ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

今年はお世話になりました。来年もよろしくお願いします。

2005-12-31 21:31:03 | 映画
---いやあ、もうすぐ2005年も終わるニャあ~。
「そうだね。
この一年、ほんとうにたくさんの出会いがあったよね。
昨年の12月30日は173pvで111ip。
ところがなんと今年の30日は1279pvで716ip。
とても自分のブログとは思えない。
始めた頃には思ってもみなかったよ」

----なに?そのpvとかipとか言うの?
「pvは閲覧数でipは訪問者数。
同じ人が違うページを見てくれることもあるから、
pvの方が多くなるってわけ」

----ふうん。これまでトータルするとどれくらいになるの?
「gooがipを公表したのが昨年の11月末だから、
途中からしか分からないけど、
いま数えてみたら12月30日段階で176353ipだった。
pvだと、その1.5倍から2倍くらいかな」

----じ、じゅうななまん!うわあ。信じられないね。
「これもひとえに
ここに立ち寄ってくださるみなさんあってのもの。
ほら、フォーンも挨拶して」

----はい。

今年はお世話になりました。
来年もよろしくお願いします。
よいお年を。


    (byえいwithフォーン)


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2005年TB ベスト10

2005-12-30 19:51:36 | 映画
----何のかんの言って「トラックバック・ベスト10」も
これで3回目だニャあ。
「うん。
でも今回はこの一年に映画館で公開された映画限定というところが新しい。
……なあんて自分で宣伝してるけど、ぼく自身も興味あるんだ。
前にも話したけど、
トラックバックというのは、
その映画について、みんなが自分のページに書いているということだよね。
これはどの映画がブロガーたちを強く刺激したかを知るバロメーターになりうる」

----フォーンもわくわくだニャあ...。
「まず、その前に……
今回の10本の中に邦画は1本。
また人気の韓国映画も1本。
さあ、それは何かを考えながらおしゃべりを聞くと楽しいかもよ」

------邦画は『踊る大捜査線』のどっちかかなあ?
韓国映画だと『私の頭の中の消しゴム』か『親切なクムジャさん』?
「いいところ突いているね。
まず惜しくも第11位となったのが『アイランド』66TB」
--------あらら、そういう映画もあったね。
「第10位『私の頭の中の消しゴム』67TB
第9位『バットマン』71TB
第8位『ティム・バートンのコープス・ブライド』78TB
第7位『ミリオンダラー・ベイビー』83TB
第6位『ALWAYS 三丁目の夕日』86TB」

------ニャるほどこれがあったか?だけどスゴいな、この「夕日」人気は…。
「さて上位5本。実はこの5本だけが三桁。
第5位『Mr.&Mrs.スミス』101TB
第3位『ハリー・ポッター/炎のゴブレット』102TB
第3位『シン・シティ』102TB
第2位『スター・ウォーズ/シスの復讐』116TB」

-----えっ、『シスの復讐』1位じゃニャいんだ?となるとなんだろう?」
「いやあ、今年はこの人の年でしょう。
それは『チャーリーとチョコレート工場』129TB」

------ふう~む。そう言われてみるとそうだ。
「ティム・バートンはブロガーたちの間では高い支持を集めていた。
そうそう単館系の1位は
『ヒトラー 最期の12日間』。これは46TB。
またドキュメンタリーでは『皇帝ペンギン』が43TBと、
こちらも人気が高かったよ」

-------ふうん。でもいま公開中の映画もあるし、
すぐに入れ替わりそう。

「そう。これはあくまで2005年12月30日19:50PM現在のお話。
明日にでも『ハリポタ』は単独3位になりそう」

------さて、いよいよ次は、えい個人のベスト10だね?
「あまり期待しないでね(笑)」
           (byえいwithフォーン)

※05年12月30日19:50PMのTB度
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猫ニュー

『レアル ザ・ムービー』

2005-12-28 15:25:30 | 新作映画
----これってサッカーの映画だよね。
しかもドキュメンタリーなんでしょ。
どう考えてもここで喋るタイプの映画には見えないけど。
「ところが、そのドキュメンタリーの間に
5つのショートストーリーが入っているんだ。
これがこの映画にぼくが興味を持った一番の理由だね」

----そもそもこのタイトルは何よ?
これでサッカー映画を想像しろって、無理じゃない?
「でも分かる人には分かるんじゃないかな。
スペイン・サッカーリーグ、リーガ・エスパニョーラ。
その中でも、リーグ内最多の優勝回数29回を誇る名門が
このレアル・マドリードらしい。
サッカーに関してはずぶの素人のぼくも、
その陣容を聞いて驚いたね。
ジダン、ロナウド、ベッカム、ラウール・・・。
フランス、ブラジル、イングランド、スペインと
世界各国のスタープレイヤーが集まっている」

----へぇ~っ。それってまるで日本のプロ野球のジャイア○ツみたいだ。
でも、ジャイ○ンツが優勝できないように、
スターを集めたからって必ず勝てるわけじゃないんでしょ?
「うん。人気選手がたくさんいるだけあって、
レアル・マドリードのグッズ関係の売り上げは世界第一位。
でも世界最強のチームには
やはり攻めと守りの戦略、戦術が必要。
世界最高のプレイヤーを集めたはいいけれど、
彼らスターたちはその能力を最大限にいかせる
ポジションや役割が見つけられなかったらしい」

----おやおやいいの。
サッカーのことなんて知らないのに、
そんな付け焼き刃を喋っても(笑)。
「うん。そうだね(笑)。
でも、これを話さなきゃ先に進まない。
実はレアル・マドリードは
宿命のライバル、バルセロナに0-3と完敗を喫しているらしい」

