディガードになることを約束させるんだけど、
その青年というのが
恩義あるヤクザの田丸(北村一輝)にいいように使われていて、
闇金の回収の仕事をしている。
しかも、それはヤクの扱い、そして鉄砲玉と
エスカレートしていくんだ」

---うわあ、暗い。
「しかも、今回は舞台が下関。
そこに在日朝鮮の問題も絡んでくるんだ」

---そういえば安藤サクラって
奥田瑛二の次女なんでしょ。
ヌードになっているとか聞いたけど…。
「うん。
ぼくはそれ知らなかったから驚いたな。
奥田瑛二の映画と考えればそれも納得だけどね。
この佐々木崇雄も若い日の奥田瑛二をシャープにした感じ。
彼は自分が過ぎてきた時代への
こだわりが相当あるんだろうね。
あと、彼のうまいのは日常描写。
よくTVドラマなどで
女性が初めて男の人の部屋に入って、
『わあ、汚い』なんて描写あるけど、
それっていつもたいしたことないよね。
でも、この映画にちらり出てくる
借金まみれのブランド女の部屋はそれこそゴミ屋敷。
このクールな視線と描写の徹底ぶりはスゴいと思ったね」



(byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ちょっと苦手だニャあ」もう寝る

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猫ニュー

『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』

2007-08-22 10:29:45 | 新作映画
----これって超話題の映画だよね。
試写も盛り上がったでしょう?
「うん。改めて三池崇史とタランティーノの人気を知ったね。
まあ、この映画に関しては主演の伊藤英明目当ての人も
けっこういたようだったけど…」

----で、映画はどうだった?
観る前は、あまり乗り気じゃなかったでしょ。
「うん。自分がマカロニ・ウエスタンを好きなだけにね。
観たい。でも観るのが怖いという」

----それってどういうこと?
「マカロニを撮るんだったら
もっとピッタリの監督がいそうな気がして…。
三池監督だと自分の世界が出すぎるのではというイヤな予感が働いたわけ。
その予感は、ある意味正しかった気がする。
プレスを読んでみて納得したけど、
三池監督はマカロニのリアル世代じゃないんだ。
どちらかというとドラゴン世代。
つまり、この映画も
『三池崇史マカロニを斬る』…みたいな
ちょっと引いた作りにないっている。
よく言えば、マカロニにしては“立派”すぎるんだ」

----立派すぎる?
「うん。室賀厚監督の『GUN CRAZY Episode-1:復讐の荒野』あたりの
チープさがマカロニにはちょうどいい。
もちろんマカロニにもセルジオ・レオーネの『ウエスタン』のような
超大作がなかったわけじゃないけど、
この『ジャンゴ』にはあまりにも多くのことを詰め込みすぎている」

----たとえば?
「物語は語る必要もないほどシンプル。
ある寒村で源氏と平家の末裔が埋蔵金をめぐって争う。
そこに過去あるひとりの用心棒が現れ、
抗争に巻き込まれていくというもの。
まあ、『用心棒』だね。
で、そこに棺桶やガトリング銃、墓場、十字架といった
『続荒野の用心棒』のアイテムを中心に
『荒野の用心棒』の仕込み鉄板、『夕陽のガンマン』のサドルバッグといった
マカロニ・ウエスタンの記憶が
もう至るところに盛り込まれているという寸法。
たとえば、義経(伊勢谷友介)があらぬ方向に向けて銃を放つのに、
それが清盛(佐藤浩市)に当たる。
これなんて、よくあの頃言われた
『この角度では弾は当たらないじゃないか…』をわざと大げさにやってみせたもの。
また、子供が言葉を喋れないというのは
『殺しが静かにやって来る』の主人公サイレンスの設定と同じ。
それを意識してか、ラストの決闘は一面雪の世界だ。
そうそう、ここはチャン・イーモウのパクリじゃないから、
くれぐれも間違えないようにね。
だけど、ここまでやるんだったらせっかく『金』が出てくるんだから
『情無用のジャンゴ』の火傷シーンもやったほうがよかったんじゃないかな。
あの残酷さこそ、三池崇史に合うと思うんだけど…」

