
----ヘレン・ミレン、よかったニャあ。
さすがにアカデミー主演女優賞を取っただけあるや。
「そうだね。
どこまでリアルなのかは分からないけど、
人間エリザベスの苦悩が
シンパシーを持って感じられたものね」
----それとは逆にあのダイアナが
もう、それほど魅力的には写らなくなっちゃった。
「うん。この映画のオモシロさはそこにある気がする。
ここで描かれているのは、
すでに王室を離れていると言う理由から、
交通事故で亡くなったダイアナの葬儀を内輪で済ませようとし、
公式声明を出さない王室に対して、
自分たちへの批判を交わすべく批判的立場を取るマスコミと、
その空気に乗って王室への怒りをぶつける国民----と言う構図。
おそらくこの映画が生まれる前までは
多くの人たちがマスコミ&国民連合の立場に立っていたはず」
----でも、この映画を観たら考えが変わるよね。
女王として生まれ、
その人生を国と国民に捧げる以外の選択肢がないエリザベス。
確かに時代遅れとは言え、
彼女が考える国王や王室のあり方が
なるほどとうなずける形で描かれている。
フォーンもエリザベスが可愛そうになったよ。
「それを感じさせたヘレン・ミレンの演技はさすが。
でも、それもある意味危険なんじゃないかな」
----どういうこと?
「この映画を観ることで
それまで王室批判の立場だった人たちまで、
エリザベスの気持ちに寄り添い、
いままでとは真逆に王室へのシンパシーを抱いてしまう。
だけど、それってあまりにも単純すぎない。
映画によって簡単に思考を左右されている。
実は、映画ではそれに近いことも描いてあるんだけどね」
----あっ、トニー・ブレア首相ね。
「そう。
労働党党首と言う左派的立場ながら
エリザベス、そして王室を守るため奔走。
そして逆境の中でのエリザベスの生きざまを絶賛する。
そんな彼に対する妻のシェリー・ブレアの冷めた目線もオモシロい」
----監督のスティーブン・フリアーズも左翼なんでしょ?
「そう。『ヘンダーソン夫人の贈り物』もある意味反骨の映画だったよね。
でも監督はそんな政治的な立場よりも、
このような形で大勢に流されてしまう人々の危険性こそを訴えたかったんじゃないかな。
そしてそれを観ている観客であるみんなも
そんなムードに乗ってしまいやすい人間たちのひとりではないか----とね。
つまりこの映画は劇中で展開していることに対する国民感情と
それを観ているぼくらの感情とを合わせ鏡にした
二重構造になっている」
----ふうん。
そう言う意味では、脚本も巧いのかニャ?
「ピーター・モーガンね。
『ラストキング・オブ・スコットランド』もそうだけど、
彼の書く脚本は気取りがなく実に親しみやすいね。
そう言えばあの映画のとき
70年代のサスペンスを引き合いに出したけど、
この映画も『フォロー・ミー』など
70年代のイギリス映画の匂いがしたね。
紗がかかっているような淡い色調。
パンフによると
王室は35mm、ブレア首相のシーンは16mmなのだとか。
最近のハリウッド映画のようなクリアすぎて
しかもCGが多用された映像とはまったく異なる。
そういう意味でも、
<映画>を堪能できた作品だったね」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「あの鹿さん、かわいそうニャ」
※どっぷり浸った度


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※画像はUKオフィシャルの壁紙です。
さすがにアカデミー主演女優賞を取っただけあるや。
「そうだね。
どこまでリアルなのかは分からないけど、
人間エリザベスの苦悩が
シンパシーを持って感じられたものね」
----それとは逆にあのダイアナが
もう、それほど魅力的には写らなくなっちゃった。
「うん。この映画のオモシロさはそこにある気がする。
ここで描かれているのは、
すでに王室を離れていると言う理由から、
交通事故で亡くなったダイアナの葬儀を内輪で済ませようとし、
公式声明を出さない王室に対して、
自分たちへの批判を交わすべく批判的立場を取るマスコミと、
その空気に乗って王室への怒りをぶつける国民----と言う構図。
おそらくこの映画が生まれる前までは
多くの人たちがマスコミ&国民連合の立場に立っていたはず」
----でも、この映画を観たら考えが変わるよね。
女王として生まれ、
その人生を国と国民に捧げる以外の選択肢がないエリザベス。
確かに時代遅れとは言え、
彼女が考える国王や王室のあり方が
なるほどとうなずける形で描かれている。
フォーンもエリザベスが可愛そうになったよ。
「それを感じさせたヘレン・ミレンの演技はさすが。
でも、それもある意味危険なんじゃないかな」
----どういうこと?
「この映画を観ることで
それまで王室批判の立場だった人たちまで、
エリザベスの気持ちに寄り添い、
いままでとは真逆に王室へのシンパシーを抱いてしまう。
だけど、それってあまりにも単純すぎない。
映画によって簡単に思考を左右されている。
実は、映画ではそれに近いことも描いてあるんだけどね」
----あっ、トニー・ブレア首相ね。
「そう。
労働党党首と言う左派的立場ながら
エリザベス、そして王室を守るため奔走。
そして逆境の中でのエリザベスの生きざまを絶賛する。
そんな彼に対する妻のシェリー・ブレアの冷めた目線もオモシロい」
----監督のスティーブン・フリアーズも左翼なんでしょ?
「そう。『ヘンダーソン夫人の贈り物』もある意味反骨の映画だったよね。
でも監督はそんな政治的な立場よりも、
このような形で大勢に流されてしまう人々の危険性こそを訴えたかったんじゃないかな。
そしてそれを観ている観客であるみんなも
そんなムードに乗ってしまいやすい人間たちのひとりではないか----とね。
つまりこの映画は劇中で展開していることに対する国民感情と
それを観ているぼくらの感情とを合わせ鏡にした
二重構造になっている」
----ふうん。
そう言う意味では、脚本も巧いのかニャ?
「ピーター・モーガンね。
『ラストキング・オブ・スコットランド』もそうだけど、
彼の書く脚本は気取りがなく実に親しみやすいね。
そう言えばあの映画のとき
70年代のサスペンスを引き合いに出したけど、
この映画も『フォロー・ミー』など
70年代のイギリス映画の匂いがしたね。
紗がかかっているような淡い色調。
パンフによると
王室は35mm、ブレア首相のシーンは16mmなのだとか。
最近のハリウッド映画のようなクリアすぎて
しかもCGが多用された映像とはまったく異なる。
そういう意味でも、
<映画>を堪能できた作品だったね」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「あの鹿さん、かわいそうニャ」