----バルセロナって、タイガー○みたいなもんなのかな。
「さあ、それはどうだろう(笑)。
この映画はレアル・マドリードの全面的協力の下に、
初の公認映画として製作されているんだけど、
クライマックスでは宿敵バルセロナを4-2で撃破。
キャメラは、その決勝戦に向かって
選手たちの練習風景はもちろんのこと、
フロントの動向、監督の叱咤激励など、
多角的に捉えていく。
同時に、先ほど話した5つのショートストーリーが進むわけだけど、
もし、この決戦で負けていたらこの映画はどうなったんだろう?
次に勝つときまで、
キャメラは再び回り続けたのかな?…って。
それとも彼らが絶対に勝つという自信があったのかな?」

----ニャるほど。サッカー音痴らしいやぶにらみの見方だ。
ところで5つのストーリーってどういうものなの?
「荒涼としたセネガルの地でボールを蹴る少年、
ベッカムに熱狂する東京の女子高生、
灼熱のベネズエラで街頭テレビでクラシコ観戦する人々、
ロナウドと同じように足に怪我を負うニューヨークの女子大生サッカー選手」

---あれっ、ひとつ足りない。
「うん。もう一つはこの映画の中でも特別なポジションにある。
マドリードで教鞭をとることになった教師が、
この都市に住む人々にとってレアル・マドリードが
いかに重要な存在なのかを知り、
その秘密を探ろうとするというもの」

----ふうん。そういえば今年はワールドカップが開催されるよね。
「そう。
普段はサッカーに興味がない人も
このときばかりは別。
お祭りに参加してしまう。
レアル・マドリードには
世界を代表するスター選手がたくさんいるだけに、
この映画を観ておけば、
あっ、あの選手はこの国の人だったんだ…
なんて楽しみ方ができるかも。
そういう意味では、ぼくみたいなサッカー音痴もOKの映画かもね」

               (byえいwithフォーン)

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猫ニュー

『ククーシュカ ラップランドの妖精』

2005-12-26 19:06:42 | 新作映画
----これってタイトルからするとファンタジーみたいだけど、
いわゆるフェアリー・テイルなの?
「ぼくも送られてきた試写状を見たときは、
てっきりそうかと思ったけど、
でもこれが全然違うんだ。
物語は3人の男女によって進められてゆく。
祖国裏切りの罪を着せられて命を落としかけた
フィンランド兵ヴェイッコとロシア兵イワン。
そのふたりを助けたのはラップランドの湖畔に住むアンニ。
ところがそれぞれがフィンランド語、
ロシア語、サーミ語しか理解することができない。
かくして言葉のコミュニケーションが取れないまま、
3人の不思議な暮らしが始まる…というもの。
ファンタジーではないけど、一種の寓話だね」

----サーミ語って初めて聞くニャあ。
「サーミ人と言うのはラップランドの先住民。
スウェーデン人、ノルウェー人よりも古くから、
スカンジナビア北部に住んでいて、
森の中、高原地帯、湖畔、海岸など生活環境に沿って
独自のライフスタイルを送っているんだって。
アンニはラップランドの高原地帯で
トナカイの放牧をして暮らしているんだ」

----ニャるほど。それは分かったけど、
なぜそこにフィンランドとロシアが絡むの?
「うん。1939年のドイツのポーランド侵攻によって第二次世界大戦が始まると、
ソ連がレニングラードの防衛を理由にフィンランドに攻め込み、
第一次ソビエト・フィンランド戦争が勃発。
以後、1941年のドイツの対ソ連侵攻が始まると、
巻き込まれたフィンランドはドイツ軍とともにソ連と戦い、
ラップランドを舞台として第二次ソビエト・フィンランド戦争に。
しかし1944年にソ連と休戦宣言を結ぶと、
怒ったドイツ軍がラップランド地方を焦土作戦に出て徹底的に破壊。
これはその頃のお話なんだ」

----そんなこと、まったく知らなかったニャあ。
その知識、映画に役立つの?
「うん。大いにね。
このフィンランド兵は平和主義的な態度を仲間に咎められた狙撃兵ヴェイッコ。
罰として岩に繋がれたまま置き去りにされるんだけど、
そのとき彼はドイツの軍服を着せられる。
ロシア軍はドイツ兵と見たら、すぐ襲うだろうと言うわけだ。
事実、反体制的な通信文を書いたと言う濡れ衣を着せられ
軍法会議へ連行されるところを味方のロシア軍機に誤爆。
からくも命を拾ったイワンは、
ヴェイッコの軍服を見てずっとファシスト呼ばわり。
この勘違いがクライマックスで大きな意味を持ってくる」

----ふうん。で、このラップランド女性アンニのところで
どんなドラマが起こるの?
「3人が一緒に暮らしているうちに
言葉の壁を越えた繋がりを持つ…だけだと、
あまりにも当たり前すぎるよね。
そこで監督のアレクサンドル・ロゴシュキンは、
このアンニを“男日照り”が続いて欲求不満の女に設定。
夫をフィンランド軍に徴兵されて4年。
彼女はずっと男に飢えている。
そこになんとふたりも男が現れたわけだ(笑)。
ちょっと触られただけでも『濡れる』など、
露骨な言葉を言ってしまう奔放なアンニ。
でも言葉が通じないものだから、
映画は猥褻にはならず、むしろ滑稽な方へと転がってゆく。
アンニはまずフィンランド兵ヴェイッコを誘うわけだけど、
これに嫉妬するのがロシア兵イワン。
アノときの矯声があたり一面に響き渡る。
この声には言葉の違いがないからね(笑)」

----それ言いすぎ(笑)。
しかしこれは昔のロシア映画では考えられないね。
「そうなんだよね。
4月には『ナイト・ウォッチ』という
独創的なビジュアルを伴ったダーク・ファンタジーもやって来る。
韓国、タイの次は意外とロシアかも」