----それって世界マーケットを意識してのことじゃないの?
でもこうやって聞いていると、満足度高そうだけど…。
「う~ん。マカロニ好きにはどうかな。
ラストの剣(伊勢谷)と銃(伊藤)の決闘は映画史に残る素晴らしいアクション。
でも、全体的にセルジオ・レオーネのようなケレンとタメがなく、
だからと言ってセルジオ・コルブッチほどに泥臭くない。
タランティーノが出ているから言うんじゃないけど、
彼のファンには受けそうな気がする。
タランティーノ出演の回想シーンなんて
まるで『キル・ビル』タッチ。
あっ、そうそう。
このシーンにはスマップの一人が出ている。
これには驚いたね。
場内もざわついていた」

----あれれっ。言ってもいいの?
「いいと思うよ。口止めされてないから。
さて、そのついでに俳優についても触れれば
もうけ役と言えるほどカッコいいのは桃井かおり。
彼女のアクションにはほれぼれしたね。
あと、女優では木村佳乃もマカロニらしく泥んこまみれに。
あっ、伊藤英明の風貌は
イーストウッドでもフランコ・ネロでも、
ましてやトーマス・ミリアンでもなく
アンソニー・ステファンに近い気がしたな。
あとコメディリリーフでは香川照之と石橋貴明かな。
前者はゴラム、後者は保毛尾田保毛男」

----ニャに言ってるのかわかんないよ。
「まあ、それだけ
ギャグも散りばめられているってこと。
マカロニでは『ミスター・ノーボディ』がそうだったかな。
全編、英語なのにときどき日本語が混じり
TVのセリフなんかも出てくるしね。
あまり言うと、観る人の楽しみ奪うことになるから抑えるけど、
小栗旬演じる正義感の<名前>がポイントだよ。
それじゃ。
『♪ジャンゴ~。アイ・アマトウ・ソロレイ。
ジャンゴ・マディ・メンティカ~~~』」



(byえいwithフォーン)

フォーンの一言「なに歌ってるのニャ?」小首ニャ

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『天然コケッコー』

2007-08-20 19:10:18 | 映画
----あれっ。この映画、
絶対にえいが好きそうだと思ったのに、
どうしたの?
「いやあ。もう聞いてよ。
今日はとても楽しみにして映画館に行ったのに、
始まって10分ぐらい経った頃、
そう、そよが早知子(宮澤砂耶)の下着を洗っているあたりから、
少し年配の女性集団が騒ぎながら出現。
『おばあちゃん、こっちこっち』とでかい声。
席についてからも『だから、あのトイレが…』『お昼に食べたあれが…』。
もう、ピクニック状態(涙)。
声はまったく聞き取れないし(涙)」

----で、どうしたのニャ?
「心はわさわさ。
落ち着かない。
注意したい。でも注意したら後がばつが悪い。
しかし声は止まないどころか、さらに大きくなる。
前の席の人も振り返って迷惑そう。
とっさに席を立って注意してしまったね。
おかげで心を持ち直すのに時間がかかって
前半の右田そよ(夏帆)の大沢広海(岡田将生)に対する
微妙な心の変化がよくつかめなかったね。
悔しいのはそれがあの『スタンド・バイ・ミー』を思わせる
線路から海までと続く重要なシーンだったこと」

----あらら。それじゃあ台無しだ。
この映画については語れないね。
「でも、それでも
いつしかそのことを忘れさせてくれたんだから
やはりこれは力のある映画だと思うよ。
まず何が素晴らしかったかって、この映画にはある種の品格があるんだ」

----品格?
「うん。
キャメラは地面に垂直に構えられ、地面はスクリーンを水平に横切る。
それは一種の安定感と言い換えてもいいかな。
だから、これほどのバタバタがぼくの回りであったにもかかわらず
映画の中にス~ッと、自分が取り込まれていく」

----ふうむ。分かったような分からないような。
「物語は、くらもちふさこが作ったものだし、
もともとそれについてはあまり言うつもりはなかったしね。
もちろん、
そよが友だちを傷つけてしまったことに、
後で気づいたり、広海に教えられて反省したりという、
心の機微の描写は素晴らしいし、
膀胱炎になった早知子が
彼女のことを心配して駆けつけたそよに抱きつくシーンなどは、
思わず涙が出そうになったけどね。
そうそう、そういう意味ではキャスティングが最高だったね。
田浦伊吹を演じる柳英里沙、山村篤子を演じる藤村聖子のふたりは、
田舎っぽくなりすぎない、
その微妙なさじ加減が素晴らしかった。
そよとシゲちゃん(廣末哲万)との関係を進めようとするところなんか、
勘違いの善意という皮肉がよく出ていた。
あっ、それと先生たちもよかったね。
特に女性の先生たち。
地元の劇団の人なのかなあ
いったいだれがやっているんだろう?
修学旅行のシーンの彼女らは秀逸だったね」