※どっぷり浸った度



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鑑賞するうちに、すっかり女王の孤独に思いを馳せていました(笑)
ダイアナを少々貶めるようなセリフが多かったのが気になりました。英国ではそこをどう受け取ったのでしょうか?
>王室は35mm、ブレア首相のシーンは16mm
=そうなんですか。映画的に私も堪能いたしました。
女王の孤独感、よく出ていましたね。
ぼくは観る前は
もう少し毅然とした描き方かなと思っていたのですが、
エリザベスは王室を継承しているため、
その職務に忠実であろうとしているというだけで
とてもヒューマンな香りを感じてしまいました。
もっとも子供の頃
「スクリーン」かなんかで
『としごろ』のスチールを見て、
ヘレン・ミレンに対して
キュートなイメージを持ってしまっているからかも知れません。(笑)
そうですね。
この映画は、観る者の心をコントロールする。
でも、そこで描かれているものが
メディアによってリードされていく国民。
なかなか含みのある映画だと思います。
それと映像。これは本当に素晴らしかったです。
あの空撮、何をやるんだろうと思ったら
緑の中の大鹿!
このワンショットを撮るまでに
どれくらい時間を要したんだろう……?
未見だったとは驚きです。
私は初日の初回に見ましたよ。9:00開始です。それでも激混みでした。
普段の通勤よりも早起きしてしまいました。
他の映画館でも上映が始まったので、そろそろシャンテシネも落ち着いてきているといいですね。
『河童のクゥと夏休み』
コレって、しんちゃん《大人帝国》の監督さんでしたよね?誰にも語ってませんけど、何か気になっていました。
ヘレン・ミレンの演技が素晴らしいのはもちろんですが、
私たちは見ている物(マスコミの報道の仕方)が全てだと思いがち…ってことを
まざまざと見せつけられたのが面白かったです。
私もえいさんと同じく、女王の毅然とした態度を描いていると思ってみたので、
思ったのとは違うという気持ちはぬぐいきれませんが、
後から彼女の孤独と背負った運命の大きさについて
考えてしまいます。
はい。未見でした。
最初はシャンテシネでしかやっていなかったので、
機会を狙っていたのですが、
府中の方でやっていたのでさっそく行ってきました。
シネコンの功罪がいろいろ言われていますが、
ぼくはけっこう利用しています。
『河童のクゥと夏休み』は
今のところ7月公開の一番のオススメです。
あのキャッチコピーが
観る者に先入観を与えてしまいましたね。
結果、描かれていたのは
冷徹な君主ではなく
伝統と世論の間で悩める一人の女性像でした。
そこにブレアと言う
やんちゃでありながら頭の切れる男が絡んでくる。
ドラマとしてもとてもオモシロかったです。
あとはやはり映像の素晴らしさかな。
クロムゥエルはスタートレックから注目しだしたのですが、呑んだくれや皮肉屋が似合いそうな面白い役者さんだと思います。だからスパイダーマン3ではまともすぎてやや不満でした(笑)
女王のアメリカ訪問で、久しぶりにお茶の間で姿見れましたが、やっぱ雰囲気似てるなぁ~と、改めて思っちゃいました!
随分前に観たので あんまり記憶にないんです この映画・・・。
個人的には「ホームドラマ」として観ていました。
世界一有名な家族が 離婚した奥さんが急逝しちゃって さあ大変 みたいな。
曲がった見方ですよね~。