----でもさあ、“ラップランドの妖精”はないんじゃニャいの?
「ところが、なんとこの映画は後半、
あるできごとがきっかけで<呪術的>な展開を見せるんだ。
<妖精>はともかくとして、神話的性格は持っているかも
これから観る人のために詳しくは言えないけどね」

----ふうん。何が起こるんだろう?
でもこの映画ってハリウッドじゃできそうにないね。
「そう。この映画の軸となっているのは、
喋っている言葉をお互いにだれも理解していないこと。
その勘違いが生み出す<笑い>にあるからね。
ハリウッドだったら登場人物みんなが英語。
それじゃあ、作りようがない(笑)」

        (byえいwithフォーン)

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猫ニュー

『サイレン』

2005-12-22 18:43:18 | 新作映画
----「サウンド・サイコ・スリラー」?これなんのこと?
「タイトルが『サイレン』と言うだけに
音の恐怖にこだわったと言うことらしい。
5.1chシステムを利用してどうのこうのと書いてあるけど、
それはあんまり気にしなくてもいいと、個人的には思うね。
最近のホラーは音で驚かせるのなんて、
そんなに珍しくもないからね。
そう言えばその昔『サスペリア』が
サーカムサウンドシステムとして売り出したけど、
やはりホラーと音響効果は切っても切れないと言うことかなあ。
ついでだからメモ的に話すと
センサラウンドというのも流行ったな」

----おやおや、ネガティブな語り口調だね。
あんまり怖くなかったんだ?
「い~やそんなことないよ。
なんども背筋がゾクッときたもんね。
さすが堤幸彦、本格ホラーを作るとここまでくるか?って感じだ。
ただ、観ている時は怖くてたまらないけど、後を引かない。
と言うのも、この映画の舞台は架空の夜美島。
普通の生活を送っている分には、関係ないからね」

----へぇ~。島の怪奇なんだ。まるで横溝正史だ。
「いいところに気づいたね。おどろおどろしさでは似ている。
ただ、最初設定を聞いたときにはシャマラン映画を思い出した」

----どんなお話なの?
「今から約30年前。
夜見島で島民全員が失踪と言う事件が発生。
そんな中、たった一人の男が発見される。
その男・土田圭(阿部寛)は狂ったように同じ言葉を繰り返し唱えるんだ。
『サイレンが鳴ったら外に出てはならない----』とね。
そして現代。天本由貴(市川由衣)は
フリーライターの父・真一(森本レオ)と
弟・英夫とともにこの島に引っ越してくる。
体の弱い弟の転地療養がその目的。
だが、島の人たちは彼らに粘りつくような視線を送る」

----ちょっと待って!島民は全部失踪だよね。
この島民はどこから来たの?
「やっぱりそれに気づいたか?
これはぼくもクエスチョンだった。
でも、その異様な視線も含めて
最後にはなるほどとなるところが、この映画の巧いところ。
もちろんツッコミどころはいくらでもあるけど、
まだ公開前だからここはこれくらいにして話を進めよう。
新しい住まいにたどり着いた由貴たちに
隣家の女・里美が近づき、引っ越しの手伝いをする。
『近所付き合いが大切』『夜は出歩かないように』
『森の鉄塔には近づかないこと』……そして」

----分かった。「サイレンが鳴ったら外に出てはならない----」。
でも、結局は出なくてはならなくなり、一家は恐怖の一夜を過ごすんだ。
「さすがフォーン(笑)。
この映画はホラーと言う設定。そしてタブーが設けられた以上、
そのタブーが破られる時がクライマックスと言うのは
観客にもあらかじめ分かっている。
そのときが、いつくるのかいつくるのかと
息をひそめて待つ……これが正しい鑑賞法(笑)。
でも最近は、そこまで持ちこたえてくれない監督が多くてがっかり。
それに比べて堤幸彦はさすがという他はない。
しかも『サウンド・サイコ・スリラー』と並ぶもう一つの売り、
『衝撃の3回転結末:トリプル・リバーサル・エンディング』が
最後に待ち受けている」

----ニャんだそれ?まるで『シベ超』みたいだ。
「いや、でもこのオチは読めなかったね。
堤監督、そうとうシャマランを意識していたんだと思う。
なにせ中で出てくる犬の前がオスメント(笑)。
そうそう、登場人物の名前が漢字で書くと
すべて左右対称なんて<遊び>もある」

----キャスティングもオモシロいよね。
「うん。これも、俳優それぞれが持つセルフイメージを
完全に覆してくれる。
特に森本レオはスゴい。
和製ジャック・ニコルソン。
それと松尾スズキだな。
最近はどの映画を観ても、抑えて演じている感じだったけど、
ここでは完全にイッちゃってる。
これは期待していいと思うよ」

        (byえいwithフォーン)

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猫ニュー

『クラッシュ』

2005-12-21 00:22:58 | 新作映画
----この映画って、ものすごくたくさんのスターが出ている割には
なぜか地味な感じがするよね。
「内容が内容だからね。
プレスに載っている解説を引用すれば
『ハイウェイで起こった1件の自動車事故が、
思いもよらない“衝突”の連鎖を生み出し、
さまざまな人々の運命を導いていく…』となる」