----でも有名な人も出ているんだよね?
「佐藤浩市、それに夏川結衣ね。
もちろん彼らもよかったし、
あと<猫>たちも演技していたよ」

----そんなことできるの?
「うん。シッポでリズム取っていた(笑)。
でもぼくは、やはりこのキャメラだな。
教室に挨拶し別れを告げるそよを写していたキャメラが
出て行く彼女を見送った後、
室内を移動しながら窓に近づくと、
そこには別の日のそよがいる。
もうドキドキしたね」

----あれっ、えいの顔、
最初とは違ってきたね。
とてもいやなことがあったとは思えニャい。
「だから、これが映画の力だって。
いつまでもこの時間が続いて終わらないでほしいと思う、
幸せな映画。
でも、
ほんとうは映画って一期一会だと思うし、
最初の出会い方が肝心ではあるんだけどね」



(byえいwithフォーン)

フォーンの一言「マナーは守るのニャ」ご不満

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『ワン・デイ・イン・ヨーロッパ』

2007-08-19 10:58:17 | 新作映画
(原題:One Day in Europe)

----『ワン・デイ・イン・ヨーロッパ』…?
“ヨーロッパの一日”って意味?
「そうなるかな。
この映画は、ヨーロッパチャンピオンズリーグ決勝戦の1日を描いた作品。
プレスとかでは“フェイクドキュメンタリー風”となっているけど、
そんな感じはしなかったね。
きちんとドラマがある。
モスクワ、イスタンブール、サンティアゴ・デ・コンポステラ、
そしてベルリンの4都市を訪れた
外国人旅行者のエピソードを描いているんだ」

----ふうん。でもそれだけロケするとなると、撮影も大変そうだね。
国によって映画撮影に対する目も違うだろうし…。
「そうだね。
しかもこの映画の場合、
モチーフとなっているのが、盗難と警察」

----それじゃあ、あまり各国とも協力したくはないよね。
「そうだと思うよ。
また、この警察というのが
その日はテレビにかぶりつきになるしね。
作品の中では決勝を戦うのが
スペインの強豪デポルティボ・ラ・コルーニャと
トルコの古豪ガラタサライ・イスタンブール。
イスタンブールでは盗難を訴えた旅人のことなんて放ったらかし。
しかし旅人の方も旅人で、
モスクワやベルリンでは生活費に困って盗難の狂言をやったりもする。
盗難保険金を得ようと考えたわけだね。
この映画、
そういう意味では、
いろんな人間の生き方が
本音とともにユーモア混じりで語られていて
けっこう楽しめたね」

----ところでこれってどこの国の映画?。
「監督はドイツのハネス・シュテーア。
さっきも言ったように
撮影の許可申請、撮影機材の運搬、撮影時の保険や消費税などの
煩わしい問題をクリアして完成。
これからも注目していいと思うな」



  (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「サッカーってみんな熱くなるニャ」悲しい

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画像はドイツ・オフィシャル・ダウンロードサイトより。

『ヘアスプレー』

2007-08-16 23:19:28 | 新作映画
(原題:Hairspray)

----あれっ。このタイトルってどこかで聞いたことあるニャあ。
「なかなか鋭いなあ。
この映画はいわゆるカルトムービーとして知る人ぞ知る
ジョン・ウォーターズの同名映画をミュージカル化したものなんだ」

----それって『プロデューサーズ』と同じだね?
「そうだね。
まずは簡単にストーリーを説明しよう。
舞台は60年代のボルチモア。
主人公はティーンに大人気のTV番組『コーニー・コリンズ・ショー』に
出演することを夢見る女の子トレーシー。
Bigすぎるサイズを持つ彼女だったが、
番組のホストの目に留りショーへの出演が決定。
愛しのアイドル、リンクと共演できるということで
天にも昇る気持ちのトレーシー。
ところが美人でスリムな母娘が仕掛けた罠から、
彼女はトラブルに巻き込まれ、
ついには指名手配を受けてしまう」

----ふうん。なかなか楽しそうな映画だね。
しかもプレスもチラシもカラフル!
「そうだね。60年代の青春映画のイメージを
よりポップに仕立てているって感じだね」

----でも、この画像に使っている人、
少し老けてるみたいだけど、
まさか彼女がトレーシー役ってワケじゃニャいよね。
「彼女?いやこの役を演じているのは男優。
なんとジョン・トラヴォルタなんだ」