----ふうん。カッコいいフレーズ。
でもニュアンスは分かるけど、
いったいどういう映画なのかがまったく掴めないニャあ。
「そうだね。まずオープニング。
深夜のハイウェイで黒人刑事グラハム(ドン・チードル)と
同僚の恋人リア(ジェニファー・エスポジト)が
交通事故に巻き込まれる。
そして物語は前日に戻り、自動車強盗、
地方検事(ブレンダン・フレイザー)とその妻(サンドラ・ブロック)、
TVディレクター(テレンス・ハワード)とその妻(サンディ・ニュートン)、
人種差別主義者の警官(マット・ディロン)と同僚(ライアン・フィリップ)、
ペルシャ人雑貨経営者とその家族、鍵屋とその家族など、
多彩な人間たちがさまざまな“衝突”を繰り返してゆく」

----いやあ、改めて聞いてもスゴい顔ぶれだね。
よく集まったもんだ。
「サンドラ・ブロックもジェニファー・エスポジトも脚本を大絶賛。
実はこの脚本を書いたのは『ミリオンダラー・ベイビー』のポール・ハギス。
今回は彼の監督デビュー作。他に原案と製作も兼ねている」

----『ミリオンダラー・ベイビー』かあ。
あの映画は物語の思わぬ展開が話題となったよね。
この映画もそう言う<意外性>ってあるの?
「そうだね。
この映画を観て感じたのは、
一面だけ見てその人を決めつけてはいけないと言うこと。
人間なんて不確定な生き物で、
他人とのちょっとした“衝突”で
その人の感情はおろか、
信念(と今まで思っていたもの)なんてどうにでも変わりうる。
差別主義者の警官が緊急時に自分の命を顧みず相手を助けたり、
逆に彼を非難の目で見ていた警官が思わぬ行動に出たり…」

----ニャるほどね。
「映画はそれらのエピソードを丁寧に紡ぎ合わせて
1本の長い物語に仕上げている。
しかもそのエピソードの一つ一つがパワフル。
音楽の高まりとともにあっという間にクライマックスへ。
さながら、クオリティの高い短編をいくつも観ているかのようだったよ。
だけどここに描かれる人種と人種の偏見ごっこ…
これってどうにかならないのかなあ。
人種の坩堝アメリカ。
つくづくこの問題は厄介だと思ったね」

               (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「アカデミー取ったニャあ」(一年後)年末のフォーン2

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※画像はオフィシャルの壁紙ダウンロードより。

『リトル・ランナー』

2005-12-19 19:51:03 | 新作映画
----これはタイトルで想像ついちゃうな。感涙系のスポーツ映画でしょ?
こういうのって難病を克服して走るって言うのが多いよね。
「半分は正解で半分は不正解。
というのもこの主人公、14歳の少年ラルフは健康そのもの。
もっと言えば、彼は好奇心から煙草も吸えば、
この時期ならではの青い性欲もたっぷり。
観ていて少し赤面してしまうような
性的エピソードも随所に織り込まれているよ」

----ふうん。じゃあどこで感動に繋がっていくの?
「彼のお母さんと言うのが入院中なんだけど、
回復不能な昏睡状態に陥ってしまう。
『お母さんは奇跡でも起こらなくては目覚めない』。
これが彼が知った病気の真実。
そんな中、元ボストンマラソンの覇者ヒバート神父の
『君たちがボストンマラソンで優勝したら奇跡だ』という言葉から、
彼は優勝と言う奇跡の実現を決意するわけだ」

----ちょ、ちょっと待って。14歳でそんなこと信じちゃうかなあ?
「ラルフが通っているのがカトリック学校だからね。
やはり<奇跡>を信じるには近いところにあったと思う。
ただ、この映画がオモシロいのは
ラルフが出場したら退学と宣告する校長と
ニーチェを読むことを彼に勧めるヒパート神父というように、
カトリック学校の中を一元的には描いていないところ」

----校長はなぜ彼の出場を止めるんだろう?
「ラルフの普段の行いが悪くて
常に目をつけられていた、
彼の母親が亡くなったら孤児になり、
スクールへの支払いを行なう者がいなくなる……
といった理由の他に、
聖者でもないのに奇跡を行なうと言うのは冒涜……と言ったような
宗教的理由もあるようだけど、
ぼくは宗教は専門外だから詳しくは分からない。
映画は聖人の事績に関連した『聖者歴』に添って進められるから、
本当はここが重要なんだろうけどね」

----そうか、だから原題も『SAINT RALPH』なんだ。
それで映画はどうだったの?
「やはり<走る>映画はそれだけで高揚するね。
『炎のランナー』以来、パターンとなった
<走る>シーンのスローモーション。
そしてそれを情感いっぱいに包み込むテーマ曲。
そういえば、あの映画の主人公の一人エリック・リデルは宣教師。
クライマックスはヴァンゲリスの至上のメロディが流れ、
まるで神の祝福を一身に受けているかのようだった。
今回はレナード・コーエンの『ハレルヤ』。
いやあ、心の琴線に触れたね」

----で、彼は優勝するの?
「そんなこと言えるわけないだろう(笑)。
ただ、これだけは勘違いしないように。
この映画は史実ではないからね」

          (byえいwithフォーン)

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※画像はオフィシャルのプレスキット・ダウンロードより。
CAMPBELL SCOTT (L) stars as Father George Hibbert with ADAM BUTCHER (R) as Ralph Walker in Michael McGowan’s SAINT RALPH, a Samuel Goldwyn Films’ release.




『ディック&ジェーン 復讐は最高!』

2005-12-18 23:17:20 | 新作映画
----これってリメイクなの?
「うん。
オリジナルはジョージ・シーガル、ジェーン・フォンダ共演の
『おかしな泥棒ディック&ジェーン』。
しかし、よくこんな映画を見つけてきたもんだ。
物語の骨子は前作とほとんど同じ。
会社をクビになったディックが妻ジェーンと組んで泥棒稼業に転身。
最初はおそるおそる。でも次第に大胆になっていく」

----夫婦で犯罪者と言うと『Mr.&Mrs.スミス』を思い浮かべるよね。
「うん。でもぼくは断然こっちの方が好きだね。
最初にオリジナルを観たとき、
将来、こういう夫婦になりたい----と思ったくらいだからね」

----そのオリジナルと比べてどうだったの?
「ジョージ・シーガルって、当時都会派のダンディと言うイメージがあった。
一方、その魅力が頂点に達した頃のジェーン・フォンダ。
テッド・コチェフ監督の腕の冴えもあって、
実にソフィスティケートされた
アクション・コメディの傑作になっていた。
今回のジム・キャリー、そしてティア・レオーニも悪くはないけど、
ただ、あそこまでスタイリッシュじゃない。
まあ、それに物語が今の時代では
コメディとして成立するのが難しくなっていると言う点もあるだろうけどね」

----それってどういうこと?
「この映画では、主人公転落の原因は、
会社をクビになったことではなく、
昇進のすぐ後で会社が倒産したことから。
これって不況が長引く日本では人ごとじゃない。
しかも会社のトップ、CEOは、その懐をほとんど痛めない。
ディックの昇進も半分ハメられたようなもんなんだ」

----ニャるほどね。
「でもジム・キャリー、ティア・レオーニならではの見どころも。
彼ら二人はさまざまな変装で泥棒を働くわけだけど、
その一つにソニーとシェールがある。
ところが、ここではソニーに扮しているのはティア・レオーニ」

----ということはシェールにジム・キャリー。
顔面パフォーマンスで知られる彼ならではの変装。
それは楽しみだね。
               (byえいwithフォーン)

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※画像はジム・キャリーのオフィシャルの壁紙より。

『PROMISE』

2005-12-16 20:23:40 | 新作映画
「この映画は<約束>を描いてはいても、
この映画には<約束>はない」

----なに言っているの?まるで禅問答みたいだ。
「つまり、あきれるしかないほどに
常識を超越した世界が展開するということ」

----そうか、これはファンタジーなんだ。いつの時代のお話なの?
「う~ん。この映画には歴史的な背景がまったくないんだ。
そこがこれまでアン・リーやチャン・イーモウが描いてきた武侠映画と違うところ。
チャン・ドンゴンはワーナーのアニメ、
ロードランナーのように峡谷を超スピードで駆け抜け、
セシリア・チャンを凧のように空に飛ばして走る。
暴走する猛牛のエピソードなんて
いくらCGを使っているとは言え、
どういう撮影をしたんだろうと、ただただ唖然」

----つまり『カンフーハッスル」 の「ありえね~」度を
さらに高めた映画ってわけだね。
となると、ストーリーの方は聞いても意味ないのかな?
「そんなことないよ。
じゃあ、簡単に話そうか。
まずプロローグ。
親もなく生きる術を持たない少女。
彼女は、真実の愛と引き換えにすべての男からの寵愛と、
何不自由ない暮らしを満神から約束される。
時が経ち、
成長した少女は傾城(セシリア・チャン)と呼ばれる王妃となっていた。
しかし城はいまや北の侯爵・無歓(ニコラス・ツェー)の大群が包囲。
大将軍・光明(真田広之)が王の救出に向かうことになる。
だがその途中、彼は無歓の手先・鬼狼(リウ・イェ)に襲われ、傷を負ってしまう。
そこで奴隷で俊足の昆崙(チャン・ドンゴン)が代わりに王の元へ。
ところがそこで思わぬ事態が発生してしまう
…とこういう話だ」

----なんだかシェークスピア劇のような話だね。
「うん。話を複雑にしないために、
詳しくは話さなかったけど、
映画では<PROMISE>に約束だけでなく<運命>の意味を持たせている。
満神と光明の賭け、無歓や鬼狼の隠された過去など、
映画は彼らの運命を幾重にも交わらせ、
文字どおり時空を超えた壮大な広がりを見せてゆくんだ。
そうそう、この鬼狼と言うのが無歓によって全身火だるまにされ、
彼の元に下り黒衣をまとうことで命が助かる。
ここってダース・ベイダーを連想させたな」

----リウ・イェは中国だよね。
香川照之の「故郷の香り」にも出てたっけ。
しかしそれにしても国際的な顔ぶれだね。
日本、韓国、香港…。
「そう、これを観ていると『SAYURI』のキャスティングなんて
まだ可愛いく思えてしまう。
ワイヤーワークを使ったアクションもふんだんに飛び出すけど、
主人公の光明を演じられるのは日本では真田広之だけかもね。
アクションだけではなく演技力も備わってなくてはならないわけだし…。
セシリア・チャンはギャラは関係ないと、この映画への出演を熱望し、
他の女優を蹴落とす勢いで役を獲得したと言われているけど、
初めての大胆なラブシーンに加え、
月の湖での水浴びシーンにもチャレンジ。
その意気込みを見事にフィルムに焼き付けている。
ただ、ボイスオーバーは彼女じゃないみたい。
そうそう、彼女の子役時代を演じているのは
さっき話にも出た『故郷の香り』で
香川照之の子供役を演じたグアン・シャオタン」

----えっ、スゴい繋がりだね。
真田広之とチャン・ドンゴンは自分の声なの?。
「うん。自分で吹き替えているから確認してみて。
しかしこの映画の最大の魅力はやはりそのビジュアル。
いつも思うんだけど、
これはプロダクションデザイナーの力が大きいと思う。
それをビジュアル化したのは
アン・リー『グリーン・デスティニー』のオスカー・コンビ、
ピーター・パウ(撮影)とトミー・イップ(美術)。
当のアン・リーは西部劇『ブロークバック・マウンテン』で
今年の主な映画賞の最右翼に上がっている。
これを受けてチェン・カイコーが次にどう出るか?
興味は尽きないね。
この映画だって、
チャン・イーモウの『HERO』の世界マーケットでの成功を
意識していないわけはないもの」