----ええっ?それってまるで
稲垣吾郎のゴロクミちゃんみたいだ。
そういえばトラヴォルタって
その昔、ミュージカルに出ていたよね。
「『グリース』だね。
『サタデー・ナイト・フィーバー』も、
ぎりぎりそうと言えるかな。
実は彼はミュージカルへの復帰は望んでいなくて
『シカゴ』のときもスタッフか熱烈なオファーを受けながら、
3度も断ったらしい。
そんな彼がこの役を引き受けたわけだから、
それはもう弾けてるのなんのって。
太い足で踊りまくるさまは、もう圧巻!」

----顔のところはまだ分かるけど、
これで踊るって
足とかCG使っているの?
「ぼくもてっきりそう思っていたんだけど、
あれは13kgにも及ぶ着ぐるみなんだって。
それで踊っちゃうんだから、それも一つの才能。
体力も相当にいるだろうね」

----じゃあ、トレーシーの役は?
「ニッキー・ブロンスキーという新人。
彼女はロングアイランドのアルバイト屋アイスクリーム屋でバイトをしていたらしい。
この映画、ほかにも性悪な母親ベルマにミシェル・ファイファー、
トレーシーの父親にクリストファー・ウォーケン、
そしてクイーン・ラティファといったベテランが出演。
コーニー役にはジェームズ・マースデンが“白い歯きらり”で好演。
まるで『ラブ★コン』の“きらりクイーン”みたいな感じ(笑)。
あとリンク役としてTV『ハイスクール・ミュージカル』で人気の
ザック・エフロンが出ているのも注目だね」

----あれっ、クイーン・ラティファは?
「実はこれがこの映画の重要なポイントなんだけども、
後半、物語は人種差別問題へと発展していくんだ。
『コーニー・コリンズ・ショー』には
特別に黒人の日があって、
その日は音楽も踊りも普通の日とは違う。
それを一緒にしようというコーニーと
いや、そんな日はなくしてしまえというベルマが対立。
結局、黒人の日はなくなってしまう。
そんな中、黒人たちの踊りの素晴らしさを知ったトレーシーは
自らデモの先頭に立っちゃうんだ。
しかし不思議なのは映画の中で『ニグロ』と言っているのに
『ブラック』と訳していること。
確かに『ニグロ』は差別の意味がより強いかもしれないけど、
あの時代、そしてあの番組の差別性を出すために
作者たちはあえて『ニグロ』の言葉を使っているワケだから、
ここはそのままやってほしかったね」



    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「こんなのもミュージカルになるんかニャ?」ぱっちり

※途中、少し中だるみあるけど、それでも楽しい度
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猫ニュー 

画像はアメリカ・オフィシャルより。

『幸せのレシピ』

2007-08-15 15:07:31 | 新作映画
(原題:No Reservations)

----このタイトルって、どこかで聞いたことがあるニャあ。
「フォーンもそう思った?
これはドイツ映画『マーサの幸せレシピ』のハリウッド・リメイクなんだ」

----ふうん。こんなハートフルドラマまでリメイクしちゃうんだ?
「そうだね。
『赤ちゃんに乾杯!』→『スリーメン&ベイビー』の例もあるしね。
こういう映画って、思うにシンプルな方がアメリカ受けするんだね。
ストーリーなんて一言で説明できちゃう」

---それは言いすぎだ(笑)。
「ニューヨークにある人気レストランの料理長を務めるケイトは
亡き姉の遺児、9才の姪ポーラゾーイを引き取ることに。
それまで目が回る忙しさの中、
完璧に仕事をやり遂げてきた彼女だったが、
彼女の出現により、自分の人生と向かい合うことになってゆく」

---一言じゃないじゃん。
「揚げ足は取らないの。
確かに、もう一つ大きな出来事があって、
彼女が仕事を休んでいる間に、
副料理長ニックが出現。
ケイトをとても尊敬している彼だが、
その仕事のやり方は彼女とは正反対。
厨房に音楽を、仕事には息抜きを……」

---もう見えたニャ。
映画は、最初ケイトがニックを毛嫌いしているのに、
いつしか恋に陥るんでしょ。
しかもポーラゾーイが彼を気に入ってしまう。
「鋭いなあ。
でも、ハリウッドの喜びそうな展開だものね、これって」

---オリジナルがあるんだったら
ストーリーを語っても仕方ないし、
やはり見どころはキャスティングなのかニャ?
「そうだね。
まず主人公のケイトにキャサリン・ゼタ=ジョーンズ」