          (byえいwithフォーン)

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『スタンドアップ』

2005-12-15 20:15:38 | 新作映画
----「立て!」って、これまたスゴいタイトルだね。
「うん。でも正確には『立ち上がれ!』という意味。
この映画は一言で言えば、
鉱山という“男の社会”で働き始めた女性ジョージーが、
度を越えた嫌がらせや耐え難い屈辱の中、
ついに“立ち上がる”ことを決意するという話。
いわゆるセクシャルハラスメントとの闘いを描いた映画なんだ」

----さっきプレスを見せてもらったけど、
そのビジュアルだけでも
この映画がいかにヘビーかが窺い知れるよね。
「ヒロインのジョージーを演じているのはシャーリーズ・セロン。
オスカーを受賞した『モンスター』に続く大熱演!」

----もっと詳しく説明して。
「夫の暴力に耐えかねたジョージー。
彼女は故郷・北ミネソタの町へ戻り、
女手一つで二人の子供を育てるべく、
男たちに交じって鉱山で働こうとする。
ところが周囲からは<男の仕事を奪う>と冷たい視線を浴び、
さらには子供の父親が違うことから
ふしだらな女と見られてしまうんだ」

----ふうん。最初の夫とは別れたの?
それとも死んでいるの?
「実はこれが大きなポイントとなってくる。
と言っても回想の中で徐々に観客にも分かってくるから、
話してもいいと思うけど、
彼女は10代で教師にレイプされている過去を持つ」

----うわあ~っ、ほんとにヘビーだ。
「シャーリーズ・セロン自身の不幸な生い立ちはよく知られているよね。
15歳の時、父親が酔って妻と娘に暴力を振るおうとしたため、
母親が正当防衛で射殺してしまう。
こういう役を演るのは彼女も辛かっただろうな。
でもその怒りがそのまま表れたような力強い演技だったよ」

----共演の顔ぶれもスゴいね。
アカデミー賞受賞経験者がずらり並んでる。
「旧友グローリーにフランシス・マクドーマンド。
母親にシシー・スペイセク。
スペイセクって『キャリー』のイメージが強く
エキセントリックなイメージが勝っていたけど、
こんなナイーブな役もできるんだなって改めて感心。
あと弁護士役のウディ・ハレルソンも
彼が性格俳優として一皮剥けたことを感じさせる」

----えっ、弁護士?この物語、もしかして裁判までいくの?
「そう。後半は法廷ドラマの様相を深めてゆく。
周囲がすべて彼女の敵に回る中、
どのようにして勝利を掴むか…?
監督は『クジラの島の少女』のニキ・カーロ。
ニュージーランド出身ながら
ハリウッド伝統のこの法廷ドラマを完全にモノにしていた。
舞台は北ミネソタ。雪深い<North Country(原題)>。
『キリング・フィールド』『ミッション』など
風景をドラマに溶け込ませることでは右に出る者のない
クリス・メンゲスの撮影が秀逸。
そうそう、ボブ・ディランの音楽が多用されているのも、
男性優位社会にプロテストするこの映画に合っていたと思うよ」

          (byえいwithフォーン)

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悪質な「引っかけ」にご注意!

2005-12-14 18:52:51 | Weblog
本日は真田広之の『PROMISE』について書く予定でしたが、
あまりにも悪質な「引っかけ」があり、
動揺していますので延期します。

その「引っかけ」とは
コメントの名前をクリックすると、
ポップアップ画面が次々と出て
出会い系に連れて行かれると言うもの。

それくらいならまだかわいいものなのですが、
今回の場合、あわてて自分のブログに戻ると
テンプレートがぐちゃぐちゃに。
しかも「最新の投稿」(エントリー一覧)が消えて
代わりに大きく「gooID」と「パスワード」欄が出てくるのです。
よく見れば、正しい「ログイン」は上にもあるし、
あまりにもこの「gooID」「パスワード」はバカでかいので、
すぐにニセモノと分かるわけですが、
なにせぐちゃぐちゃなので、あわててしまうわけです。
もしここに記入してreturnすると、
おそらく一巻の終わり。
個人情報が全部向こうに流れてしまい、
最悪、初期化されると言うこともありえます。

こういうときは
一度テンプレートを変えることをお勧めします。
私の場合、一度変えてその後、元のテンプレートに戻したところ元通りに。
どうにか窮地を脱しました。
そうそう、念のためパスワードも変えました。

みなさんも、くれぐれもご注意を。
それにしてもコメント欄の見極めは難しいです。
先日も「引っかけ」かと思ったら、
まともな映画ブログだったことがありました。

『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』

2005-12-13 20:06:26 | 新作映画
※映画の核に触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも


----これ実在の歌手の伝記だよね。
なのに、わざわざ断り書きが必要なの?
「うん。ぼく自身ジョニー・キャッシュと言う名前は知っていても、
彼がどんな人生を送ったかは知らなかった。
でもだからこそ、この映画はスリリングだったんだ」

----スリリング?よく分からないニャあ。
「じゃあ簡単にシノプシスを話そう。
ジョニー・キャッシュは貧しい家の次男として生まれる。
一家は綿花栽培の小作で生計を立てている。
父親は飲んだくれで暴力的。
しかも音楽好きのジョニーを毛嫌いしている。
そんな中、兄のジャックが電動ノコギリの事故で死んでしまう。
そのとき、ジョニーは兄に言われて釣りを楽しんでいた。
そんな彼に父親は『どこにいた?』と言い放ち、
『悪魔は、良い子の方を奪った』と嘆き悲しむ」

----そ、それはヒドい。
「このことがずっと彼のトラウマになるわけだね。
さて、ジョニーはセールスの仕事や
軍隊経験を経てゴスペル・バンドを組み、
強引にレコード・オーディションの約束を取り付ける。
ゴスペルこそ相手にされなかったものの
軍隊時代に作った歌で彼は認められ、
あっという間に、
プレスリーやジェリー・リー・ルイスと一緒にツアーを行うまでに人気が出てくる。
そんな中、彼は少年時代の憧れだった
ジューン・カーターと知り合い意気投合する。
ところが一方で彼はドラッグに溺れていく…」

----う~ん。またかって感じ。
アメリカってそういうの多くニャい。
ミュージシャンものって必ずと言っていいくらい
ドラッグが出てきて、そこからの再生物語になるよね。
あと、最近では「実はゲイでした」という話。
「そうだね。去年話題になった『Ray/レイ』は
ドラッグだけでなくセックス中毒まであった。
『五線譜のラブレター De-Lovely』は主人公のコール・ポーターがゲイだった」

----しかもアメリカ映画って昔から
その危機を夫婦の愛情で切り抜けてゆくというパターンが多いよね。
最近では「ビヨンド・ザ・シー~夢見るように歌えば」のボビー・ダーリンもそうだったし。
「そこなんだ。ぼくが最初に断り書きを入れたのは…。
この映画ではジョニーと妻の夫婦仲がうまくいっていない。
もちろん妻が彼の仕事にあまり理解を示そうとしていないところもあるけど、
それよりも問題は、彼が家庭を顧みないこと、
そしてジューンへの想いが強すぎることにある。
この映画、最初想像していたほど<泣ける>映画にはなっていなかったけど、
最初に涙腺を刺激されたのは、
ジョニーが妻の目の前でジューンの写真を壁に飾るシーン。
これはあまりにも痛々しかった」

----ニャるほど。だんだんとネタバレ注の意味が分かってきた。
ジョニーは妻と別れてジューンと一緒になろうとするんだね。
「そう。ところがジューンはジューンで問題を抱えている。
2度の離婚で周囲から叩かれ、
シングルマザーとして子供たちを育てようとしている。
そんな彼女には酒とドラッグに溺れるジョニーの求愛は迷惑。
『Walk the line』(まっすぐな道を歩け)と言い放つ。
それでも執拗なまでにプロポーズするジョニー。
でもそれも傲慢としか映らず、
観ている方としても複雑な気持ちになる。
『これは無理だよ』ってね」

----ストップ!ストーリーはそこまで。
この映画、ジョニーはホアキン・フェニックス、
ジューンはリーズ・ウィザースプーンだよね。
ふたりの演技はどうだったの?
「なんとジョニーとジューンの演奏、歌はすべて彼ら自身のパフォーマンス。
『魂が乗り移ったみたいだ』と言う言葉があるけど、
まさにそれはこの映画のふたりのためにあるようなもの。
ゴールデン・グローブの主演男優・女優賞は堅いだろうね。
あの賞はミュージカル・コメディ部門があるからね」

----ふうむ。それは観てみたいや。
「彼らの歌の録音ではデジタル効果の使用を禁止。
ヴィンテージものの楽器、マイク、機材を使用したんだって。
この監督ジェームズ・マンゴールドは
『コップランド』『17歳のカルテ』『“アイデンティティー”』と
昔から相性がいいんだけど、今回も十分にぼくを満足させてくれたな」

         (byえいwithフォーン)

※これをアップして数時間後、ゴールデン・グローブ賞のノミネート発表が…。
ここに入っていなかったらどうしようと、一瞬不安がよぎったのですが、
無事、ふたりとも候補に。第一段階は無事クリア。はらはらです。

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※画像はアメリカ・オフィシャルの壁紙です。


『天使』

2005-12-12 00:45:03 | 新作映画
----これって人気漫画の映画化なんだって?
「うん。桜沢エリカのね。
『NANAーナナー』も大ヒットしたことだし、
これからこのケースは増えていくんじゃないかな。
しかも監督は女性。
これも昨今のブームだ」

----それにしても映画って<天使>を描くこと多いよね。
『カスタムメイド10.30』とかいうのも最近あったよね。
「天使と言うのは、いかにも映画的な素材なんじゃないかな。
だれも見たことがない上に、
人を幸せにしてくれるわけだしね。
でも『カスタムメイド10.30』の天使は
漫才のように喋り続けていたけど、
こちらは最初から最後まで天使が無言」

----へぇ~。天使役は深田恭子だったよね。
「うん。『下妻物語』以来の出演作。
あの映画で共演した土屋アンナが『バッシュメント』
騒々しい役をやっているのとは違って、
こちらはただ、登場人物に寄り添っているだけ。
これは相当の演技力がなければできないことだろうね」

----と言うことは、この映画の一番の見どころは深田恭子ってわけ?
「うん。その演技力に加え、
純正アイドルのようなキュートさも見逃せない。
天使の羽がこれほど自然な女優もなかなかいないんじゃないかな。
小さく折り畳んだときなんて思わず触りたくなってしまう」

----物語の方はどうなの?
「この天使、いろんな問題を抱えている人たちのところに
降り立つわけだけど、
正直言ってそれらのエピソードはそんなに目新しくもないしね。
あっ、
いなくなった猫を探すエピソードはよかったな。
ただ、最後に現れる場所がね~。
あまりにも現実離れしているけど、
それもファンタジーだから許すしかないのかな」

----う~ん。
奥歯にモノの挟まったような言い方ニャあ。
「さすがにこれはネタバレすぎるからね。
そうそう、この天使、なんとジンライムが好きなんだ。
これってどうなんだろう?
原作にあるのかな。ちょっと興味あるな」