---彼女って大柄だし、
繊細なフランス料理には似合いそうにない気がするけど…。
「いやいや。その貫禄で辣腕シェフって感じがよく出ていた。
ニックにはアーロン・エッカート。
これは文句なしのハマり役だね。
昔で言えばジョージ・シーガルあたりのポジションかな」

---で、そのポーラゾーイって難しそうだけど?
『リトル・ミス・サンシャイン』のアビゲイル・ブリスリン。
またこれが場をさらうさらう。
出てくる料理ももちろん目を楽しませてくれるけど、
これはよくできた舞台劇を観ている感じ」

---監督が名匠スコット・ヒックスだもんね。
『シャイン』では、オスカーも取っているし。
「あらあら。先に言われちゃった」


 (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「おなかがすきそうな映画だニャあ」もう寝る

※ホタテ貝のサフランソース添えが作りたくなった度
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猫ニュー

画像はイギリス・オフィシャルより。

『ヒートアイランド』

2007-08-14 23:10:09 | 新作映画
----しかし、ほんとに暑いニャあ。
こんな暑い夏、フォーンは初めてだ。
「そうだね。猛暑日続きでたまんないよね。
日本全体がヒートアイランド!」

----おおおっ、うまいこと持ってきたね。
今日のお話は『ヒートアイランド』ニャんでしょ?
「あらら、ちょっと見え透いていたかな。
これ『ワイルド・ソウル』で史上初となる
大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞の
三冠を受賞した垣根涼介という人の原作を映画化したものなんだって」

----涼介?名前だけは涼しそうだニャ。
どんな、お話?
「う~ん。どこから説明しようか。
渋谷にアキ(城田優)をリーダーとする“ギルティ”なる少年たちのチームがある。
彼らはブラピの『ファイト・クラブ』を模したような
ファイトパーティで荒稼ぎをしていたんだけど、
地元を仕切っている麻川組に目をつけられてしまう。
一方、それとは別に、柿沢(伊原剛志)、桃井(細川茂樹)、
折田(松尾スズキ)というプロの強盗団が、
松谷組という関西ヤクザが経営するカジノから
オーシャンズ並みの見事な手際で3000万円を強奪する。
ところがギルティのタケシ(浦田直也)とサトル(鈴木昌平)が
引退を決めていた折田といざこざを起こし、
3000万円が入っているとは知らずに
彼が持っているボストンバッグまでひったくったものだから、
ギルティは、ヤクザ、強盗団両方に狙われてしまう---というお話だ」

----ははん。これはそのギルティの面々を演じた
若手スターたちで売ろうとしている映画だニャ。
「たぶんね。
ほかにも木村了とか浦田直也、
それに北川景子も出てるしね」

----映画はどうだったの?
「これまた最初はとっつきにくい。
お定まりの手持ちカメラで渋谷を
セミドキュメンタリ・タッチで捕えていく。
しかも、肝心の若手たちの演技が心もとないから、
どうにもノレない。
でも、話がけっこうオモシロくてね。
3000万円が、あっち行ったりこっち行ったり。
観客にはその行方が分かっているんだけど、
映画の中の登場人物はそれを知らないという仕組み。
これって、どこかで観たことがあるなと思ったら…」

----もしかして『運命じゃない人』?
「そう、ちょっと構成が似ている気がしたね。
ただ、映画としてはガイ・リッチーを意識している感じがした。
『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』とか『スナッチ』とか…」

----あ~。ニャるほどね。
そういえば、ガイ・リッチー、どうしてるんだろう?
『スウェプト・アウェイ』以来、聞かないね。
「マドンナの毒にやられたかな(笑)。
それはさておき、話をこの映画に戻すと、
さっきも言ったように、
これは若手で売ろうとしている映画だとは思うんだけど、
ベテラン勢が実にいい味出している。
近藤芳正(関西ヤクザ)豊原功輔(地元ヤクザ)、
そしてその部下役の高岡蒼甫。
それともちろん、伊原剛志、細川茂樹、松尾スズキも…。
みんな役を楽しんでいるんだね。
それもそのはず、
ここで彼らが演じているのは
普段の彼らとはまったく違う役柄なんだ」

----確かに、魅力的なキャスティングだね。
「そうなんだ。その後の彼らの活躍が観たくなる。
ラストシーンでそんなこと考えていたら、
なんと、原作の方は“アキ&柿沢シリーズ”として続編が出ているらしい」

----ということは映画もシリーズ化?
「う~ん。それはどうかな。
この映画がヒットするかどうかによるだろうね。
あたりまえのことだけど…」


(byえいwithフォーン)

フォーンの一言「しっかし暑いニャあ」もう寝る

※ヒートアイラン度

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猫ニュー 

『Life 天国で君に逢えたら』

2007-08-12 22:02:40 | 新作映画
----この映画って、8年間ワールドカップに出場し続けたという
実在のプロウインドサーファー、飯島夏樹がモデルって聞いたけど…?
「うん。ここでは
彼がなかなかレースに勝てずに
寝る場所や食事にこと欠きながら世界を“どさ回り”していた貧乏な時代から
初のワールドカップ優勝、
10年後下り坂のなかで彼を襲った肝細胞ガン、
さらにはそれに起因する鬱病とパニック症候群の併発、
そして死までを描く」

----ふうむ。
こういう実話ベースの、しかも難病映画って語りにくいでしょ?
「そうだね。
出来の善し悪し、
その判断基準をどこに求めたらいいか…?
実話だけに、お話がおかしいというわけにはいかないし、
ここが実際とはあ違うというのも的外れ」

----じゃあ、どうするのよ?
「最初はスルーしようかと思ったんだけど、
それでもここは言っておきたいと思ったのが、
主人公の飯島夏樹に扮する大沢たかおの演技。
前半では、役者というよりサーファーそのもの。
まさしく海の男になり切ってみせる。
それでいて、病魔に襲われてからは
日に焼けた精悍さはすっかり鳴りを潜め、
青白い顔で心の病から抜けられなくなった男を演じてみせる。
俳優としての成長を感じたね」

----あらら、それだけ。
「う~ん。
ぼくにとってのこの映画の見どころは大沢たかお。
あっ、それとこれまで苦手だった伊東美咲もなかなか。
彼女はこういうスポーティな役の方が魅力的。
それと、ファンにとっては
哀川翔のウインドサーファーというのも楽しいかもね」



  (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「でも、人が死ぬ話はいやだニャ」悲しい

※湘南の海はやはり汚い度
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猫ニュー


『HERO』

2007-08-09 23:45:58 | 新作映画
----これって記録的な視聴率を獲得した
あのテレビ番組の映画ヴァージョンなんでしょ?
「そうだね。
ぼくはテレビシリーズとは縁がなかったけど、
この映画を観れば人気の秘密も分かるな。
間違いなくこれは大ヒットするだろうね」

----あらあら、また予言ニャんかしちゃって。
そんなによくできているの?
「いや、これはそれ以前の話。
キャラクター設定と主演の役者で決まり。
主人公は高校中退で大学検定を受けて司法試験に合格。
最終学歴は中卒、“スーツを着ない”異色検事。
そりゃあ、カッコいいわね----。でもありえんの?と、
斜に構えて観ていたんだけど、
見てくれだけでなくその中身もカッコいい。
『検事は、常に加害者に対し“罪の重さと被害者の悲しみを気づかせるべきだ”』。
いわゆるそこらのエリート検事らとはまったく違う。
こんなのテレビのファンだったら先刻承知なんだろうけど…」

----しかもそれをキムタクが演じているわけだもんね。
「そういうこと。
この人が演じると、どんな役でも光り輝く。
たとえばこの映画の主人公・久利生公平は通販好き。
変なモノばかりか買い込み、しかも試しているシーンが随所に出てくる。
でもいわゆるオタクには見えない…」

---でも、それこそ持って生まれたスター性だよね。
「うん。そこが映画のトリック。
たとえば、だれが見ても雨宮(松たか子)が
自分に好意を寄せているのは分かるのに、
信じられないほどに彼は鈍感。
これって普通だったら嘘っぽくイヤミになるのに、
キムタクが演じるとそうはならない。
ほんと、得だね。
しかも仕事面では久利生のそのまっすぐな性格に
出世、保身ばかりを気にする東京地検“城西支部”の
検事や事務官たちは感化されてゆく。
まさに“HERO”だわ」

---分かった分かった(笑)。
で、お話はどうニャの?
「これがまたうまく作ってあるんだ。
久利生が担当した傷害致死事件に
なぜか大物弁護士・蒲生(松本幸四郎)が乗り込んでくる。
刑事裁判獲得日本一という彼の戦術により、
さすがの久利生も検事人生最大の危機を迎えるが…」