               (byえいwithフォーン)

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『赤ちゃんの逆襲』

2005-12-11 00:14:32 | 新作映画
----これってフランス映画なんだよね。
「そう。主役のティエリー・エルミットというのは、
こういう、ちょっとイヤミな役をやるとピッタリ。
何年か前に『奇人たちの晩餐会』(当時は『変人たちの晩餐会』)
という大傑作を抱えて
横浜で行われているフランス映画祭に来日。
ぼくなんか、並んでサインまでもらったもんね」

----イヤミな役って、これどんな話なの?
タイトルからだけじゃ想像がつかないなあ。
「ティエリー・エルミットが演じるのは
建築業界の大物ヴァンサン・ポレル。
一見、何不自由のない暮らしをしている彼に、
ただ一つ欠けていたのが赤ちゃん。
そんな彼もようやく父親になれる日が近づいてきた。
ところが、シモンと言う男から、
彼の会社が建築中の建物は
自分が学生時代に設計したものだと抗議を受ける。
警備員を使って、なんとか追い返したポレルだが、
なんと自分の運転していた車でシモンを轢いてしまう」

----あらら、どうなるんだろう?
「シモンは死んであの世へ・・・と思いきや、
なんとポレルの赤ちゃんとして生まれ変わってしまう。
さあ、そこでシモンは
赤ちゃんとしてポレルに逆襲をする・・・ってお話だ」

----うっわあ。これはオモシロそう。
でも、どんな逆襲をするの?
「最初は飲んでいるミルクを顔に吐いたり、
夜泣きをして眠りを妨げたり、うんちをしたり…。
ところが彼の逆襲はこれくらいでは収まらない。
ついにはポレルを絶望の縁に追いやる、
あるとんでもないことを考えつくんだ」

----う~ん。それって何だろう?
「最愛の赤ちゃん、つまり自分をこの世から消そうと考えるわけだ。
そのために彼は高いところから落ちようとしたり、
お風呂の中で溺れようとしたり・・・」

----信じられない。とんでもなくブラックな話だね。
果たしてそんなこと撮影可能なの?
「フランスでは赤ちゃんを1日1時間以上働かせられない。
そのため1日4時間の労働が認められているマドリッドで撮影したらしい。
それでもアップを除いて10~15人の赤ちゃんが出演しているのだとか。
この映画、最初に驚くのが交通事故のシーン。
そこでは撥ねられたシモンが宙高く空に舞う映像が
ワンショットで映し出される。
もちろんCGなどの特撮が使われているわけだけど、
それに限らず、
この赤ちゃんの『ありえねえ~動き』も3Dアニメーターの参加あってのもの。
アイロンを落とそうとしたり、階段を上ったり、
ぬいぐるみとボクシングしたり、
洗剤のボトルのキャップを開けて飲もうとしたり、
実にスリリングだよ」

----いよいよもってオモシロそうだ。
「実はこの映画、
シモンは恋人と友だちに裏切られ、
ポレルも奥さんに浮気されている。
さらに言えばポレルは設計を盗んでいない。
つまり、本人たちは知らないけど観客は知っていると言う事実が
いくつもスクリーン上に提示される。
さあ、彼らはいつそれらの真実を知るのか?
それらが、すべて巧く落ち着く脚本の妙には
もう脱帽と言うほかない。
そうそう、実はこの赤ちゃん
ボイスオーバーで、心の声をずっと喋っている。
そう、ブルース・ウィリスの『ベイビー・トーク』のようにね」

----ええぇ~~っ。それって映画の核になることじゃない。
もっと早く言ってよ。
「ごめんごめん。
でも、ちょっとシニカルでエスプリが利いたこの映画、
フレンチ・コメディの楽しさを知るにはうってつけ。
フォーンも観てみたら」

                (byえいwithフォーン)

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『映画 ブラック・ジャック ふたりの黒い医者』

2005-12-10 01:34:48 | 新作映画
----日本のアニメについて話すの久しぶりだよね。
「うん。この映画は手塚治虫の原作をその息子である手塚眞が監督。
それだけでも興味がそそられる」

----手塚眞って監督なんだ?
「うん。高校時代から映画を作っていて、
PFFの前身であるオフシアター・フィルム・フェスティバルとかで
早くから注目を集めていた」

----そうか映画青年あったんだね。
「この映画にもその名残があって、
冒頭のビル爆破からブライアン・デ・パルマばりの
スクリーン分割を使ってサスペンスを盛り上げている。
けっこうハラハラさせられたよ」

----ふうん。ビル爆破と言うことはテロリストのお話?
「そうとばかりは言い切れないけどね。
物語の方は、ダイダロスという製薬会社の実験が生み出した
『サタン』という悪魔の細菌をめぐって展開。
その中で『死神の化身』と言われるドクター・キリコと
ブラック・ジャックを対比させながら描いてゆく」

----ブラック・ジャックって無免許だけど
天才的な腕を持つ外科医。
でも法外な報酬を要求するんだよね。
「うん。そのため悪徳医師と呼ばれているけど、
そこには彼の強い信念がある。
一方のドクター・キリコは軍医としての経験から
苦しませずに患者を死なせようとする。」

----そうか、安楽死の問題にも繋がってくるんだ。
「その重いテーマの中に、
銃撃戦や爆破のカウントダウンによるスリルを織り込み、
エンターテイメントとして飽きさせないところは、
さすが手塚漫画の精神を受け継いでいると言っていいだろうね」

         (byえいwithフォーン)
同時上映『Dr.ピノコの森の冒険』

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※画像は「ふわふわピノコ」。(ポリウレタン製)。前売り券に付いています