---問題は、なぜその大物がこんな普通の事件に乗り出してきたかだニャ。
「そう。そこに贈収賄疑惑で東京地検特捜部に目を付けられている
花岡代議士(森田一義)が絡んでくる。
まあ、これ以上は喋りたいような喋りたくないような。
実は傷害致死事件の容疑者・梅林(波岡一喜)を
そうとは知らない花岡が
自分のアリバイを成立させるための
偽の目撃者に仕立ててしまったというわけなんだ。
このことにより、
自分の担当した事件の真相を追う久利生VS.大物代議士花岡を狙う特捜部
というもう一つの対立項が生まれ、
映画を重層的にしていくんだ」

---お~っ。それは見応えありそうだニャ。
「しかも舞台は韓国にまで飛び、
そこにイ・ビョンホンまで登場」

---ニャるほど。
ヒット間違いなしというのも分かるニャ。
「ただね。
どこかで観た感覚なんだよね、これ。
正義感が強く、自分の信念で動く男。
それによって周囲も変わってゆく…」

---あっ、『踊る大捜査線』。
「しっ…。
もうフォーンったら(笑)。
でもこれってフジテレビの定番だね。
テレビのスペシャルからつながっている部分もある。
こういうのって、映画単体としてはどうなんだろう?
そうそう。
かつては検事だった蒲生が
東京地検次席検事・鍋島(児玉清)と語り合うシーンなんか
強烈なデジャブに襲われたね。
あっ、それと一つ。
映画って最後によくタイアップ曲が流れるけど、
これはいわゆる“歌”なし。
そこはよかったね」

---あっ、それは分かるニャあ。
最後に流れる歌って、
押し付けがましくって、
自分の余韻が崩れるときもあるからニャあ。


 (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「キムタクはなにやってもカッコいいニャあ」いいねぇ

※でも引き込まれて観た度
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猫ニュー

『クローズド・ノート』

2007-08-08 10:53:24 | 新作映画
----行定勳監督の新作だっけ?精力的だね。
「うん。この夏『遠くの空に消えた』に続いて2作目の公開。
脂が乗り切っているんだろうね」

----確か携帯小説が基になっているんでしょ。
ラブストーリーだっけ?
「基本はそうだけど、
ミステリーの要素も入っている。
それだけに話がしづらいんだけど、
脚本ではこのネタバレをいかに避けるかの工夫がなされているんだ」

----じゃあ、そこに触れない程度にお話を教えてよ。
「主人公は教育大に通う香恵(沢尻エリカ)。
彼女は
引っ越してきたばかりのアパートで前の住人が忘れていった
一冊のノートを見つける。
香恵は万年筆店でバイトをしているんだけど、
そこに石飛リュウ(伊勢谷友介)という
イラストレーターが理想の書き味の万年筆を求めてやってくる。
その後、何度か偶然に彼に会うごとに、
恋の想いが芽生えてゆく香恵。
そんな中、彼女は忘れていたノートを開く。
それは小学校の新任教師・伊吹(竹内結子)が
生徒との交流、
そして隆という男性との恋の悩みを綴ったもの。
その恋とシンクロするように、
香恵もまた石飛への想いを募らせてゆく」

---ニャるほど。ふたつの恋の物語か…。
「そういうこと。
話としてはなんてことないなと思いつつ観ていたんだけどね。
でも、オモシロい試みがいくつかなされている。
たとえばノートの中の“想像の隆”を
香恵のファンであるVシネのスター(といっても日活アクション風味)、
夏目涼(黄川田将也)に置き換えるとか、
同じ部屋の過去の住人である伊吹の空間でのドラマに
香恵を立ち会わせるとかね…。
あっ、これ以上は言わない方がいいだろうな」

---う~ん。じゃあ見どころだけでも?
「それは沢尻エリカの演技につきるんじゃないかな。
監督も『自然に空気を捉えようとしている沢尻はほんとうにスゴいと思った』と大絶賛。
『沢尻エリカが現場でスタッフを引っ張っていった』とも語っている。
昨年は、多くの映画に出演しながら
これといった印象に残る作品がなかった沢尻エリカだけど、
この映画は彼女の代表作のひとつになるんじゃないかな。
そうそう、監督のコメントをもうひとつ紹介。
『映画はもっと登場人物の「個」を探求しなきゃいけないんだよね。
物語の構造とか、何かの役割のために人物を設定しちゃダメなんですよ。
そんな神みたいなことをしちゃダメなんです』」

---ニャんだか、スゴい言葉だニャあ。
「でも、ぼくは別の映画もあってもいいと思う。
たとえば 『さらば、ベリリン』のように、
物語のために作られた役ばかりでできている映画も。
そうそう、話は違うけど、このラストはステキだよ。
人生に一度でいいから
あんな至福の瞬間が訪れるといいだろうと思わせる美しい時間。
う~ん。これはその目で確認してね」


 (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「結局、彼女は人の日記読んだわけだニャ」身を乗り出す

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『再会の街で』

2007-08-06 22:23:45 | 新作映画
(原題:Reign over me)

「今日は爆弾発言をしちゃう。
来年のオスカー、主演男優賞はアダム・サンドラーで決定」

----それは確かに大胆だ。
まだ8月というのに…。
「でも、この『再会の街』を観たら
だれでもそう思うと思うよ。
ついでに言えばドン・チードルが助演男優賞で、
脚本賞が監督のマイク・バインダー」

----よっぽど気に入ったんだ。
「うん。この映画はとにかく
前情報なしで観てほしいし、
そのためここでは簡単なプロットだけ。
歯科医のアラン・ジョンソン(ドン・チードル)は、
ある朝、大学時代のルームメイト、
チャーリー(アダム・サンドラー)を街で見かける。
ぼさぼさの頭、だぶだぶの服、
ペンキ缶を下げたその姿は、
とても成功した歯科医とは思えない。
車の窓越しに声をかけるアラン。しかし彼の声は届かない。
後日、アランは再びチャーリーと遭遇。
しかし彼はアランのことを知らないと言う。
実はチャーリーは5年前の9月11日、
愛する家族を一度に失い、
その哀しみから殻に閉じこもったままとなっていたのだった…」

----!!!そうか、それでチャーリーは精神を病んでしまったわけだ。
「そう。チャーリーの前では彼の妻や娘のことは禁句。
それに少しでも触れると
人が変わったように暴れてしまう。
家ではゲーム、外ではiPodで往年のロックばかりを聴いているチャーリー。
アランはなんとかしてその心を開こうとするが…」

----ニャるほど。
良心的ハリウッド映画の王道って感じだね。
「ひとりの友の心を救うという意味では
アラン・パーカーの『バーディ』を思い出したけどね。
愛する者をすべて失った喪失感、
その苦しみをここまで深く描いた映画をぼくは寡聞にして知らない」

----その深い苦しみをアダム・サンドラーが演じるんだね。
いつもの顔とは全然違う。
ちょっとボブ・ディランに似ているね。
「海外では『チャンス』のピーター・セラーズを引き合いに出している評もあって
それも最大の賛辞だとは思うけど、
ぼくは『フィッシャー・キング』のロビン・ウィリアムズを連想したね。
バディムービーってところも似ている。
もっと言えばニューヨークを低い視点から見つめていて、
『真夜中のカーボーイ』をはじめとする
数々のニューシネマの趣もある。
アランはアランで悩みを抱えていて、
チャーリーのために一生懸命になる姿を妻から
『彼の自由がうらやましいのでは…』と言われる始末。
時代の違いもあるんだろうけど、
ストレートな友情美談とはなっていない」

----周りの俳優もいいよね。
「うん。女精神科医にリヴ・タイラー。
途中から重要なキーを占める女性にサフロン・バロウズ。
そして注目してほしいのが裁判官を貫禄で演じているドナルド・サザーランド。
その見事な裁きぶりには
だれもが拍手したくなるのではないかな?
そうそう、個人的には『未知との遭遇』のメリンダ・ディロンが観られたのも嬉しかったね。」

----裁判もあるの?
「うん。物語は途中、
立ち直りを見せたかに見えたアランが
街角である危険行為に出たことから
彼を目の届くところに置き、長期入院させるか否かが争われるんだ。
この法廷シーンもこの映画のハイライトのひとつだけど、
ほんとうの感動はその後にやってくる」

----ふうん。でもこの監督は知らないニャあ。
「『ママが泣いた日』のマイク・バインダー。
ぼくも知らなかったけど、
俳優としても活躍。
この映画でもアランの会計士という
どちらかと言うと嫌われ役を見事に演じきっていたよ。
これから要注目だね」

----フォーンも早く観たいニャあ。
えっ、お正月映画にゃの?
「うん。それだけソニーも
じっくり売ろうとしているということだろうね」



※ついでの情報-----メル・ブルックスの映画が3本も登場!
『ブレージング・サドル』『ヤング・フランケンシュタイン』『サイレント・ムービー』
 
(byえいwithフォーン)

フォーンの一言「とてもアダム・サンドラーとは思えないニャ」ぱっちり

※これは大のオススメだ度

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